一色いろはと家庭教師   作:煌弥

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今回はついにあの人が...




 

私は玄関の前で大きく深呼吸をし、笑顔を作った。

よし、いける、いつもの私だ。

私は意を決して扉を開けた。

 

「い、いらっひゃい」

 

かんだぁぁぁぁぁぁぁあああ!?!?!?

え!? えっと、どどど、どうしよう...!?

絶対に変な子だと思われた...

 

「ど、どどど、どうも、え、えっと...一色さんのか、きゃてい教師を担当することになりました...」

 

あれ? そんなことないぞ?

なんか向こうの方が緊張してるぞ?

というかこの声どこかで...

 

「比企谷と申します。」

 

「え!?」

 

「ファッ!?」

 

私が大きく驚きの声をあげると比企谷さん...先輩は面白い声を出した。

 

「せ、せんぱい?」

 

「え?...ってお前一色じゃねぇか。何でこんなところに。」

 

「だ、だってここ、私の家ですもん。」

 

「は?...って俺が担当する生徒の名前って一色じゃねえか。」

 

「さっき自分で言ってましたよ?」

 

「そりゃお前、コミュ障の俺が初対面の人の家に行くとか無理に決まってんだろ。頭が真っ白になって、何も考えられなくなるに決まってるだろうが。」

 

「いや、そんな自慢気に自慢するようなことではないことを言われましても...」

 

自分でも声がうわずっているのがわかる。

私が今の大学を目指す理由は、ある人を追いかけて。

そしてそのある人とは、紛れもなくこの比企谷先輩だ。

先輩は本物の私に誰よりも早く気がつき、そしてそれを受け入れてくれた。

最初は役に立つ先輩ぐらいにしか思っていなかったが、本物の私を受け入れてくれる先輩の存在が私の中で次第に大きくなり、そして気がつけば先輩に恋をしていた。

今までに異性を好きになったことがないことはないのだが、何となく「この人いいかな?」ぐらいにしか思えていなかった。

しかし、先輩は初めて、私が心から好きだと思えた人だ。

 

「え、えと、あの...」

 

そんな人と思わず再会してしまい、私は何をすればいいのかわからなくなり、あわあわしていた

 

「お二人さんがとっても仲良しなのはよぉくわかったけど...そろそろ説明してもらってもいいかしら?」

 

はっ!? そうだった、ここには私と先輩以外にもう一人いたんだった!?

恐る恐る振り返るとそこには、

 

「比企谷君とはどういう関係なの?いろはちゃん?」ニッコリ

 

新しいおもちゃを見つけたといわんばかりの、とってもいい笑顔をしたお母さんがいた。

あ、これはもう誤魔化せない...

 

 

※ ※ ※

 

 

私たちは母につれられてリビングにいた。

私と先輩は預けられた猫のようにおとなしくなり、私はただお母さんの質問に答えていた。

ここ、私の家なのに.....

 

「そうだったのー。比企谷君は高校時代、ずっといろはの生徒会のサポートをしてくれていたのね。そへはどうも、娘がお世話になりました。」

 

「い、いえ...生徒会長をすすめたのは自分ですので。」

 

さっきからずっとこんな感じで二人で話している。

私はお母さんの隣に座っておとなしくしているだけだ。

ここ、私の家なのに.....(二回目)

 

「あ、何かお飲み物とお菓子を用意しますね。いろはも手伝いなさい。」

 

そう言ってお母さんは私を連れてリビングを出た。

そして先輩が見えなくなるとバッと振り返り

 

「ねねね!! いろはは比企谷君のどういうところが好きなの!!」キラキラ

 

なんだろう...とても輝いて見える。

そんなに娘の恋バナがが楽しいかこの人は.....

とにかく、この人に本心を知られたら後で根ほり葉ほりきかれる。

ここは誤魔化さねば!!

 

「べ、別に先輩のことなんか全然好きなんかじゃないんだからね!!」

 

うわぁぁぁぁぁぁあああ!?!?!?

何っ!? だからねって何っ!?

ツンデレか? ツンデレなのか!?

うぅ...前に彩音にかりた漫画に出てきたヒロインの口調が動揺のあまりうつっちゃった....

 

そして、お母さんはというと

 

「......っっ!!!」バンバン

 

うずくまってプルプルしながら床を叩いていた。

そのあとも、お母さんにからかわれては笑われるということを繰り返しながらお菓子とコーヒー (私がお母さんに言ってとても甘くしてもらった。お母さんはこんなに甘くていいのか心配していた) をなんとか準備した。

 

そして先輩と家庭教師について事務的な話をして十数分。

 

「えっと...話は以上となります。さっそく授業を始めようと思いますが....どこでやりますか?」

 

「あ、それならいろはの部屋でお願いします。」

 

「え!? 昨日話し合ったときは確かりb「いろはの部屋は二階ですので案内しますね♪」ってちょっとお母さん!?」

 

「あの....娘さんが何か言ってますけど。」

 

「気にしないでください。」

 

「え、でも」

 

「気にしないでください。」ニッコリ

 

「...はい。」

 

私はお母さんのされるがままになっていた。

もうどうにでもなれ...

 




いかがでしたか?
個人的にお母さんが何か好きです(´∀`)

感想やアドバイスをお待ちしています!!

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