やはり敵側のライダーは人気が出やすいのか?
高速道路に二筋の光が走る!!
一つは太陽の様に白いマシン!!もう一つは夜闇の様に黒いマシン!!
130、150、180……2台のマシンは法定時速を超え、尚も加速する!!
「はぁ!!」
「たぁ!!」
大剣が空を引き裂き、騎乗槍が影を突く!!
一瞬のつばぜり合いに後、2台のバイクが離れる!!
「くっそ!!!何だあのルナイザーっての!!他のエラーの比じゃない!!」
「当たり前だ!!ギジョアのバイク、ディヴィノックの肉体強化、ビスゴーラの野生のセンス!!単純計算で3倍くらいの実力のハズさ!!」
ここでキュピルスは3倍と言ったが、本人が知らないジョーカーの『騎手のテクニック』も加わっている事で、ルナイザーは4倍近くの能力を持っていた!!
「情報収集――不満と断定。どうしたぁ!!てめぇらの実力はこんなモンじゃないだろ!!もっと!もっと!!俺を楽しませろ!!『コール・ランス・エナジー』!!」
騎乗槍に黄色いエネルギーが纏わりつき、パンドラに向けて突きをする!!
「うわぁあああ!?」
攻撃と同時に、バイクの地面付近に被弾し激しく回転しながらスピンした!!
「攻撃、速度、反応――想定内。検出結果――不満。チィ!くっだらねー、もっと骨の有る奴だと思ったのによ……」
ルナイザーはその言葉の様に不満気に、マシンのアクセルをふかす。
『コングラチュレーション!!ダブルクリア!!ブレードスタイル!!ローディング!!』
「あ”?」
後方からファンファーレが響き、何かが後ろから高速で近づいてくる!!
それは自らを青く染めた、パンドラの姿!!
青い残光を残し高速で大剣を振りあげる!!
「行くぞキュピルス!!」
「おう!!ぶった切れ!!パンドラ!!」
「了解!!」
『コネクション!!シール・ブレイク!!ブレード・ストライク!!』
ベルトから青い光が胸へ、光は胸から両腕へ、最後に大剣に吸収される!!
「危険度予測――最高レベル。おもしれぇ!!やってみやがれ!!」
ルナイザーは騎乗槍の根元を引き、刀の機構部分を捻り再び押し込む!!
『コーリング・ランス・クラッシャー』!!
ルナイザーの槍に黒いオーラが纏わりつきドリルの様に回転を始める!!
「叩き斬ってやるううううう!!」
「風穴開けてやらあああああ!!」
青い大剣と黒い騎乗槍が正面からぶつかり合う!!
「パンドラァ!!」
「ルナイザァ!!」
両者一歩も引かないつば競り合い!!
その時!!小さく響くのは得物にヒビが入る音!!
お互い相手の武器を見る!!
先にヒビが入ったのはパンドラのブレード!!
だが一瞬遅れルナイザーのランスの先端が砕ける!!
僅か!!僅か一瞬の差!!
「貰ったぞ!!パンドラァ!!」
ルナイザーが、尚も折れた騎乗槍を押し込む!!
ドンドンお互いの武器が破損する!!
「まだだ、まだ終わらない!!」
その言葉と同時にパンドラのブレードが砕け散る!!
「勝った!!」
ルナイザーが勝利を確信した瞬間、パンドラは体を
その行動にルナイザーの脳が一瞬混乱する。
このタイミング、この場所で敵に背を見せるのは明らかな利敵行為!!
『なぜ?』が頭の中を巡る!!
「はぁああああ!!」
回転しスピードを付けたパンドラ!!その手には細身の剣が握られた居た!!
パンドラのブレードは、ブレードスタイルの時のみ剣を二つの双剣モードに出来る!!
光一は剣をあえて途中で分離させ、双剣を一本だけ残した!!
青い光を湛えた剣が、ルナイザーを横なぐべく軌道を描く!!
「――舐めるな!!」
ルナイザーがバイクのアクセルを踏む!!
後輪が回転し、前方の黒羊が馬の様に前足を上げ嘶く!!
目指すはパンドラのブレード!!
「なにぃ!?」
羊の歯がブレードを噛みしめ止める!!
「フン!!」
気を取られた瞬間!!折れた騎乗槍でルナイザーがパンドラを殴り飛ばす!!
「感情検出――驚愕。今のは驚いたぜ、まさかそんな捨身かけて来るなんてな……正直舐めてたぜ?」
ルナイザーが刀を再び僅かに鞘から抜き、捻った後再び差し込む。
その行動により、騎乗槍は煙の様に消え元の日本刀に鞘に戻る。
「はぁ、はぁ……くそ、やっぱり強い……」
ボロボロになりながらパンドラが立ち上がる。
「敵意検出――戦闘続行可。まだやれんだよな?来いよ、俺を破壊してみろ!!」
その場で走りパンドラに蹴りを叩き込む!!
「まだまだぁ!!俺には……俺達には負けられない理由が有る!!」
パンドラも立ち上がり、ルナイザーの顔面に拳を叩き込む!!
「らぁあああ!!!」
「だらあああ!!!」
パンドラ、ルナイザーの両人が激しく高速道路の真ん中で殴り合う!!
「はぁ!!」
「たぁ!!」
お互いが拳で吹き飛び、バイクに当たる。
「最後の武器だな……」
「ああ、これで決着をつけてやる!!」
パンドラ、ルナイザーの両人がバイクに飛び乗り、お互い逆方向に進む!!
加速、加速!!更に加速!!!
「キュピルス覚悟は良いか?」
「御免こうむる……って言いたいけどそうも言ってられないか……」
「行くぞ!!」「おう!!」
パンドラがUターンしルナイザーの方に向かう!!
「脅威を検出――非常に危険な状態。……ちぃ、そろそろか……だが!!勝ってくる!!」
ルナイザーもUターンをし、パンドラに向かう!!
お互いが加速し、お互いを破壊しようとする!!
風を感じ、目の前に敵の姿を見る!!
両人がほぼ同時にバイクから飛び降りる!!
「ライダー!!!!!!」
「クラッシャー!!!!」
「「キイィィッィィク!!」」
お互いの靴底がぶつかり合う!!
武器ではない!!お互いの身体を利用した最後の攻撃!!
「まだまだまだ行けるよな!!」
「ああ!!コイツをぶっ倒す!!」
「破壊だ!!破壊する!!」
白と黒のエネルギーがお互いを食らいあう!!
白が黒を染め、黒が白を飲み込む!!
凄まじいエネルギーのぶつかり合い!!
2人を中心に、爆発が起きる!!
五月蠅かった高速道路は、静かな空間となった。
倒れ伏す、2人の戦士たち。
片方が、僅かに指を動かし立ち上がる!!
「宣誓――勝利。俺の勝ちだ……俺の!!俺の勝ちだ!!」
立ち上がったのはルナイザー!!
地面に倒れ伏すパンドラを見下ろす!!
勝利を確信した瞬間ゆっくりと、その場で崩れ落ちる!!
「くぅ……もう、時間切れ……か……」
ルナイザーの指先が、黒い粒子となった砕けていく。
「何が……起きてる?」
意識を取り戻したパンドラが目の前の状況を見る。
「時間切れさ……アイツは『壊造エラー』複数のエラーを融合させて作る不安定なエラーだ……」
キュピルスがゆっくりと話し出す。
「壊造……?なんでそんな事を!!」
壊れゆく目の前の戦士を、見ながらパンドラが慄く。
「疑問発生。何故そんな悲痛な顔をする……?俺はお前に勝った……それで、十分だ!!俺に明日は無い!!明日が無いなら今日を生きる!!俺は!!俺は今日という日を生き切った!!……俺はもう、無意味に消えてゆくだけの存在じゃない!!」
ずり、ずりと音を立てルナイザーが立ち上がる。
武器は無い、体はボロボロ、そして明日の訪れと共に消える戦士はパンドラの目の前に立ちふさがる!!
「やめろ……それ以上したら!!」
「関係ない……お前の破壊が俺の使命!!」
ルナイザーが拳を握り、パンドラに迫る!!
だが足が消滅し、その場で倒れる!!
しかし尚も意志は揺るぎはしない!!
「我等、エラーに栄光……あれ……」
「もういい……十分戦った!!なんで!なんで自分を犠牲にしてまで!!アンタは!!」
「これが、戦士の……いや、俺の生きざまだ!!」
ボロボロになりながら、パンドラの目に前にやってくる。
傷だらけの身体で必死に立とうとする。
明日を失い、ただ戦う事のみに生きる悲しき戦士。
「もういい……もう、良いだろ!!」
パンドラがキュピルスを引き抜き、赤の面を揃える!!
『コネクション!!シール・ブレイク!!シューター・ローディング!!』
手に現れるのは赤いオートマチック拳銃。
悲痛な叫びと共に引き金が引かれた!!
「ダメージ多大、戦闘続行――不可。……ちぃ……やられちまった……すまな……」
最後に仰向きに倒れ空を見上げるルナイザー。
「月が……出てる……風が……気持ちいいなぁ……こんな世界が……あったの……か……」
月を目指したのか、風を掴もうとしたのか……
ルナイザーはそのまま動かなくなった。
「倒したのか……?」
「よくやったよ……悲しい奴さ。けど僕も――」
「お前も一緒だってか?」
「!!――がはぁ!?」
横から言葉が掛けられると共に、パンドラが蹴り飛ばされる!!
パンドラの視界の向こうにはタンクトップにオレンジのコートを纏った筋肉質なワイルドな風貌の男が立っていた。
「ビスゴーラ……来ていたのか……」
変身が解除され、キュピルスが地面を転がる。
「ルナイザー……良くやってくれた……」
キュピルスを無視し、ルナイザーの遺体を手にすると同時にルナイザーは光の粒になりビスゴーラに吸収された。
そして地面に転がるキュピルスを見下ろす。
「お前以来2人目の壊造エラーだな……もっともお前は裏切りモノだったよな!!」
キュピルスを蹴飛ばす!!
転がり光一の近くに落ちる。
「俺、ギジョア、ディヴィノック……3人のクレアシオンを奪って、自分だけ『クラッシュ』に成長する気だったんだよな!!50年……俺達は50年お前に奪われたクレアシオンを補給するために、あの場所にとどまった!!どうだ!!俺達を追いやってまで、やってきたこの世界は楽しかったか!?裏切りモノが!!破壊してやる……破片も残らない位に破壊してやる!!」
そう言った瞬間ビスゴーラの姿が変化する。
筋肉質な姿はそのままに、体にたてがみ、牙、爪が生えそろう。
ビスゴーラの真の姿、その名もライオンエラーだ。
腕をキュピルスに振り下ろす、瞬間!!
ライオンエラーが何者かに狙撃される!!
「な、なんだ!?」
時間は少しだけ遡る。
高級車の中のテレビで、霊山時がドローンから送られた来たパンドラとルナイザーの戦闘の映像を見ていた。
「ふぅむ……素晴らしい!!やはり複数の属性を複合したエラーは非常に優秀だ。問題点は結合の脆さか……まぁいい、成功作がしっかりいるんだ……私の失った腕を再生させる日も近いな」
そう言った自身の右手の袖をめくる。
そこには上手く作られているが、プラスチックの感触が有る人工の右手だった。
「さて、仕掛けて来るなら……ここだ、一応保険はかけて置こう」
そう言って、車載電話を取り慣れた手つきでプッシュする。
「やぁ、
『了解で~す!!ライダー入りま~す!!』
それと同時にバイクの音が向こうから聞こえてくる。
「なんだお前?」
ライオンエラーが目の前の男を睨む。
男はXのデザインがされた銃身の平たい、銀と黒のカラーリングがされた銃を手にしていた。
「アンタはこの前の……」
男の顔に気が付いた光一が話す。
確かこの男は、数日前ペイントエラー戦に偶然会った男だった。
「よう、仮面ライダー君。この前ぶり!俺は
そう言ってフレンドリーに話しかける。
「まぁいい!!お前もクレアシオンに変換して――」
「それはこっちのセリフなんだな~こ・れ・が・有るからね!!」
ビスゴーラが突進する時、古矢の腰にベルトが現れる!!
「じゃ、お仕事始ますかぁ!!……変身っと」
そう言って、手に持ったリボルバーの弾倉をずらす。
『シプラスボルバー!!スタンバーイ?オーケイ?』
「さぁ、行ってみましょうか!!」
その言葉と同時にベルトのバックルにナナメにリボルバーの銃口を突っ込む!!
そしてその中で引き金を引く!!
『イェース!!レツゴー!!シプラス!!』
その言葉と共に古矢の身体にアーマーが形成される。
銀色のアーマーに胸を引き裂くようなクリアなXが刻まれる。
Xは両手の手の甲、更には足の裏にまでデザインされる。
「さぁて……ハンティングの時間だ!!」
シプラスとなった古矢はバックルからシプラスボルバーを引き抜き、楽しそうに笑った。
シプラス。
名前の由来はエックスとプラス。
銃撃戦をメインに絞った、遠距離型のライダー。
昼重ではなく、マジェスティック・シャドウの社長が独自に作り上げたパンドラシステム第二弾のライダー。
銃身のXは変身時に斜めに挿入する事で半回転し、+マークに成る。
そのためX+。
実はこれにもパンドラと同じく、もう一つ名前の由来が有るがコレはそのうち作中で紹介したい。