なんか、記憶とライダーの声が少し違う……なんで?
「繋がった様だね……さて、諸君。
ハンティングゲームの始まりだ、存分に楽しもうじゃなうか!!」
ゼリキッドが開いた空間の穴に、レーザンジ、シプラス、理折が次々と飛び込んでいく。
「………………」
最後に、ジョーカーがつまらなそうな顔をして飛び込んだ。
「ここは……たしか、レーザンジに……ハッ!?キュピルスは!?
此処は何処だ!?」
目覚めた光一が目にした光景は、一言で言ってしまえば広大な子供部屋だった。
所々、大小感覚がおかしく、足元に電車が走ったと思えば実際の家と変わらないサイズの積み木、それよりもさらに大きなテディベアがそれを見下ろしている。
「どうだい、僕の空間は?」
後ろから掛かる声に、光一が振り返る。
そこには白い服を着た、男が立っていた。
男というよりは少年と呼べる姿だったが。
「おまえ、その声……キュピルスか!?その姿はどうした!!」
「待てよ、質問は一つずつだ。
最初の質問に答えようか、ご明察通り僕が『キュピルス』だ、この姿は光一を勝手にモデルにさせてもらったよ?」
指をたて、近くにあったクッションに座る。
そののんびりした姿に光一は少しイラついた。
「何してるんだよ!!早く、外に出るぞ!!レーザンジが暴れてる!!」
光一の言葉に、キュピルスが首を横に振るう。
「無駄だ、僕を封印していたキューブは壊れた。
今の僕はクラッシュ進化寸前のエラーだ。戦う事は出来ない。
それに、ベルトの無いお前が此処にこうしていられるのは僕がクラッシュに近いお陰だぜ?この空間から出たらすぐにでも、君はハザマの世界の影響を受けて消える」
「なんだよ……ドン詰まりかよ……」
力なく、光一がうなだれる。
だが、すぐに顔を上げる。
「まだ、まだ破片が有るハズだ……砕けたキューブを集める!!」
バックルの砕けたベルトを腰に巻き付けると、キュピルスに詰め寄った。
地上にて……
「目視――次元のハザマを発見。ぶっこむぞ!!捕まってろ!!」
「うん!!」
ハザマの世界へと、何者かが侵入していった。
「グはッ!!はぁ……はぁ……くそ!!レーザンジめ!!」
口からタールの様な黒い液体を吐き捨てながら、ギジョアが立ち上がる。
レーザンジの攻撃から辛うじて致命傷を逸らしたが、それでも無事とは呼べる様子ではなかった。
そんなギジョアに手を差し伸べる男が一人。ディヴィノックだった。
「無事……で、よかった……」
仲間の声を聴き、ギジョアがディヴィノックの姿を見て絶句する!!
「お前……ソレ……!!」
手を差し伸べたディヴィノックには左半身が殆どなかった。
焦げた様な傷から、ボロボロと灰化した体が崩れていく。
「俺を……レーザンジの攻撃から……」
「お前を……守れ……た」
力なくほほ笑むその姿、感情を見せないディヴィノックが初めて見せた笑顔だった。
グシャ!!
その場で、ディヴィノックが崩れる様に倒れる。
「お前は……目的を……」
意識も呆然とする、ディヴィノックをギジョアが抱き上げる。
空から水が吹き出る!!ゼリキッドがこちら側と向こうをつなげようとしているのだ。
「止めろ!!逝くな!!お前まで、俺を置いていくのか!!」
「……同じ、物を……見る事の出来た仲間が……いて……良かった……ハザマの世界でも……虚無から生まれた俺たちでも……」
「ああ……居たよ。確かに此処に俺たちは『いた』!!確かに『いた』んだよ!!」
そこまで話すと、ディヴィノックはあっけなく砕けて消えていった。
「ああ……ああああああああ!!!!ああああああああああああああああ!!!!」
ディヴィノックの欠片を拾い集め、ギジョアは一人涙を流す。
その時、此方の世界へレーザンジが入って来たのを理解した。
自身の力で、十字架を作りその下にディヴィノックの破片を埋めた。
「すまない、太陽の下でも、花の咲く場所でもないが……此処で眠ってくれ……
だが、荒らさせや、しない……俺たちの『居場所』を渡しやしない!!」
姿を怪人の姿に変えると、レーザンジのいる方向に向かって走り出した!!
「シュート!!」
「ぐわぁあああ!!」
シプラスの攻撃によって名も無きエラーがまた一体破壊された。
抑揚のない言葉は、無機質で本当にコレが人間なのか解らなくなる。
「つまらないな……」
レーザンジの言葉に従い、シプラスとジョーカーの二人組が歩く。
何処を歩いても、広がるのは廃墟ばかりでエラー自体、殆どいない。
レーザンジと、一緒にいたくなかったジョーカーは半場無理してシプラスに付いてきていた。
「うぉぉおおおおおお!!」
突如、シプラスが何者かで鈍器で殴りつけられ空を舞う!!
二人の目の前に現れたのは、ファクトリーエラー。ギジョアだった。
「ジョーカー……レーザンジは何処だ?」
たった一つしかない、ランプ型の目がジョーカーを睨む。
「さぁね……この先だよ」
「ファイア!!ロード!!」
ジョーカーの影から、シプラスがギジョアを炎の光弾で攻撃する!!
「舐めるな!!」
それを、手でかき消しながらシプラスを殴りつける!!
「デリート!!」
しかしシプラスも、負けてはいない!!
至近距離の光弾で、ギジョアを撃つ!!
「ぐぅあ!?」
「シュート!!」
破片を撃ち、ギジョアに廃墟の一部を落下させる。
機械の様な正確にして冷酷な戦いだった。
「ターゲット、ロック!!」
何とか這い出した、ギジョア目がけて再び光弾を発射しその身を、大きくふっ飛ばした!!
「つ、冷たい!!」
その先は、ゼリキッドの一部。
流れ落ちる水とその溜まり場だった。
「サンダー」
「ぐぅぁあああああああああ!!!」
そこに電流を流し、ギジョアを攻撃する!!
ジョーカーの目の前で、何度もかつての仲間が、苦しみの声を上げる。
「はぁ……はぁ……くそ!!」
「排除」
「ぐぅ!?」
「排除」
「がぁあああ!!!」
「排除、排除、排除」
「うっ、ぐッ……あ……」
表面にヒビの入った、ギジョアが何度も立ち上がる。
その度に、シプラスの容赦ない攻撃が入る!!
「効果が薄い様です…………ボルバーの安全装置を解除」
しびれを切らした、シプラスの胸のパーツの一部がハズれる!!
その言葉通り、身の安全を捨てた攻撃形態なんだろう。
ジョーカーの目にも解る量のクレアシオンがたまっていく!!
「アブソリュート・デリート・シュート」
「舐めるな!!」
引き金を絞る、シプラスを肩から生成した斧を投げつけ、攻撃する!!
見事にリボルバーに当たった為、光弾が有らぬ所へと飛んでいく!!
地面を焦がし、大きなクレーターが生成される、ゼリキッドの水の一部が触れた瞬間蒸発した様子を見ると相当威力が高かったのだろう。
「戦闘続行!!」
ヤバい!!
と思ったジョーカーはすぐにその場から、逃げ出した!!
加減など全く考えない、シプラスの攻撃が周囲を攻撃する!!
当たればラッキー程度の考え何だろうが、その攻撃の威力はもは使用者の身の安全など全く意に介していない!!
「コレが……レーザンジのやり方だ、所詮僕も、ゼリキッドも、シプラスも使い捨てなんだ……」
呆然とする、ジョーカーの少し前にギジョアが立つ!!
「シュート!!」
「え!?」
加減を知らない、シプラスの攻撃がジョーカーの近くのギジョアに向かう!!
勿論その余波も、容赦なくジョーカーに降りかかった!!
「ぐぅ!?」
右手が痛い!!掠ったか?それとも消失したか!?
そんな事を考えると同時に、自身の落下予測地点を見ると!!
「そん――!」
さっきシプラスの作ったクレーターだった。
未だにすさまじい熱量を誇り、自身がそこの落ちたらタダですまない事はわかっていた。
だが、同時に、少しだけジョーカーは期待した。
(やっと、やっと僕も……死ねるのか……裏切り、裏切られ、利用されて……やっと、その螺旋から僕は解放されるんだ……)
自身を待ち受ける、死を受け入れようと両手を開いた。
「さよなら……」
「はぁ!!」
堕ちるジョーカーの手を誰かが掴む!!
「なんで……?」
その手を掴んだのは、ギジョアだった。
ひび割れ弱った体で、ジョーカーの手を握る!!
「ふぅん!!」
そのまま力を込めて、ジョーカーを穴から救出する。
投げ捨てられたジョーカーは呆然と、ギジョアを見る。
「有効な戦法を発見、実行」
シプラスが銃口をジョーカーに向ける。
突然の事で、ジョーカーは反応出来ない。
パァン!!
「ミッション、コンプリート」
「何で……なんで……こんなの……こんなの嘘だ!!うそだ……うそだ!!うそだぁああああ!!」
ジョーカーを守る様に立ちふさがった、ギジョアの姿。
そして、そこから漏れる黒いタールの様な血。
「何で、だろうな?俺にも……解らない……」
そのまま、ギジョアがジョーカーを抱きしめる様に倒れた。
「トドメ」
再び、シプラスの攻撃が迫る!!
滅びの力を纏った光弾が、動けない二人を狙う!!
だが、その力が再び現れた侵入者によって消し飛ばされる!!
「みんな……来てくれたんだな……」
ぼそりとギジョアが声を漏らす。
そこには二人の男が立っている様な気がした。
獣の様な、強くしなやかな男。
人の様な、優しくそして無情な男。
その二人が重なった様に、ジョーカーには見えた。
「非常に高い性能を確認。そちらの識別IDと作戦目標は?」
「仮面ライダールナイザー!!自由を望むモノの味方!!」
ハザマの世界より生まれた漆黒のライダー、ルナイザーが立ちふさがる!!
ディヴィノック、敗退。
何気に、強キャラだったのに……
近いうちにエラー幹部側は全滅かな?