お命ちょうだい   作:梨乃

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ちょっと遅くなりました。申し訳ありません。
全然進歩してませんが、よろしくお願いします。

古めかしい井戸の幽霊物語。

さあ、今宵はどんな舞台となるか。

幕開けです!


幽霊親友

取り残された葵は、深く目をつぶった。

 

一瞬、死を覚悟したが、全く痛みは来なかった。

 

恐る恐る目を開けると、幽霊が葵の一歩手前で止まっていた。

 

幽霊はえいっ!えいっ!と勢いをつけて葵に襲いかかろうとするが、なぜかそれ以上は動かない。

 

そのまま逃げればよいものを、葵は声をかけてしまった。

 

「・・・何してるの?」

 

驚いたことに、幽霊は普通に答えてくれた。

 

「これ以上井戸から離れられないのよ。もうっ!」

 

幽霊の顔は髪で隠されていたが、その声は女の子の声そのものだった。

 

「・・・女の子?」

 

「あ~もういいや。」

 

葵は、その幽霊に妙な親近感を持った。

 

「ねぇ、何で襲いかかってきたの?」

 

「ん?」

 

「だって、なんか妙に怖くないっていうか。」

 

「だったらさっきは何で逃げたのよ!!おかげで届かないじゃない。」

 

「だって驚いたし・・・届いたら私殺されちゃうし。」

 

「殺しはしないわよ。魂をもらうだけ。」

 

「そっちの方がひどい気がするんだけど。」

 

「気のせい、気のせい。」

 

子供っぽい幽霊にあっけにとられていた葵は、たまらず吹き出した。

 

つられて、幽霊も笑い出す。

 

「ねぇ。名前は?」

 

幽霊が問いかけてくる。

 

「私は葵。あなたは?」

 

「私に名前なんてないわよ。ただの幽霊だもん。」

 

「まぁ、いっか。ねぇ幽霊さん、何で襲いかかってきたの?」

 

「早くこの井戸から出て成仏したいのよ。」

 

「成仏できないの?」

 

「私、幽霊になる前のこと、全く覚えてないんだけど・・・・ただ、感覚で誰かと入れ替われば、この井戸の呪縛から解き放たれるってわかってるのよ。」

 

「だから入れ替わろうとしたの。」

 

「そうよ。だって、もう何年もここにいるのよ。井戸からあまり離れられないのに、人間はすぐ逃げちゃうし。・・・ねぇ、私と替わってくれない?」

 

「嫌よ。幽霊になんかなりたくないもん。」

 

「ただの幽霊じゃないわよ。呪縛霊。」

 

「余計嫌よ。」

 

幽霊と葵は、再び吹き出した。

 

「なんか、幽霊さんとは初めて会った気がしないね。」

 

「私も。」

 

「ねぇ、明日も会いに来ていい?」

 

「え?入れ替わってくれるの?」

 

「それはいや。でも、暇つぶしの相手ぐらいならできるよ。」

 

「いいの?やった~!!」

 

幽霊は目を輝かせて喜ぶ。

 

その日は、そこで別れた。




前回に続き、次回予告でも・・・

幽霊、信頼

幽霊と仲良くなるも、どこか信頼できないお互いの仲。

毎日会う約束を取り付けるも、

幽霊は葵が来るかどうか不安に感じ、

葵は幽霊に襲われないか恐怖を感じる。

今夜は仲良くなるにとどまった。

さあ、明日はどの物語が幕を開けるのか。


ま、明日と言ってカッコよさ気に言いましたが、一応は一週間後を目安に考えています。

先日も言った通り、何にも考えておりませんので、話がつながらないかもしれませんが、ご了承ください。

おいおい、細かな設定を考えていく心づもりでおります。

では、誤字脱字、あればお手数ですが、ご一報いただけますよう、お願い申し上げます。

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