今回は短編ではなく何回かに分けようと思います。
災厄の前兆
「はぁ、暇だ~」
「団長ー、何で俺等はこんなところを任されたんですかー?」
「そういう指示だ」
だらけている団員の質問に、漆黒の
彼らは現在、オラリオ北部にある『ベオル山地』の入り口に陣を敷いていた。その数、約70。その中で、ベルを除いた全ての者が【ヘルメス・ファミリア】である。
なぜこんなところに陣を敷いているのか。それは2日前に遡る。オラリオ西部にある国、ラキア王国から兵が出兵された。その情報を掴んだオラリオは、またか~、とげんなりしながらも、それを迎え撃った。
──神々がこの地に降りてきてから、人の戦争はその姿を変えた。即ち、どれだけ『恩恵』を昇華させた人間を使うか、である。
例えば、
答えはLv.6の第一級冒険者である。いくら数を集めたところでそれはLv.1。先の例えはモンスターに直すと、ゴブリン三万対ドラゴンの戦いのようなものである。
「要するに、アレス様は戦いの神ではあるが勝利の神ではない、ってことなんだ」
「……なんか変な神様だね。ていうか普通懲りるでしょ?」
「忘れたのか? 神は成長しないんだぞ?」
「……ああ、うん。そうだね」
「そういえばお前、アイズさんと進展あったのか?」
「……」
無言で目を逸らされた。
「……まあ、うん、ドンマイ」
ベルは未だにアイズさんへの想いを告げていない。第一級冒険者になったこいつだが、ヘタレのところはそのままに成長してしまったのだ。純粋なまま大人になるのは普通は難しいのだが、そこはこいつの才能? だろう。
「そ、それよりも。トキは今回の戦争、どう思ってるの?」
「露骨な話題逸らしだな。……正直嫌な予感がする」
今回の
「1つ目に、
「
「ああ、神々が降りてきてから約1000年。その間いろいろあったとは思うが、その1000年の間に
「他には?」
「……大陸の全ての国が攻めてきていることだ」
今回の侵攻、攻めてきているのは
「海国はまだわかる。実は、アスフィさんがそこの関係者なんだ」
「えっ、そうなの!?」
「詳しいことはわからないがな。だが
「……命さん達がショックを受けてた。故郷の人達と戦うことになっちゃったから……」
「さらに気になるのは、
「でも団長、いくら大陸中の国が団結したところで、オラリオには勝てないですよね?」
トキとベルのやり取りを聞いていた【ヘルメス・ファミリア】の団員が質問する。
「ああ。なんせこっちが最大Lv.7に対し、あっちは精々Lv.2。さらにちょっと様子を見て来たが、連携もなっちゃいない烏合の衆だ。正直、負ける気はしていない」
「ならば、何故団長は嫌な予感がするのですか?」
「……大陸中の国を動かす何か。それが気になるんだ」
トキが表情を険しくする。それと同時に、山から無数の影がこちらに迫っていた。
「あれは……モンスター!?」
「なんだよ、あの数!? 普通じゃないぞ!?」
『ベオル山地』は、オラリオに近いこともあり、太古の昔にダンジョンから逃げ出した無数のモンスター達が生息している。種の繁栄のために魔石を削り、その
「総員、戦闘準備! 1体たりともオラリオに近づけさせるな!」
『了解!』
トキの号令と共に、冒険者達が各々の武器を構える。そして。
「戦闘開始!」
【ヘルメス・ファミリア】、及び【ヘスティア・ファミリア】(1名)による戦争が幕を上げた。
冒険者が武器を振る。それだけで複数のモンスターが吹き飛ばされる。上空に飛行型モンスターもいるが、同じく飛行する純白のマントの冒険者に打ち落とされる。
戦闘は20分ほどで終了した。
「いったい何だったんだ、あのモンスター達?」
「
武器を収めた冒険者達が口々に先程のモンスターについて推測する。
「ねえ、トキ。今のモンスター達って……」
「やっぱりお前もそう感じたか?」
そんな中、二人の団長はモンスター達のある異変に気づいていた。
「団長、今のモンスター達、どこかおかしかったですか?」
「ああ」
トキの視線は未だ山の方を向いている。その顔は険しいものだった。
「さっきのモンスター達、まるで
突然、先程まで晴れていた空に雲がかかり始めた。雲はみるみる発達し、やがて太陽を隠す。そして。
『──A──AA─』
何かの、声が聞こえた。
「……おい、今のって……」
「モンスターの鳴き声?」
「でもけっこう遠そうだったぞ?」
次第に風が出てくる。そんな中、風の音に混じって、何かが羽ばたく音が聞こえてきた。
「……ねえ、トキ」
「……何だ?」
「僕、鳥肌が立ってきた」
「奇遇だな。俺もだよ」
冒険者達が山々の山頂を睨むように見つめる。……そして、
漆黒に輝く鱗。その全長は、今まで見てきたどんなモンスターよりも大きいことが遠目でもわかる。巨大な翼をはためかせ、
「まさか……あれは……」
「隻眼の……竜……」
1度も見たことはない。だがそれでもわかった。わかってしまった。
冒険者に求められる『三大
『隻眼の竜』。それが今、冒険者達の前に姿を現した。
『GYAAAAAAAAAAAAAAAAッ‼‼』
──伝説の、第一幕が上がった。
こんな感じですかね? 長編ですから焦らずやっていきたいと思います。
また、他のリクエストも余裕があれば書いていきたいと思っているのでどんどん下さい。お願いします。
ご意見、ご感想お待ちしております。