心を閉ざす者 完結   作:サイトメガロ

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激突

「………………」

 

「………………」

 

数秒、数分が過ぎ……もう直ぐ一時間と言うくらいまで、その無言は続いた。だが、その無言は当然の現状だと、颯真は思っている

現状況に置いて、兵藤一誠に迷いが生じているのは明らかであり、それが自分の主であるグレモリーがかかわっているのなら、尚更だろう

 

「……さらに言わせてもらおうか? その堕天使をグレモリーが始末しなかったから、アーシア・アルジェントが死んだとは思わないか?」

 

「っ!!」

 

「聖女と言われていた彼女が魔女と言われたのはともかくとして、彼女が悪魔になったのも……元をたどれば、すべてはグレモリーの責任でもある。彼女が先に堕天使を始末していれば、アルジェントは、死なずに居られたはずだ。そうだろう?」

 

「それは……教会が使われていたと思っていただけで……」

 

「それこそ、グレモリーの管理が疎かだったからだろう? あの教会が使われているか、いないかなんてのは、調べれば直ぐに分かったはずだ……そうしていれば、たとえアルジェントが悪魔になることが必然だったとしても、死ぬと言う恐ろしい体験をしないでなれたはずだ……お前も、彼女を失う事を体験しなくて良かったはずなんだよ、兵藤一誠……」

 

「………………」

 

迷うか……まぁどうなろうといいが、俺は早くお前の答えが知りたい……俺は別に、貴様を自分の勢力に勧誘しているわけではないのだから

 

「………………助けた理由は、部長が好きだから……」

 

思っていたよりも、根本的な言葉が帰って来た

 

「最初に此処に入学した時、部長の髪がすげぇ綺麗でさ!! 見惚れちまって、見つけると絶対眼で追っちまうんだ……二年になってからも、それは変わらないで……死にそうになった時も、赤い血を見て部長を思い浮かべて……その後に、部長と目が合った瞬間……めちゃくちゃ綺麗でさ!!……なんて言うか……ドキドキしたんだ……!!」

 

「………………」

 

「最初に契約に行ったときに……成功したら、優しく抱きしめてくれてさ……嬉しくて、泣きそうになっちまって……弱い俺を見捨てないで、ずっと見守ってくれたんだ……アーシアが殺されそうになった時は、俺の事を後ろから支えてくれたんだ……ライザーの時は、悲しそうにする部長を見て、そんな顔にさせるあいつをブッ飛ばそうって思ってやったんだ!!」

 

俺は目の前で熱く語る男を見て、何も感じはしないが……アイツの言う答えであるのだろう

 

「確かに……本当なら死なずに、俺はまた俺の友達の松田や元浜と馬鹿やってたかもしれない……けど、俺はこれで良かったと思ってる……部長に……皆に会えて……」

 

「……そうか」

 

迷いなきその瞳、自分のやる事にもう迷いは持たない。なるほど、お前は根本的な部分が違ったんだな。只、主の為ではなく、リアス・グレモリーの為に動いていたと……

王の為ではなく、好きな女の為に動き、そしてその者の笑顔を望むか……

 

俺の進む道の壁になる存在だな……だが、今はその想いで何が変わるのか、教えてもらおうか

 

「ならば、兵藤一誠……お前、今回の婚約、まだ諦めてはいないだろうな?」

 

「当り前だ!! ライザーをブッ飛ばして、部長を連れ戻す!!」

 

「……そうか。なら、五分後……お前を婚約パーティーに送ってやる」

 

「マジで!! 今日やる事になってるのか!!?」

 

「ああ、お前が主を……いや、グレモリーを助け出すなら、絶好の場所だろ?」

 

「……ああ!! やってやるぜ!!」

 

「五分後、またここに来る。それまでに、向こうに行く準備だけ整えておけよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事実、グレモリーが誰と結婚しようとどうでもいいが、赤龍帝の底力を見ることの出来る機会でもある。だとしても、俺らしくないな

奴らを殺すことに迷いはない。それだけで十分だ。何せ俺ははぐれ扱い……いずれは向うから、俺を殺しに来るはずだからな

 

「……颯真さん」

 

「……何もできなかったことを悔やむか? アルジェント……」

 

「今回……私は何もできませんでした」

 

「当然の結果だな。お前のような非力な存在が、ライザー眷属に適うはずがない……回復させて、誰かを癒すことしかできないお前に、闘えと言う方が無駄か……」

 

俺はアルジェントの横を通り過ぎ、そのまま兵藤一誠の部屋の前で泊まる……振り返り、アルジェントに伝える

 

「お前は誰かに傷ついてほしくないのだろうが、それは無茶な話だ。悪魔となった以上、その現実は受け入れるべきだ。だが……貴様の想いが、絶対に間違いなどという事は無い……」

 

「……颯真さん」

 

「もっとも、俺にはその想い……理解できないがな……」

 

俺は部屋へと入り、兵藤一誠を見る。先程よりも覚悟を決めた顔をした良い存在へとなっているのを見て、俺は言葉を投げかける

 

「準備はいいか?」

 

「ああ、いつでも!!」

 

「負ければお前は一生牢屋の中で過ごすかもしれないぞ?」

 

「別にかまわねぇ……それが、俺の望んだ結果なら」

 

そうか……ならば、少しは楽しませてくれよ……赤龍帝……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ついたな……此処から先は、お前一人でやれ……」

 

「ああ、ありがとな」

 

婚約パーティーをしているだろう会場へと着き、俺は兵藤一誠に告げた。自分はこの場から少し離れた場所で、コイツ等の戦闘を見させてもらおうとする

 

「兵藤一誠……」

 

「……なんだよ、颯真」

 

「お前は大切だと言ったな? ならば、勝ち取れ……どれほど汚かろうと、どれほど傷だらけになろうと、どれだけ無様になろうとも……その手で大切な者を奪い替えせ」

 

「っ!!………………おう!!!!」

 

そう言い終わると、一誠はその場を去って行った……さて、此処からだな……俺は後ろを向き、そのまま立ち尽くしていると、そこには下級悪魔の監視が来た

 

「貴様、魔狩りだな……こんな所に何の用だ……」

 

「お前ら如き塵が知る必要はないだろう? これから死ぬものに何を語ろうと、それは無意味に終わるんだからな。ええ? 雑魚共」

 

「貴様!!」

 

聖剣を取り出し、前衛の三にを斬り裂き、捨てて置く。その場にあった綺麗なレッドカーペットは、血生臭く赤黒い色へと変化していく

 

「このっ!!」

 

「甘いな」

 

相手の剣を受け流し、そのまま回転して首を切り落とす……鮮血は散り……壁や天井をも赤く染め上げていく

 

「ひぃ!!」

 

「な、何なんだよアイツは……!!」

 

援軍を呼ぼうとしているのか、敵は連絡を入れようと右腕を出したが……それを見逃してやるほど、俺も甘くないんでな。俺は直ぐに奴に近づき、その右腕を斬り落とした

 

「ぎゃぁぁぁぁぁ!! いてぇ!! いてぇよぉ!!!」

 

「なら、今すぐ楽にしてやる」

 

そいつの首を斬り落とし、最後の一人を見下ろす。既に戦意喪失しているが、今の俺には関係のない事だ……誰が目の前で死のうと、それは他人事であるがゆえに……

俺は最後の一人を命乞いをする間もなく、その場で斬り捨てた……

 

「心配する事は無い……いずれ、この先でこうなっていただけだ……それが早まっただけの事……」

 

さて、お前の底力……見せてもらうとしようか……兵藤一誠……その力の大きさによって、俺は今後お前に対しての対策も練らざるをえない状況になるかもしれない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……本当なら、今のうちに兵藤一誠を消すべきだろうが……まだ、悪魔陣営と殺し合うわけにもいかない……曹操が戦争をかけた時……その時に、俺も奴らへの戦闘を開始する」

 

だからこそ、今は情報が必要なんだ……何よりも、どんな物よりも情報が……

 

「さて、あいつは今どうしているのだろうな……」

 

俺は会場に設置されたフィールドを除き見て、そのまま観戦をする。現状、一誠のあの禁手(バランスブレイカー)赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)の状態を見て、俺は少し考える

 

赤龍帝のドライグとの契約により、自分の腕を差し出してまで助けようとするか……ああ、理解に苦しむ……

 

「だが、それも時間切れか……」

 

俺は奴に勝てるとは思っていない。いくら切り札があるとはいえ、それが切れてしまえばそれは不可能だと、俺は知っているからだ

だが、この男はやはり、俺の予想を軽く上回ってくれる

 

「火を消すには……水、だよな」

 

あれは、聖水か……? なるほど……あの左腕は既にドラゴンの腕、悪魔も関係なしに聖水を持とうと、十字架を持とうと関係ない……

それを強化させて、ライザーに浴びせたわけか

ライザーは強化された聖水を受けて、そのまま崩れ落ちる。だが、それで終わりはしない。フェニックスと言えど、その体は悪魔……精神までは瞬時に回復させられない

 

「アーシアが言っていた。悪魔は聖水や十字架が苦手だって!!」

 

ライザーの攻撃を跳躍して回避し、そして降りてくる兵藤一誠……

 

「木場が言っていた。視野を広げて相手を見ろと!!」

 

聖水を左腕に纏わせて、そのまま魔力を左腕に溜めていく。その流れるような感じは、前のような戦い方ではないと実感できる

 

「朱乃さんが言っていた。魔力は体の中心部から流れるように集めるんだと!!!」

 

「ま、待て!!! これは悪魔にとって重要な事なんだぞ!!! お前の様なガキが、同行して良い物じゃ無いんだ!!!」

 

「……颯真が言っていた」

 

……愚かな物だな、ライザー。今の俺は相手にとって間違っている。あの時、神を信じた俺が持っていた物を、今のイッセーは持っている

そんな状態のイッセーに、お前如きがかなうはずがないだろ

 

「大切なら勝ち取れって!!! どれほど汚くても!!! どれほど傷ついても!!! どれほど無様でも!!! 俺のこの手で大切な者を奪い返せって!!!!」

 

だからこそ、俺はイッセーを否定する。あいつは昔の俺と同じだから……何もかもを信じて行こうとしした。そんな目をしているから……俺はそんな過去を斬り捨て、そして前へ進む

アイツが俺にどんな綺麗な道を用意したとしても、あいつが俺の罪を共に背負うとしても……俺はあいつを斬り捨てる。そう決めたんだから……

 

「あの時部長が泣いてたんだよ!! 俺がお前を殴る理由は!! それだけで十分だぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

ああ、大嫌いだ

 

そうやって誰かの為に動く奴を見ると、いつも吐き気がする……綺麗事を並べて、正しいと疑わずに進むそんな存在が……俺は大嫌いだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勝負は赤龍帝の勝ち。勝つの望みはグレモリーただ一人……その場にグレモリーの眷属は一人としておらず、既に人間界へと戻ったようだ

だが、奴はまだ納得がいっていないようだ

 

「離せユーベルーナ!!!!! 赤龍帝を出せぇぇぇぇぇ!!!!」

 

「なりません!!! ライザー様!!」

 

「がぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

ライザー・フェニックス……グレモリーとの婚約を邪魔されたんだ。怒るのも無理はないだろうが、先程の事で誰もが奴を汚い眼で見ていた

 

「やめろライザー!!! 貴様は負けたんだ!!!」

 

自分の父親の言葉も聞かず、そのままグレモリーを追いかけようとするが……それはある男によって止められた……

 

「ガハッ!!?」

 

「ライザー様!!?」

 

「ごちゃごちゃとうるさい雛鳥が……喚いてんじゃねェぞ」

 

「「「「っ!!!??」」」」

 

そこに立っていたのは、悪魔陣営に置いて最悪最恐の存在である『魔狩り』鳴神颯真であった。警備員の首と体を両手に持ち、そのままライザーへと投げ捨てる

戦争を知らないライザーは、この死体を見ることにより、少し怯えを感じていた

 

「だ、誰だ貴様はぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「魔狩りだ、フェニックスの三男坊。愚かであり、無様であり、下らない戦いだったよ。貴様のような無価値な存在があの戦いで負けるのは、ある意味当然だっただろうがな」

 

冷酷な表情をしながら、俺は遠くに居る二人の魔王を見る。そいつらも俺に気付いたのか、こちらに険し顔で睨み付けてくる

 

「……まぁいいさ。とりあえず、貴様のように喚いている鶏が居ては、静かに夜が眠れないんでな。少しの間、黙っていてくれるか?」

 

「ふざけるなよ人間風情がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

炎を片手に振りかざして、そのまま殴りかかってくる。俺はそれを避けようともしないで、その身一つで受け止める。それに調子づいたライザーは、そのまま何度も殴りかかる

 

「人間が悪魔に楯突いてんじゃねぇ!!! お前のような糞ガキの相手をしている暇はないんだよ!!!」

 

特大の炎を俺に向かって投げつけ、俺はそれに飲まれる。パーティーに来ている悪魔どもは、それに感心して歓声を上げる

 

「やったぞ!! あの魔狩りが圧倒されてる!!」

 

「もっとやれ!!! ライザー!!」

 

「これでようやくゆっくりと寝られるという物……!!」

 

全員が先程までライザーを下らないと思いながら見ていたくせに、本当に都合のいい奴らだ。この程度で……この程度で俺が負けるはずがないのにな……

 

「俺の邪魔をするから……っ!!?」

 

「少しは優越感に浸れたか? なら、今度は俺の番だな」

 

聖のオーラを纏った拳で、たった一発だけ……ライザーの腹を殴る……心臓の部分を狙った一撃なんだ、生きているだけありがたいと思え、まぁもっとも

 

「ゴホッ!!? がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「ら、ライザー様!!?」

 

死んだ方がマシだと、そう感じるほどの痛みが体全身を巡るだろうがな……

ライザーは体全身に痛みが走り、その苦しみから逃れようと体をねじるが、そんなことしたところで変わりはしない。ずっと、そのままのた打ち回り、苦しみ続けている

 

「掌底に近い感じで拳を撃ちこんだ。体全体を聖のオーラが走っているはずだ……何、死にはしないさ。只……治療をしなければ、一週間ぐらいはずっと苦しみ続けるはずだ」

 

「ぐっ!!! がぁぁぁぁぁぁ!!! あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「だが、俺の目的はそこじゃないんだ。赤龍帝は目的のひとつなだけ……本当の目的はお前だったんだよ……ライザー・フェニックス」

 

いいや、正しく言うのならば、フェニックスが目的だった。今回は赤龍帝と同時に得られたんだ、感謝させてもらうぞ

 

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「喚くな。何、血を取り出しているだけだ……いくら貴様でも、フェニックス家の者。その血は本物だろう」

 

俺は注射器でライザーの体から血を抜き取り、それをパックへと入れていく。その様子を見た者達は、直ぐに戦闘態勢に入り、そのまま魔法での攻撃を始める

 

「いつ見ても遅い……攻撃するのなら、ライザーが俺に攻撃をしている時にすればよかった」

 

俺は既に血を抜き取っており、それを神威で時空間へと飛ばしておいた。俺は魔法の攻撃を受けるが、神威によりダメージはない

 

「もう用は済んだ、これで帰らせて……っ!!!?」

 

「そうもいかないんだ!!」

 

グホッ!!!? チッ!! 神威を解くのが早すぎたか……!! なんだこの重さは……!! 他の悪魔の打撃とは、格が違う一撃……!!!

 

ドガァァァァァァァァァァ!!!!

 

俺はパーティー会場の壁を貫通し、そのまま近くにある山へと激突した。砂煙が上がり、俺はゆっくりと立ち上がる。見通しの甘さ、まだ抜けてないな

 

「どうした、魔狩り。貴様の実力はこの程度か?」

 

「ケホケホ……ほざけ、トカゲ野郎……不意打ちでしか攻撃が通らないくせに、生意気言ってんじゃねぇよ……」

 

体の硬質化により、俺は体へのダメージを減らした。殴られた一撃は重かったが……そこまでのダメージじゃない

 

「ほう、ならばまだ戦えるよな? 魔狩り!!!」

 

「当たり前だろ、魔龍聖(ブレイズ・ミーティア・ドラゴン)……悪魔界の最上級悪魔にして、元六大龍王の一角……タンニーン!!!」

 

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