とおさん「いでよ 武蔵」
武蔵「よーお」
ラム「できるの!?」
次回予告「タケル死す!?」
ラム「また死ぬの!?」
予想不能と、超展開は違う気がする……
「刑罰の時間だ……」
風がうねり、叩きつける様な雨が降り、雷の帯電する音が聞こえる。
嵐を人型にまとめたような藍色の怪人――テンペストエラーが、その手に持つ風に形を持たせたような同じく藍色の剣を目の前の少女に振り下ろす!!
少女――理折が誰にでもなく助けを求める様な表情をする。
近くにはこの付近に主婦の栄度 天樹、そしてその息子の千風 キエラがいた。
女はこれから起こるであろう悲劇に目を背け、少年は無駄だと解っていながらも無意識に手を伸ばしていた。
「た……たすけ――」
涙で曇る理折の視界、逃れようのない運命に目を目を固く瞑る。
キィン――
金属同士がぶつかり火花が散る!!
「え……」
誰しもが理解できなかった、誰しもが『彼』の存在に疑問を持った。
理折の前に立ちふさがるのは青い鎧に身を包む戦士!!
Who's that guy?――あの男は誰だ?
「お前は……誰だ!?」
テンペストエラーが、風を力を纏いその場から離れる。
青い鎧の男は、理折の方を振り向き無事を確認する。
「大丈夫か?」
(初めて会うはずなのに何処か懐かしい声――誰?)
そんな事を考えながら理折は数度うなずいた。
「そうか、なら良かった……俺は仮面ライダー、仮面ライダーパンドラ!!人々の平和と自由を守るために戦う正義の戦士だ!!」
その言葉と共にパンドラが跳ぶ!!
青い光を両手の剣に、灯しテンペストへと切りかかる!!
「はぁ!!」
双剣の一撃をテンペストが必死でいなしていく!!
「おまえは!!ツッ!何者なんだ!?」
「さっき言ったろ!!長いなら通りすがりの仮面ライダーで覚えとけ!!」
叩きつける様な一撃でテンペストエラーを後退させる!!
「今だ!!」
パンドラが自身のドライバーからキュピルスを引き抜く!!
それと同時にキュピルスがスライドし、再びドライバーに押し込まれる!!
『コネクション!!シール・ブレイク!!ブレード・ストライク!!』
ハイテンションな電子音声が流れ、キュピルスから青い光が漏れ出す、それは腰から胸へ、さらに肩、両手、最後に2本のブレードに注ぎ込まれる!!
「や、やめろぉ!!俺はガロウズ親衛隊3席の――」
「要するにガロウズの腰巾着だろ!?俺にはカンケー無いね!!」
必死に命乞いを始めるテンペストに、パンドラの無情な言葉が繰り出される!!
「叩き斬れ!!パンドラ!!」
「了解ぃ!!」
青い光を纏う2本の双剣がすれ違いざまに、テンペストの胸を深く切り裂いた!!
「が……あ……俺が……」
パーツごとに分解されるように、テンペストの体が爆散した!!
「は……はひぃ……なんなんだよ、アイツ……頭おかしいんじゃねーの……」
エラーの体を破壊された男が、ほうほうの体で逃げ出す!!
「おい、お前!!」
「ひぃ!?」
パンドラが男の前に立ちふさがり、ブレードの切っ先を男に突きつけた。
「『お前は住民から何の通報も受けていないし、変身する道具は自分のミスで壊した』良いな?」
確認をするように、パンドラが男に話しかける。
「は、はいぃいい!!私は何の通報も受けていません!!エラーのコアは間違って破棄しました!!」
涙を流しながら直立の体制で、男が繰り返す。
「良し、なら行っていいぞ」
「あ、ありがとうございますぅ!!」
再び男は走り出した。
「おいおい……逃がして良かったのかい?」
「まぁ、あんだけ脅せばもう来ないだろ?」
キュピルスの問いに対し変身を解除しながら光一が言葉を発する。
「あの日、出来なかった事が今回は出来たね」
「ああ、そうだな」
キュピルスの問いに、こちらに手を振りながら走ってくる理折を見ながら光一が笑った。
『デンジャー!!デンジャー!!モエルー・タギルー・アチチナ・ファイアー!!』
ベルトから、警告音が鳴り響きシプラスの全身に赤いエネルギーが充てんされる!!
「うおぉおおおぉおおお!!」
「シャラララララララ!!」
シプラスがシプラスボルバーの引き金を、引き目の前の赤い鎧を纏ったミイラの様な怪人
腕を伸ばすように突き出されたムカデアームを、体ごと焼き払う!!
「しゃら……ら……ら……」
力尽きるように、エラーの変身者が地面に倒れ伏す。
場所は古矢の孤児院に似た場所。
子供たちを守る様にシプラスは立っていた。
「次はお前の番だぜ!!おとなしく刈り取られな!!」
その言葉と共にシプラスボルバーを目の前の網河に向かって構える!!
「起きなさい。私を失望させないでくれたまえ」
仲間が倒れたというのに、全く気にした様子すらなく冷たく倒れる男に話す。
言葉の節々からプレッシャーが放たれている。
「た、ただいま……ガロウズさ……ま」
満身創痍の姿で、倒れた男が起き上がる。
パチパチパチ……
その姿を見て、網河が小さく拍手を始める。
「良いぞ、素晴らしい。正義の為に立ち上がるその姿、私は称賛するよ。君には再びこれを――ジャリブ」
『了解しました。マスター』
スマートフォンの様な機械を触ると同時に網河の手に、天秤を溶かし固めた様な物が出現する。
それを、網河は男に投げ渡した。
エラーの替えはいくらでも効くらしい。
「しゃら……ら……」
半分意識がないのか男は、ふらつく姿勢で再びセンティーピートエラーに変身する。
先ほどまでの勢いは確実になくなっていた。
「悪いけど、相手がいくらヘボだって俺は容赦しない!!」
その言葉通り、シプラスは一切の容赦なくエラーを攻撃する!!
「しゃ……ら……ガロウ……ズ様……」
「オット、これはいけない、どうすべきかな?」
網河があくまで冷静を崩さずに口角を上げる。
「悪いがさっさとアンタを――!?」
網河に向かって照準を合わせるシプラスの背中に、弱い衝撃が走る。
何事かと思うと、それは孤児院の子供の一人だった。
そしてシプラスの目の前でその子供が――
「な、なんだ!?」
シプラスが驚くが、全身を炎に燃やされながらもゆっくりと歩いてくる。
そしてついにシプラスの目の前で倒れた。
マスク越しでも、人の焼ける嫌なにおいが漂ってくる。
「なんの積りだ!!網河!!」
「なんの?別に何も?ただ単に正義に従わない悪人を裁くために、心優しい住人がその実を犠牲にしてくれただけじゃないか?」
平然と網河が言い放つ、その言葉に言いよどみも迷いも一切なかった。
網河にとってはただ正義の為に、その為の仕方ない犠牲でしかないのだ。
「ふ、ふざけるなぁああああああ!!あんたも!!!あんたもこの家出身だろ!?ここのみんなは家族じゃなかったのか!?人間らしい心を捨てちまったのかよおおお!!」
焼死体となった『家族』を抱きかかえ、シプラス――いや、古矢の慟哭が孤児院に響き渡った。
「正義の為なら当然」
全くの無表情で、網河がシプラスを見下ろす。
その目には人間らしい温かみはなかった。
「――っつ!?しまった!!」
シプラスが振り返ると後ろには数人の子供たちが立っていた。
「死刑――執行」
網河がその言葉を話すとともに、一人の子供が炎に包まれる!!全身から高電圧の電流が流れる!!穴という穴から毒ガスが漏れる!!胸と腹を切り裂く様にギロチンの刃が射出される!!全身が膨らみ爆発を起こす!!
数瞬後そこには誰の姿もなかった。
ただただ悲惨な傷跡のみが残されていた。
「正義執行完了――尊い犠牲者たちに黙祷」
それから一分網河は黙祷をし、上機嫌で帰っていった。
「ライダーさん握手してください!!」
理折が光一に自身の右手を差し出す。
「ま、まぁいいけど……」
「おおー!!スゲー!!キエラ!!写真!!写真撮って!!」
差し出した手を握ると興奮気味に、理折が言葉を発しキエラに携帯のカメラで写真を撮らせていた。
「先ほどはどうも、ありがとうございます」
光一の母親がやってきて頭を深々と下げる。
その他人行儀な姿に光一は少しだけさみしくなった。
いや――母親だけではない。
幼馴染の理折でさえも、羨望の視線を送るがいつも光一のもらっていた視線ではなかった。
「(言ったろ?こいつ等はよく似た別人だって、一番違和感を感じるのはお前さ)」
こっそりと周りに聞こえないようにキュピルスが光一にささやく。
「それでもいいんだ……
なぜか少しだけ悲しい気持ちで光一がそう話した。
(守れたはずなんだよな……そのはずなのに……)
「ライダー……行く場所……ある?」
キエラが光一の袖を引きながら話した。
「そこ……気を付けて……」
キエラに連れられ光一は、地下の道を歩いていた。
「なるほど、地下鉄の地下街さらには貯水槽を利用しているのか……」
「ここ……地下世界……表で逆らった……人たちが送られる所」
キエラいわくここはガロウズの目の届かない世界であり、同時に上の世界からのはみ出したモノたちのたまり場らしい。
その言葉の様に、数人地面に座り込んでいる人たちがいる。
誰もかも目は死んでいるが……
「ここ……きっと力になってくれる」
キエラが地下街のとある店を指さす。
「おいおい……」
「あー……僕としたことが、すっかり存在を忘れていたよ……」
その店は、昼重の店だった。
廃墟と化した地下街になぜか有る、骨とう品店。
「なぁ、キュピルス。もしかして……」
「ああ、あのじじいならドライバー持っててもおかしくないよ、ってか存在自体忘れてた……」
「俺もだよ、ってか地下街って……あの爺さん本当に日陰者なんだ――」
「クゥオラァ!!誰が日陰者じゃー!!お主らが忘れておっただけじゃろ!?」
光一とキュピルスの罵詈雑言に耐え兼ね、店から昼重が飛び出してきた!!
「「あ、生きてた」」
「勝手に殺すんじゃないわい!!――まぁいい、お主らの無礼は今日に始まった事ではないわい……入れ、少し話をしよう」
「あ、はい……」
キュピルス、キエラを連れ昼重の後をついていく。
その途中で一人の男の前を横切ろうとすると――
「どけよ……邪魔なんだよ……」
男が光一を腕で無理やりどかそうとする。
「わ!?わわちょっと!!」
「明かりが――明かりが見えないんだよ……」
その言葉を聞き、光一はわずかに理解する。
男は天井からわずかに漏れる、光を浴びていた。
「……ここは地上に帰る事を許されないモノ達の場所じゃ……ここではわずかな日の光さえ希少なんじゃよ……」
昼重が気の毒そうに男を見る。
男は無言でじっと光を見ていた。
この町を見下ろす展望台にして、正義の象徴ガロウズの城。
その一室で、一人の男がまた別の神官の様な服を着た男に話しかけていた。
「で?ライダーを名乗る男に邪魔された……と?」
「は、はい!!そうです!!卑怯な手を使って私に不意打ちを加えました!!著しく正義に反する卑劣漢です!!」
ボロボロの姿をした男は、泣きつく様に報告する。
この男はパンドラに敗北して、テンペストエラーだった。
「わかりました、彼は私が直々に裁きます」
神官風の男は懐から、溶けた羽の様な金属片を取り出し握りしめた。
神々しい光が男を優しく包み、数瞬後に光が収まる。
エラーにしては非常に珍しく人間味を強く残した姿だった。
白く染まった肌に、両手が純白の翼に成っておりそこから掌が表れている。
頭には後光をイメージさせる光輪、多くの者が畏怖の念を抱くであろう姿。
彼こそがこの世界のNo2にしてガロウズの最も信用を置く部下。
『ホーリーエラー』だった。
今回明かした、網河と古矢が同じ孤児院出身というネタ。
網河の好物に茶碗蒸しが有るが銀杏が嫌い(具が入っていないモノばかり食べていた)や人の名前を憶えない古矢が、網河の名前を憶えている等伏線を張っていました!!
後付けじゃないんだよ!?急展開じゃないよ!?
作者精一杯の言い訳。