ウルトラマンゼノン ウルトラの奇跡   作:ウルトラゼロNEO
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艦娘標本 part2

 

 

「誰もいない…?」

 

「僕とソーフィ、ガッツ、長門で見てくる。皆はペガッサと車内で待機していてくれ」

 

 

ユウマが別の鎮守府で起きた事件の為にゼノンへ変身し飛び立つ30分前。演習を予定していた鎮守府にたどり着いたソーフィ達は大型車を降りて敷地内を見渡している。艦娘どころか人の気配すらないのだ。マツミズは現在の秘書官である長門以外の艦娘達に指示を出すとソーフィとガッツ、長門を連れ、そのまま鎮守府内へ歩みを進める。

 

・・・

 

 

「何がどうなっている…。艦娘どころか用務員もいないとは…」

 

「ガッツ、どう思う?」

 

 

鎮守府内を練り歩いても人っ子一人いない。はっきり言って異常だ。長門の呟きを聞きながらソーフィは視線を鋭く周囲を警戒しているガッツに問いかける。普段の緩やかな性格では想像出来ないがこの中ではガッツが、いや、マツミズの鎮守府ではトップクラスの実力者だからだ。

 

 

「んー…そうだね…。まぁさっきからなにか感じるわね。ねっとりと見られてるって感じで気持ち悪いかな」

 

 

言葉通りの気持ちを抱いているのかガッツは表情を顰めている。自分達の歩く足音が響くほどの静けさに満ちたこの鎮守府はとても不気味だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『きゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーっっっっっっ!!!!!!!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この声…ペガちゃん!?」

 

「…行ってみよう」

 

 

 

 

 

静けさを打ち破るように悲鳴がこだまする。聞き覚えのある声、これはペガッサの声だ。いち早く反応したガッツは素早く来た道を振り返り、マツミズは全員に声をかけると駆け出す。

 

・・・

 

 

「ダメ…。山城が所属していた鎮守府にも連絡がつかない…」

 

 

場所は変わり、マツミズ達が所属する鎮守府で何とか危険を伝えようと奔走していた霧島達だが、連絡をとることは出来なかった。

 

 

「こうなったら直接向かうしかないんじゃ…」

 

「そう、ね…。上に連絡してからじゃ遅いかも知れないし…」

 

 

どうするべきかと頭を悩ませる艦娘達。比叡の一言に陸奥も同意する。このままではマツミズ達が危ない。なにかあってからでは遅い。

 

 

「──…行くのであれば…私も…」

 

「山城…!?」

 

 

動き出そうとした瞬間、か細い声が彼女達の動きを止める。見れば、そこには壁に寄りかかる山城の姿が。安静にしてなくてはいけないのに何故と時雨は山城に駆け寄る。

 

 

「私にとって…あそこは大切な場所なのよ…。扶桑型だから姉様を慕ってきた訳じゃない…。提督…姉様…みんな…今まで私という存在を作ってきた上で大切な人達…。だから私だってなにかしたい…ここで待っていられないの…」

 

 

山城は時雨に支えられながら己の心中を語る。本調子ではない山城を連れて行くかどうか陸奥達は選択を迫られていた。

 

・・・

 

 

「どういうことだ…?」

 

 

場所は再び事件が起こっている鎮守府へ。外へ出てきたマツミズは困惑して思わず呟いてしまう。いやマツミズだけではない。ソーフィ、ガッツ、長門もそれぞれ同じような表情で辺りを見渡している。なぜならば自分達が乗ってきた大型車がないのだ。忽然と姿を消し、静けさだけが残る。タイヤ跡を見ても戻ったわけでもないし、それ以前に勝手に帰りはしないだろう。

 

 

「──ッ!!」

 

 

背後の方で微かな物音が聞こえる。いち早く感づいたガッツは素早く太もものホルスターから小型の光線銃を抜き取り振り抜きざまに構えるが、そこには誰もいない。

 

 

「…今はいない。けどなにかいたわ。でも一瞬で気配が消えた」

 

「…なにかあったのは明白だな。ここだけではない、我々の仲間達もいなくなった」

 

 

辺りに銃口を向け、視線を素早く動かし辺りを見回すガッツの反応を見て、同じく警戒しながら庇うように立ってくれている長門の後ろでマツミズがこの異常事態にただ静かに呟くのであった。

 

・・・

 

 

「…目標ノ一人、戦艦長門、発見。地球人ノ他ニモ同ジ地球人ノ雌デ微弱ナ反応ダガ、ガッツ星人ヤ、ゼットン星人ノ反応ヲ感ジル。又、捕エタ艦娘ノ他ニモペガッサ星人モ捕獲」

 

《ほぉ…。ペガッサ星人か…。それにガッツ星人やゼットン星人…。だが、我々の目的はあくまで艦娘だ。指示した艦娘は8体、そして艦種別に一体ずつ、そして他にも艦娘を2体だ、この2体は色々と実験に使う以上、適当なモノではいかん》

 

 

マツミズ達の様子をラボの窓から見つめるのは、山城達を襲ったダダだ。顔には火傷痕が残っている。ダダはこの鎮守府に所属する人間となった宇宙人達が使っているラボに自分で持ち込んだ通信機である者と地球の言語ではない言葉で通信をしていた。円型の液晶に映るのは白い身体に無数の赤い瘤のようなものがあった、どうやらダダの目的というのはこの宇宙人の指示によって艦娘の集めることらしい。

 

 

「艦種別ノ方ハドウニデモナッタ。ダガ、コノ場所ニ目当テノ艦娘ハ少ナカッタ」

 

《その割にはやけに艦娘を捕らえたな。そんなにいらんぞ》

 

「・・・」

 

 

ダダの報告に表情では分からないものの理解できないし、なにをやってるんだと言わんばかりに呆れながら通信越しに言葉を発すると、ダダは背後に縮小して捕えた艦娘が一人ずつ入ったカプセルを見る。

 

 

「美シイ…。地球人ノ見タ目ハトテモ…トテモ良イ…ッ!心ガ乱レル程ニソソルモノガアル…! 態々出向イタノデアレバ得ガアッテモイイハズダ」

 

《…自分のコレクション…というわけか。私に貴様の美的感覚は理解できんがウルトラ戦士が来る前に仕事はさっさと済ませろ。奴の反応は感知している》

 

「分カッテイル…。ダガ、奴ガ来テモ切リ札ハアル」

 

 

心が乱れる、それを表現するように胸の前で両腕をもぞもぞと動かし、興奮気味に語るダダに対し、その様子を通信越しとはいえ気持ち悪く感じたのか、通信相手の宇宙人は引き気味に伝えるとダダはどこからともなく戦車に乗った恐竜のようなスパークドールズを取り出す。

 

 

(──あれはスパークドールズ!?)

 

 

それを見ていたのは強化ガラスで作られた大型ボックスに閉じ込められたペガッサだった。他にも縮小はされたが標本に選ばれなかった艦娘達がいた。この大型カプセルはダダにとってのコレクション用のものなのだ。大型ボックスの強化ガラス越しからダダの様子を伺っていた。

 

 

(まさかダダ星人がいたなんて…)

 

 

彼女の記憶では車で待機していたのだが窓ガラスに突然、ダダの顔が映り、思わず悲鳴をあげた瞬間、気が付けばこのボックス内に閉じ込められていたのだ。身体の大きさを元に戻そうにも今の状態ではどうにも出来ない。せめてここや自分達の鎮守府にある宇宙人達が使っているラボに行ければなんとかなるかもしれないが…。なんとか出来ないものかと考える。

 

 

《どうやらその不出来な切り札を使う時が来たようだな、ウルトラ戦士が来たぞ》

 

「迎撃スル」

 

 

『Kyoryu Sensha!』

 

通信相手の宇宙人はダダの手に持つスパークドールズを見て失笑しながらも、ゼノンが近づいてきたことを教えると、ダダは机に置いてある小型の銃のようなもの…リーディバイスを手に取り、銃口と思わしき部分にスパークドールズのライブサインを読み取らせる。するとリーディバイスから電子音声が鳴り響き、銃口とライブサインは密着する。

 

『Realize!』

 

窓を開けたダダは接近するゼノンを見つけたのか、上空に向かってリーディバイスの引き金を引くと、再び電子音声と共にスパークドールズは打ち出され、空へ向かっていく。

 

 

 

「───グオオオオオォォォォォォーーーーーンッッッッ!!!!!!!!!」

 

 

 

(そんな…!?スパークドールズの怪獣が実体化するなんて…)

 

 

 

打ち出されたスパークドールズはまっすぐ空へ向かいながら上は恐竜、下は戦車とある意味、分かりやすい見た目の怪獣…恐竜戦車は実体化を果たす。自分達の研究ではまだ出来なかった実体化をこなしたことに驚く。目の前のダダは自分達よりもスパークドールズに関する技術を持っているのだ。

 

・・・

 

 

「!」

 

 

目的の鎮守府へ向かっていたゼノンも鎮守府からこちらに向かってくる恐竜戦車に気づく。それと同時に恐竜戦車はこちらに向かいながら車体部分に設置されている砲台から砲撃を始めると、クルリ、と旋回しながらゼノンは恐竜戦車へ向かっていく。

 

 

「デェイァアッ!!!」

 

 

目標を恐竜戦車へ変えたゼノンは恐竜戦車目掛けて接近、両腕をクロスさせ大きく広げるとゴモラ戦で使用したバリアの応用で大きな光のネットのようなものを作り出し、両手首を合わせると開いた両手から光のネットを発射、恐竜戦車を拘束する。

 

見るからに飛行能力はないであろう接近する恐竜戦車を避ければ、落下して周囲の町に、かといってこのまま真正面からぶつかるわけにもいかない。拘束した恐竜戦車は自分よりも重量があり、光のネットを維持し続けるのも一苦労ではあるが、そのまま回転をし遠心力を利用して、鎮守府や町から離れた平野へ投げ飛ばす。

 

 

「ジェアッ!!」

 

 

平野に落ちた恐竜戦車は地面を抉りながら着地するとゼノンも恐竜戦車と距離を開けた場所に着地、その際に土煙が起きる。鎮守府やその周辺の町から少しは距離を遠ざけられたのは良いがあくまで距離は少し離れただけ、恐竜戦車との戦いはそこを注意しなくてはいけない。ゼノンは構えると恐竜戦車へ向かっていくのだった…。

 

・・・

 

 

「ウルトラマンと怪獣…!?」

 

「…このままではマズイ…。近隣住民の避難をしなくては…」

 

 

鎮守府内にいた長門達は窓から戦闘を開始したゼノンと恐竜戦車を見つける。丁度、今ゼノンは恐竜戦車の首を掴み肘打ちを浴びせていた。窓を開け、戦闘を見ている長門の後ろでマツミズは携帯機器を取り出す。ここからでも目視できる距離では危険だからだ。

 

 

「──提督!!」

 

「──危ない!!」

 

 

連絡を取ろうとしたその時、背後でSF映画でビームが発射されたような奇妙な音が聞こえる。振り返れば無数の粒子がこちらに向かってきていた。いち早く反応した長門とガッツはマツミズとソーフィを突き飛ばすも逃げ遅れ、粒子を浴びてしまう。

 

 

「ガッツ…?」

 

「二人ともどこだ!?」

 

 

突き飛ばされたソーフィとマツミズは難を逃れたが、助けてくれた二人の姿が見えない。二人を探そうとした瞬間、何者かの気配を察する。

 

 

「Dぁ…ダA…」

 

 

振り返った場所には数m先にダダが山城達を襲った時と同じ銃を持ちながら立っていた。不気味な声を発するダダを見て嫌悪感すら感じるマツミズ達だが、今はそんなことを言ってはいられない。マツミズは懐に忍ばせておいた拳銃を取り出し銃口を突きつける。

 

 

「元凶はダダ星人だったわけか…」

 

「ダダ星人…?」

 

「不気味な連中さ。だが大方分かったぞ。いきなり消えたこの鎮守府の者達やペガッサ達…原因は奴の持つミクロ化機のせいだろう。他の惑星の住民を小さくして標本として自分達の星に持ち帰ることでも有名だからな」

 

 

隣のソーフィは表情を険しくさせながら呟くと、初めて聞く名前に思わずオウム返しのようにダダの名前を口にするマツミズ。すると説明を求められたのかと思ったのか、ソーフィは簡潔に言うと事件の真相を紐解く。だが、そんな風に話している間にもダダはマツミズ達に放った大型ビーム銃…ミクロ化機をこちらに向けてくる。

 

「だA…Dア…!?」

 

 

再び引き金が引かれそうになった時、足元から小さなビームが放たれ、ダダに直撃しダダはのけ反りよろめく。なんだと思い、足元を見ると成人男性の手くらいの小ささになったガッツと長門がビーム銃を向け立っていた。長門の持つビーム銃はガッツの持っていた物の一つだろう。

 

 

「二人とも!…小さくなるとは聞いたが、奇妙な気分だよ」

 

「言っている場合か。だが無事で何よりだ」

 

 

両手に小さくなった長門とガッツを乗せ、胸の高さまで持ち上げるマツミズ。マツミズの一言に呆れながらもガッツと共にマツミズの掌の上からダダにビームを浴びせつつ彼の無事を喜ぶ長門。身体を張った甲斐もあったといものだ。

 

 

「ダaあDAアァァaァAア!!!」

 

「ッ…今は退こう!」

 

 

浴びせられるビームを鬱陶しそうに跳ね除けるダダは咆哮を上げると、ミクロ化機を持ったままこちらに向かってくる。このままでは不味いと判断したマツミズはガッツ達を両手に乗せたままソーフィと共に走る。

 

 

「DアDA!!」

 

「二人目だと!?」

 

 

逃げている最中に前方には青目のダダが現れる。立ち止まり逃げ道を探そうとするマツミズだが今まで来た道はまだ先程のダダだっているはずだ。どうしたものかと考えているとソーフィが口を開く。

 

 

「最初に言っておこう。ダダは三つの顔を持ち変幻自在に変えられる様から三面怪人とも呼ばれてる。だが能力的にそれだけであんまり意味はない。顔は飾りだ」

 

「…随分とお洒落じゃないか。他にあるかい?」

 

「壁の通り抜け他者への乗り移りテレポート…まぁ色々な超能力を持っているが…」

 

 

人差し指を立てダダの能力の一つを説明するソーフィに思わずマツミズの口から軽口が出る。マツミズの問いかけにあごに手を添え憶えている範疇で答えるソーフィ。だが、そうしている間にもこちらに向かってくる青目のダダに再び逃亡を開始する。

 

 

「ダダはこの鎮守府を占拠していた。だからある程度、私達よりも地の利を得ているから先回りなども出来ているのだろう」

 

「ここを根城にしたのであれば、ダダによっていなくなったペガッサ達もどこかにいるはずだ。ここの施設は大方、見て回った。だからまだ見ていない場所は…」

 

 

逃亡を開始しても行く先々でやはりダダは待ち伏せをしている。両手に持つガッツ達の援護で逃げることには成功しているがエネルギーなどを考えても時間の問題だろう。何とか打開策を練ろうとするマツミズに隣で走っているソーフィと考えを巡らせ…。

 

 

「「工廠!」」

 

 

同時に声を上げる。現在、大体の鎮守府には工廠の方に宇宙人が使用しているラボなども隣接されている。マツミズ達の鎮守府でもそうだ。まだ最後に向かっていない場所を目的地に二人は急ぐのだった…。




今回ちょろっと出てきたリーディバイスは本作におけるギンガスパークやチプルスパークなどのスパーク系やエクスデバイザーやジオデバイザーなどのデバイザー系などといったタイプのアイテムです。

X本編はゼロやマックスだけではなく、ビクトリーやギンガも出てきて更に次回はギンガビクトリーにもなると毎週、お腹いっぱいな内容ですが、ここまで濃いと来年のXの映画は一体、なにをやるんだろうと気になってます。





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