冒険者に憧れる少年の夢   作:ユースティティア

7 / 12
翔威様よりリクエスト、オラリオと全ての国の戦争が見てみたい、という事でやっていきたいと思います。

今回は短編ではなく何回かに分けようと思います。


『第7次オラリオ侵攻』
災厄の前兆


「はぁ、暇だ~」

「団長ー、何で俺等はこんなところを任されたんですかー?」

 

「そういう指示だ」

 

 だらけている団員の質問に、漆黒の戦闘衣(バトル・クロス)を身に纏った青年、【ヘルメス・ファミリア】団長、トキ・オーティクスが答える。その隣では【ヘスティア・ファミリア】団長、ベル・クラネルが苦笑していた。

 

 彼らは現在、オラリオ北部にある『ベオル山地』の入り口に陣を敷いていた。その数、約70。その中で、ベルを除いた全ての者が【ヘルメス・ファミリア】である。

 

 なぜこんなところに陣を敷いているのか。それは2日前に遡る。オラリオ西部にある国、ラキア王国から兵が出兵された。その情報を掴んだオラリオは、またか~、とげんなりしながらも、それを迎え撃った。

 

 ──神々がこの地に降りてきてから、人の戦争はその姿を変えた。即ち、どれだけ『恩恵』を昇華させた人間を使うか、である。

 

 例えば、王国(ラキア)のLv.1の兵三万がLv.6の第一級冒険者一人とぶつかったとしよう。果たしてどちらが勝つか?

 

 答えはLv.6の第一級冒険者である。いくら数を集めたところでそれはLv.1。先の例えはモンスターに直すと、ゴブリン三万対ドラゴンの戦いのようなものである。

 

 王国(ラキア)には1柱の神が君臨している。その名は軍神アレス。彼は何故かオラリオを憎んでおり、ことあるごとに兵を送りつけてくる。過去に6回ほど侵略戦を行い、その全てが、王国(ラキア)側の大敗で終わっている。

 

「要するに、アレス様は戦いの神ではあるが勝利の神ではない、ってことなんだ」

 

「……なんか変な神様だね。ていうか普通懲りるでしょ?」

 

「忘れたのか? 神は成長しないんだぞ?」

 

「……ああ、うん。そうだね」

 

 王国(ラキア)についての解説をし、それに微妙な表情をする親友(ベル)。こいつとの付き合いも、何だかんだでもう14年になる。あの頃は目標に向けてただ走っているだけだったが、今では一組織の長になっている。本当に、人生とはわからないものだ。

 

「そういえばお前、アイズさんと進展あったのか?」

 

「……」

 

 無言で目を逸らされた。

 

「……まあ、うん、ドンマイ」

 

 ベルは未だにアイズさんへの想いを告げていない。第一級冒険者になったこいつだが、ヘタレのところはそのままに成長してしまったのだ。純粋なまま大人になるのは普通は難しいのだが、そこはこいつの才能? だろう。

 

「そ、それよりも。トキは今回の戦争、どう思ってるの?」

 

「露骨な話題逸らしだな。……正直嫌な予感がする」

 

 今回の王国(ラキア)による『第七次オラリオ侵攻』には、奇妙な点がいくつかある。

 

「1つ目に、王国(ラキア)が攻めてくるのが早すぎる」

 

王国(ラキア)が最後に攻めてきたのは、14年前だよね?」

 

「ああ、神々が降りてきてから約1000年。その間いろいろあったとは思うが、その1000年の間に王国(ラキア)は6回しか攻めてきていない。つまり、ある程度の期間をあけて攻めてきている。さすがに14年は短すぎる」

 

「他には?」

 

「……大陸の全ての国が攻めてきていることだ」

 

 今回の侵攻、攻めてきているのは王国(ラキア)だけではない。魔法大国(アルテナ)や海国、さらには極東の神々までもがオラリオに攻めてきているのだ。

 

「海国はまだわかる。実は、アスフィさんがそこの関係者なんだ」

 

「えっ、そうなの!?」

 

「詳しいことはわからないがな。だが魔法大国(アルテナ)や極東については理解不能だ。魔法大国(アルテナ)は魔法が盛んなだけあって、頭が良いやつが多い。極東の神々も良識的だと聞いている。それらが攻めてくる理由がわからない」

 

「……命さん達がショックを受けてた。故郷の人達と戦うことになっちゃったから……」

 

「さらに気になるのは、王国(ラキア)がどうやって他の国々にオラリオを攻めさせたか、だ。14年という期間は、国を動かすにはあまりにも短すぎる。しかも一国や二国だけでなく、大陸全ての国だ。これは明らかに異常だ」

 

「でも団長、いくら大陸中の国が団結したところで、オラリオには勝てないですよね?」

 

 トキとベルのやり取りを聞いていた【ヘルメス・ファミリア】の団員が質問する。

 

「ああ。なんせこっちが最大Lv.7に対し、あっちは精々Lv.2。さらにちょっと様子を見て来たが、連携もなっちゃいない烏合の衆だ。正直、負ける気はしていない」

 

「ならば、何故団長は嫌な予感がするのですか?」

 

「……大陸中の国を動かす何か。それが気になるんだ」

 

 トキが表情を険しくする。それと同時に、山から無数の影がこちらに迫っていた。

 

「あれは……モンスター!?」

 

「なんだよ、あの数!? 普通じゃないぞ!?」

 

『ベオル山地』は、オラリオに近いこともあり、太古の昔にダンジョンから逃げ出した無数のモンスター達が生息している。種の繁栄のために魔石を削り、その潜在能力(ポテンシャル)は通常のものと比べ著しく低いが、険しい地形故、ほとんど人の手が入っていない。

 

「総員、戦闘準備! 1体たりともオラリオに近づけさせるな!」

 

『了解!』

 

 トキの号令と共に、冒険者達が各々の武器を構える。そして。

 

「戦闘開始!」

 

【ヘルメス・ファミリア】、及び【ヘスティア・ファミリア】(1名)による戦争が幕を上げた。

 

 

 

 

 冒険者が武器を振る。それだけで複数のモンスターが吹き飛ばされる。上空に飛行型モンスターもいるが、同じく飛行する純白のマントの冒険者に打ち落とされる。

 

 戦闘は20分ほどで終了した。

 

「いったい何だったんだ、あのモンスター達?」

 

王国(ラキア)の兵隊、な訳ないよな?」

 

 武器を収めた冒険者達が口々に先程のモンスターについて推測する。

 

「ねえ、トキ。今のモンスター達って……」

 

「やっぱりお前もそう感じたか?」

 

 そんな中、二人の団長はモンスター達のある異変に気づいていた。

 

「団長、今のモンスター達、どこかおかしかったですか?」

 

「ああ」

 

 トキの視線は未だ山の方を向いている。その顔は険しいものだった。

 

「さっきのモンスター達、まるで()()()()()()()()かのようだった」

 

 突然、先程まで晴れていた空に雲がかかり始めた。雲はみるみる発達し、やがて太陽を隠す。そして。

 

『──A──AA─』

 

 何かの、声が聞こえた。

 

「……おい、今のって……」

 

「モンスターの鳴き声?」

 

「でもけっこう遠そうだったぞ?」

 

 次第に風が出てくる。そんな中、風の音に混じって、何かが羽ばたく音が聞こえてきた。

 

「……ねえ、トキ」

 

「……何だ?」

 

「僕、鳥肌が立ってきた」

 

「奇遇だな。俺もだよ」

 

 冒険者達が山々の山頂を睨むように見つめる。……そして、()()は現れた。

 

 漆黒に輝く鱗。その全長は、今まで見てきたどんなモンスターよりも大きいことが遠目でもわかる。巨大な翼をはためかせ、()()()()()()目でこちらを見ている。

 

「まさか……あれは……」

 

「隻眼の……竜……」

 

 1度も見たことはない。だがそれでもわかった。わかってしまった。

 

 冒険者に求められる『三大冒険者依頼(クエスト)』、その最後のモンスター。かつてオラリオでもっとも栄えた派閥、【ゼウス・ファミリア】と【ヘラ・ファミリア】を壊滅させた、正真正銘の怪物。

『隻眼の竜』。それが今、冒険者達の前に姿を現した。

 

『GYAAAAAAAAAAAAAAAAッ‼‼』

 

 ──伝説の、第一幕が上がった。




こんな感じですかね? 長編ですから焦らずやっていきたいと思います。

また、他のリクエストも余裕があれば書いていきたいと思っているのでどんどん下さい。お願いします。

ご意見、ご感想お待ちしております。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。