すいません、その分文字数はいつもより多い!!
はず……
「さぁて、反応のデカいエラーが2匹か……臨時ボーナスでるかなっと!!」
シプラスが素早く自身のベルトのバックルから、シプラスボルバーを引き抜きジョーカー、イーターに向かって炎の纏った弾丸を発射する!!
「イーター」
「了解だ、養分吸収!!」
ジョーカーの言葉にその場でイーターが一歩前に出る。
腹に巻かれたピンクの管がグニャリと動きだし、蛇の様に口を開ける。
すぅううっと何かを吸う様な音がして、シプラスの弾丸が吸収される!!
「んだと!?そんなんアリか!!」
マスクの下で龍研が驚愕に目を開く。
「ハッハァ!!こんなもんじゃねーんだよ!!喰らえ!強酸性アシッド!!」
今度はイーターエラーが右手の穴の開いた指をシプラスに向ける。
それと同時に黄色がかった、粘液が周囲に巻き散らされる!!
地面に落ちた時、いやな音と異臭が鼻と耳を突く!!
「うえ、気持ち悪い事しやがって!!」
シプラスが顔を顰め、距離を取りリボルバーでけん制する。
しかしその攻撃も再び、吸収されてしまう!!
「イーター、キミはキミの仕事をお願い。
僕はもう少し遊んでいくからさ!」
「了解!好きなだけ暴れさせてもらいます!!」
その場でバトンタッチと言わんばかりに、ジョーカーがシプラスの前に立ちふさがる。
「さてさてさてさてさてさて、お初にお目にかかります。僕は『ジョーカー』キミ達ライダーの天敵さ、今後僕を見た時は……」
「死ねや!!」
おどけて自己紹介を始めるジョーカーをシプラスは容赦なく攻撃する!!
煙が晴れるとそこには無傷のジョーカーが変わらずおどけて踊っていた。
「やだやだやだやだやだやだね、自己紹介位させてほしいんだけどねぇ?」
「知らないっての、俺実はエラーってのが大嫌いなんだよ!なーんか、気に食わないんだよ!!」
その言葉と同時にシプラスが弾倉を指ではじく!
『シプラスボルバー!!ホワット・チョイス?』
「本日のご注文はコッチ!」
目指すべきところに弾倉を回転させ、ベルトに差し込みその中で再びリボルバーの引き金を引く!!
『オーケイ!!オーダー!!サンダー!!シビレル・ハジケル・バチバチ・サンダー!!』
電子音と共にシプラスの胸の顔、更に手足の黒いXが黄色く染まる!!
今回のシプラスは射撃ではなく、自身のベルトに差し込む事で全身に電気のエナジーを纏ったのだ!!
「喰らって行きなぁ!!」
シプラスがジョーカーに向かって走り出す!
腕足共に帯電し、僅かに電気が走る!!
「うわわわわわわわ!?こんな事できるんだー!なら、こっちも……切り札は常に僕の所に来るんだよね!!」
その言葉と共にジョーカーの右手にライオンのパペットが現れる!
中に手を入れて遊ぶ子供のオモチャだ。
「しゃああああ!!」
シプラスの電気を纏って拳とジョーカーのパペットを纏った拳がぶつかる!!
「なに!?」
驚愕の声を上げたのはシプラスだった。
自身の拳がライオンのパペットに噛み砕かれたのだ!!
「へへへー、どうだい?ビスゴーラの残骸から作ったこのパペット!あのバカは死体に成ってからが役に立つんだよねー!!」
そう話すとジョーカーがトランプをシプラスの投げつける!!
胸に刺さったトランプは激しく爆発しシプラスを吹き飛ばす!!
「ぐはぁ……こんな……奴に……」
シプラスボルバーが地面に落ち、古矢の変身が強制的に解除される。
地面に転がる古矢のもとにジョーカーが降り立つ。
「へへ~ん、どうだい?大嫌いなエラーにやられるのは?無様だねぇ?無力だねぇ?ガオー」
目の前で踊りながら手のパペットをパクパクと動かす。
そしてパペットを振りかぶる!!
「…………やーめた、つまんないし」
ジョーカーが興味を失った様に、その手を下ろす。
そのまま、退屈そうに空間に穴をあけてその中に消えていったのだった。
「くそが……俺に情けを掛けやがった!!」
ドンとその場で拳を地面に叩きつける!!
その手には血がにじんでいた。
「負ける訳にはいかないよな……アイツらに、アイツらに会せる顔が無くなっちまう!」
自らを鼓舞し、地面に落ちたシプラスボルバーを手に取る。
その顔に迷いは無く、先の敗北など全く気にしていない様だった。
メンタルの強さ、それこそが古矢の力の一端である!!
近くに停めてあった自身のバイクに飛び乗り再び孤児院へと向かって行く!!
「ぐはぁ!?強い……半端じゃないな!!」
大剣を杖の様につきながら、パンドラが目の前の消化器官エラーを睨む。
周囲には例の液体が散らばり、街中の一部がドロドロと溶けている。
「コイツはディヴィノックのエラーだ、たぶん胃袋と小腸か何かを混ぜた壊造エラーだ!!」
「なるほど……同じ属性で作ればここまで……!!」
ブレードで切り掛かるが、ブニョブニョしたボディに傷をつける事が出来ない!!
さっきからこの繰り返しだった。
シューターを使えば吸収され、ブレードは無効かされる。
「ムシャシャシャシャ!!ここまでだぜぇ?ライダー、そろそろショータイムだ!!」
しゅるしゅるとイーターの右手の指が伸びパンドラに絡み付く!!
「は、はなせぇ!!」
「言ったろ?ショータイムだってな!!」
そのまま、近くの建物の壁に押し付けられる!!
ゴキゴキと壁にひびが入る音が聞こえだす。
更に絶賛消化液が滴る為、アーマーにダメージが入っていく!!
「終わりだ!!」
その言葉と共にイーターが口から消化液を吐き壁を溶かす。
「うわああぁあぁぁああ!!」
一部が溶け、ゆるくなった壁の破片を巻き込みつつ建物がパンドラを押しつぶした!!
廃墟となった家を満足げにイーターが眺める。
「溶かすの楽しいな、もっと溶かそうか?」
振り返るとそこには衛留の居る孤児院だった。
壁際で、衛留が震えながらパンドラの戦闘を見ていた。
「く、くるな!!怪物なんて怖く無いぞ!!怖く無いんだ!!」
「そうかぁ!?」
しゅっと音がして衛留の首にイーターの小腸が巻き付く!!
子供一人の体重だ、簡単に持ち上げられイーターの眼前まで連れて来られる。
「お、俺は、あの家じゃ一番の兄ちゃんだ!!俺が、みんなを――」
「『守る』ってか?聞き飽きたんだよ……お前らは何時も同じことを言うんだな?」
「何を――イギャァ!?」
衛留が自身の頬を押さえる!!
一瞬遅れてジュウっと何かが溶ける音がする。
衛留の顔の上でイーターの指先から消化液が滴っていた。
それが一滴、少年の顔に垂れたのだ。
「なあ、お前数は数えられるか?今のは限界まで威力を落とした俺の攻撃だ、本気に成ればお前らなんて簡単に殺せるんだよ。
弱者は、何も守れない!!自身の弱さを呪いながら死ね!!」
そう言って再び右手を衛留の顔の近くに寄せる!!
「そいつが弱いって?冗談だろ?」
気ままな声が響き衛留を縛る小腸が吹き飛ぶ!!
衛留が地面に落ちる。
「生きていたのか?」
イーターが向き直る。
そこには銀色のスーツを纏った戦士が立っていた。
右手の銃からは煙が立ち上っている。
「ライダーは死なないんだぜ?コレ常識」
そう言いながら右手の銃をくるくるとその場でまわす。
そのまま更に銃撃を繰り返し、イーターを狙う!!
その度にイーターは吸収するのだが、シプラスは一向に気にしない。
「オイ、そこの弱虫!!さっさと家に入って柵をかけろ、邪魔だ!!」
倒れる衛留に声を掛ける。
それに気が付いた衛留が孤児院に駆け込む、そして言われたように柵を掛け内側から鍵を掛ける。
シプラスはゆっくり歩き柵の前へと歩み出る。
「ここからだ、ここからは一歩もお前を先に進ませない!!」
その言葉と共にリボルバーを構える!!
「ハン!!やってみな!!お前は俺に手も足も出なかったんだぜ!?」
「何秒前の話だそりゃ?俺の進化は光より早い!!そんな昔の事覚えてねーよ!!」
その言葉と同じように、再び弾倉に指を掛ける。
『シプラスボルバー!!ホワット・チョイス?』
「行くぜ?俺の進化!!」
ベルトの横部分から一発の弾丸を取り出し、リボルバーに装てんする!!
『オーケイ!!オーダー!!アイス!!フリーズ!!プリーズ!!カチコチ!!アイス!!』
電子音が響きシプラスの全身のXが水色に染まる!!
銃口から、超低温の白い気体が漏れ始める!!
「行くぜ!!シプラスボルバー!!」
『デンジャー!!デンジャー!!フリーズ・プリーズ・カチコチ・アイス!!』
両手でシプラスボルバーを握りしめトリガーを引く!!
水色の極太のエネルギー弾がイーターエラーに向かう!!
「くぅ!吸収、養分吸収だ!!」
腹腕胸など体中の管が動きだし、シプラスのエネルギー弾を食らいはじめる!!
「まだだ!!俺の実力はこんなモンじゃねー!!」
ルボルバーを更に強く握り絞める!!
更にエネルギー弾が太く力強くなる!!
「吸収!吸収してやる!!吸収仕切ればこんなものぉっぉおぉぉおおお!!!」
周囲に氷点下に行くと思わせる様な冷気の風が収まる。
「ライダーは?怪人はどうなったんだ?」
柵の向こう側から見ていた、衛留が冷気のよって出来た霧が晴れるのを待つ。
「耐えた……耐えたぞ!!シプラス!!ムシャシャシャシャシャ!!」
イーターエラーは、その姿を霧の中から現した。
多少冷気の影響が有るのか、動きが何処かぎこちない。
「勝ったつもりか?お前は、俺の大切な家族を傷つけた!!ゆるす気はさらさら無いんだよ!!」
シプラスが自身のベルトのバックルのシプラスボルバーを押し込む!!
『シプラスボルバー!!ホワット・チョイス?』
「俺の怒りの炎はこんなんじゃ収まんねーんだよ!!」
『デンジャー!!デンジャー!!モエルー・タギルー・アチチナ・ファイアー!!』
ベルトのバックルの中で1回2回3回とトリガーを引く!!
先の戦いと同じだ、シプラスボルバーのエネルギーをシプラスの体に纏って行く!!
「さぁ、トドメだ!!」
イーターに向かって走り出す姿を見て、イーターは自分の無策に気が付く!!
「しまった!!この為に冷気を……!!」
「そうだよ、ここの孤児院の子供はみんな知ってるぜ?『熱い物と冷たい物一緒に食べると腹壊す』ってな!」
冷気によって身体が動きにくくなっている、イーターに向かってシプラスの炎を纏った両足蹴りが炸裂する!!
弾力のある体も冷気により、かたまりさらにはそこに高温という急激な温度変化を食らいたまらず体にヒビが入る!!
「いぎぃ!?」
ピシリと小さく音が鳴り、イーターの体が粉々に砕け散る!!
一瞬のラグの後に爆発四散!!
「どうなったんだ?」
崩れ落ちた家屋の中からパンドラが這い出てくる。
イーターが爆散する姿は見たが状況は上手くつかめていない。
「俺が活躍したって事」
叩く様にパンドラの方にシプラスの拳が当たる。
「帰るぞ、怪人倒したんならここに用は無いだろ?」
そう言いながらシプラスは孤児院に背を向ける。
「なんで会って行かないんだ?お前、さっき『俺の大切な家族』って」
「ああん、なんだそりゃ?そんな事一言も言ってないね!じゃ、俺また牛丼食って帰るからじゃあな…………必要なんだよ……憎しみがさ」
背を向けたままパンドラにだけ聞こえる様にシプラスが漏らす。
「与えられる優しさだけじゃ、こいつ等は生きていけない。
『こいつには負けたくない』っていう、憎しみが必要なんだ
コイツ等の為に成るなら……俺は喜んで悪人にもなる!!助け合いが此処のルールなんだ……」
シプラスはもう振り返らない。
光一はいつかの古矢の言葉を思い出した。
「仮面の下の顔か……」
古矢は笑っているのだろうか?それとも悲しんでいるのだろうか?
それは光一には解らなかった。
ただこの男がこの孤児院を守った、それだけが確かな真実だった。
「んな訳ねーよ!!」
パンドラが後ろからシプラスの頭を殴りつける!!
突然の事にシプラスも地面に倒れ伏す!!
「お前、馬鹿にしてるのか?憎む対象が無いとアイツらが生きていけないって本気で思ってるのか?衛留のやった事見たろ!?お前が考えてるよりアイツらはきっと強いぞ!!一回しっかり話してみろよ」
「ああん!?オコトワリだっての!!ガキどもはメンドクセーんだよ!!関わりたくねーの!!ビンボークサいのが移るんだよ!!」
「コイツは……!!」
「お前、兄弟いねーの?」
「ねーちゃんが居る、今は大学行くためにじいちゃんの家に下宿してるけど?」
「そいつには馬鹿にされるだろ?弟や妹ってのはそんなもんなんだよ」
そう話すとシプラスはその姿のまま、走って行ってしまった。
今なら分かる、仮面の下の顔はきっと笑っているのだと。