あれ?サボっていた気は無いのですが……
「ほらよ、お前の相棒だ」
人間の姿を取ったルナイザーがバイクから、光一向けてキュピルスを投げ渡す。
「おとと、と……」
「おい!僕を投げるな!!落としたらどうする!!」
何とか光一の手に収まったキュピルスが、わめき散らす。
しかしルナイザー自身は全く気にした様子はなかった。
それどころか、バイクに再びアクセルを吹かせ始め、光一に背を向ける。
「おい!何処に行くんだよ!?」
「この世界を作った奴の親衛隊が、短時間で3人以上やられた。
頭を叩くチャンスは今しかない!!行くぞキエラ!!変――ッ身!!」
「うん!!」
背中に抱き着いたキエラが姿を消すと同時に、再びベルトが出現する!!
音もなくベルトの楕円の月が開き、漆黒の鎧に身を包んだ男が再び異形のマシンと共に穴から躍り出る!!
「なんだよ……後から来たくせに……ヒーロー気取りかよ!!」
「というわりには嬉しそうだね?」
叫ぶ光一にキュピルスがにやにや笑いで答える。
その言葉通り、光一の表情にはすがすがしい物があった。
「そんな訳ないさ!さて、俺たちも行こうか?あいつ等ばっかりにいい顔させないよな!!」
「おう、とも!!」
キュピルスを構え、腰に出現したベルトをに押し込む!!
『コネクション・シールブレイク!!パンドラシステム・スターティング!!』
光一の全身を包むスーツは純白の白!!
ルナイザーの漆黒のボディと対をなすかのような、戦士の姿!!
「おお?やる気だね?少し見ない間にずいぶん変わったな」
一体いつからいたのか、パンドラの後ろにはシプラスが瓦礫に座っていた。
「無事だったのか!?」
「いやー、正直言って今回かなりヤバかったよ。運よく近くにあったマンホールに逃げ込んでいたんだ……さっきのアイツのいう様に今、上では多くの人が騒めいている。
軽いパニック状態みたいだ、要するにガロウズを狩るにはベストなタイミングな訳よ」
シプラスが指で銃の形を作り、ガロウズのビルを撃つ真似をした。
「じゃぁ行こうか」
「ああ、そうだな!!」
パンドラとシプラスが同時にバイクに乗り込む。
風よりも早く!!光の様にまっすぐにビルを目指し進む!!
全てはこの歪んだ世界を正すために!!!
格調高い木のアンティークで作られた家具が、贅沢に使われた部屋で一人の男が聖書を読んでいた。
小さく外から暴動の様な声が聞こえる。
窓から差し込む、光をみて目を細めた。
「ホーリー……君は良くやった。だが、私の理想にはたどり着かなかったか……人々も同じだ、私の理想について来てくれなかった……結局一人きりの理想卿……か」
手に持った、3枚の写真に火をつける。
ホーリー、テンペスト、センティーピートすべてこの理想卿を守るための戦士だった。
「私がまだいる。正義は私が守る」
ゆっくり立ち上がり、ポケットから彼の相棒ジャリブを取り出す。
「行こう、平和を脅かす者たちを粛正する」
『YES マスターの御心のままに』
ほほ笑みを正し、虚空に向かって網河が声を投げかける。
「ジョーカー!!例の奴を頼む!!」
そういって、天秤が解けたような物体を、そこに向かって投げ捨てる!!
「まかまかまかまかまかまかせてよ!!」
細い腕が出現して、その物体を手に取る。
「僕はぁ、アイツが気に食わないんだよねぇ……バラバラにしちゃおうカナぁ!!!」
凶悪な笑みを浮かべ、道化師が窓からビルの外に出ていく!!
途中で、廊下に倒れていたセンティーピートの変身者を首筋を掴んでいく。
その目は、ルナイザーをしっかりととらえていた。
「行くよぉ!!エラー融合!!懐造エラー!!」
「うぐっ!?がぎゃあああああああ!!!!!」
握りつぶした、物体をセンティーピートに無理やり押し込む!!
白目をむいて、ノドが張り裂けんばかりの悲鳴を男が上げる!!
「がまがまがまがま我慢してね?人間の利用価値なんてこれくらいしかないんだからさ!!」
センティーピートが白い光に包まれて、繭の様にビルの壁にへばりつく!!
ドクンドクンと鼓動するのが、見て取れた。
「さて、アイツの相手は僕がしようか!!」
ジョーカーが、ビルから飛び降りルナイザーの目の前に立ちふさがる!!
「おっとおっとおっとおっと!!ここは悪いけど通せないんだよね!!」
ルナイザーの目の前に、悪意を纏った道化が降り立つ。
仮面越しでも解る、嫌な笑みをルナイザーに向ける。
「障害発生――ジョーカー。悪いがどいてもらおうか?やる事が有るんでな!!」
バイクを動かし、横を通り過ぎようとする時、地面に数本のナイフが突き刺さる!!
「いかせませ~ん!!君はここで『また』死にマース!!へへへへへ!!!」
両手を広げ、ジョーカーがナイフを構える。
仮面の口が開き、長い紫の下が垂れる。
「む――なるほど。少しだけ相手をしてやろう!!」
バイクの側部にマウントしてあった日本刀を取り出す、わずかに刃を見せひねり込み再び鞘に押し込む!!
闇が生まれ騎乗した騎士が持つ、槍に変化する!!
「はぁあああああ!!!」
地面を踏みしめルナイザーが、ジョーカーに向かい跳ぶ!!
ランスの切っ先が仮面をとらえようとする瞬間、ナイフによってランスの軌道がそれる!!
「ハッ!!そんな――」
「否定――終わりではない」
ランスから腕を片方、放すと同時に腕の骨の様なパーツが蠢動する!!
拳が発熱し、赤熱した一撃がジョーカーの腹部に叩きこまれる!!
「ぐぶぅ!?ヤルねぇ……けど――」
「再否定――まだ終わりじゃねぇ!!」
距離が僅かにできた、部分にランスから日本刀部分を取り出しジョーカーに向けてさらに一閃!!
深々とジョーカーに切り傷が走る!!
「はぁ?何、勝った積りかい?無駄なんだよね?」
あれだけのダメージを負ってもジョーカーににやにや笑いは止まりはしない。
むしろあがく様子を見て喜んでいる様に見えた。
だが……
「肯定――ああ、俺のいや――俺たちの勝ちだ」
そう宣言するルナイザーの後ろを2台のバイクが走り去っていく!!
追って来たパンドラとシプラスだった。
パンドラと無言で視線を交わす。
「おい!!アイツに任せて大丈夫か!?」
シプラスがマシンを動かしながらパンドラに等。
「大丈夫だ、アイツは信用できる奴だよ」
パンドラは、瞬時にお互いすべき事を理解していた。
信頼するからこそ、何も声をかける事は無かったのだ。
そして再び、意識を自分たちの戦いへと向ける。
「なんだよ……僕をだましたな?」
ギリッとジョーカーが歯ぎしりをする。
仮面越しの目がルナイザーを、睨みつける。
「否定する――掛かったのはお前だ!!全部お前のドジのせいさ!!」
笑いながらランスをジョーカーに突きつける!!
「お前ぇ!!僕を馬鹿にしやがって!!いちいちむかつくんだよ!!ああそうだ!!むかつくんだよ!!お前僕の大っ嫌いな奴としゃべり方が似てるんだから余計にかな!!
……もういい、遊びはここまでだ!!お前を壊す!!ぐちゃぐちゃのめちゃくちゃに!!原型すら残さない!!ああああああ!!!!」
ジョーカーが激情に身を任せ変身する!!
体をサーカスのテントの様な紫のマントが覆う、それだけではない!!
体を超えて尚も大きく広くマントが広がっていく!!
それと同時に体が透け、手袋の様な腕が巨大化していく!!
四角いフレームいっぱいに広がる、紫の布。
その上部に存在するのは2本の腕と仮面のみ!!
これこそ、もはや人型ですらない姿こそがジョーカーの本来の姿!!
「さあさあさあさあさあさあさあさあさあさあ!!イッツ、ショータイム!!」
指が動くと同時に10本の糸がフレームの中に入っていく。
「おいでぇ!!僕のかわいい人形たち!!」
ステージに上がって来たのは、ライオンエラー!!
嘗てパンドラに倒された幹部、ビスゴーラの余りに無残な姿だった。
更にその後を追うように、ぶにぶにとした触手と消化液を垂らす怪人、イーターだった。
意思を失った死体たちが、ジョーカーの人形としてルナイザーに襲い掛かる!!
「それがお前の真の姿か!!」
ルナイザーがライオンエラーの爪をランスで受け止めながら言葉を発する。
「そうさ!!実態は無く、負け犬たちを上手く使って僕は全く手を汚さない!!まさに僕らしい姿だろ!!」
イーターの消化液をルナイザーにはきかけながらジョーカーがせせら笑う。
「肯定――その通りだな!!ほかの奴らの力を借りてやっと戦えて、お前本人はこそこそ隠れる臆病モノ!!そんでもって肝心の中身ががらんどう――実にお前の本性を出した力だよ!!」
「お、まえ……!!壊してやる!!絶対ぶっ壊してやるよ!!どーせガロウズの作った世界が壊れればお前も消える!!そー、思って痛ぶる程度にしようと思ったけどもうやめだぁ!!僕が引導を渡してやる!!」
ジョーカーの殺意がルナイザーに襲い掛かる!!
「変身」
『チェンジ――ワールド』
網河が二人の戦士を前にして、スマフォの様な機械を指ではじく。
機械は空中に浮いて、光の帯の様な物が網河を包む。
世界を変え、世界を縛る力がたった一人の独裁者に注ぎ込まれる!!
「よく来ました――世界の平和の為に、此処であなた方二人には消えてもらいます!!」
ガロウズが手に矛を生み出す!!
「さぁ、リベンジマッチだ!!」
パンドラが、ブレードを構える。
「悪いけど、アンタを狩らせてもらう!!」
シプラスがシプラスボルバーを引き抜き構える!!
正義と正義の戦いが今!!再び始まる!!
「消えなさい!!正義に歯向かうモノどもよ!!」
ガロウズがエル・イーヴェを振り回す!!
部屋に切り傷が残される!!
「気を付けろ!!ガロウズは触れた物を武器に書き換える!!」
シプラスがそう話すと同時に、壁に付いた傷をなぞるようにギロチンの刃が飛び出る!!
「なにぃ!?」
咄嗟にブレードを構え、ギロチンの刃を回避するパンドラ!!
「こいつは人間だろうと、モノだろうと容赦なく武器にしちまう危険人物だ!!幸いここには他の奴らはいない様だが……常に注意をかけろ!!」
シプラスが銃撃で援護しながら、パンドラに声をかける。
「どうやら、此処は遠距離の方が賢いのか!?」
パンドラがキュピルスを引き抜き、再びそろえる!!
6面集合!!白い姿が黒く染まり赤いヒビが全身に走る!!
『デッドゾーン……』
最後にその姿を示す、声が流れる。
「それが切り札か?なら……こちらもだ!!」
ガロウズがエル・イーヴェを壁に向かって投げつける!!
その槍は壁を突き抜け、ジョーカーの作った繭へと突き刺さる!!
「ゆけ!目覚めろ!!私の思想を受け継ぎし力よ!!」
繭が巨大化し、中から異形の怪物が生み出される。
その姿はまさに異形そのもの!!
ビルを超える巨大な姿!!
人間の頭部――首から下がムカデが接続され真っ黒い雲の中に消えて行っている。
更に雲の横からは、異様に指の伸びた腕がそれぞれ無数にうぞうぞと蠢いている。
生理的嫌悪感すら、覚える巨大な怪生物がこちらに石膏でつくっれた様な意思の感じない顔を向ける。
ガロウズの内面を表したかのような異質にして異形のエラー。
あえて名を付けるなら「ディストピアエラー」。
「なんだよ、コレぇ!!」
「気持ち悪さMAXだ!!」
パンドラ、シプラスが同時に顔をゆがめる。
それほどにこの怪物は異形の姿をしていた。
「キィィィィィイィィ―――――」
ディストピアの声にならない高音が周囲に鳴り響く!!
開いた口に光が凝縮される!!
二人のライダーが躱そうとした瞬間、光が踊る!!
熱を体に受け、ガロウズのビルの上階が吹き飛んだ!!
「ぐわぁあああ!!」
「わぁあああっ!!」
二人の戦士がビルから落ちていく!!
飛行や滑空程度は出来る両者だが、今はタイミングが悪すぎた!!
瓦礫に巻き込まれ落ちていく!!
「なにぃ!?」
上空の気配を感じルナイザーが、上を見上げる。
醜悪な怪物がビルに巻き付き、瓦礫と共に二人の戦士が落ちて来る。
優位を持っていたルナイザーにできた隙をジョーカーは見逃しはしなかった!!
「これで、もらった!!お前もぉ!!ビスゴーラみたいにブッ壊してやるよぉ!!」
「くぅ!!」
ジョーカーのナイフが!!ライオンエラーの爪が!!イーターの消化液が!!
同時にルナイザーへと襲い掛かる!!
「――そうか……それは残念だな、ジョーカー」
凛と響き渡る声と共に、2体のエラーが地面から突き出た十字架に貫かれる!!
ジョーカーの顔がその声を聴いた途端引きつり始める。
「ビスゴーラの仇はお前だったのか……」
何処か軍服を思わせる様な茶色い姿をした、男が歩いてくる。
そのすぐ後ろを、影のある男が歩んでくる。
全てのエラーの元締めとなる男、ギジョアと彼に付き従うエラー、ディヴィノックだった。
「せめて安らかに――」
優しく目を閉じると、ライオンエラーとイーターが破裂し消滅した。
瞳に怒りを灯しながら、歩んでくる。
「上でおかしな事に成っていて、しばらく様子を見ていたんだが……さて、ジョーカー!!破壊される準備は出来ているか!!」
「へへへへへへへ!!それはお前の――」
本体のみで跳びかかるジョーカー!!
地面を突き破る様に、3本の巨大な筒が出現する!!
「うぎっ!?これって――」
「やってくれ、
轟音が響きジョーカーそのものが吹き飛ばされる!!
地面から巨大な戦艦が出現する!!
蛇のようにも生物の様にも見える戦艦!!
黄色い目がルナイザーをとらえる。
ギジョアの配下の巨大エラー「戦艦エラー」だった。
「懐かしいな――今は亡き友を思い出させる」
ギジョアがルナイザーに手を伸ばす。
「おや、珍しい客人だ。ライダーとはね?」
シップが錨を動かし、拾ったライダーたちを見せる。
「なんで、此処にお前たちが――」
パンドラがギジョアに声をかける。
「詮無い事だ、それよりもアノ、エラーモドキを倒すのなら協力しようじゃないか?」
ギジョアが尚もビルに巻き付きディストピアを視界に収める。
「へぇ……敵の敵は味方って事かい?」
キュピルスが嫌味な声を投げかける。
「そうじゃない、エラーを侮辱するのは許さない、それだけさ」
「珍しい事もあるもんだね!!」
シプラスが立ち上がり、戦艦エラーの甲板に歩いていく。
「なら、話は成立だ!今回は一緒に、ひとっ走り付き合えよ!!」
「ああ!!乗ってこい!!」
パンドラとギジョアが手を取る。
「お前たちのあやかって、此処はあえて、こう言おうか『変身』」
「変身」
巨大な戦艦型のエラーの甲板で、二人の怪人が姿を変える!!
一人は灰色の大男に!!全身の至る部分にパイプが走り、肩か突き出た計6本の煙突が蒸気を上げる!!
ライトの様な一つ目に光がともる!!
コレこそ悪夢を生み出すエラー達の、元締めギジョアの真の姿!!
もう一人は深紅のボディに走る青い血管の様なライン!!
非情にグロテスクな言い方ではあるが、人間を丸々表裏をひっくり返したような人に最も近くしかし明確に人ではないデザイン!!
その名もヒューマンエラー!!
甲板の上にそうそうたるメンバーが並び立つ!!
一人は純白の鎧に身を包んだ、正義の戦士!!
一人は悪夢を生み出す、恐怖の人型工場!!
一人は捉え所の無い、未知を示す文字、「X」刻んだを自由な銃撃手!!
一人は人に近くも明確に人でない、異質な生物のエラー!!
一人は漆黒の闇の様な鎧に身を包む、心を手にした破壊の守護者!!
5人がビルのてっぺんに立ちふさがる、偽りの正義を抱える男を見据える!!
「さぁ!!最終ラウンドだ!!」
ゴーストのテンポが急に早くなった気が……
あと、ガンマイザーがかませ風に成ってきてないだろうか?
イゴールにはもっと頑張ってほしいな!!