当然だが流石に疑われる。
とは言っても既に交渉は成立したようなものだしもう隠す必要もないだろう。
「・・・ええ、そうよ。じゃあ早速本題に入るけどあなたβテスターよね?」
「ああ・・・そうだ」
「ならよかった。この層の情報についていろいろ教えてくれないかしら?」
「いいだろう。素材も融通してもらったしな」
「あら案外すんなり行けたわね。追加で金銭も要求されると思ったんだけど」
「まさか。流石に年下の・・・学生さんくらいか?にそんなことしないししたくもねぇよ」
どうやら私の外見は外の世界では学生という身分の年齢くらいに見えるらしい。
まぁなんにせよ若いのがプラスに働いたのはいいことだ。
「そう。じゃあ早速説明お願い」
「わかった。じゃあまずは俺の持ってるアニールブレードっつう剣だが―――」
***
「俺の知ってる情報はこれくらいかな」
「参考になったわ。ありがとう」
「いいってことよ。・・・そうだ。最後にこれは不確かなんだけどな、βテストの頃に《鼠のアルゴ》っていういわゆる情報屋のプレイヤーがいたんだがもしかしたら今のSAOにもいるかもしれない。仮にそうだとしたらこれから何か知りたい時はそいつに頼るといいぜ。もっとも”5分雑談すると知らぬ間に100コル分のネタを抜かれる”って聞く当たり用心はしといたほうがいいだろうがな」
「了解」
《鼠のアルゴ》もメモに書き加えておこう。
「・・・ところで話は変わるんだが嬢ちゃんはこれからソロでやってくつもりか?」
「ソロの意味がわからないわ」
「あー・・・ソロっつうのは”一人”とかいう意味のゲーム用語だ」
「ふーん、そういう意味でならそうね。ソロでやっていくつもりよ」
「そうか。なら悪いことは言わないからやめておけ。見たところゲーム初心者みたいだし今はHPが尽きれば死ぬとかいうクソッタレなことになっている。そんな中でわざわざ危険なソロを選ぶ必要性はない。仲間を見つけるまでのつなぎでもいいから俺とパーティを組むんだ」
「お断りよ」
「あんたにどういう理由があるのかは知らない。だが―――」
「”二度言わせないで”」
「・・・ッ」
「あなたの想定している理由の程度や思い描いている学生像はわからないわ。だけど少なくともそこらの外来人よりかは殺し合いに慣れているはずよ」
【霊夢、それ以上はいけない】
(・・・ごめんなさい熱くなりすぎたわ)
男は驚いた様子でこちらを見ていた。
「とにかくそういうことよ。わかったらもういいでしょう」
「・・・いいや、そうはいかねぇな。人殺し云々はともかくお前に貫くべき決意があることはわかった。それに初期装備でここまでこられるあたり弱くはねぇみたいだしな。だから百歩譲ってフレンドになれ」
「・・・。・・・はぁ、それで話が落ち着くならもういいわ。勝手にしなさい」
「よしきた」
控えめとは言え弱小妖怪なら逃げ出すほどの怒気は出したはずだ。それなのに目の前の男と来たらまだ食い下がる。
とんだ変人もいたものだ。
そう考えていると突如として目の前にフレンド申請のウィンドウが表示される。
《Doiruさんからフレンド申請が届いています。承認しますか? 〇 ×》
フレンドになる方向で話が落ち着いた手前、仕方あるまい。
渋々〇ボタンを押すとフレンド一覧が開かれ何もなかったところに「Doiru」の欄が追加された。
「これで相手の現在地がわかる。あとフレンドメールも送れるから必要になったら使えよ!」
「そんな機会クリアされるまでにないと思うけどね」
「そんなこと言うなよ~」
おまけにいきなり馴れ馴れしくなった。
うざいこと極まりない。
「じゃあ今度こそもういいでしょ。クエストこなして早くホルンカの村に行きたいし」
「ああ行ってこい。絶対に死ぬんじゃないぞ”みこ”」
「ここで死ぬなんて許されるわけがないわ」
目の前のバカのせいで思った以上に時間を消費してしまった。
早く子猫のクエストに取り掛からなければ。
みこちゃんは龍神にゲームシステムに関することを教えてもらったのでパーティなどの単語は知っているのですが関係ないゲーム用語になるとまだ弱いようです。