心を閉ざす者 完結   作:サイトメガロ

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復讐とは

「はぁ!!」

 

「何度やっても同じだと、まだ解らないのか?」

 

俺は上空で聖獣を少しずつ創り出しながら、白龍皇ヴァーリの相手をしていた。相手と言っても、只、ヴァーリの攻撃を回避しているだけだ

今回の目的はあくまで宣戦布告であり、敵戦力とガチでの戦闘が目的ではない。今の俺には、ヴァーリを殺す理由もない

 

ヴァーリの攻撃を神威によってすり抜けさせ、目だけはアザゼルとカテレアの戦闘に向けていた。ヴァーリはその様子が気に食わないようだ

 

「何故戦わない!!」

 

「興味がないから、価値がないから、メリットがないから……他にもあるが、基本的にはこんなものだ。俺は三大勢力への宣戦布告で来た。お前と闘う為ではない」

 

ヴァーリの能力、いや……白龍皇の能力は半減だが、それには相手に触れる必要がある。だが、その能力を出すには、俺の能力は相性が悪すぎる

俺の神威の持続時間は約15分……一回神威を止めて、もう一度発動することで、それを何回も繰り返してはいるが、そろそろヴァーリの存在がウザい

 

「もう少しの間、ジッとしてろ……神羅天征」

 

「がぁっ!!?」

 

ヴァーリを吹き飛ばし、そのまま地面へと激突するが……途中で『Divide!!』と言う音が聞こえた辺り、俺の攻撃を半減させたか

面倒だな、威力をどうこう上げるには発射前にしかできない。発射後に威力を増加させるには赤龍帝くらいの者が必要となる

 

「それだ……!! 貴様のその規格外の能力と力!! 神器(セイクリッド・ギア)無しでの戦闘能力の高さ!! 俺はずっとお前のような存在と戦ってみたかった!!!」

 

「チッ……面倒な能力と、その戦闘狂と言われてもおかしくない性格。そして、何よりもその血筋……鬱陶しいにもほどがあるな……空中を飛び回る白い(ハエ)が…………地に落ちて這いつくばれ」

 

『白龍皇を前にして……この二天龍を前にして……我らをハエと呼ぶかっ!!!』

 

「何一つ救えない神に封印された存在を、そう呼んで悪いのか? ならば訂正させてみろ……無駄だろうがな」

 

「行くぞ!! 鳴神颯真!!!」

 

相手にするのは嫌だが、此処で邪魔を続けられるのも不愉快。しかも、中にいるアルビオンまでもが俺を殺そうとしている。なら、相手にしなければ、もしかしたら……

 

「指一本くらい……もっていかれるかもな」

 

既に本気の状態のヴァーリに対して、俺は別段本気ではなかった

ヴァーリに触れれば、俺の力が半減する。相手に触れずに勝つことを重視するべきだな……

 

魔力の弾丸を神威を使いながら避ける。距離を取って俺に攻撃を仕掛けている辺り、俺の天道の能力を避ける為にあれだけの距離を保っているのか

機転は聞いているみたいだな……だが、その程度で攻略できるほど……俺は弱くないんだよ

 

「餓鬼道」

 

「っ!! 魔力を吸収しているのか……!!」

 

神威は解ければかなりのリスクがある。現状況ならば、神威を使わなくても勝てる……俺は魔力の大部分を吸収して、体に流し込んでいく

 

「お前のおかげで、聖獣の創造量が増えた。お礼と言っちゃなんだが……これでもくらえ」

 

「何……!!」

 

「修羅道…………レーザー砲で消し飛べ」

 

俺は吸収した魔力を使い、修羅道で作り上げた腕の形をしたレーザー砲を構える。それを避けようとするヴァーリだが、俺の天道がそれを許さない

 

「万象天引」

 

「ぐっ!! 引き寄せられ……!!」

 

「消し飛べ」

 

ゴアァ!!! と、腕から放たれるレーザーはヴァーリを飲み込んだ。俺は撃ち終えた腕を斬り離し、そのまま様子を見る。加減はしていない

いや、修羅道の武器のほとんどは手加減などする方法がないのだから、その表現はおかしいか……

 

レーザー砲はヴァーリと共に地面へと激突、そして爆発した。かなりの砂埃が立ち昇り、ぶつかった地面にはクレーターが出来ている

 

「魔王の血筋と言えど、この程度か?」

 

「……侮らないで貰おうか……俺はこの程度で死なないぞ……」

 

ほう、一応直撃だったが……地面にぶつかる衝撃と、レーザー砲の威力を半減させたか……判断の速さはかなりの物、だが……俺には及ばない

だとしても、六道の力で攻撃力を誇るのは天道と修羅道のみ。この二つでヴァーリを殺しきるにはまだ浅い……他は攻撃と言うには甘すぎる……仕方ないか……

 

「お前が初めてだな……これを見るのは……」

 

俺は万華鏡へと変えて、自分の周りに骨の様な物が浮かび上がってくる。段々とそれは形を創り出していき、それは形成された

 

「は、ははははは……!! 凄い、凄いぞ!!」

 

「これがお前ら全員に初めて見せる。俺の両目の能力……須佐能乎だ」

 

黒色で形成されたそれは、死神のそれに近いオーラを放っている。段階的には第三形態……もう既に完成形態にはしてあるが……それを見せるまでもない

 

「さぁ……此処からだろう? 白龍皇」

 

「当然だ!!」

 

ヴァーリはスピードを上げて俺に向かってくるが、俺から見れば遅い。写輪眼を持つ俺の先読みにより、俺はヴァーリの打撃を避ける

須佐能乎の刀に神威を纏わせて、そのまま斬りかかる

 

「神威斬り」

 

「っ!! ごはぁ!!!!??」

 

『ヴァーリ!!』

 

俺の神威斬りはヴァーリの腹を直撃、神威の能力により、斬り裂かれた部分は空間如きえた。だが、一撃が甘かったのか知らないが、半分に斬り裂かれていない

 

『馬鹿な……あの男、空間ごと我々を斬り裂いたぞ!!』

 

「ゴホッ!! ガハッ!!」

 

「もうそれでは戦闘を続けることは不可能だろう。さて……お前から戦いを挑んだんだ……死ぬ覚悟位はあるよな?」

 

俺は止めを刺そうと、そのままヴァーリに須佐能乎の刀を振り下ろす……ズドンッ!! と、音が響くが……須佐能乎の刀に手応えがなかった

 

ふと、この場に増えた魔力を感知。その方向には……

 

「お前か……孫悟空」

 

「よぉ、魔帝。初対面なのに俺っちの事を覚えてくれてるのかい?」

 

「当然だろう。お前らはオーフィスの勢力。俺の邪魔を一番しそうなのは、お前らのチームだからな……貴様らはしっかりと調べ上げているぞ。ヴァーリチーム」

 

「おいおい、まだヴァーリが入ってきてそんなに経ってないのにそこまで知ってるとか、マジでヤバいな」

 

俺の須佐能乎の攻撃速度をヴァーリが半減し、その間に孫悟空……美候が助け出したと言ったところか……無駄な抵抗をする

 

「流石にここまでだな。退散させてもらうぜ」

 

そう言うと、美候はヴァーリを連れて魔法陣を使ってその場を消えた。周りを見れば、ほとんどの魔術師はやられ、俺の出した聖獣達との戦闘が主になっている

ヴァーリを追わなかったのは、元々相手の邪魔を消す為であったから。確かに殺せればとは思ったが、追いかけてまで殺そうとは思っていない

 

いずれ、奴も俺の前に立つ。その時に殺せばいい……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっそ!! なんだよコイツ等!!」

 

少し先へと進めば、俺の聖獣に苦戦しているグレモリー眷属が居た。カテレアとアザゼルの戦闘も終わり、もう終盤と言う辺りか

だが……俺は今落胆している

 

俺はどれほど弱かろうと、その者に警戒心を持つ事を重視している。一瞬の油断も命取りだからだ……そうやって何人もの存在が、俺を殺そうとした

今回もそうだ。弱かろうと、まだステータスが高い方の下級聖獣を選んだつもりだ。俺は、この程度ならグレモリー眷属は倒せるだろうと考えて……

 

だが、結果だけを見ればそれは違った。目の前ではこの程度の聖獣達にやられている赤龍帝を含めたメンバー。コイツに唯一負けていないのが、木場だった

元々、木場の聖魔剣を参考に作り上げた聖魔獣達……元となった人物だけは、この程度の奴らには負けていなかったんだ

 

「……やっぱりお前か、魔帝」

 

「数日ぶりだな、アザゼル」

 

「……お前もヴァーリ達みたいに戦争を望んでいるのか?」

 

ヴァーリの裏切りに気付いていたのか。まぁ、気付けないようじゃ、堕天使を束ねる資格もないという物

 

「……颯真!! お前何でこんな事を!!」

 

俺の存在に気付いたグレモリー眷属達も、俺になぜこのような事をするのか質問してくる。それは当然の行為である。知能を持つものは、知的好奇心にかられるときもある

 

「…………一言でいうなら……只の自己満足だ」

 

「自己満足だ? 俺達三大勢力をぶちのめして、自分からこの世界の王にでもなろうと思ってたんじゃないのか?」

 

「くだらないな。実に下らない…………そんな考えを持つのは、お前の消したカテレアや旧魔王の存在だけだ。あんな奴らと同等に扱うな……不愉快だ」

 

「じゃ、なんだっていうんだよ」

 

「俺は王になるつもりはない。王とは、民を導き、民を守り、そして道標として立つものだ。だが、俺には王は向いていないんだよ……俺は民を導かない、守らない……ましてや道標などになってたまるか。俺がやりたいのはもっと単純だよ……貴様ら三大勢力……いや……悪魔陣営の殲滅だ」

 

それは昔から変わらない、俺が目指す物。只、それだけを考えて今まで生きてきた

 

「それこそ下らないな。お前、家族でも殺されたのか? それだけで悪魔全滅させるとか、馬鹿みたいなことを考えたな……」

 

「くだらないか……そうかもしれないな。お前の言う通り、俺のこれから起こす事はくだらないし、誰一人として幸せにはならないだろう。俺も含めてな……だが、それでいいんだ」

 

俺はしっかりと俺を見ている者達に向けて言う

 

「復讐とは自己満足だ。復讐を死んだ者が望まないのは当然だ。だが……俺は家族を殺されてなどいない。貴様ら悪魔に抱く感情は、俺の勝手な物だ。復讐とはそう言う物だろう? 誰かの為に復讐相手を殺すのが復讐じゃない。自分の抱く感情を満足させるためにするのが復讐だろう」

 

アザゼルは内心で思う。大体の存在は、この時点で酷く動揺する。だが、本質を知っている人間を動かすことは難しい、相手との和解は無理だと

 

「それに……貴様らは俺のやって来たことを知っているだろう? 当然、小学校の事も……」

 

だが、俺がやって来たことはそれだけじゃない。ニュースで報道されたのは、小学校の事だけで『俺が疑われたんだ』

 

「俺は……俺自身の手で自分の父親を殺した」

 

その場に居る者すべてが、俺の言った言葉に絶句した。当然だ。アザゼルが聞いた家族を殺されたのかと言う質問は、俺が殺したから関係ないんだ

 

「三歳の頃からだった。俺の人生がおかしくなり始めたのは…………三歳の頃に母親は、自分の異能の力の事を俺に教えて浮気……俺の目の前から消えた。その後、父親は仕事と浮気の事でストレスを感じ、俺に暴行を加え始めた。三歳の頃からその仕打ちを受け、体の痣が出来たことをネタに……同級生からもいじめを受けることになった。酷い毎日だったよ……毎日毎日、体の傷が増えていくばかり……家に帰るのをわざと遅らせて、父親は眠ってから帰るようにしていた……酒を飲まなくても、俺に暴力を振るうようになっていた時は、もう駄目だと思って、帰る時間も前のと同じように戻した。同級生の虐めも悪化……小学校に上がってもそれは終わらなかった。それどころか……下級生や上級生まで混ざる……先生は見て見ぬふりをして、助ける気なんてなかった」

 

全員が息をのむ。それが自分だったらどうなっていただろうと……今目の前に居る者よりも、もっと凄い事になっていたかもしれないと……

 

「そんな俺にも一人、理解者が居た……真奈って名前の女の子でさ。俺の事をいつも虐めから助けてくれる奴でさ……誰からも好かれるような人間だったんだよ……家にまでは流石に来れないし、学校だけでも助けて貰えてうれしかったな~……」

 

先程までとは違い、良い話だと思っているが……疑問が浮かぶ。彼女のような存在が居るのなら……彼が嬉しいと感じた存在が居るのなら……

何故彼は彼女を手にかけたのか……

 

「そう……あの瞬間を見るまでは……」

 

一気に顔が変化し、冷酷な眼をして話す

 

「あいつもさ、屑な同級生共と同じだったんだよ。俺が苦しんでいるのを見て楽しみ、俺が苦しみから解放される瞬間を見て喜んでたんだよ……笑えるだろ? 元々、俺を理解する者は一人もいなかったんだ。その瞬間に、俺は暴走したんだ。俺を苦しめた生徒全員を殺し、見逃していた先生を殺し、関係ないと仕事をしていた用務員を殺した。生きてると、初めて思った瞬間だったよ」

 

恐ろしいまでの過去、あの事件の全貌を知って……その場に居る者は驚きしかなかった。自分はそんな事は無かったし、されていた奴もいなかったのだから

 

「その後、俺は家に帰り、父親を殺す事に決めた……此処からだ……此処からお前らを狙うキッカケが生まれた……!! 帰って父親の様子を見れば、電話をしてたんだ……相手の名前は分からなかったが……悪魔というキーワードが出てきた。俺が危険だから殺せとな……父親は金目的の為に俺を殺そうとしていた……自分が殺された時の顔は滑稽だったけどな……」

 

俺はすべてを話し終えて、三大勢力を見る。全員が驚愕以外の表情をしていない。当然だろう……通常の人間に、こんな人生が送れるはずがない

 

「後はお前らが知っている通りだ」

 

「……そんな……過酷な人生を……」

 

「だからこそ、俺はお前が一番嫌いなんだ……アーシア・アルジェント」

 

「えっ?」

 

「お前はよく似ている……俺の唯一の理解者だと信じていた……真奈にな」

 

何故対極の存在だと感じたのか、今になって分かる。あいつの生き方が、あいつの眼が、あいつの正義が……!! あの屑と重なって見えるからだ

 

「…………喋り過ぎたな。此処には既にダメージを与えた……貴様らへの宣戦布告も終了した……俺は帰らせてもらうとしよう」

 

須佐能乎の使用に、神威と餓鬼道に天道、そして修羅道。かなりの魔力を消費した。まだまだ魔力があるとはいえ、コイツ等を殺すのはまだ後だな

 

「今更、俺を狙った悪魔の首を差し出しても、俺は止まらないぞ……俺の目的は既に……悪魔の殲滅なんだからな」

 

 

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