人生REST@RT   作:健夜ん

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作者は飽きっぽいので、不定期更新になりますw


#2:アイドルとして

 

side 零

 

 

 

俺が千川家に拾われて14年経った。

千川家のみんなは俺の見た目を気にせず親身に接してくれた。

父さんも母さんは俺を実の息子の様に見てくれた。

姉のちひろ姉ちゃんも本当に弟が出来たかの様に喜んでくれた。

そして、俺は高校2年生の16歳で既に仕事をしている。

 

「それじゃ、次の曲行くぞ……!」

 

『わぁぁぁあああああ!!!!』

 

そう、アイドルだ。

13歳の時に姉ちゃんに誘われて346プロでアイドルをやることになった。

その頃は前世からのもあってやることなんて特に思い付かずなんとなくやってみることになった。

天使様からの計らいで身体能力が上がってたし、物覚えも元々良かったから、軽くやってみたら出来た。それから姉ちゃんの協力もあって少しずつ仕事が増えていき、今では立派なアイドルだ。売上も上々だと思う。

今も姉ちゃんが仕事を取ってくれたりするが今は自分で取ったりもすることがある。流石に姉ちゃんにずっと頼りっぱなしじゃダメだと思ったしな。

後変わったことと言えば…。

 

「あっ!零じゃん、お疲れ〜。」

 

俺の実の姉(相手は知らないが)である城ヶ崎 美嘉がアイドルになったことだ。あの頃はまだまだガキだったがよく覚えている。

 

「あ、ああ。ありがとう。」

 

「ん〜、零ってアタシが居るといっつもギクシャクしてる様な気がするんだよねぇ…?」

 

それにこれだ。薄々だが気付きかけてる節がある。初対面の時でも俺の髪や顔を見てうんうん唸ってたことがあった。

お陰で会う時はいつも警戒してしまう。

 

「気のせいじゃないのか。そんなことはないつもりだけど?」

 

「ん〜、そうかなぁ…?」

 

「それになんの根拠でいってるんだよ?」

 

「女の感ってやつに決まってんじゃん!」

 

「感で決めつけるなよ……。」

 

どうやって振り切ろう…。

 

「そんなにも気になるのか…。つーか、そろそろ着替えたいんだけど?」

 

「う〜ん……どうしても気になるんだよね。あ、そうだ、着替えたら後でご飯でも食べに行かない?」

 

「飯か…まあ、腹も減ったし良いぞ。」

 

「よしっ、じゃあアタシあっちで待ってるからね〜。」

 

「はいはい…。」

 

まあ、そのくらいはいいだろう。

 

 

 

 

「あっ、やっと来た。って、やっぱり真っ黒なんだ。」

 

「まあな。目立たないし、この方が髪が映えるしな。」

 

「確かに白は映えるけどさぁ。……弟を思い出すんだよねぇ。」

 

「…………なんか言ったか?」

 

「い、いや、なんでもないよ!?ほら、ご飯食べに行こっ!アタシのおすすめの店があるんだっ!」

 

「わかったからそんな引っ張るな…。」

 

これじゃあどっちが歳上かわかったもんじゃないな。

 

 

 

 

「へぇ、結構雰囲気は良いな。」

 

「でしょ?料理も美味しいから、期待しててよ。」

 

あんまり来たことのない感じの店だったが、悪くないな。まあ、休日ってのもあって少し人が多いが。

 

「お待たせしました。アサリのパスタとカルボナーラです。」

 

「アサリは俺だ。」

 

「カルボナーラはアタシだよ。」

 

ふむ…見た目はなかなか美味そうな感じだな。

 

「ほら、食べてみてっ。」

 

「んじゃ、いただきます。」

 

パクッ…モグモグ……。

 

「どう…?」

 

いや、お前が作った訳じゃないからそんなに心配しなくてもいいだろ?

まあ……。

 

「美味いけど…。」

 

「そ、そっか、それなら良かった。ほ、ほら、もっと食べたら?」

 

…変なの。

 

「あ、そういえばね、ウチの妹が今度346プロに入ることになったんだよね。もし有名になったりして共演したりすることがあったら見てあげてくれない?あの子まだまだやんちゃだからさ。」

 

妹ねぇ…。ん?

 

「名前は?」

 

「莉嘉って言うの金髪で顔はアタシに似てるよ。」

 

ふむ……。

 

「あんな感じの子か??」

 

「そうそう、まさにあんな感じ………え?」

 

俺が指差した先では金髪で幼いが美嘉に似た顔つきの女の子がこちらを見ていた。

 

「お、おお、お姉ちゃんと、千川 零さん!?な、なんで一緒に!!?」

 

「むしろ、莉嘉こそなんでここにいるの?まあ、いいけどね、ちょうどあんたのこと話してたし。ほら、自己紹介。」

 

「え、えっと、初めまして!城ヶ崎 莉嘉です!よろしくお願いします!」

 

「ああ、よろしく。俺は知ってるだろうか千川 零だ。」

 

「はい!…ところでお姉ちゃんとはいつ知り合ったんですか?」

 

「ああ、去年くらいに仕事が被ってな。その時からだ。」

 

「去年から!?お姉ちゃん、なんで教えてくれなかったの〜!?」

 

「ごめんごめんっ、まあ、いいじゃん。今知り合えたんだから。」

 

「これはそうだけど〜…。」

 

「……仲が良いんだな。」

 

「えへへっ、まあね〜。」

 

「む〜…。」

 

そろそろ、頃合か?

 

「んじゃ、まあ、時間もあれだし俺は帰るな。」

 

「えーっ!?もう帰っちゃうんですか!?」

 

「…まあ、これ以上何があるって訳でもないからな。」

 

いつバレるかもわかんねぇし。

 

「あ、じゃあ、零ってこの後用事とかあるの?」

 

「この後?今日は特に無いけど。」

 

「ならウチ来ない?」

 

「あ、お姉ちゃんそれだよ!

どうですか!?」

 

いや、どうですかって。無理に決まってるだろ。

 

「いや、折角だけど断らせてもらう。少し疲れてるしな。」

 

「そっかぁ、なら仕方ないね。」

 

「そうですか……わかりました…。」

 

…………全く。仕方ないな。

 

「……少しだけだぞ。」

 

「!!ありがとうございます!」

 

「もう……ありがとね。」

 

「まあ、たまにはコミュニケーションも大事だろ。」

 

はあ…城ヶ崎家に行くのなんて普通物語終盤のはずだろ…。……物語って俺は何変なことを言ってるんだ?

すると急に両腕が引かれて何かと見てみると右手を美嘉が左手を莉嘉が握っていた。……アグレッシブだな。

 

「ほら、早く行くよっ。」

 

「こっちですよ!」

 

「はいはい……。」

 

似たもの姉妹め…。

 

 

 

 

「……ここがお前らの家か。」

 

少し移動をした俺の目の前には3歳まで過ごしたあの家があった。

あの頃と全く変わってないな、懐かしい。

 

「何見てんの?入るよ。」

 

「ああ、今行く。」

 

ちなみに今は俺だとバレない様に帽子を深めに被って黒縁の眼鏡をかけている。

 

「……お邪魔します。」

 

「こっちこっち!」

 

「わかった。」

 

こっちは…そう、リビングだ。ここは少しインテリアが変わったか?

 

「あら、いらっしゃい。私はこの子達の母の城ヶ崎 麗嘉よ。ゆっくりしていって…ね……?」

 

「……あの、何か?」

 

「い、いえ、昔どこかで見た覚えがあるんだけど…。」

 

「そりゃそうだよ、母さん!だってこの人はトップアイドルの千川 零」

 

え?トップだったの?

 

「あ、あら、そうだったの?」

 

「そうだって!これ見たら絶対わかるよ!」

 

そう言って莉嘉は俺の帽子をいきなり取った。

 

「!?莉嘉、帽子を早く…っ!」

 

「白髪……?」

 

俺の髪を見て疑問を持ったのか凝視してきた。

 

「ほらっ!見たことあるでしょ、この真っ白な髪!

………って、母さん?どうしたの?」

 

「……零………白髪…どこか達観した雰囲気………あなたまさか…!」

 

嘘だろ、もうバレたのか…!?物語的に展開が速すぎるだろ……。だから、物語ってなんだよ。変な電波がよく入るな…。

 

「…………何を言ってるかわかりませんね。どうしたんですか?」

 

「そうだって、母さん。どうしたの?って、お姉ちゃんもずっと黙ってるけど何かあったの?」

 

「母さん、やっぱり……。」

 

「美嘉も何言ってるんだよ?何かあったのか?」

 

「なんで……そんな…あなたはあの時に連れ去られたはずなのに…。」

 

連れ去られた?どういう意味だ。

 

「あの、話が読めないんですが。」

 

「そ、そうだよ、2人共何の話をしてるの?」

 

俺は捨てられたはず……いや、今思えば目が覚めたら路上だったから捨てられたかも謎か…。

 

「そうね、莉嘉にはそろそろ話した方が良さそうね…。」

 

「母さん……。」

 

「良いのよ、いつかは話さなきゃいけなかったから。

莉嘉、あなたにはね、美嘉の他にも兄が居たの。」

 

「あ、兄?お兄ちゃんってこと…?どういうこと!?そんなの1度も聞いたことないよ!?」

 

「ええ、そうね。あなたを思ってのことだったのよ。わかってくれる…?」

 

「………うん。」

 

「アタシ、アルバム取ってくるよ。」

 

「頼むわ。

それでね、その子の名前が零。あなたみたいに真っ白な髪で周りよりも落ち着いたわ。私よりも大人っぽいって言えたかしらね。」

 

「………そうですか。」

 

「……………。」

 

「アルバム、持ってきたよ。」

 

美嘉が持ってきたアルバムの中は今の俺と同じ様などこかつまらなそうな無表情の白髪の男の子が写っていた。

 

「これって………。」

 

「…………俺によく似てるな。」

 

「……続きを話しましょう。

それからある日の深夜よ、零は寝た後で美嘉は私達と一緒に起きてたわ。その時に強盗が来たの。幸いにも夫が追い出して物は盗まれはしなかったけど零を連れ去られてしまったのよ。」

 

そんなことがあったのか…。

 

「私達は後悔したわ。なんでちゃんと見てなかったんだろうって。」

 

「………そうか。」

 

「ねぇ、零。あんたはあの時連れ去られたアタシの弟……?」

 

ここで認めるのは簡単だ。それでも俺は拾ってくれた千川家のみんなとの今の生活を手放すのはダメだろ。

 

「さあ…昔のことはあまり覚えてないな。」

 

だから、俺は曖昧な言葉を言った。

目の前の3人は傷つくかもしれない。それでも俺にはこう言うしかなかった。

 

「そっか……ごめんね…。」

 

「ああ、すまないな。」

 

そんな泣きそうな顔をしないでくれ、俺だってそっちに行きたい。けど、城ヶ崎か千川、今の俺にはどっちも大切だから、どうしようもないんだ。

 

「……俺はそろそろそろ帰るぞ。少し長居し過ぎたみたいだしな。」

 

時間は既に8時前となっていた。きっと帰る頃には8時半くらいになっているだろう。

 

「あ、あのっ…良かったらご飯を食べていきませんか……?」

 

「いや、悪いが遠慮する。」

 

「そうですか……。」

 

「だが、まあ…また今度にでも食べさせてもらおうかな…。」

 

「!!は、はいっ!」

 

「それじゃあ、私もその時は張り切っちゃおうかしら。」

 

「料理かぁ、アタシもやってみようかな……。」

 

ちょっと楽しみだな。

後、美嘉が料理をやってみようとしてるけど嫌な予感がするな……気のせいか?

 

「それじゃ、また来るな。」

 

「うん、またね。」

 

「またお話しましょうね!」

 

「いつでも待ってるわよ。」

 

……嬉しいもんだな。

 

 

 

 

やっぱり少し遅くなり過ぎたな…。

 

「ただいま。」

 

「あ、おかえりなさい、零。

今日は遅かったけどどうしたの?」

 

「ちょっと仕事仲間と喋り過ぎたんだよ。ごめん。」

 

間違いじゃないよな。仕事後だったし。

 

「そう?でも、連絡くらいは入れてね?こんな時間まで帰って来なかったら私も心配なんだから。」

 

そう言いながら頭を撫でてきた。

 

「ね、姉ちゃん、俺ももう17なんだから恥ずかしいって前から言ってるだろ?」

 

「いいでしょ?零は私の弟なんだから、恥ずかしいことないよ。」

 

「いや、俺は恥ずかしいんだって……。」

 

本当に恥ずかしいから離れようとすると腕を掴まれそのまま撫でられた。……なんとも言えないな。

 

「さ、ご飯まだだよね?食べよっか。」

 

「ああ、わかったよ。」

 

やっぱ姉ちゃんには敵わないな……。

今日は良いことがあったから良い夢が見れそうだ。

 

 

 

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