ウルトラマンゼノン ウルトラの奇跡   作:ウルトラゼロNEO
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古代怪獣

ゴモラ

登場


誕生ウルトラマンゼノン! part1

「提督ですが会議の方が長引いていまして遅れています」

 

「そうですか。態々ありがとうございます…」

 

 

日も沈み始め夕方となった頃、ユウマはこの街の鎮守府、その応接室に来ていた。そこで弓道着のような服と艶やかな黒髪と清潭な顔立ちの女性…赤城がユウマにこの鎮守府の提督の状況を伝えるとユウマはペコリと軽く頭を下げる。実はユウマはある理由でこの鎮守府に所属する者達と幼い頃から付き合いがあるのだ。

 

彼女は艦娘と呼ばれる存在だ。艦娘とは過去、突如海面に現れた少女達だ。人間達によって保護され調査されていくうちに非現実ながらかつての軍艦が人間の少女として生を受けたのではないかと言われている。今では艦娘の協力もあってか工廠と呼ばれる場所で艦娘を誕生させることが出来るとのことだ。

 

とはいえここまでのことはまだ世間一般には知られていない。彼女達を発表するにはまだ分からない事だらけなのだ。それでは説明責任が上手く果たせないから政府は時期尚早だと判断したのだろう。だがそれも時間の問題でいつかは大々的に発表される筈だ。

 

 

「なんだか表情が優れないですね、なにかありました?」

 

「えっ? あぁ…いや…その学校で進路の話題がありまして」

 

「進路、ですか。その顔を見ていると悩んでいるようですね」

 

 

とはいえ艦娘と言えど見た目は完全に人間の少女。人間の知識も身につけているため、話す分にはまったくもって違和感も何もない。赤城がユウマの表情を読み取って問いかけると急に話題を振られたユウマは言葉をつまらせ、そっぽを向きながら気まずそうに頬をかき答える。すると赤城はユウマの答えに合点がいったと言わんばかりに両手を合わせる。

 

 

「…自分が何をしたいか…分からないんですよ。目指したい事もない。未来に何も見いだせないんです」

 

「あら…。でも…羨ましいです」

 

「えっ‥?」

 

 

ユウマは俯きポツリと悩んでいたことを口にする。言葉通りだ。彼に目指すものなどない。ただ緩やかに流れるだけの日々を過ごしているのだ。いくら考えたところで浮かばない。自分が何をしたいのか未来になにも見い出せなかった。すると赤城は目を細め、羨ましそうに呟く。その呟きが聞こえたのかショウマは赤城へ顔を向ける。

 

 

「私達は艦娘とは呼ばれてはいますが結局のところはただの兵器。意志があってもその行動は大きく制限されていて、普段、この鎮守府から出ることが出来ないんです。今は提督のご好意もあって畑を耕したり雑誌などを取り寄せていただいて外界のことを知ることは出来てはいますが…」

 

 

そう言って赤城は応接室に置いてあるテレビや多種に渡る本が収納されている本棚を見る。やはりなまじ意志がある分、彼女達も窮屈に思う事があるのだろう。ユウマは赤城の話を黙って聞いている。

 

 

「でもたまに思う時があるんです。深海棲艦や怪獣達との戦いが全て終わったら私達はどうなるんだろう、と。外見こそ人間ですが力など人間に比べると段違いです。過ぎた力として解体処分されるのか、もしくは軍内部の機密の多くを知る為、外へ出れても監視付きか、それとも一生このままなのか…。未来に希望を持てない艦娘は多くいます」

 

「…。そう考えると僕の悩みはあまりにも贅沢過ぎますね、ごめんなさい」

 

「あっ、別に攻めているとかそういう事ではないんです。私こそ失礼しました」

 

 

目を伏せどこか悲壮な表情を浮かべる赤城。そして赤城の話に出てきた深海棲艦と怪獣…。それは艦娘が現れ始めた半年近く経った後に現れた謎の未知の生物。深海棲艦は文字通り深海から現れ人々の平和を脅かす存在…。艦娘と違い、こちらは世間に広く知られており現代兵器では倒すこともままならず制海権を握られるのは時間の問題とも言われている。飛行機も深海棲艦の艦載機によって撃墜されたという報告がある。唯一倒せるのは艤装と呼ばれる武装で戦う艦娘だけだ。

 

しかも創造の産物と想われていた怪獣も深海棲艦と同時期に各地で現れた存在だ。その被害は国際問題に発展する場合もある。艦娘の話を聞き己が今、どれだけ恵まれているのかを悟ったユウマは謝罪をすると誤解させてしまったのではないかと赤来も非礼を詫びる。

 

 

「────自分のこれからずっと先の未来なんてことは一日二日考えて分かるものじゃないさ。だからこそ時間をかけて未来を作っていくんだ」

 

「提督!!」

 

 

会話が途切れ気まずい空気が場を支配する中で一人のしっかりとした男性の声が入口か響く。見ればそこには海軍の白い制服を身に包んだスラリとした高身長と黒髪短髪の男性がいた。彼の名はマツミズ・シシオ。赤城の反応通り彼はこの鎮守府で提督を務める者だ。マツミズは柔らかい笑みを浮かべながら室内に入る。

 

 

「艦娘も例え全てが終わったとしても悪い扱いはしない。それは私が約束する。だから希望を捨てないで欲しい。兵器である以上に君達は生きているんだ。軍艦として兵器としての過去を忘れるなとは言わない。君たちを形成する上で大切なことだからね。だが今を生きる君達が未来に希望を持てないのはとても悲しいことだ。どんな時も前だけを見て欲しい」

 

 

マツミズは赤城に向き合いながら、まるで生徒に対する教師のように、子供に対する父親のように強く優しく諭すように話すと思うところがあったのか赤城は頷き短く頭を下げる。

 

 

「ユウマもすまない、会議が遅れてしまってね」

 

「いえ、“伯父さん”に言われた着替えとか頼まれた物、持ってきたよ」

 

 

それを見たマツミズはユウマの対面する形でソファーに座り、彼を待たせてしまった非礼を詫びるとユウマは首を横に振りながらパンパンになったボストンバックを自分とマツミズの間に置かれている机に置く。どうやらマツミズはユウマの伯父のようだ。

 

 

「ありがとう、しばらく泊まり込みだからね助かるよ。お礼とお詫びに食堂でご馳走しよう。久しぶりに間宮や鳳翔の手料理が食べたいだろう? 赤城もどうだい」

 

「提督がよろしいのであればご一緒させていただきます」

 

 

礼を口にするマツミズはユウマと赤城を夕食に誘うとユウマは笑顔で頷き、赤城も誘いに乗る。その表情は心なしか嬉しそうだ。三人は応接室からほど遠くない食堂に向かう。

 

・・・

 

 

「鳳翔、間宮、なにか頼めるかな」

 

「あら提督に赤城。それにユウマ君久しぶりですね。少しお待ちいただけますか?すぐにお出しします」

 

 

食堂にたどり着くと芳しい料理の香りを鼻が嗅ぎとり胃を刺激する。マツミズが厨房にいる割烹着を着た女性…間宮と和服を着た女性…鳳翔に声をかける。すると気付いた鳳翔がユウマに微笑みを浮かべながら間宮と共に料理に取り掛かると三人は適当に空いていた席へ座る。

 

 

「あれぇユウ君、久しぶりっ」

 

 

食事を今か今かと待っているとユウマに声をかける者が。ユウマが声が聞こえた場所に振り向けば、そこにはハッキリと分かる大きな胸と水色の髪、頭には髪飾りをつけた女性とその女性が抱きつく小柄で黒髪のゴスロリのような服を着た女性がいた。

 

 

「ガッツさんにペガッサさん、お久しぶりです」

 

「やーやー久しぶり。身長伸びたんじゃない?ペガちゃんの身長超えられちゃったね」

 

「…まぁ初めて会った時から身長は超えられてましたけど…。元気そうでなによりです」

 

 

水色の髪の女性はガッツ、小柄な女性はペガッサというらしい。既に注文を終えたのか二人は近くの席に座りながらユウマの挨拶にそれぞれ笑顔で話す。

 

 

「ソーフィや他の子達はどうしたんだい?」

 

「ソーフィちゃんは開発がひと段落ついたから部屋で寝ちゃってるわ。他の子達は…まぁ好きなようにやってるんじゃないかな」

 

 

今度はマツミズがとある人物の名を出しなら話に入るとガッツは顎に指を手を添え、天井を向きながら答える。どうやらマツミズの尋ねた人物はこの場にはいないらしい。ガッツの話を聞く限りではどうやら彼女達は主に開発などの技術スタッフとのこと。

 

 

(…赤城さん達と同じでやっぱりパッと見は人間だよなぁ)

 

 

談笑をするガッツ達を見ながらつくづくユウマはそう思う。とはいえ妙なことを考えるものだ。だが、その理由はちゃんと存在する。

 

彼女達は見た目こそ人間の少女だがその正体は外宇宙に住む宇宙人なのだ。艦娘と同じくそして同時期に突如として現れ彼女達がこの地球で暮らす代わりに技術協力をするということで人類側と協力関係にある。元々、本来の姿ならば特殊能力など使えたらしいのだが今の姿ではその能力も弱くなってしまったようだ。だが外宇宙の技術は人類に大きな進歩を促し一定の立場を持っている。それぞれの鎮守府にはそうした宇宙人達が何人か所属しているとのことだ。そうこうしている間に料理が出来る。

 

 

「んーっ!やっぱり美味しいっ!生まれ変わった甲斐があったってもんだよ」

 

「もぉガッツさんったら」

 

 

料理を口に運び蕩けた表情を見せるガッツに苦笑するペガッサ。ガッツの言葉は嘘ではない。彼女達は一度死んでいるのだ。人間となった少女達が口を揃えていう言葉は自分達は一度死んで生まれ変わったという事。そして何故、人間の姿をしているのかは彼女達にも分からないようだ。だが艦娘という存在がある以上、なにか関連性があるのではないかと日夜研究が進められている。

 

 

「そう言えばなんで泊まり込みなの?」

 

「ゴモラザウルスのことは聞いているかい?実はここに運ばれる手筈になっているんだ」

 

 

隣で味わいながらも次々におかわりをして食事をする赤城を他所に同じく料理を味わっていたユウマがふと箸を止め対面しているマツミズに尋ねると軽い食事で済ませたマツミズは湯呑に入った熱々のお茶を啜りながら答える。

 

 

「ここを経由して陸路で運ばれるらしい。一応、私も立ち会う話になっているから泊まり込みなんだ。ユウマにはいつも悪いが家の事は任せるよ」

 

「家事ならなんとか。俺と伯父さんだけだからそれほど苦じゃないし」

 

 

ユウマとマツミズは同居している。それはユウマの両親が過去に亡くなっているからだ。だから親戚をたらい回しにされていたユウマをマツミズが引き取り育てている。時たまこの鎮守府にユウマを連れてきていたこともありそれがユウマがこの鎮守府にある程度詳しい理由である。宿舎があるとはいえユウマを想い可能な限り、同じ屋根の下で過ごしていたが、やはりマツミズの立場上、何かと家を空けることが多くなってしまう。艦娘が現れた時などはそれはもう凄かった。

 

 

「悪いね。ゴモラザウルスは後五、六時間に到着だ。深海棲艦や怪獣の影響で国民全体の活気も失われつつある中で少しでも活気を取り戻そうとしてのことなのだろうけどきっとゴモラザウルスからしたら溜ったものではないだろうな」

 

「まあ…ね。俺、食べ終わったら帰るよ。明日も学校だし」

 

 

趣味の良さを感じる腕時計で時刻を確認し日本の現状とゴモラザウルスに対してユウマと同じく同情を示すとユウマも頷き、口に運ぶだけでも幸福感が広がるこの料理を噛み締めようと食事を進める。

 

 

──同時刻、地球の周辺では赤い大きな光球が現れ、まるで地球の様子を見つめるように静止していた…。

 

 

 




という早速、第一の怪獣はゴモラとなりました。このゴモラですがやはり艦娘や深海棲艦達と同じで結構、オリジナル設定があります。







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