仮面ライダーパンドラ   作:ホワイト・ラム

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今回は前回の続きから、何気に人気の高いあのライダー回です。


漆黒の騎士

全身の痛みに耐えながら、光一は目の前の現実を受け入れられないでいた。

夜を濃縮した様な闇が、風に振り払われ、光によって引き裂かれる!!

その中から現れたのは、漆黒のボディ!!

嘗て光と風の中に消えていった、懐造エラー『ルナイザー』!!

いま、その身に心を宿し再び大地に立ち上がった!!

 

「敵対存在確認――戦闘準備完了。掛かってこい、正義の味方ども!!お前らが正義なら、俺は悪で構わない!!」

その身と同じ漆黒の騎乗槍を構え、ホーリー、テンペストその両名に切っ先を突きつける!!

 

「突風!!豪雨!!イカズチ!!」

テンペストが両手をルナイザーに向けて振るう!!

瞬間!!極小の台風が敵に向かって放たれる!!

自然界の暴力が悪意を持って、一人の男に向かって振るわれる!!

 

「むぅん!!」

騎乗槍を構え、身を守る様にしながらルナイザーはテンペストの台風の中に沈んでった。

 

「吹き飛べぇ!!」

全身藍色のエネルギーを集中し、台風の中に放出する!!

 

光一の頬に痛いくらいの雨が叩きつけられ、その身が浮きそうになるほどの風が吹き付ける!!

 

「どうなったんだ!?」

 

「勿論死んだに決まってるだろぅ?俺の最高能力だぜ?」

テンペストが下品に顔をゆがめ、嘲笑する。

その表情からはとても正義とは言えない物だった。

 

「ふん、あっけない物です――テンペスト!!その場を離れなさい!!」

何かを察知したホーリーが、声を荒げる!!

その瞬間台風の中から漆黒の騎乗槍が出現して、テンペストの腹を串刺しにした!!

 

「え?――ぐぁ?……え?」

テンペストが呆然と自身の腹から生えた槍を見下ろす。

ごポリと口から血の塊を吐き出す。

 

「命中確認――敵一体の無効化に成功。なんだぁ!!ずいぶんあっけねぇな!!ホレホレ!もっと根性見せろ!!」

台風をその身で引き裂く様に、ルナイザーがその姿を現す!!

 

「舐めるな!!(お前)は決して()を凌駕できない!!」

ホーリーが矢を射る様なポーズを取ると同時に、光が弓と矢の形に凝縮される!!

矢じりをルナイザーに向かって、ピタリと当てる。

そして指が放され、光の矢がその手から解放される!!

 

「攻撃準備完了――発射許可。知るかそんなもん!!試してみようぜ!!」

ルナイザーの左手の肩か手の甲まで伸びる、骨状の銀色のパーツが脈動する。

肩から、エネルギーを拳に送る様に、その脈動が起こるたびにルナイザーの手に力がこもる!!

最後に余剰なエネルギーが骨状のパーツから排出される!!

 

「クラッシャー!!パンチ!!」

全力の左ストレート!!!その拳が正面から光の矢を打ち砕く!!!

バラバラに砕け散った光の粒子が暗闇に飲まれるように消えていく。

 

「……馬鹿な……こんな事が……」

 

「まだ出来るんだろ?終わりじゃないんだろ?俺はまだ生きてるぜ?」

呆然とするホーリーエラー、しかしその表情は笑いへと変わっていく。

 

「いいですよ。貴方、実にいい!!ガロウズ様も喜ばれる、早速このことを報告しなければ!!」

キュピルスを手にし、両手の翼でホーリーが羽ばたく!!

自身で開けた穴から風を纏いながら、地上へと逃げる。

 

「敵逃亡を確認――深追いは危険と判断。逃がしたか……」

ホーリーが飛び立った穴から、曇天の空をルナイザーが見下ろす。

 

「ダメだ!!いま逃がすとキュピルスが、壊される!!」

光一がほうほうの体で、歩んでくる。

何かに躓き、ルナイザーの目の前で倒れる。

 

「あの日と――逆だな、ライダー」

倒れた光一にルナイザーが手を伸ばす。

 

「逆?そうだな……あの日は手を取り合えなかった」

その言葉通り、光一とルナイザーの手が握りあわされる。

 

「良いもんだな、誰かが居るってのは……キュピルスを取りに行ってくる!!」

 

「させないよぉ!!げぼ!!ごぼ!!」

ルナイザーに向かって、疾風が吹き荒れる。

咄嗟樹ルナイザーが光一をかばった。

 

「はぁはぁ……お前たちを先には、行かせはしない!!」

腹に槍を突き刺したままで、ふらふらとテンペストが腕を構えている。

 

「非常に危険な状態と判断――警告。やめとけ、それ以上は無理だろ?」

 

「うるさぁい!!ひひ、ひひひひ!!!!ここいら一帯を全部吹き飛ばしてやるよ!!」

テンペストの体に、エネルギーがたまっていく!!

腹の血が多く流れ、ケタケタと暗い瞳で笑い出す!!

 

「シネェ!!キエロ!!キエロ!!き……え?……ろ……」

疾風一閃!!テンペストの体が真っ二つに分かれ、やせた男が地面に倒れる。

ルナイザーの手にはむき身の日本刀。

 

テンペストから騎乗槍の日本刀部分を取り外し、一瞬にしてテンペストのエラーのコアを切り捨てたのだ。

 

「は、ひ……無駄な事を……出口はもうふさいだ……」

テンペストだった男が指さすと、さっきの風のせいか瓦礫によって地上に出る通路はふさがれてしまっていた。

 

「問題無し――解決案実行。出番だぜ、相棒!!」

ルナイザーが指を鳴らすと同時に、壁を突き破り異形のマシンが姿を現す!!

黒い羊の上半身に下半身が大型バイクの、この世のものでは生機融合態のまさに文字通りの『モンスターマシン』!!

主の呼び声の喜ぶかの様に、恭しく羊の頭が馬の様な声で嘶く。

 

「発進準備――完了。行くぜ!!もう一度あの風と光の中を疾走(はし)ろうぜ!!」

マシンに飛び乗ると同時に、ルナイザーが再びランスを構える。

僅かに刃を見せ、ひねりながら再び鞘に日本刀部分を押し込む。

『コール・オブ・カノン』

その言葉と共にルナイザーのランスが変形する!!

切っ先が二つに分かれ、中から機関砲の様な大口径の銃が出現する。

 

「ファイア!!」

銃口から、弾丸が発射され天上に穴が開く!!

瓦礫が地面に積み重なる。

 

「ぶっ飛ばせ!!」

 

「ぃいいいいぃいいいぃ!!」

悲鳴のようにも聞こえるマシンの雄たけびが響き、地面の積み重なった瓦礫を足場に天上の穴を目指す!!

暗い穴から這い出てその身に光を浴びる!!

 

「抜けたぜ!!」

ルナイザーが、穴から地上に這い出る!!

それは奇しくも彼が生まれた時の条件に似ていた。

マシンのアクセルを思い切りふかし、夜の街へと走り出す!!

 

 

 

「付いてきましたか、ならば!!」

空にはばたくホーリーが羽を周囲に散らす!!

この羽はホーリーの剣であり鎧であり弾丸でもある。

 

無数の羽がルナイザーに遅いかかかる!!

 

「攻撃確認――回避ルート検索。きやがったな!!良いぜ、あがいて見せな!!」

ランスを振るい襲ってくる羽を叩きのめすルナイザー!!

その姿はまさに歴戦の勇士だった。

その姿はまさに正義を守る漆黒の騎士(ライダー)だった!!

 

「ふふふ……私がそんなくだらない攻撃ばかりするとでも?」

ホーリーが笑った、瞬間ミシリと大きな音が聞こえる。

異変はその一瞬あとだった!!

ルナイザーの後ろのビルが……根元から倒れてきた!!

 

「なにぃ!?」

 

「私の羽は微力ですが、集まればこれくらいの事が出来るのですよ!!」

走るルナイザー!!すぐ後ろからビルが襲い来る!!

 

 

 

 

大きな音と共にほこりが舞う!!地面も家も人も、関係なく崩落に巻き込まれていった。

後に残ったのは多数の残骸たち!!

 

「倒した……あの化け物を!!」

ホーリーが、瓦礫の中に落ちたバイクと槍を見て嘲笑を上げる!!

天使の様な顔が、歪んだほほ笑みに染まる!!

ホーリーの顔に月光が掛かる。

 

テンペストの力が消えたのだろうか?

何気ない気持ちで、空を見る。

 

「なんです?アレは?」

小さく声をホーリーは上げずにいられなかった。

雲の切れ間に除く満月、そして()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!

薄い青色をした、巨大な4枚のマフラーが風にたなびいてる。

 

「ライダー……?」

 

「行こうぜ!!キエラ!!最後はお前の力と!!お前の願いで!!」

呆然とする、ホーリーを他所のルナイザーがその場でくるんと回転する。

 

()()()()月面!!キィィィッィックゥゥう!!!」

4枚の羽根が舞い、月光と共にルナイザーがホーリーエラーに蹴りかかる!!

 

「貴方は!!どこまでぇえええええ!!」

ホーリーエラーが大量の羽を展開する!!目指すはこちらを見下す不遜な敵!!

大量の羽が、ルナイザーに襲い掛かる!!

 

「きえなさぁあああああああいいいいいいいいいいいいいいい!!!」

 

「やってみろおお!!エラーの出来損ないがああああああああ!!!」

多くのディストピアに住む住人が、その日一斉に夜空を眺めた。

雲を割る様に出現した戦士が、4枚の羽をもつ騎士が、漆黒の満月が……

ディストピアの象徴である、非情の天使を見事に打ち砕いた!!

 

 

 

「ライダーだ……来てくれたんだ」

何処かで理折が、その勇士を心に焼き付け。

 

「ああ……今日という日が……ついに来た……」

またどこかで息子の無事を祈る母が、待ちわびた光景に涙する。

 

 

 

 

 

地面に落ちた男が、うめくように言葉を紡ぐ……

飛び散った羽に囲まれ、ながら遺言の様に……

「仮面の……ライダーだ……仮面ライダーに……気を付けろ……」

 

「対象戦闘続行――不可。破壊完了だ」

キュピルスを拾い上げるルナイザー。

その言葉が終わると共にルナイザーのバックルが弾き飛ばされる!!

 

騎士が人間二人の姿に分離する。

 

「……倒した……ライダーを……守れた……」

 

「ああ、お前の力だ。お前の心の力だ。やさしさを――強さを失わないでくれ……」

キエラの言葉に男が頷く。

すぐそばに来ていた、マシンの男が乗り込む。

 

「何処へ行くの?」

 

「ここよりも……気持ちのいい風が吹く場所だ……それ、ライダーに渡してやれ」

キエラを抱き上げると自身のマシンの後ろに乗せた。

そして、光一の待つ場所へと帰っていく二人。

 

さっきより、ほんのすこし、ほんの少しだけ気持ちのいい風が吹いている気がした。

 




気が付いたら4000字近く無双していた……
なんだコレ!?

ルナイザー紹介

懐造エラーの集合体、正式にはライダーシステムではない。
似た立ち位置には仮面ライダーカリスが近いか?
モチーフはショッカーライダー、ハカイダー等
一人でも変身可能だが、キエラという心を受けて戦う存在として、本来の力が使える。
壊すのではなく守る力。
そういう意味では、キエラは人間の心に近い非常に珍しいエラーと言える。
この形はキカイダーをイメージしており、ある意味ルナイザーは良心回路を埋め込んだハカイダーとも言えなくない。

メイン武器はランス。特に名前などは現在ついていない。
日本刀が基礎の形で、刀をひねり鞘に戻す事で『ランス』『カノン』『ブレード』を使いこなす。
専用マシンは『マシン・機メイラー』これ一体でもエラーとしてはかなりの力を持つ。黒い羊の半身にバイクの下半身という実際にはありえないシステム。
羊の意匠を残したバイクにも擬態可能、ルナイザーの命をを受け自動で移動する。
変形機構があり、ルナイザーを射出する「打ち上げモード」、バイクが立ち上がりオートバジンの様に戦える「バトルモード」鎧の様にルナイザーと融合する「アーマーモード」が有る。

上半身に水を掛けると嫌がるが、下半身はむしろ喜ぶ。
ガソリンとその辺に生えてる草が燃料。
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