あまり変わるのも良くないかなと思って6話と7話に分けました。
後尾についた針が上空から一直線で私に向かってくる。
それをギリギリまで引きつけて・・・回避!
するといま対峙している巨大蜂《プリックワスプ》は地面に針が地面に刺さり数秒間抜けなくなるのでそこを狙ってレベル7になった今使える最上級ソードスキルの《バーチカル・アーク》を放つ。
V字を描く二連撃のそれは大きくふっくらとした腹部分に吸い込まれるように当たり、残り8割ほどもあったHPを一気に削り取った。
するとプリックワスプの体は少し膨張したかと思えば砕けるような音と共に無数のガラス片と変えて散っていく。
戦闘終了だ。
「毒針は・・・3つドロップ」
【霊夢って運いいよねー】
「このモンスターがアイテム落としやすいってだけかもしれない」
【そうなのかな・・・?】
どっちでもいいことだ。
今の時間は22:01なので想定より早めに戦闘系のクエストはこなすことができて結果は上々である。
残りは実質的に猫を追うクエストだけなのでさっさと済ませてしまおう。
***
地図上のクエスト開始地点を指す「!」マークに向かって商店の集まった通りを歩いていると数メートル先の鍛冶屋でうんうんと何か悩んでいるプレイヤーを発見した。
(βテスターの可能性が高いわね)
このような機会をみすみす逃す訳にはいかない。
そう思い、私は人の良さそうな笑顔を貼り付けて近くまで行き話しかける。
「こんばんは」
「ん?ああこんばんは嬢ちゃん」
「おじさん、こんなところで悩んでどうしたの?」
「・・・実は武器の強化をしようと思っているんだが成功率が73%と微妙でな。できるだけ先を急ぐべく運に任せてこのまま行くか、それとももっと素材を集めて出直すべきか迷っているんだ。普通のゲームならゴーサインを出せるんだけどな・・・」
「へえー」
屋台の中を見ればきれいに並べられた鍛冶道具が見える。
その中の一つである金床に黒を主軸とした剣が設置されておりおそらくあれが目の前の男の得物だろう。
「ちなみにその素材は後どれくらいあれば確率を上げられるの?」
「毒針が5つと狼の毛皮が3つだな。それで80%越えする」
「じゃあその分は私が出すね!」
「いやいやそんなの悪い!自分の方が年上だろうし、ましてやこんな状況下だぞ!」
「むしろこんな状況下だからこそ、でしょ?それに実は私もう強化済みだし素材も余ってたところなの」
嘘だ。本当は武器なんて未強化だし素材も譲渡できるほど余っていない。
だがこの後得られるメリットに比べたらこの程度ささいな損失だ。
「・・・。・・・そう、なのか。すまない、恩に着る。その上でこんな事を聞くのは失礼だと思うんだが・・・なぜ出会ってすぐの人間にここまでしてくれる?
まさか人助けってだけの理由じゃないだろう?」