ヴォルデモートに死ぬほど愛されています、誰でも良いので助けてください 作:カドナ・ポッタリアン
「そういえば、あの卵はどうやって手に入れたの?」
「お? パブで飲んでたらな、不思議な奴でであって…ちょいと賭けをしたんだ」
何時の間にかノーバーに懐かれているハグリットに、ハリーは問いを投げかけた。
「賭け?」
「そうだ。ちょいとポーカーをな。俺が勝ったワケで、この卵を貰ったんだ。面白い奴でな。俺の仕事に物凄い興味を持っとった」
「…続けて」
アイルは何やら急に表情が険しくなり、考え込むような顔をした。
「どんな魔法生物を飼っとるかとか聞かれてな。特にフラッフィーの事について聞きたがったな」
「え、話したの?」
「あぁ。彼奴を手なずけられるのは、俺やダンブルドア校長…あとアイルだけだって。でも、ちいと音楽を聞かせてやればスヤスヤ〜っと…」
「っ! …不味い。非常に不味いわ…ハグリット、その人物の特徴は?!」
彼女は急に立ち上がり、ツクエの力強くたたいた。その表情は、焦りと恐怖に満ちていた。
「早く言いなさい!」
「わ、わかった…声は男だったな。黒いローブを着ていて顔を見えなかったが…背格好は女みたいな感じだったな」
「声が男で…背格好が女?! どういう…」
「お姉ちゃん、どうしたの? 急に怒鳴ってーー」
「貴方達は関わり合いになってはならない事よ」
アイルは歯を食いしばり、大きなバン!という音を立てて小屋から出て行った。ハリー達はただ呆然としているだけだった。あんなに怒ったアイルを、ハリーは初めて見た。怒っていても綺麗な人だったけど、やっぱりずっと笑顔でいてほしい。ハリーの悲し気な顔を見かねたハグリットは、気まずそうに言った。
「あー…アイルは怒ると怖いんだ」
「お姉ちゃんが怒った所、僕初めて見た」
「そりゃあ唯一の家族だもんな。怒りも涙も見せたくはないんだろうな」
「ねぇハグリット、教授はどうしてあんなに怒ったのかしら?」
ハーマイオニーは首をかしげた。頭の良い彼女の事だから、きっと大方の想像はついているのだろうけど、それでも確信はなかった。あくまでも仮説に過ぎないのだから。
「ハグリット、本当は知っているんでしょう? 全部」
「おうおうハーマイオニー、いくらお前さんの頼みでもそれは教えられん。ダンブルドアとの約束だ」
「…ハグリットはポッター先生とかダンブルドアとかと親しいんだね」
ロンが言った。すると、ハグリットが嬉しそうに胸を張った。
「その通り。二人共、偉大な人だ。俺なんかを気にかけてくれて…」
「ダンブルドアとの約束だなんて…貴方は相当信用されているのね」
「おうよ。ダンブルドアは俺の事を信頼なさってくれている。何と嬉しい事だ」
髭もじゃの友人は上機嫌そうに笑い、戸棚からクッキーを取り出した。ロンはそれの一つを口に放り込むと、食べながらモゴモゴと言った。
「だんぶるどあ?」
「おうノーバー、俺の恩師だ。物凄い人なんだぞ」
「あいたい! あいたい! ノーバーあいたいー!」
「わかった。今度あわせてやるぞ」
ハグリットは滑らかなノーバーの髪を撫でた。多分、アイルが連れ歩いていたらルシフとの子供だと思われるだろう。勿論違うが。ロンは不思議そうに言った。
「なぁハーマイオニー、さっきさ、『魔法の錬金術師』とか言ってなかった?」
「貴方、知らないの? アイル教授の異名。魔法をいとも簡単に作る魔女だと言われてるのよ。その様は、まるでニコラス・フラメルのようみたいだって」
「ニコラス・フラメルっ!」
「どうしたの? ハグリット」
「いや、なんでもない…」
ニコラス・フラメル…その言葉に反応したハグリット。ハーマイオニーは訝しげな顔をして唸った。
「ニコラス・フラメル…確か、『賢者の石』を作った人物…あ!」
「げ、なんでそんな…」
「ハグリット! フラッフィーのいた所には、『賢者の石』があるんじゃないの?!」
「げ、なんでそんな…」
「図星なのね…」
ハーマオニーは呆れた表情でため息をつく。『賢者の石』とは、あらゆる金属をも黄金に変え、不死の水は作り出す錬金術によって生まれた代物。アイルはこの事を言っていたのだ。しかし何故ホグワーツにそんなものが…
「そういえば本に、現在石は作成者のニコラス・フラメルが所有しているとあったけど…」
「ハーマイオニー、べ、別に俺は『賢者の石』があるとは言っておらんぞ」
「でも、顔に書いてるもの」
「…」
「はぐりっと、うそついちゃ、めー!」
「うぐぐ…」
可愛いノーバーにもヒゲを引っ張られ、嬉しいけどちょっと悲しいハグリット。嘘ついちゃダメだてさ。
「お姉ちゃん、何処行ったのかな…」
「アイルは行動の分岐が多いからな。兎に角わからない子だったよ。昔っから」
「大丈夫さ。アイル先生は強いから、何があっても」
「そうよ。…何故『賢者の石』がこの場所にあるのかは分からないけど、今私達にできる事は何もないわ。じゃあね、ハグリット。また来るわ」
ハーマイオニーはソファから立ち上がり、ノーバーの頭を撫でた。
「今度は普通の話題を持ってきてくれや」
「さぁどうかしら? でも、今度はノーバーの好きそうなモノを持ってくる」
「ノーバーのすきなもの?」
「そうよノーバー、まだわからないけど…ドラゴンだからね…」
*
とりあえず暇だったので、ハリーとロンは、何処かへと向かうハーマイオニーの背を追った。何やら興奮した様子で、楽しそうな表情を浮かべていた。
たどり着いたのは「図書館」だった。厳格な司書の取り締まる宝庫は、いつもながら少しガヤガヤてして、人で賑わっていた。
「ねぇハーマイオニー、どうしたんだい?」
「ちょっと、『ニコラス・フラメル』について調べてみようと思うの。あと、『賢者の石』についても」
「何でだよ。別に良いだろ? 論文書けって言われたわけでもあるまいし」
「言われるかもしれないわよ?」
ハーマイオニーはハキハキと言うと、早足で奥へ奥へと進んで行く。その間、本を手に持つ少女や、魔法で本を取っている青年、宿題をしていると見せかけて悪巧みをしている赤毛の双子を見かけた。
すると、彼女はある本棚の前で止まった。天井からは、「魔法史」と黒い文字で書かれている装飾の施された木の板がぶら下がっていた。よく見ると、ヒゲの老人や見た事のある女性が彫られている。アイルが作った事は確かだろう。
「とりあえず、私はそれが知りたいの。わかる?」
「はぁ…」
「だから、手伝ってねハリー」
やっと本題が入ってきた...