はーい風邪引きましたぁ~
近頃は季節の変わり目ですから、皆様もどうか
くれぐれも体調管理にはお気をつけなさいますよう
自分の不甲斐なさを見てお考え下さい。
それでは、どうぞ!
あー、気色悪かった。
まさかドン引きされるつもりのネタにこっちがドン引きさせられるとは………。
そんな僕の気持ちとは無関係に、教室内では自己紹介が続いている。
その後もしばらく名前を聞くだけの単調な作業の繰り返しで、いい加減飽きて眠たくなってきた
頃になって不意に建付けの悪い扉が開き、息を切らして苦しそうにしている女子が現れた。
「あ、あの! 遅れて、すみま、せん………」
「「「「えっ?」」」」
誰からということも無く教室全体から驚きの声が起こる。
まぁでも、それも仕方ないよね。
なんせ、やって来た人物が人物なんだから。
「丁度良かった。今自己紹介をしているところなので、姫路さんもお願いします」
「は、はい! あの、姫路 瑞希といいます。よろしくお願いします………」
元々小柄な体格の彼女は、さらに身体を縮こめるようにしながら挨拶をした姫路さん。
その肌は新雪のように白く、背中まで届く柔らかそうな髪は、彼女の性格を表すようだった。
そして今もモジモジと恥ずかしそうにしている彼女の姿は、その儚げで可憐な容姿も
相まって野郎だらけのFクラスで明らかに異彩を放っている。(勿論良い意味で)
でも、僕らは彼女の容姿を見て驚いたりしたんじゃない。
「あの、質問いいですか⁉」
「は、はい。何でしょうか?」
ああ、可愛いなぁ仕草も表情も何もかも。
「えっと、何でここに居るんですか?」
聞きようによってはかなり失礼な質問が浴びせられる。
でもこの質問はまさしくクラスの全員の抱いた疑問でもあるはずだ。
姫路瑞希さんは、その可憐な姿で人目を引くだけじゃなく、何より彼女は成績が凄い。
入学後の初試験で学年二位をマークし、その後のテストの全てで上位一桁台を維持して
おり、まさに全校生徒の憧れの的って感じの女子生徒だったからだ。
そんな彼女が成績最下層のこのFクラスに何故来たのか、誰もが疑問に思うはずだ。
__________________この僕以外は。
「それはその…………振り分け試験の最中に、熱を出してしまって………」
その言葉を聞いて、クラスのみんなが納得した。
試験途中で退室した場合、それがどんな理由であっても0点扱いとなってしまうのだ。
彼女は昨年の振り分け試験の途中で熱を出して退室し、この最低な環境のクラスへと
強制編入させられてしまったという訳なのだ。
姫路さんの話を聞いて、クラス中から言い訳の声がチラホラと沸き起こる。
『そう言えば俺も熱(に関する問題)が出たせいでFクラスなんかに』
『ああ、化学のアレね。確かに難しかったよな』
『俺は弟が事故にあったって聞いて、気が気じゃなくて』
『黙ってろ一人っ子が』
『前の晩に彼女が寝かせてくれなくてなぁ』
『今世紀最大級の大嘘をありがとよ』
思った以上に偏差値が低いようだ
「で、ではっ! 皆さんよろしくお願いしますっ!」
バカだらけの中で姫路さんが逃げるように僕と雄二の隣の空いていたちゃぶ台に着いた。
ああそう、言い忘れていたけど………このクラスには椅子どころか机すらも支給されてない。
机代わりにちゃぶ台が、椅子代わりに畳と座布団が敷かれていた。いやはや、酷過ぎる。
こんな環境下に彼女を置くだなんて、もはや犯罪のにおいすらしてくるようだった。
「き、緊張しましたぁ~……」
隣のちゃぶ台に着くや否や、安堵のため息をついて突っ伏した姫路さん。
実は彼女とは小学校で同じクラスになったことがあり、何度も話したりして
彼女の事を心から好きになったこともあった。まぁ昔の話だけどさ。
今はそんな感情を抱いている場合じゃないし、あの事件以来僕は今までとは正反対の
暗い性格になっちゃって彼女と関わりがなくなったから、それっきりに。
「あ、あの……吉井く______」
「おい明久ぁ、ちょっといいか?」
ん?今姫路さんに呼ばれた気が………気のせいかな?
いけないね、僕はまだ未練を引きずっているのかもしれない。
僕はもうライダーなんだから、極力人とは関わらない生き方を決意したはずなのになぁ。
そうだ、今雄二から呼ばれたんだっけ、聞いてやらないとね。
「んー?何ー?」
「実はよ……………いや、HRの後でいいわ。廊下にでも来てくれ」
「え?んまぁいいけど」
「んで?話って何?」
HRが終わった直後、僕は雄二に言われた通りにFクラスの廊下に出てきた僕は
腕を組んで壊れそうな扉に寄りかかっている雄二に話の内容を聞こうとした。
「明久、お前さ………このクラスをどう思うよ?」
「え? このFクラスが? えっと………最悪?」
「良く分かった、もういい喋るなバカが感染する」
ミンチにすんぞ赤ゴリラ
「まあいい。それよりもお前のことだ、どうせ『僕の本来のクラスになるはずの
クラスにはどんな人がいるんだろうか』とでも思ってAクラスの中でも覗いたから
遅刻したんだろ?どうだったよ、あのクラスの設備は?」
嘘みたいに心情を看破されて数分前の僕の行動を言い当てた雄二。
まぁ半分しか当たってないからセーフだよね、多分。
とにかく、僕が見てきたのは事実なんだし、教えてやってもいいかな。
「うん、凄かったよ。あんな教室見たことないって」
「だろうな。そんで、それについて俺からの提案があるんだが」
提案?何を言ってるんだこのバカは(笑)
「何が提案だよ。『今から話すこと実行すっから覚悟しろ』って顔してるよ」
「はっ、お前にしては勘がいいじゃねぇか。そうだ、『戦争』を仕掛ける」
「『戦争』? もしかして『試験召喚戦争』の事?」
「そうだ。略して試召戦争とも言うがな。それをAクラスに仕掛けるんだ」
何を言ってるんだこのバカは(真顔)
試験召喚戦争、それはこの学園が世間とは全く異なっている要因の一つ。
今更ながら説明すると、この学園には『試験召喚システム』という物が存在する。
このシステムは学園に所属する者のみに与えられるもので、簡潔にまとめると
『テストで取った点数が強さに比例する召喚獣を召喚し、使役するシステム』なのだ。
文月学園の学園長ら数人の科学者の『科学とオカルトと偶然』によって生み出された
(というか発見した?)システムを使用して、二年生以降の各クラスが互いのクラスの
設備や環境を目当てに引き起こせる、クラス単位での戦争行動こそが試召戦争のことだ。
そしてこの文月学園において、最高ランクのAクラスから順にB、C、D、Eときて最後に
残った落ちこぼれクラスが僕らなのだ。最強に最弱が挑む? 結果は僕でも分かる。
「いや、あのさ…………正気?」
「お前の憐みの視線ほど腹の立つものを、俺は知らん」
言いたい放題のバカに好き放題言われて腹の立った僕だが、僕の目の前に居るこの男は
何も考えずにこんなアホみたいな事を言うような奴じゃ無い……………はず。
とにかく、言葉の意味を聞きださないと。
「雄二の失礼な物言いはともかく、なんでそんな事を?」
「あ? んなもん俺だってこのクラスに不満があるからに決まってんだろ」
あからさまな嘘で取り繕う悪友を見て、僕はある事を思い出した。
この男が遅れてやってきた姫路さんの事をまじまじと見ていたことを。
しかも普通の女子を見るような目ではなく………その、想いを寄せる相手へのような。
これはもしかして、姫路さんの事を考えての言葉なんだろうか。
だとしたらこの戦争は彼女への最高の贈り物になるんじゃないだろうか。
「是非協力させてくれよ雄二」
「ん?んぉ、そうか。(何か急にやる気になったな…………)」
もしそれが本当なら、僕はこいつに恩を売ることが出来る。
そうしておけば、いつかは分からないけどきっとその事を有効的に活用出来る日が来るはずだ。
僕はなんて頭が良いんだろう! いわゆる先行投資ってヤツだよねコレ!
「と、とにかくさ! こんな大事な話を僕達だけで決めたら不味くない?」
「んな訳あるかよボケ。キチンと捨てご…………同志諸君にも話はつけるさ」
今コイツ捨て駒って言おうとしてなかったか?
「でも、だったら何で僕にだけ最初に話しかけたの?」
「これから話すことは、お前じゃ理解出来んから分かりやすく話しとこうと思って」
「おいゴリラちょっと表出ろや」
「落ち着けバカ、ここはある意味表だっつの」
そうだった。
僕に無礼な物言いをした雄二は、そのままFクラスの中へ入っていった。
僕もそれに続いて行ったが、既に雄二が壊れかけの教卓に手をついていた後だった。
そのまま雄二は大きな声で注目とだけ言い放ち、僕の着席を待っていた。
すぐに僕も近くのちゃぶ台に座って雄二の話の続きを聞く準備をした。
「良く聞いてくれ諸君、さっきの自己紹介で名乗った通り、俺がFクラスの代表の
坂本 雄二だ。坂本でも雄二でも代表でも、将軍でも閣下でも好きなように呼んでくれ」
後半おかしいと思ったのは僕だけ?
「まあ俺の呼び名なんてのは、正直どうでもいいことだ。
それよりも、俺は皆に一つ聞きたい……………………………なぁみんな」
腐っても小学校時代、その明晰な頭脳から『神童』と呼ばれていたらしい。
そんな彼は人の視線を集めることも、間を取ることも上手いようでクラス全員が彼に注目した。
雄二が皆の様子を確認した後で、雄二の視線はクラスの各所に移りだす。
カビ臭く、薄汚れた教室の壁に。
古くなって綿の抜けた座布団に。
傷だらけで痛んだちゃぶ台に。
それに連られて僕らも視線を追い、それらの備品を辿っていった。
「Aクラス様は、噂じゃ冷暖房完備の上で座席にはリクライニングシートらしいんだが………」
雄二はここまで言って一呼吸置いた。
そして軽く息を吸って、さっきよりも少し大きな声で語る。
「___________不満はあるか?」
『『『『大ありじゃぁっ‼‼‼』』』』
二年Fクラス生徒の、魂からの叫びであった。
「そうだろうと思っていた。俺とてこの現状は大いに不満だ。このクラスの代表として
問題意識すら抱いていたところだ。(主にお前らの成績についてだがな)」
『そうだそうだ!』
『いくら学費が安いってったって、この待遇はあんまりだろう!』
『そもそもAクラスだって同じ学費だろう⁉ 差が激し過ぎんだろうが‼』
川の堰を切ったように溢れ出す愚痴の数々。
僕も同じように思っているが、ここまでとは……………。
「皆の意見はもっともだ。そこで…………」
捨て駒、もとい級友達の反応に満足したのか、自信に満ちた顔に不敵な笑みを浮かべた。
そのまま野性味たっぷりの表情を見せ、さらに話を続ける。
「これはクラス代表としての提案なんだが………FクラスからAクラスに対して
試召戦争を仕掛けてみようかと思っているんだが………………どうだ?」
僕らFクラスの代表は、学年最初の戦争の引き金を引いた。
「いやぁ、なんか悪いな『友香』。こんな時間になるまで待たせてよ」
「いいのよ『根本』君。私達一応付き合っているんだし」
「一応………かよ」
夜も7時をとっくに過ぎた頃、一組の男女が薄暗がりの通路を歩いている。
男のほうは長身で、おかっぱな髪型をしていて卑屈そうな笑みを見せている。
女のほうは中背で、サラサラのキレイにそろえた短髪でクールな顔つきをしている。
二人は並んで歩いていてカップルのような会話をしていたが、足並みはバラついていた。
やはり四月半ばの夜はまだ肌寒いようで、友香と呼ばれた少女は少し身震いをした。
「それにしても、たしか二週間前だったっけ? この辺りでまた出たらしいぜ」
「出た? 幽霊か何か? 根本君ってそういうの信じる人だったの?」
「いやいや、そんなんじゃなくてな。お前知らないの?『赤い騎士』の噂」
「ああそっちね。聞いたことは何度かあるわよ。」
__________都市伝説『赤い騎士』の噂。
文月学園の生徒だけでなく、町全体で囁かれている都市伝説の一つ。
基本的に夜に見られることが多く、また発見できてもすぐに忽然と姿を消してしまう。
最近ここら一帯で起こっている連続失踪事件にも、関係があるとも言われている。
そして最も有名な噂が、『怪物から人々を救っている』というものだ。
目撃例が多々挙がっているその怪物達と、赤い騎士が戦っている姿もまたたびたび目撃
されているのだという。
「でもそれって噂でしょ?」
「いや、この間もAクラスの奴が助けられたって言ってた。今も信じられないけどな」
「ふぅん」
まるで興味が無さ気に呟いた友香を見て、根本もまたすぐに話題を終わらせた。
そのまま歩き出していつも通りに家路につき、眠り、明日を迎え、また学校で勉強する。
そんな繰り返しが日常だと考えていた二人の背後に、一瞬だが影が横切った。
友香はそれに気付いて振り返るが、街灯が道を照らしているだけだった。
「どうした友香?」
「今、誰かいるような気がして……」
「はっ、何? お前俺の話真に受けたのか? これは傑作だね」
「……………気のせいよ。行きましょう」
根元の口ぶりに少し腹を立てた友香は再び振り返って歩き出す。
先ほどより歩調を早めた彼女の後ろをついて、根本もまた歩き出した。
二人は前後に並ぶように歩いているが、会話は全く無くなっていた。
『シィィィィ………………』
そんな二人の後ろ姿を、一つの異形が覗いていた。
青みがかった体表に、人間の眉のような部分と直結したような形状の白く長い触覚。
胴体には臓器を思わせるような、むきだしになった黄色や白の装甲。
そして何より特徴的なのは、その背に背負った巨大なブーメランだった。
カミキリ虫型のミラーモンスター、名を『ゼノバイダー』という。
ゼノバイダーはまるで江戸時代の忍のような身のこなしで二人の後を追いかける。
道路に、屋根に、電柱に、彼は飛び回ったり飛びついたりして着実に二人に近付いた。
「………………」
「どうした友香?」
「いえ、なにも…………」
先ほどからやはり何かがおかしいと感じたのか、何度も振り返る友香を怪しむ根本。
だが二人して振り返っても、怪しい者の姿も、噂の『赤い騎士』らしき者の姿も見られない。
根本は怖がり過ぎだと笑い飛ばし、さらに友香の機嫌を損ねるが気にしない。
友香は根本の言葉に耳も貸さないが、やはり違和感を拭えずに立ち止まっては振り返る。
『ヒュゥゥゥ……………キュルルァァ…………‼』
その姿を見ているゼノバイダーは、静かにほくそ笑んだ。
自分が見つかるはずが無い、見つけられるわけが無い。
自分の肉体が未知なる存在によって、喰われていることに。
この
さぁ、どっちから先に食べてやろうか。
『キュアアァァァ…………………‼』
友香が立ち止まって振り返るたびに、根本は位置上の関係で立ち止まる事を余儀なくされた。
その事に段々と腹が立ったのか、友香がもう一度振り返った時に、怒鳴ってやろうと考えた。
そして彼の思惑通りに友香が足を止め振り返ろうとした時、根本は聞いた。聞いてしまった。
『ギュルルゥワァァアァァーーーーッッ‼‼』
背後からか細くも凄まじい咆哮が轟いてきたのを。
その轟声に驚いて固まっていた根本の目の前で、友香がクルリと振り返った。
そして何を見たのか、手を口元に当てて目を見開き、大声で叫んだ。
「きゃああぁぁぁぁ‼‼」
「ごッ…………ば、あぁ……」
「うわぁ⁉ な、何なんだ‼」
友香と同じように根本も振り向き、背後の光景を目の当たりにする。
その光景は、悲惨の一言に尽きた。
根元の後ろには定時の見回りだろうか、一人の警官が自転車に乗っていた。
だがその警官の心臓の辺りからは、白い刀剣状の物体が突き出ていた。
血に塗れたその物体が突如引き抜かれ、警官が力なく道路にドサリと倒れ伏した。
しかし、警官の手がピクリと動き、顔が少しずつ上がってきて二人を捉える。
友香はただ怯え、根本もまた突然の異常事態に足がすくんでしまっていた。
『キュルル‼ ジィィィ………………キュルルァ‼‼』
「あ、ああ………………ああああああああ‼」
警官はどうやらまだ息があったようだった。
幸運にも白い物体は、心臓に直撃していたわけではなく横に逸れていたようだった。
だがそんな幸運をあざ笑うかのように謎の唸り声の主が姿を現し、警官の足を掴み
ズルズルと引きずり始め、どこかへ連れ去ろうとしていた。
悲鳴を上げながら血の跡を付けて暗がりへと消えていった警官と怪物。
根本と友香はようやく状況を理解したのか、その場から走り出した。
背後からは重い物が引きずられる音と、断末魔のような悲鳴が聞こえている。
友香は目元に涙を浮かべて走り、根本はただ
『シィィィ…………ギュルルゥワァァ‼』
今日はなんと幸運な日なんだろうか。
二人のうちどちらを先に食べようか迷っていると、まさか三人目がやってくるとは。
思ってもみなかった幸運に、ゼノバイダーはただただ奇声を上げて喜んだ。
まずは最初に"あえて"生かしておいた人間を掴んで、自分の寝床へと運び込む。
すると残りの二人が逃亡を図った為、夕食前の運動を楽しむように後を追った。
「何なんだ、何なんだよアレぇ⁉」
「私が、知るわけ、無いでしょ‼」
走りながら意味のない質問を投げかける根本に、怒りを込めて返す友香。
二人は息を切らしながら背後を恐る恐る振り返るが、怪物の姿は見当たらなかった。
ひとまずは安心と息をついた二人だったが、背後から風を切る音が聞こえてきた。
___________ヒュン‼
「痛ッ‼」
「ゆ、友香‼ クソ、もう来たのか」
再び風を切る音を鳴らしながら闇の中へ帰っていく、白いブーメラン状の物体。
その刃のように鋭い部分が友香の右足を軽く裂いて、彼女の肌に赤い脈を生み出す。
「根本君、足が! 足が切れて…………痛い‼」
「ああ、友香………………ッ‼」
友香が右足を抱えてしゃがみこみ、それを心配した根本が彼女を抱き起そうとした時
背後から警官を襲った怪物の奇声が聞こえてきて、それを断念させた。
足を震わせながら背後の暗闇と友香を交互に見比べた根本は、迷っているようだった。
「ねぇ根本君! お願い、早く助けて‼」
彼女である友香が泣きながら彼氏の根元に懇願する。
その姿を見てさらに顔を焦りに歪ませた根本は、再び背後を見つめる。
『ギュルルゥワァァアァァーーーーッッ‼‼』
「うわ、うわぁぁぁーーーッ‼」
「根本君⁉ どこに行くの、ねぇ待ってよぉ‼」
背後から再び迫って来た怪物の声で、完全に心が恐怖に屈した根本は友香を見捨てた。
情けなく走り去っていく根元の背を、涙で歪んだ視界のままに見つめる友香。
泣き崩れる彼女の背後に、ゆっくりと怪物が歩み寄る。
その手にした巨大ブーメランを振り上げ、友香の身体を引き裂こうと近付く。
友香はただ、迫り来る怪物に怯えながら死を待つだけだった。
『シィィィ……………ジィィィ‼』
狙い通りに女の方を動けなくしたゼノバイダーはゆっくりとエサに近付く。
男の方はあえて逃がした。自分は逃げるエサを追いかけて喰うのが好きだから。
戻って来たブーメランを手にして、婉曲した部分を鎌のように見立てて振り上げる。
さっきの男はもう胃袋に収めた、さぁ次はこの女の番だ。
今度は冷めた身体じゃなく、体温の残った暖かい肉を丸のみにしたい。
抑えきれない食欲を胸に、ゼノバイダーはその武器を女に向けて振り下ろした。
【ADVENT】
『ギュルルァ? ___________ッギイィ‼‼』
怪物がその血塗れの武器を振り下ろそうとした瞬間、何かが頭の上を掠めた。
何が起きたのか理解出来なかった友香は、ゆっくりと後ろを振り向いた。
するとそこには、空中に浮かぶ真っ赤な躰の龍のような怪物がさっきの怪物と戦っている
またも現実離れした異様な光景が広がっていた。
慌てて後ずさった彼女は、後ろにいた何かにぶつかり小さく悲鳴を上げた。
「大丈夫⁉ 怪我は無い⁉」
「え…………赤い、騎士?」
そこには、噂に違わぬ『赤い騎士』が立っていた。
あー、頭痛いのぉ。
そんな訳で更新いたしました。
個人的にバカテスが好きなのでそちらの成分が
少し多めに入っていく予定です。(まぁ序盤だけですが)
ちなみにバカテストですが、毎回は持たないので
ライダー関連の無い話にのみとさせていただきます。
これからバトルが激化し、またそれに比例して人間の被害者も
増えていくので、グロ表現も当然増えていくわけなのですが、
それが苦手な方は…………閲覧を控えるか否かはお任せします。
ご意見ご感想、お待ちしております。