ウルトラマンゼノン ウルトラの奇跡   作:ウルトラゼロNEO
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艦娘標本 prat3

 

 

「…まだ来ていないのはここだけなんだが…」

 

「──提督、こっちに来てくれ!」

 

 

工廠まで何とかたどり着いたマツミズ達は周囲を見渡し、何かダダに関連するものはないかと探す。兎に角、連れ去られた者達を救い出さねばならない。するとソーフィから呼び声が聞こえる。彼女の声の方向へ向かう。そこはこの鎮守府の宇宙人達が使っていたであろうラボだった。

 

 

「ペガッサ、それにみんな無事だったか…!」

 

「他にもいるぞ!」

 

 

ソーフィが持つボックス内では自分の部下である艦娘達やペガッサがこちらに向かって手を振ったりなどして、存在をアピールしていた。ひとまずペガッサ達が見つかったことに安堵しているマツミズにソーフィは個別に艦娘が入ったカプセルを見つけ、回収する。頷きあった二人はカプセルとボックスを持って窓から出る。ダダが近づいてきているのは分かっているからだ。

 

・・・

 

 

「「ッ…」」

 

「…」

 

 

窓から外へ出た二人だったが、既にテレポートをしていたダダが待ち伏せをしていた。目を見開いた驚く二人に対して、ダダは不気味な様子のまま無言でマクロ化機をこちらに向ける。

 

 

【なにが目的だ!?】

 

 

咄嗟にソーフィが宇宙語でダダにその目的を聞き出そうとするも、ダダは答える必要もないと言わんばかりに引き金に指をかける。

 

 

───もう駄目だ。

 

 

二人はそう思う。様々な特殊能力を持つダダに対し、自分達ができる手段はなにもない。時間稼ぎにしろ、話し合いは通じない。そもそも応じようともしない。なにか…なにかないか!?と思考を巡らせていたその瞬間…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───ダァッッ!?」

 

 

「ッ!!」

 

 

 

上空から無数の艦載機がダダを襲う。これには予想外だったダダもまともに艦載機の攻撃を浴びてよろめく。ダダがよろめいた瞬間にマツミズはボックスをソーフィに押し付けるように突き出し、ソーフィが受け取った瞬間、ダダに痛烈なタックルをダダに浴びせる。ドンッ!と強い音を立ててダダが後頭部を地面に強打した。

 

 

「──ッ!」

 

「…」

 

 

ダダが気づいた時には既にマツミズはミクロ化機を奪い、こちらに向けていた。止めろ!そう言わんばかりに手を突き出すが、マツミズは無言でミクロ化機の引き金を引き、ダダの体は縮小された。

 

 

「──提督さん!」

 

「瑞鶴に翔鶴…?何故、ここに…?」

 

 

遠くから微かに自分達を呼ぶ声が聞こえる。見れば海の方向へ離れた場所から瑞鶴と翔鶴がこちらに手を振っていた。先ほどの艦載機も彼女達の物だろう。助けてくれたのはありがたいが、今回の演習の為に編成したメンバーに五航戦は入れてなかった筈だ。マツミズは首をかしげる

 

しかし、今はそれどころではない。

 

ダダだ。折角、縮小出来たのであればこのまま放っておくわけにはいかない。そう思いダダに向き直った瞬間…。

 

 

「だaあDァァaァA!!!」

 

 

怒りの咆哮といった所か。マツミズが向き直った瞬間、縮小されていたダダは巨大化をしてしまう。このままでは踏み潰されてしまう。足元にいたマツミズとソーフィは慌てて走り距離を開けようとする。

 

・・・

 

 

「ジェァッ!?」

 

 

ダダが巨大化したことに気づいたゼノンだったが、恐竜戦車の突進を受け地面に叩きつけられていた。その突進力はゼノンの力を持っても抑えることは出来い程の力を持っていた。

 

 

「グゥオオオオオォォォォォォォォンッッッ!!!!!!」

 

「アァ…ッ!?」

 

 

倒れたゼノンにすかさず恐竜戦車がひき潰そうとする。動こうとしたゼノンだが間に合わず、右腕を轢かれてしまい苦悶の声を上げながら左腕で恐竜戦車が通り過ぎた後の右腕を掴む。だがその間にも攻撃は止まず、背を向けている状態から尻尾の攻撃がゼノンを襲い、ダメージを与えてくる。

 

 

「ゼェアッ!!!」

 

 

その場にゴロリと一回転し、尻尾の連撃から逃れると素早く立ち上がりジャンプ。恐竜戦車の背中に組み付くと、すかさず拳、肘打ちなどで攻撃するが、やはり有効打にはなっていない。

 

するとゼノンは両手をパワータイマーに水平に当て右手を振りかぶるとギザギザのリング状の光輪であるウルトラスラッシュを出現させると、手に這わせるとそのまま何度も恐竜戦車へ斬りかかる。その切れ味は絶大なのか恐竜戦車の表面は切り裂かれ、内部メカが露出する。

 

 

「ジェイアァッ!!」

 

 

そのまま大きくジャンプ。恐竜戦車の躍り出ると先程まで手に這わせていたウルトラスラッシュを手を突き出すことで放ち、勢いを与えられ、高速回転する光輪は恐竜戦車の頭部に深く斬り込む。

 

 

「DaダAアaアッ!!!」

 

「!」

 

 

雄たけびを上げ、マツミズ達を踏み潰そうとするダダにすかさず、エネルギー弾を発射。視界外からの攻撃をまともに浴びたことでダダは派手に吹き飛んだ。

 

 

「ッア…アァッ…!?」

 

 

痛みでのた打ち回るダダは何とか起き上がるも、今度は別方向から砲撃が襲い、再び地面に倒れてしまう。

 

 

「はぁっ…はぁっ…!」

 

 

撃ったのは山城だった。彼女はまだ回復していないのか肩で息をしている。その隣では時雨が彼女を支えて来たのか水面に立っていた。他にもマツミズの鎮守府に所属している陸奥をはじめとした艦娘数人が砲撃でダダを攻撃する。結局、山城の想いに打たれ、彼女を連れて行くことを選んだのだ。

 

 

「…!」

 

 

そんな山城を静かに見つめるゼノン。傍から見ても彼女が弱っているのは理解出来る。これ以上は彼女の身が危うい。ゼノンは両腕をパワータイマーの前でクロスさせ、エネルギーを溜める。すると大きく腕を広げて水平に構えると同時にビームを発射し、ダダと恐竜戦車両方に直撃、特に恐竜戦車はウルトラスラッシュで傷つけた場所に直撃し、貫いた。

 

 

「ハアアァァッ…!ゼェアァッ!!!」

 

 

更にゼノンは恐竜戦車にも使用した光のネットをダダにも発射。艦娘達やゼノンの攻撃でボロボロになっているダダを拘束し、マツミズ達から引き離すためにも自分の方へ引き寄せる。

 

 

「DアぁアあダAaaaaアアア!!!!」

 

「!?」

 

 

あと少しで地面に投げ飛ばされる筈だったダダだったが、テレポートすることで光のネットから脱出。ゼノンの目の前に現れると、そのままタックルを浴びせ不意をつかれたゼノンはまともに受けてしまった。

 

 

「グォォォォォーーーーンンッッ!!!!」

 

「ゼァァッッ…!?」

 

 

再びダダはテレポート。その瞬間、恐竜戦車が目から破壊光線を放ち、ゼノンも避けきれずに直撃。ダダが恐竜戦車の背後に現れると同時にゼノンは膝をつき、パワータイマーも点滅を始める。

 

破壊光線に砲撃の二つの攻撃がゼノンを苦しめ、身動きが取れなかった。パワータイマーが鳴り響く中、ダダは恐竜戦車に攻撃を止めさせ、ゼノンの背後へテレポートする。

 

 

「ッ!?」

 

 

振り向いたころには遅かった。ダダは両手をこちらに向けると徐々にダダの姿が消え、その場にはゼノンと恐竜戦車だけが残されていた。ダダはその能力でゼノンに乗り移ろうとしていたのだ。

 

 

「ウッ…ジュゥッ…!!」

 

 

頭を抑えて、もがき苦しむゼノン。ダダにその意識を奪われないように抵抗している表れなのだ。するとゼノンは右手に光弾を形成すると…。

 

 

「ゼァアッッ!!!」

 

【ダァッ!?】

 

 

一気に自分にぶつけたのだ。ダメージは負ってしまうが、それは現時点で意識を一体化させようとしているダダにもそのままダメージは向かい、内側からダダの悲鳴が聞こえる。

 

 

【出てけぇっ!!】

 

「ゼェアァアアアアッッッ!!!!!!!」

 

 

一瞬だがダダの意識に隙が出来た。その一瞬の隙を突いて、ユウマとゼノンの二つの意識がダダの意識を跳ね除けると、ダダはゼノンの身体から弾かれるように飛び出て恐竜戦車に直撃する。

 

 

「フッ…!」

 

 

一歩下がり、距離を取ったゼノンは両手を水平に広げ、視認出来るほどの煌くようなエネルギーを溜めると…。

 

 

「ゼェアァアアッッッ!!!!!!」

 

 

そのままL字に組んで、必殺光線であるゼノニウムカノンを繰り出す。まっすぐ伸びた光の奔流はダダを貫き、同時に恐竜戦車にも直撃、どちらも爆発四散する。

 

その場にはパワータイマーの点滅音が鳴り響く。何とかダダと恐竜戦車の撃破に成功したゼノンは肩で息しながらも空を見上げ、一気に飛び立つのだった。

 

 

「…──」

 

「山城!?」

 

 

またそれを見つめていた山城も糸が切れた人形のように崩れ落ち、そのまま水中に落ちてしまいそうになる。しかし危機一髪、それを隣にいた時雨が素早く反応し手を伸ばすのだった。

 

・・・

 

 

「───っ!!」

 

 

ハッと目を覚ました山城は目だけ動かし辺りを見回す。時計を確認すれば、あれから6時間以上は経っていた。するとそこには…。

 

 

「起きたのね、山城」

 

「姉さま…!?」

 

 

そこにはダダにより縮小されていた筈の扶桑が山城の手を優しく握っていた。ダダのマクロ化機を解析し、宇宙人達が作り上げた機器によって元の姿に戻っていたのだ。もう二度と会えないかもしれないと思っていた扶桑との再会に驚くも、次の瞬間には眼に涙を溜め、嗚咽を漏らす。

 

 

「良かったぁっ…。本当にっ…!」

 

「ええ…。私達はこれから先の未来も一緒よっ…」

 

 

山城と扶桑の瞳から涙が溢れ出す。ダダに襲われた時の恐怖心とは違い、心が満たされていく。これもこの姿で目覚めてから芽生えた感情のひとつだ。それは色んな人達と接していくうちに芽生えていった温かな感情だ。

 

 

「…」

 

 

それをあの後、そのままマツミズの鎮守府に戻り仕事を終えたユウマが離れた場所から聞き取っていた。倒れた山城のことは飛び去る最中に知っていたので、気になっていたのだ。流石にこれ以上はと思ったのか聞くのを止める。

 

 

「!」

 

 

するとユウマの表情が別人のように引き締まり、ゼノンブレスが嵌められた腕を夜空に突き出すと光弾が放たれ、一気に夜空を駆け見えなくなる。

 

 

(あれはなに?)

 

【ウルトラサインだ。私の母星へ送った】

 

 

見えなくなった光が駆けた夜空を見ながらユウマが内にいるゼノンに問いかけると、ゼノンの喋りに呼応するようにゼノンブレスの宝石も点滅しながら答える。どうやら先程のユウマはゼノンが表面に出てきていたようだ。もう見えなくなったがゼノンも調査員、なにかの報告だろうとそれ以上はなにも言わなかった。

 

・・・

 

 

「今回はとんでもない事になったな」

 

「いやぁーっまいった…。今日は演習どころじゃないしっ…、真っ先に俺が乗り移られるとはな…」

 

 

そんな山城達がいる鎮守府の執務室でマツミズとこの鎮守府の提督であるトダ・シゲユキは椅子にグッタリと身を預けながら天井を仰ぐ。今は落ち着き、ソーフィ達は自分達の鎮守府へ一足先に帰した後、今こうしてシゲユキと話をしていた。そう、シゲユキがこの鎮守府で真っ先にダダの被害に遭ったのだ。

 

 

「徐々に消えていく艦娘達。まさか提督の身体を使っての犯行とは思わないし、そして最後にその現場を目撃した扶桑型だったわけか」

 

「ああ。そうしたらもう俺の身体にいる必要はないし、さっさと身体を捨てたらと思ったら、扶桑を小さくした後は俺も小さくして、ラボのその辺にゴミのように捨てやがったよ。しかしビックリしたね。小便して執務室に戻ろうとドア開けたら、オカッパが待ち構えてんだもん」

 

「お前を探し出すのには苦労したよ」

 

「野郎はいらねぇからってその辺に放置しやがってよぉ」

 

 

今回の事件の発端を整理しているマツミズに当時のことを思い出し、怒りを感じているのかシゲユキがはき捨てるように言うとマツミズは苦笑しながら答える。彼らは旧知の仲で親友であり、シゲユキはユウマとも知り合っていた。

 

 

「そういやユウマはどう?生活は大変じゃないの?」

 

「まぁなんとかやっているけど…それでもユウマには苦労かけているよ」

 

「父親は宇宙開発の為の研究者、母親は宇宙飛行士…。母親はロケットで宇宙に行ったが行方不明。その後父親も事故死…。そんな中で引き取って性根も腐らせずに今まで一緒に生活して来たんだ。もう少し誇っても良いんじゃない?」

 

 

何気なくシゲユキがユウマについて問いかけると、マツミズはソファーに身を預けながら答える。自分に出来ることはしてきたが、やはり立場上知らないところでは苦労はさせているだろう。そんなマツミズにシゲユキは褒めながら今回の件を上層部にどう報告するか二人で纏めようとするのだった…。

 

・・・

 

 

「助けたのに怒られるし最悪!」

 

「独断で動いたから仕方ないわ。それに提督もそれとは別にお礼を言ってくださったじゃない」

 

 

翌日、マツミズ達の鎮守府の雑貨店にて瑞鶴がレジを勤めるユウマに商品とその金額を出しながら不満を漏らしていた。というのもダダの事件に対する独断での出撃などで鎮守府に戻った後、マツミズからお叱りがあったのだ。しかしマツミズ個人としての感謝もあったのか翔鶴がそれをフォローする。

 

 

「そう言えば、捕まった人達を戻したって言う機械の名前ってなんて言うんですか?」

 

「一応、ミクロ化機って名称らしいからマクロ化機って名づけたらしいわよ。安直よねー」

 

 

五航戦の会計を済ませたユウマが何気なく問いかけると名称は決まっていたのか、その場にいたペガッサと一緒に買い物をしていたガッツが答える。ミクロ化機以外にもリーディバイスと呼ばれるダダがスパークドールズを実体化させた小型銃も解析しているとのことだが、それは別にユウマに言う必要はない。

 

 

「マクロ化機…部分的に当てると大きくなったりするのでしょうか…?」

 

「ベガちゃんは今の方が一番良い抱き心地だから気にする必要ないでしょー?」

 

 

ボソッと誰に言うわけでもなくペガッサが自分の胸に手を当てながら呟くと、近くにいたガッツがそれを聞き取ったのか、意地悪そうな笑みを浮かべながらその豊満な胸をペガッサの頭へ乗せるように抱きつく。するとペガッサはワナワナと震え始め…。

 

 

「貴方がそうやって抱きつくから気にするんじゃないですかーっ!!」

 

 

そう言って怒りながらガッツを振り払い、げらげらと笑うガッツを追い掛け回し、その場に残ったユウマ達が笑いながら、二人の後姿を見ているのだった…。




<次回予告>

その存在が世間に知られ始めたウルトラマンゼノン。世界中が注目し様々な声が上がる中、ゼノンをヒーローと信じる少年がいた。少年が手に入れた青い宝石は少年の願望を具現化してしまう。一方、ユウマはロボットのような無感情な少女と奇妙な共同生活を送っていた。

次回 ヒーローの条件







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