最近グレイトフル、出番でないから……
「英雄?願いの引き換え券だろ?」
とか思っていてごめんなさい……
「さて、帰るか」
理折の病室にタンポポを添え、病室から光一が出ていく。
キエラに聞いたように、数日前からこの病院で『奇跡の医者』と呼ばれる男が現れちょっとした話題に成っている。
「あ、キエラだ……」
廊下の窓から外を見ると、キエラと同い年位の子供が中庭で楽しそうに、はしゃいでいた。
その様子を見る、毛布を体にかぶせた女性。
「やれやれ、だね……仲よくしたって、つらいだけなのに……」
キュピルスが、キエラを見てつぶやいた。
「つらいだけ?」
「ああ、そうさ。いくら人間を模そうとアイツも月跳もしょせんエラーだ……
真の意味での和解、共存なんてありえないよ」
「そうかな?出来ないって決まった訳じゃないだろ?」
「ハッ!!人間同士でもいがみ合ってるのに?無理にきまってるだろ?」
「無理って決めつけたらそうだよな。けどさ、決めつけない限り可能性は0じゃないハズ……」
光一が願いを込めながら、そうつぶやいた。
「ふぅん……
――!!光一エラーの反応だ!!」
「なに!?」
二人の顔が変わる、皮肉屋で軽口を飛ばしあう二人から、戦士の表情へと……
そしてそのまま町に向かって走り出した。
某研究所地下。
「何で目を放した!?」
古矢が研究員に激しく詰め寄る。
研究員の袖をつかみ上げ、顔を近づける。
「わ、私にも何が何だか……気が付いたら、『死んでいた』んです!!」
研究員のモニターの中には、網河がこと切れていた。
体の損傷はなく、なぜ死んだかなどすべてが謎に包まれていた。
「くそ!!……兄さん……アンタは反省するって言っただろ……!!」
法で裁けない網河は一時的にこの研究所に、収容されていた。
少し前から、古矢は網河と面会していた。
網河なりの正義、網河なりの守りたいもの。
そのすべてを否定する事は出来なかった。
『龍研……私はやり直せるのか?』
『出来るさ!!兄さんは、俺の憧れだったもの!!』
それが二人の最後の会話だった。
「あの……古矢さん……」
「なんだよ!!」
後ろから話す研究員に苛立たし気に、返事をする古矢。
「社長からのお電話です……エラーが出現したと……」
申訳なさそうに、そう話した。
「エラー、エラー、エラー……もうたくさんだ……
ドイツもコイツも!!エラーが出て来るせいでみんなおかしく成っちまう!!
屑どもが……屑どもが俺たちの世界に出張ってくるんじゃねーよ!!!!
刈り取ってやる……一匹残らずエラーをデリートしてやる!!
俺のシプラスはその為の力だ!!」
古矢は腰のリボルバーを壊れんばばかりに握り、歩き出した。
街中にて……
「アン、ドゥ、トロワー!!アン、ドゥ、トロワー!!」
ピンクのバレリーナの様な恰好をした、エラーが街中で踊っている。
顔は無くぽっかりノイズの様に穴が開いていて、何処から声が出ているかもわからない。
非常に不気味な存在だった。
名付けるなら『ダンサーエラー』か。
「なんだ、コイツ……」
ベルトに押し込まれたキュピルスが怪訝そうな顔をする。
「どうしたんだ?一体?」
「エラーにしては、弱すぎる……そう、まるで進化前のノイズだ」
「弱い?そんなら困る事は無いだろ?一気に決める!!はぁ!!」
『デットゾーンストライク!!』
漆黒のボディに変化した、パンドラがダンサーエラーを蹴り倒す!!
「きぃーぃぃぃ!!」
全く抵抗なく、ダンサーエラーが倒れる。
エラー部分が倒され、中から人がほおり出される!!
「キュピルスこれって……」
「ガロウズの、人体融合エラーだね。
アイツしか作れないと思ったけど……ほかに作れる奴がいたのか?」
いぶかし気にキュピルスがその様子を見る。
「ギジョアの仕業――」
「ではないね、断言できる。アイツはエラーに矜持を持ってる、人間の手を借りるなんて死んでも嫌なハズさ。
共闘は出来るけど、それは共通の敵が居た時だけだ。
なるほど、人体を素体にする事でノイズをエラーにまで昇華したのか……
けどなんでこんな事を?」
「研究の為じゃないか?」
二人の後ろから古矢の声がかかる。
「研究?」
「そう、ここら一帯でこんな屑エラーが頻繁に出てる。
殆どは雑魚で、俺の場合変身すら不要で倒せる……
こんな風に……ね!!」
古矢が振り向き様に、シプラスボルバーの引き金を引く!!
通りすがりの老人が討たれ倒れる!!
「お、おい!?何を――」
「mahuw……tesk……」
老人の体から、ノイズが発生し、虚空に消えていく。
「結構な頻度でコレが見られる。
どっかで、エラーをばらまいてるやつらが居る。
運良く進化すると、さっき見たいになる」
古矢の視線の先には、白目をむいて倒れる女性が一人。
「だ、大丈夫なのか!?」
「……正直いって、あまり状況は良くない」
古矢がリボルバーを回転させ、別の弾に変える。
『オーダー!!キュアー!!ナオルー・ヤスムー・オダイジ二!!』
ピンク色の弾丸を撃つちこまれた女性が、安らかな顔へと変わる。
「一応、シプラスにはこーいうのも、あるんだよね。
もっとも。一時的にだし、あとは本人の回復量次第かな?」
自慢げに古矢が、リボルバーを掌でくるくると回す。
今までも、何度か使用してきたらしい。
「しょせん対処療法か……根源を断たないと……」
「そっちも今全力で探している。
社長も、秘密裏に動いているらしいしな……」
古矢と光一はその場でわかれ、人間と融合しつつあるエラーを探し始めた。
古矢はシプラスの機能を使用し、光一はキュピルスの同族を探す事になった。
同時期
月翔は二人よりも、ずっと核心に近い位置にいた。
「キエラ、そろそろ帰るぞ。山重のじいさんが心配する」
病院の敷地内にマシン機メイラを停め、中庭で話す明と一緒にいるキエラの元に向かって来た。
「……月翔……迎えに来てくれたんだ……」
「ああ、早く帰るぞ。暗くなる前に機メイラを洗ってやりたい」
「あら……あなたは……」
その時、静かに明の母親が立ち上がる。
「ん?悪いが俺は、お前を知らない」
月翔が、ぶっきらぼうに腕で払う。
目的を果たすことが最優先だったのだ。
「いや……しってる……ルナ……イ……ザー!!
ああああああああああああああああああ!!!」
顔を引っかく様に、顔を右手で覆う。
「kdぬcルナhdきえkイhdこcザーjfkd破dふいおslどcrj壊!!!」
他の部分はそのままに、右手だけがアイスピックの様な銀色の槍に変わる!!
「んdhyfばいえdk!!!」
「jdbcrjふぉさldf!!」
「mんzbsふぇyjどfggl!!」
明の母親の様子が変わると同時に、まるでそれが合図だった様に他の患者、それだけではなく看護師や、医者までもが体の一部をエラー化させ襲い掛かってくる!!
「なに!?」
後ろから跳びかかった、車いすの患者を蹴り倒し月翔が辺りを確認し始める。
「キエラ!!」
「うん!!」
キエラを呼び寄せると同時に、キエラの姿が一本のベルトへと変わる。
「変――ッ身!!」
腰に巻き付け、腕をクロスしベルトのバックルを叩く!!
バックルのデザインされた楕円の月が、満月と三日月に別れその間から、深紅の風車が出現し風に包まれながら、月翔の姿が変化する!!
「はぁッ!!」
漆黒もボディに水色のマフラー、悪魔の様な2本角のメット。
生物の様にも見える光沢あるスーツ!!
世界のハザマより出でたるライダー!!
その名もルナイザー!!
「まってまってまってまってまっていたよ~?」
空中にいつの間にかジョーカーが、現れていた。
「ジョーカー!!!貴さまの仕業か!?」
「あはははははははははあは!!本当は入院してる女の子をダシにして、パンドラからつぶす気だったけど……
まぁいいや!!君からスクラップにしてあげるよ!!
いけ。」
ジョーカーが指を鳴らすと同時に、怪人たちがルナイザーへと襲い掛かる!!
「むぅ!!ぬるい!!これしきで俺を獲れると思うな!!」
腕、足を振るうたび、エラーが吹き飛ばされていく!!
「う、うわぁああああああ!!」
ルナイザーの視界の端に、キエラの友人の明がうつる。
彼の母親が変化した、エラーのよって追い詰められている!!
「計算開始――算出終了。あちらが優先だ!!」
囲まれる場所を無理やり脱出し、明のもとへとルナイザーが走る!!
「邪魔だ!!」
明の母親のエラーを突き飛ばし明を、抱き上げるルナイザー。
脳内で病院の見取り図と敵位置を計算し、脱出経路を計算する。
「nyでうfkfねいssrjf!!」
母親のエラーが再び、アイスピックの様な腕を振るう!!
「チィ!!破壊する!!」
咄嗟にランスを出現させ、エラーを薙ぎ払おうとする!!
「や、やめて!!」
腕の中の明が、ランスを見て悲痛な声を上げる。
戦闘開始時に計算されたルナイザーの戦術に、子供の悲鳴。いや、此処は『人間の心』というべきか?
ソレが不確定要素となった。
一瞬の躊躇、それは戦場で命取りになるのに十分だった!!
「ぎぃご……ぶ……」
エラーのアイスピックの腕が、ルナイザーの鳩尾を刺し貫いた。
「ばぁ~か。人間の真似をするからそうなるのさ、出来損ないめ!!」
何処か遠くでジョーカーの嘲笑が聞こえた気がした。
人の心って、強さでもあり弱さでもある気がする。