まさかのグンダリ無駄使いオジサンが……
「はぁい、キーちゃんおまたせ。遠慮しないでいーっぱい食べてね?」
光一の母親が椅子に座る子供の前に出来たてのホットケーキを置く。
「イ……イタダキ……マス……」
そうするとその子供は、恐る恐ると言った表情でホットケーキを口に含んだ。
目を見開き、2口3口と食べ進める。
「どうかしら?久しぶりに作ったから、少し心配なんだけど……」
「おい……しいで……す……」
「そう?うれしいわー!!最近、光ちゃん何も言ってくれないのよぉ~」
光一の母親が少年をうれしそうに抱きしめる。
一見すると平和な平和な光景、事前の情報が無ければ親子にも見えたかもしれない、しかしこの少年は間違いなく……
「なぁ、キュピルス。アイツ本当にエラーなのか?どう見ても人間の子供にしか見えないぞ?」
光一がリビングで新聞に目を通すフリをしながら、キッチンの少年を観察する。
その疑問に答えるのは言うまでも無くキュピルスだ。
「姿に騙されるな!!クレアシオンさえ有れば姿なんてどうにでも成る!!問題はアイツが何の目的で此処に居るかだよ」
「俺達の居場所がバレたって可能性は?」
「そんなら幹部全員で僕たちを壊しに来るはずだ、それにわざわざ人間の姿なんて取りはしないよ」
ひそひそと二人で話し合う。
そんな時食事が終わったのか、扇風機エラーが立ち上がる。
「キー君?食べ終わったらごちそう様でしょ?」
「……ご……ごちそう……さ…ま……」
「そうね、良い子良い子」
扇風機エラーの頭を光一の母親がなでる。
「……にしても……お前の母親エラーを家に居れるなんて何考えてるんだ?」
「かぁさんは昔からドッカ抜けてるんだよ……ってか扇風機エラーを千風 キエラって……流石にボケすぎな気もする……」
キュピルスの問いに対し光一も呆れ気味に答える。
何処か抜けていると思ったが、ここまでとは光一自身も思った居なかったのだ。
「光ちゃん。ママ、夕飯のお買いもの行ってくるからキーちゃんの事よろしくね?」
それだけ言うと母親は手早く準備を済ませて、買い出しに出かけて行ってしまった。
「さぁて……少しばかり質問の時間だな?」
「油断するなよ?相手はどんな見た目でもエラーだ、何時でも倒せる準備をしておけ?」
その言葉通り、光一はパラドクスドライバーを巻き、キュピルスを構えつつ扇風機エラーに向かって行く。
「よう、エラーが何の様なんだ?」
テレビをぼんやりと見るエラーに光一が話す。
その瞬間ビクリと扇風機エラーが反応する。
「正体は分かってるんだ、お前の僕を破壊しに来たな?」
キュピルスまでもが扇風機エラーを追及する。
「!?……僕……目的……無い……いつの間にか……こっちに居た……」
おろおろと不安げに光一を見る。
その瞳には今までのエラーとは違い、闘志は無くこちらに対する怯えだけが強く有った。
「扇風機エラーか、タイプ的にギジョアのエラーだな……さっさと破壊するに越した事は無い、光一!!ここじゃ被害が大きい、適当な場所に移動するぞ!!」
「近く河原が有った、そこなら大丈夫だろう……おい!!扇風機エラー!!一緒に来て貰うぞ!!」
そう言うと同時に光一が扇風機エラーの腕を掴み、引きずり始める。
「や……やだ!!ぼ……ぼく此処に……居たい!!」
「五月蠅い!!僕たちエラーに居場所なんてないんだ!!さっさとしろ!!」
珍しくキュピルスが声を荒げる!!
その言葉が胸にしみたのか、扇風機エラーが抵抗しなくなりゆっくり歩き始める。
「光一……たぶんコイツは『はぐれエラー』だ。この前の
「ってことは敵じゃないって事か?」
「甘いよ、甘すぎる。幾ら命令を受けていないからってコイツもしっかりしたエラーだ、成長すればクラッシュに進化するよ?今のうちに破壊するしかないんだ」
光一の疑問をキュピルスがバッサリ否定する。
幾ら無害そうに見えてもこいつもエラー、敵には違いないのだ。
河がゆっくりと流れて行く。
夕焼けによって辺りは赤く染まっている。
「ここ等辺でいいか……変身!!」
『コネクション!!シール・ブレイク!!パンドラシステム・スターティング!!』
パラドクスドライバーにキュピルスを押し込むと同時に、もはや聞きなれて電子音が流れる。
光一の姿が白いスーツの包まれ胸に3×3のブロックの表面の様なアーマーが形成される!!
「ひ!?……い……いやだ……壊さない……で……!!」
『コネクション!!シール・ブレイク!!ブレード・ローディング!!』
青の面を完成させると同時にパンドラの手に青い大剣が出現する。
「いやだ……消えたく……ない……」
尻餅をつき、扇風機エラーが後退する。
「悪いな……理折の仇を生き残らせる訳にはいかない!!」
『コネクション!!シール・ブレイク!!ブレード・ストライク!!』
キュピルスを引く抜き、再びベルトに押し込む!!
ベルトから胸へ白い光が集まり、次に腕、最後に両手で持つ大剣に吸い込まれていく!!
「やぁああああ!!!」
「いやだ、いやだぁあああ!!」
容赦なくパンドラが扇風機エラーにブレードを振り下ろす!!
ブレードが命中する瞬間、扇風機エラーは本来の姿に変わる!!
両腕の2枚のプラスチック製のフィン、胸に衣服のボタンの様に現れるスイッチ。
背中の鳥かごの様な格子。
怪人としての本来の姿だ。
扇風機エラーがその両手のフィンでパンドラのブレードを受け止めようとする!!
しかし威力の差から、ブレードに当たると同時にフィンが破損し後ろに向かって転がる!!
「パンドラ!!追撃だ!!コイツを破壊しろ!!」
「……ああ、そうだな!!」
再びブレードを構え、倒れる扇風機エラーに対峙する。
「これで終わりだ!!」
「ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……」
再びキュピルスをベルトに押し込み、ブレードを構える。
同じく扇風機エラーも腕をクロスさせて守ろうとするが、もうフィンは無い!!
守る物が無く容赦なく扇風機エラーは破壊される!!
ハズだった。
「おい、パンドラ……なんで壊さないんだ?」
ブレードは扇風機エラーの寸前で止まっていた。
キュピルスが不満そうに声を上げる。
「……コイツはこんなに成っても反撃してこないんだ……きっと本気で戦う気なんてないいんだよ、ならコイツは敵じゃない、敵じゃないなら戦わなくていいはずだ」
そう言うと剣を扇風機エラーの前からどける。
「悪かったな、攻撃して……大丈夫か?」
剣を捨て、戦うための手をエラーに差し出した。
「ダイ……ジョ……ウ……ブ……」
「甘い、甘すぎる!!コイツもエラーなんだぞ!?敵だ!!僕たちの敵のハズだ!!」
キュピルスが喚き始める!!
何時もと違い非常に子供っぽい感じのする言葉だった。
「違う!!違うぞキュピルス!!お前だってエラーなんだろ?けど、この世界にあこがれてんだろ!?コイツも一緒だ!!『此処に居たい』って言ったんじゃないか!!なら、居させてやればいいじゃないか!!エラーとだって和解できるハズ――」
「なんてないんだよねーっと!!」
横から言葉が聞こえると同時に、パンドラの周囲に複数の雷撃が走る!!
「うわぁあああ!?」
雷に打ち据えられ、扇風機エラーが倒れる。
何が有ったのかと思い、攻撃の来た方向を見るとシプラスがシプラスボルバーを構えて立っていた。
「シプラス……なにをするんだ!!」
「何をって?それはむしろこっちのセリフだよ、アンタ仮面ライダーだろ?何敵見逃してんの?
敵は、見つけ次第処分!!それが正義の味方でしょ?」
そう言った、リボルバーを指先でくるくると回す。
「違う!!コイツは……
「知るかよ!!いいかい?こいつ等は世界同士の矛盾から生まれた存在、エラー!!どの世界にもどの次元にも、居ていい場所なんてないんだよ!!
仮にこいつ等が居ていい場所が有るなら、この世界を侵略した後だ!!」
「なんでだ!!和解できるはずだ!!キュピルスだって、今は人間の味方だろ!?」
シプラスに言葉に咄嗟にパンドラが反論する!!
「五月蠅いんだよ!!いいかい?君と社長はそう言ってるかもしれないよ?けど俺はエラーなんて認めない、最後の一匹まで狩尽くすだけだ!!それがヒーローだろ?それが仮面ライダーだろ?」
「……違う……違う!!絶対に違う!!ライダーは……仮面ライダーは正義の味方だ!!正義の味方はこんな事しない……無抵抗の奴を撃ったりしない!!お前はライダーじゃない!!ライダーは戦闘マシンじゃない!!!」
パンドラは近くに捨てた、ブレードを拾い上げるとシプラスに切り掛かった!!
「うを!?何すんだよ!!……はぁ……これだからヒーローごっこのガキは嫌いなんだよ……いい加減夢から覚めたらどうだい?」
シプラスはリボルバーでブレードを受け止める!!
「夢を見て何が悪い!!アンタは諦めたんだろ?エラーの和解なんて出来っこないってあきらめたんだろ!?なら黙ってろよ!!俺が、俺がアンタに出来なかった事をやってのけてやるさ!!ヒーローが居ないなら……俺がヒーローに!!弱い奴らを守る、人の願いを守る戦士!!仮面ライダーに成る!!アンタみたいな見てくれだけニセモノとは違う!!」
パンドラが剣をズラし、シプラスを叩き伏せる!!
2、3歩ほど後ろにシプラスが後退する。
「……へぇ……『ヒーローに成る』ね……やってみなよ……そのクズを守ってみなよ!!」
その言葉と同時に、シプラスが弾倉を指ではじく!!
『ホワット・チョイス?』
『オーケイ!!オーダー!!サンダー!!シビレル・ハジケル・バチバチ・サンダー!!』
「ほら、まもってみなよ!!」
シプラスの黒いXが黄色に染まる。
そう言ってベルトから、シプラスボルバーを引き抜きトリガーを引く!!
その瞬間、黄色いエネルギー弾が発射される!!
「コレ、拡散するからね?」
シプラスがそう言うと同時に、エネルギー弾が複数の雷の様に解れ倒れるキエラに降り注ぐ!!
「させるかよぉ!!」
「コングラッチュレーション!!ダブルクリア!!バトルマッシャー・ローディング!!」
あらかじめ予測していたのか、パンドラの姿が緑に染まり、四輪の戦車が現れキエラを抱き上げる!!
庇うように、空に上昇していく。
「無駄だっての!!」
『オーケイ!!オーダー!!エアロ!!フクヨー・トブヨー・ビュンビュン・エアロ!!』
今度はシプラスのXが緑に染まり、空に向けて半透明に光弾が打ち出される!!
空中でカーブを描き、執拗にキエラを狙う!!
「お前!!なんでそんなにキエラを狙う!?」
「家族ごっこか?忙しい奴だね?エラーを倒すのが俺の仕事なだけさ!!それ以外理由なんてないね!!」
再度弾を入れようとする、シプラスから銃を叩き落とす!!
「お前が……キエラを倒すってなら俺が相手してやる!!」
シプラスの目の前にブレードを突きつける!!
その様子を見てシプラスはふっと笑った。
「何マジに成ってるの?……もういいや、好きにしなよ?エラーとの共存?やってみなよ、出来るんならさ」
そう言うと、シプラスは変身を解いてバイクにまたがる。
「……共存?……出来る訳ないのに……馬鹿だねぇ、ま、それが若さかな……」
振り返らず、そのまま何処かへ走り去った。
「……勝ったのか?」
「さぁね……経過を見ようって事なんじゃないか?なんにせよ、良かったな」
「ああ、そうだな……キエラー!!昼重さんの所で――」
バギン!!
何かが破損する音がして、地面にバトルマッシャーが叩きつけられる!!
「何が……有ったんだ?」
ごそごそと壊れたバトルマッシャーから人影が現れる。
「キエラ?キエラ無事か!?」
パンドラが近寄ろうとし、影があまりに大きい事に気が付く。
「よう!!パンドラァ……機嫌はどうだい?」
破壊されたマシンから、ゆっくり姿を現したのは……
「ビスゴーラ!!やっぱり生きていたか!!」
幹部エラーの一人、ビスゴーラだった。
その手にはキエラを掴んでいた。
「運が良いぜぇ……クレアシオンが不足している時にエラーに会えるなんてよ!!オイ!!ちびすけ!!お前のクレアシオンを貰うぞ!!」
「……は……はい……ビス……ゴーラ……様……」
「やめろ!!キエラ!!お前は、お前は此処に居ていいん――」
グサリ!!
呆気ない音がしてキエラの腹にビスゴーラの腕が突き刺さる。
「バイ……バ……イ…ライ……ダー……」
キエラはクレアシオンに変換されビスゴーラに吸収された。
「来たぜ……来たぜー!!俺様の最後の意地見せてやるよ!!」
ビスゴーラの姿がライオンエラーに変化す、更に……
「ルナイザー、扇風機エラー!!出番だ!!」
その掛け声と共に更に体が変化する。
右肩から黒い羊の姿が、両腕にはプラスチック風のフィンがそれぞれ現れる!!
「どうよ!!キメラエラー+アルファってトコだな!!」
「キュピルスぅ!!やるぞ!!アイツを……アイツだけは絶対にぶっ潰す!!」
ブレードを手にパンドラはビスゴーラに跳びかかった!!
Q仲間に成る怪人って、なんですぐ死んでまうの?
A脚本家のせいです、つまり私のせいだ!!
どことなくですが、主人公の成長に必要な気がするんですよね。