仮面ライダーパンドラ   作:ホワイト・ラム

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今回はつなぎの回です。
ライダー達の戦闘らしい戦闘は、行いません。


それぞれの思惑

マジェスティック・シャドウ社長室にて……

 

「やれやれ、先日はひどい目に会ったよ……」

霊山時が机に頬杖を突いて、ナッツ入りチョコをほおばっている。

同じく机の上にある複数の書類に目を通す。

 

シプラス量産計画。人造エラー計画。人体エラー融合強化プロジェクトetc……

どれもこれも確かな所まで行った計画だが、ジョーカーの襲撃により研究所が多大な被害を受けた為延期、もしくは凍結する必要すら出て来る可能性がある。

 

「はぁ、物事というのは……まぁいいか。

腹が減ったな……」

それだけつぶやくと、霊山時は立ち上がり食堂へと向かっていった。

 

 

 

 

 

「すみませぇ~ん。コレと、コレとコレ。くださいな!!」

髪を茶髪に染めた女が、レジの上に良く分からない置物を置く。

その視線の先には、エプロンを付けた一人の男が座っている。

 

「おう、少し待て……3500円プラス税だ」

 

「はぁ~い!そういえば、店員さんはラインとかしますかぁ?」

 

「しない」

 

「……そうですかぁ?今時珍しいですねぇ~」

いやいやといった様子で、男が接客した後、女は脈なしと判断したのかそそくさと店を出ていく。

 

「面倒だ……」

店員がその言葉通りの様子で、再びレジの椅子に座り新聞を手にする。

 

「コレ!!しっかり働かんか!!」

昼重がその男に叱咤を飛ばすが、全く気にした風もなく新聞を読み続ける。

 

カラリーン!!

扉のベルが鳴り、光一とキュピルスが昼重の店に顔を見せる。

 

「いらっしゃ……なんじゃお主らか……」

昼重が、光一を見て露骨にがっかりした顔をする。

 

「なんだよ、僕が来ちゃいけないってのかい?」

キュピルスが昼重に嫌味を飛ばす。

 

「落ち着けって、今日は様子を見に来たんだろ?」

そう言って今度は光一が、椅子に座る男に視線を投げかける。

すると男はそれを読んでいたかのように新聞から顔を上げた。

そしてその男の名を呼ぶ。

 

「ルナイザー、こっちでの生活はどうだ?少しは慣れたか?」

 

月跳(げっと)だ」

ルナイザーが口を静かに開いた。

 

「ゲット?」

 

「良いじゃろ?わしが考えた名じゃぞ?」

昼重が自慢げに光一に話す。

 

「おい、聞いたか光一?ゲットだってよ、センスのかけらも無いよな」

 

「わかる、すごくわかるぞ。流石にゲットは無いだろ……センスが古いとかそういう次元じゃないよな」

光一とキュピルスがひそひそとその場で話し合う。

 

「な!?わしの付けた名が気に食わんのか!?良い名じゃろうて!!」

昼重がプルプルと震えながら、怒り狂う。

 

「おじいちゃん……お茶……が出来た……」

店の奥から今度はキエラが、お盆をもって出て来る。

光一達に気が付いたいたのか、湯呑は4つ用意してあった。

 

「おお、すまんなキエラ。たすかる」

昼重がキエラから湯呑をもらう。

 

「おい、見たか光一?キエラまで働かせてるぞ?昼重の心の狭さが伺えるな」

 

「いうな、言ってやるな。使えるモノは親の死体でも使うタイプの人間なんだろうな」

再び光一とキュピルスがひそひそとその場で話し合う。

 

「お主ら……いい加減にせえよ……!!」

昼重が静かに怒りに燃える。

 

「キエラ、『機メイラ』に餌はやっておいてくれたか?」

 

「うん……中庭の……雑草をあげたら……喜んでた」

 

「そうか、なら良かった」

 

「鉢植えに……生えてた奴が……お気に入りみたい」

 

カシャーン!!

キエラの言葉に、昼重が固まり手にしていた湯呑を落とした。

 

「お、お主ら……いま、何と?」

 

「鉢植えの奴がお気に入りの部分か?」

月跳が、キエラに変わって話す。

 

「それは!!わしの盆栽じゃー!!なにをしておる!?

わしが苦節3年で育てた、黒松じゃぞ!!?」

 

「ただの木だ、気にするな」

 

「気にするわい!!!この馬鹿モンどもがぁあああ!!!」

寂れた店に昼重老人の声が空しく響いた。

 

 

 

 

 

ビルとビルの小さな間にて……

ぼろ布の様な何かがゆっくりと立ち上がる。

ひび割れた仮面にボロボロの衣装。

嘗て、仲間をだまし利用しそして……結果として多くの物を失ったエラー。

ジョーカーだった。

 

「やっと……動けるまで、回復したね……ガロウズも、役に立たなかったか……

やっぱり、頼りになるのは……自分だけだ」

空しくへらへらと笑い出す。

その時、路地裏に捨てられた雑誌が目に入った。

月食特集だの言って、欠ける月の写真が掲載されていた。

その記事は同じく『月』の名を冠すライダーを連想させた。

 

『ほかの奴らの力を借りてやっと戦えて、お前本人はこそこそ隠れる臆病モノ!!そんでもって肝心の中身ががらんどう』

 

「ふざけるなよ……!!!アイツ!!出来損ないのくせに!!偶然再構築された残骸のくせにぃ!!僕を!!僕を馬鹿にしやがって!!」

脳裏に浮かんだ顔に苛立ち、ナイフを構え雑誌を滅多刺しにする!!

 

「はぁーはぁーはぁー

いひひひひひひゃひゃあひひひはあああひひゃひゃはははは!!

もう、いいやぁ……どーせ、アイツもあの世界が壊れた時に――!!

どんな顔して消えたのかなぁ?泣いちゃったかなぁ?震えてたのかぁ?

それともぉ!!もっと残酷に死んだのかなぁ?」

ケタケタと笑い出して、地面に寝転がる。

 

「アイツは無事さ――お前は今から消えるがな!!」

 

「あぐぃ!?」

怒気の溜まった声が響くと同時に、壁から灰色の機械が融合したような手でジョーカーの首が掴まれ、壁にすさまじい力で叩きつけられる!!

 

「探したぞ、ジョーカー!!俺の友の仇は俺が討つ!!」

灰色のバルブやパイプを融合させた灰色のボディに肩から突き出る計6本の煙突。

顔面に口や鼻は無く黄色のランプが目の様に一つだけ輝いている。

恐怖と悪夢を生み出す人型工場、ファクトリーエラー。

通称ギジョアだった。

 

「や、やぁ……ギジョア……ぐぅ……アイツが無事ってのは……本当かい?」

首を押さえつけながらもジョーカーが嗤う。

 

「ああ、パラドクスドライバーをコピーして与えた。

もっとも複製品だから、もうすでに壊れているだろうがな!!」

更に首に力を加えながら、反対の手でジョーカーの頬を殴りつける!!

 

「はぁはぁ……ひどいな……僕たち仲間だったろ?」

地面に倒れるジョーカーを見て、感情のない冷ややかな声を出す。

 

「その仲間を消したのはお前だ、そうだろ?」

 

「なかま?はは、ああ!!!あの馬鹿の事かい?」

ニヤニヤと嫌な笑みを張り付たジョーカーが地面に座る。

 

「口を閉じろ」

 

「ビスゴーラの事だろぉ?短気で馬鹿で一直線で、最高のカモだったよ!!」

 

「もう、いい。しゃべるな」

 

「アイツの最後が笑えてさぁ……助けたと思って僕に礼を言いうんだよ?

殺してあげた時の顔とか、もうサイッコー!!一生忘れないだろうね!!

それで、最後の言葉が――」

 

「黙れと言っている!!それ以上俺の友を侮辱することは許さない!!」

ジョーカーの顎を思いっきりギジョアが蹴り上げる!!

 

「お前を、仲間にした事をこれ以上後悔させるな!!」

 

「ぐぁ!?」

赤熱した腕をジョーカーの腹に突き刺す!!

嫌な音とにおいがして、ジョーカーが悲鳴を上げる。

 

「あの世で永遠にビスゴーラに詫び続けろ!!ジョーカー!!」

左手を体に付きさすと、内部が蠢きその手に両刃の斧が形成される!!

ギジョアの体内で、武器を生成する能力だ。

振りあげた斧がジョーカーの首を切断する瞬間!!

 

「いけませんねぇ」

 

「なにぃ!?」

路地を埋め尽くす様な『津波』が押し寄せギジョアを押し流す!!

 

「一体何が!?」

ギジョアが視線をもとに戻すと、そこにジョーカーはもうすでにいなかった。

さっきの事が夢でなかった事を表す様に、路地裏が濡れて居た。

 

 

 

 

 

別の場所に……

突如そして下水管が破裂して、汚水が噴き出した!!

水が引くと濡れたジョーカーが倒れていた。

 

「君は……誰だい?」

傍らに固まる、水を見てジョーカーが声を絞り出す。

 

「おおっと、いけませんねぇ……

挨拶を忘れてしまいましたぁ……」

 

ボゴボゴと水が形を変えて、人型に変わる。

頭の上半分をクラゲの様な半透明なクリアパーツで覆い、そこから下は水死体の様な変色した、病的なまでにやせ細った顔が出来る。

イカやタコの足を模した、雨合羽の様にも見えるマント。

海洋生物の化け物ともいえる怪人がそこに立っていた。

 

「ああ……なんどか、聞いた事あるよ……水棲生物と水をもとにしたエラーが居るって……

へぇ……生きてたんだ?」

 

「おやおやぁ……これは手厳しい……

せっかく助けたというのにぃぃぃ?

それに私にも名前がありますぅ……

『ゼリキッド』とお呼びくださぃぃぃぃぃぃぃ……」

恭しく、しかし全く敬意のこもってない態度でマントをつまみお辞儀する。

 

「へぇ……(Z)リキッドねぇ?君がラストナンバーかな?」

 

「現存する中ではぁぁぁぁ……

しかしぃぃぃぃ?

増えないとも、いえませんがぁぁぁぁぁ……?」

 

「まぁ、いいや。僕は僕のやり方をするだけだよね。

もう、一部の容赦もない、卑怯で汚くて、それでもって最高のステージを見せてあげるよ!!」

ふらふらと、ジョーカーが立ち上がり。

とある施設を目指す。

 

其処は総合病院。

傷つき弱った人間がジョーカーの悪意にさらされる!!

 

 

 

 

 

「霊山時さまぁぁぁぁぁぁぁ…………

ジョーカーをたきつけましたぁぁぁぁぁぁぁ……」

ゼリキッドが、水道管を通り霊山時と部屋へと姿を現す。

ゼリキッドは先日襲撃を受けた研究所の、生き残りだった。

 

「そうか……よくやってくれたね。

しばらく休んでくれ」

霊山時が、机から一つの銃を取り出す。

シプラスボルバーと同じ形で、しかし塗装はされていない造形されたままの形だった。

なずけるならプロトボルバーか。

 

パァン!!

 

渇いた音が、社長室にこだまする。

ゼリキッドが、床に倒れる。

 

「なにぉぉぉぉぉぉ……」

 

「先日の一件で私は理解したのだよ。

エラーなど、あてにならないとね?」

 

ポケットから弾丸を取り出し、プロトボルバーに込める。

『サンダー』

無機質な声が響き、プロトボルバーの一部が黄色く染まる。

 

「やめぇぇぇぇぇぇぇぇ…………」

 

「さらばだ!!」

引き金を引くと同時に、ゼリキッドが雷に打たれ電気の高温で蒸発する!!

 

 

 

「さて……私の計画もそろそろ……詰めだ、エラーども、覚悟しろ」

霊山時が自身の50年前に義手となった右手を強く握った。




作品も、かなり後の方まで来ました。
といっても10話以上ありそうですが……

ゼリキッドの出番はまだあります、心配しないでください。
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