「はぁ・・・暇だなぁ・・・・・・・・・あっ!じゃあ、誰かと話に行こうっと!」
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――――昔、とある世界を半壊させた鬼達がいた。
一方的な暴力、ただただ圧倒される程の力。
蹂躙する拳。踏み荒らす脚。吼える声。
しかしそんな鬼もとある者により封印された。
その鬼の名前は
鬼、鴻鎖は長い間――――まあ、この話はいいだろう。
彼の鬼が封印が解け妹と逃げた事、その妹が世界を壊した鬼である事。
二人の鬼が烏天狗との間の子だと言うこと、彼は妹の羽根を奪った事。
そんなこと、どうでもいいのだ。
この物語は二人の烏天狗の鬼が命蓮寺に暮らしてる事さえ分かっていれば良いのだ。
そう、これは幸せな兄弟の噺。
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ドタバタ、と廊下を踏み鳴らす音がする。
音の正体は少年。
鴉面をかぶった少年で、この寺に居候している鬼だ。
名前は
面を抑えながら、ドタバタと走っていく鴻鎖は、廊下の角で見えた後ろ姿を見て、嬉々とした表情を浮かべた。
「聖さんっ!」
「あら?」
聖と呼ばれた女性は、面をずらしながら飛びついてきた鴻鎖を抱きとめて、にっこりと笑った。
「どうしたのですか?」
「え?えーっと・・・」
問われ、少々言いよどんだ鴻鎖に、聖は首をかしげる。
「何も用はないんだけどね、・・・誰かとはなしたかったからさっ!」
にこにこと笑みを浮かべて、鴻鎖は言った。
聖はその笑みに頬をほころばせ、「そうですか」と嬉しそうにうなずいた。
「どうしましょう?
「うん!じゃあ、菊白は僕が連れてくるから、後で聖さんの部屋いくね!」
「ええ、待ってますね」
鴻鎖は聖から一歩離れ、そう言って来た道を走っていった。
手を振って鴻鎖を見送る聖は、活発な彼をほほえましいというような視線を向けていた。
「・・・さて、私は私の部屋でお菓子でも用意して待ってますかね」
クスリと笑みをこぼした聖。
彼女もまた、彼とは違う方向へと歩いていくのだった。
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鴻鎖は、にっこりと笑みながら、彼女の部屋に入っていった。
質素な部屋。そもそも、あまりかわいいものに感情をあらわにした覚えもない妹の姿を鴻鎖は確認する。
何か、読み物をしているようだ。体勢は変わらず、視線も同じ場所に注がれている。
鴻鎖が入ってきているという事実にも気づいていないのでは?と思ってしまうほどだ。
読書に夢中な様子の妹、菊白に声をかけた。
「菊白~!生きてる~?」
「・・・兄ちゃん、何か用?」
「おっと、矛を構えないでおくれよ」
後ろから飛びついた鴻鎖を見やった少女―――菊白は、どこから取り出したのか、その矛を彼の首元に突き付けようとした。
ほんの数秒の出来事だ。
鴻鎖は矛をつかんで切っ先をそらし、菊白に苦笑して見せた。
「兄ちゃんがうざいからいけない」
「ねえ、僕まだ何もしてないよ?」
「今さっきの兄ちゃんの行動を振り返ってみるといいよ」
ふいと矛をしまい、視線を外した菊白は読書へ戻った。
なんとなく面白くない鴻鎖は「もう、用があってきたのに」とこぼす。
すると、それを聞いていたのか菊白は溜息をついて読んでいた物をそばに置く。
「用があるのなら早く言えばいいのに」
「用があるから菊白を呼んだんだよ?真っ先に矛を向けた君のせい」
「・・・兄ちゃんが悪い」
「ああもう、キリがないなぁ」
菊白が鴻鎖のほうを向くと、鴻鎖は用件を話すことにした。
「えっとね、これから聖さんとお話しよか~って話になってね。菊白もどうかなって」
「・・・聖さんと?」
「うん」
確認するように問うと、鴻鎖は笑みを浮かべたままうなずいてみせる。
菊白はそれを見て「わかった」と答える。
「よしっ!それじゃあ行こうか!」
「ただし、兄ちゃんのせいで面白くない話になったら貼り付けにする」
「あっれ?妹に異様なプレッシャーっぽいのをかけられてる気がするなぁ・・・」
「きのせい」
「そっか」
「いいから行こう」とせかす菊白の手を掴み、鴻鎖は「そうだね」と返す。
二人は同時に歩きだし、部屋から出た。
先ほど鴻鎖が爆走していた廊下を、二人してゆっくり歩く。
共に生きると決めたのは、二人なのだから、と。
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「聖、少しいいですか?」
そう問うた扉の向こうの声。
聖はそれに冷静に答える。
「ええ、いいですよ」
「・・・それじゃあ、失礼します」
扉を開けて入ってきたのは、寅丸星。
しばらくの間、彼女の従者であるナズーリンと「用事がある」と寺を離れていた星は、どこか安心したような表情で聖の前に腰を下ろす。
「用事は済んだの?」
「ええ、まあ。それにしても、本当に安心しましたよ」
「彼らのこと?」
「そうです。無事に、幸せそうに暮らしてて、見てて私もほっとします」
「あ、そうだ、星」
聖が思い立ったように星に声をかける。
苦笑していた星が、「はい?」と応じるのを聞いて、聖は質問を投げかけた。
「これから、彼らと話すのだけれど、一緒する?」
「よろしいのか?」
「もちろん。彼らもそこまで心が狭い鬼たちではないと思うし、大丈夫」
「・・・でしたら、お言葉に甘えて」
嬉しそうに顔をほころばせた星に、聖も笑みをこぼす。
そこに、タンッと音を立てて、噂の二人が入ってきた。
「聖さん、菊白連れてきたよ~っと、しょーちゃん!帰ってきてたんだ!」
うきうきとした表情をした鴻鎖が、星の姿を視認して一層表情を輝かせる。
星はそんな鴻鎖を見て「やあ」とあいさつをしながらまた笑む。
「星ちゃん、おかえり」
「しょーちゃんも話そうよ!せっかくだしさ!」
「・・・あはは、じゃあそうさせてもらおうかな」
「それじゃあ、皆さんでお話しながら、お茶菓子でもつまみましょうか」
聖の言葉に、皆はうなずいて一拍の間。
鴻鎖が話題を上げ、時折菊白が毒を吐くようにつぶやく。
星と聖はそれを見て微笑み、また話題が切り替わって――――。
楽し気な男女の声は、しばらく途切れることはなかった。
こう言った感じのお話を投稿していきます。
ほのぼのが思い浮かばないことがあるので、そこらへんはよく考えて描かせていただきます。
では!