贋作者のハイスクール   作:エルシャドール

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やっと文化祭、体育祭が終わったので投稿ができます。

待っていてくれた人ありがとうございます。


第五話 投影魔術

 

「...ゆくぞ」

 

ゆっくりとした足取りでこちらへ一歩、また一歩と近づいてくる。

 

体の芯から凍ってしまいそうな視線を向けられ、足が、腕が、体全体が震える。

足が恐怖で地面に張り付いたような感覚を覚える。

 

剣道をしているからこそ感覚的に相手の強さがひしひしと伝わってくる。

 

 

 

この男、強い...。

 

 

 

自分の本能が危険のアラームを鳴り響かせている。

 

男との距離が剣道の試合開始時まで近づくと、右手を広げた。

 

耳鳴りがする。男の手に光らしきものが集まっていき、槍のようなものに形成されていった。

 

 

槍...?

 

 

刹那、人間離れした速度で心臓めがけて刺突を放ってきた。

 

 

本来の人間の感性ならば、殺されると思ったり、濃厚な死の未来予測がされるわけだが、衛宮は違っていた。

 

 

 

 

 

 

ーーーえ

 

 

 

 

 

 

分かる。この人間離れした攻撃の避け方が、受け方が、反撃の、仕方が。

 

霞んではいるが、脳裏にあの赤い服装に白髪の男の姿が浮かぶ。

 

 

 

「うわああああああっ!!!」

 

 

 

竹刀を掛けている方の肩を男に向け、タックルの構えをとった。

竹刀袋をつけた竹刀が心臓の位置まで移動し、体位が下がる。

 

 

 

「むっ」

 

 

 

普通の竹刀ならば紙のように貫くことができるはずなのに、ギャリリリリリッ!!と金属の擦れ合うような音と火花を散らして槍が学生の後方へ抜ける。

 

 

衛宮は竹刀に重さを感じたじろぐが、すかさずタックルをかまして距離をとった。

 

 

 

「その棒切れ、魔術で強化しているようだな。たかが人間風情だと思ったが存外にやるではないか。」

 

 

 

魔術?そんなものがこの世の中に...さっきの槍はそれで説明がつく。

ならこの男の言うことは妄言ではなさそうだ。竹刀が傷つかないのも魔術で説明がつくしな。魔術万歳だな、全く。魔術があるなら魔力というのもあるのだろうか。

 

 

 

破れている竹刀袋を取り払い、竹刀を構える。

 

 

 

奴の言うことが正しいならばあの夢に出てきた男達は魔術師というやつではなかろうか。

騎士であるなら甲冑とか騎士らしい雰囲気があるだろうし、剣だって創ったりしないだろうからな。

なら、真似をするならあの男たちの真似をするのがいいだろう。竹刀が壊れる前に男たちに追いつかないと、俺は死ぬ。

 

 

 

「先ほどは油断したが、次はそうはいかん。」

 

槍がさらに輝きを増し、何らかの力の奔流を感じる。

これが魔力...なのか?

 

槍をこちらに向け、足が跳び出す位置へ移動する。

 

(あの夢を思い出せ!あの男達の剣術を思い出せ!)

 

 

 

「次こそ...仕留めるっ」

 

 

ーーー来るっ

 

ギィイイイン

 

 

槍をすんでのところで受け流し、足に力を込める、が。

槍が頭上で回転し、竹刀の無い方を攻撃してくる。所存、剣道で使われるフェイントの面だ。

 

 

 

こいつ剣道できるのかよ...っ

 

 

 

だが、衛宮は腐っても剣道部員であり魔力の支援もあるおかげで難なく竹刀で受け止め、自分も攻撃へと転じる。

 

 

 

そこから両者の打ち合いが始まった。

 

衛宮が攻撃をすれば男が槍で叩き落とし、刺突を繰り出す。男の攻撃を竹刀で受け流し、眼球を狙った突きを放つ。

 

長く続くと思われたが、すぐに終わりを迎えた。

 

 

 

ボキィッ

 

「んなっ」

 

 

 

男の槍薙ぎを受けようと竹刀を構えたが、その竹刀が限界を迎えたようだ。

動きを止める竹刀が折れたことによって、衛宮の体を容赦なく切り裂かれる。

 

 

「があああああああああっ!!!」

 

 

槍の魔力によって吹き飛ばされたところで痛みにのたうち回る。

右肩から左の脇腹にかけて切り裂かれており、血が吹き出ている。

 

 

 

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!

なんで、竹刀が...

 

 

「く、来るな...」

 

 

男が最後の一撃を加えるために俺を遊ぶかのような遅さで歩いてくる。

 

死に、たくない...死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーならば唱えろ

 

 

...え

 

 

ーーーお前なら知っているはずだ

 

 

...何を

 

 

ーーー自分の理想を形にする魔術を

 

 

...あ

 

 

 

瞬間、あの男達の記憶の断片が流れ込んでくる。

 

 

 

地獄を見た、地獄を見た、地獄を見た...

 

 

...こんなところで負けてられるか、こんなこと罰にすらなりえない。

 

 

 

 

ーーーついて来れるか

 

言うまでもないっ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

痛みを我慢し、力強く立ちあがる。

 

「...む。...これでもかなりのダメージを与えたのだがな」

 

両手を前方に突き出し、魔力という今まで使ったことのない力をあの男達を真似て放出する。

 

そして、唱える。

 

 

 

 

偽善でも人のためとなるために使われた。

 

 

 

 

 

 

投影(トレース)

 

 

 

 

 

 

正しい正義を見つけるために使われた。

 

 

 

 

 

 

開始(オン)!!」

 

 

 

 

 

 

今度はどのようにして使われるのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

頭の中に思い浮かべるのは白髪の男が持っていた、あの強い武器。

 

それを手の中で構築していく。

 

辺りに魔力のスパークが起こり、アスファルトの地面を抉っていく。

 

 

「...ぐっ」

 

 

構築された二つの柄を握り、さらに魔力を込める。

 

 

「おおおおおおっ!!」

 

 

スパークがいっそう大きくなり、刃を象っていく。

 

片方の柄からは黒い刃が、もう片方からは白い刃が構築された。

 

 

 

「...負けるわけには、いかない」




頑張って書いてみました。

読んでくれるとうれしいです。

誤字脱字、感想など待ってます。
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