そよ風と荒風の隙間から   作:かえー

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10年後

時はあの日から十年後…平和になった時…

 

「…ぅ…ここは………」

気づけば私は海岸で寝転んでいた。武装は全て欠落していて、あったのは自分の体だけだった。運良く、武装に全て弾が当たったらしく自身の体は無傷だった。長い間、武装とともに深海で眠り欠落と同時に打ち上げられた、と考えるしかない。周りを確認する。白い砂浜に青い海。戦いの傷跡なんて残ってすらいなかった。ここはどこだろう…歩いて行けば何かあるはず。立ち上がろうとしたその目先には見たことないものが立っていた。「戻ってきたんだね。」彼女は帽子を被り直し、私を抱き起こした。

 

「私は…雪風です。貴方は?」

「ヴェールヌイ。信頼という意味なんだ。」

ヴェールヌイ…ロシアの言葉か。なぜここにロシア艦が…そうとして。「ここは…どこですか?」ただこれが気になった。もしかするとここがロシアやシベリアかもしれないし、もしかしたら秘境の地かもしれない。「ここは…ブインだ。日本からだいぶ離れているがここには補給物資もある。私は戦いが終わってからここで暮らしているんだ。」

戦いが終わった?なんの…?私は立ち上がり、響と基地へ向かった。

 

☆☆☆☆☆☆→ブイン基地講堂

講堂で二人向かい合う形となり、銅像の前に座る。

「戦いってなんですか…あまり覚えてないんです…」

「深海棲艦が海域を封鎖して続いた戦いが2年前終わったんだ。なぜ終わったかはよく覚えてない…けれど、確実に海域は平穏となり、海も空も邪魔するものはなくなった。」そうなのか…私が沈んだ後、どうなったのだろう。あの人が平和をつかんだのだろうか?結末を知りたい…!

「ヴェルさん、始まった日から…終戦まで、教えてください…私も一人の艦娘として…生きて還った者として、聞く権利があると思うんです…」気がつくと私の目から涙が溢れていた。響がその涙を拭う。

「分かった、全て話す。君はいつこの海域から姿を消したんだい?」

そうだ、私が最後に海に出た時、それは…

 

→→→→→→坊ノ岬

私はあの日、大和率いる旧連合艦隊の護衛艦を勤めていた。私達の目的は少し違い、敵は深海棲艦じゃない。艦娘達だ。三笠を解体にした、あの日から大和を中心として連合艦隊が組まれた。睦月型や朝日も集まり、非公式の組織となった。私は当初、監視目的で場所亡き駆逐隊から派遣されたが、大和の言葉に引き寄せられ駆逐隊を捨て、大和の支配下となった。大和は私を受け入れてくれた。呉で幸運艦と言われる裏で、装備の破壊、否定、差別、偏見と酷い扱いを受けていた。その私を仲間として受け入れてくれた。私は大和に従った。

敵は動く要塞、人工棲姫。彼女は人間と深海棲艦が共同で開発した艦である。動きこそ遅いものの、それをカバーする武装がとんでもなかった。もう一つの敵は…日本海軍が仕切る連合艦隊だった。

人工棲姫との戦闘でどさくさに紛れて連合艦隊を潰す、と言う作戦の予定だった。だが、戦いの途中大和が急に動けなくなっていた。

当時の私は大和周辺の敵と戦闘していて、人工棲姫に狙われている大和を早く助けたいと思っていた。だが、動けない大和に姫は攻撃をしない。攻撃をしていたのは暗い海域を動き回る一隻の軽巡洋艦。「私が大和だ!私に続け!」

矢矧は人工棲姫周辺を走り回り砲撃を繰り返す。どこから見ても、大和と似ていて普通の人が間違えてもおかしくはない。人工棲姫は全く動こうともしない。奴の装甲には傷ひとつついていないように思えた。

「全砲門解放、目標、艦隊旗艦大和。徹甲弾を装填。発射。」

姫から言葉が発せられると同時に砲弾が発射される。それは動けない大和ではなく、動き回っている偽りの艦隊旗艦に直撃した。本当に姫は間違えていたようだ。

「矢矧!」

一人の艦娘の声が響き渡る。煙の中から出てきたのは一人の駆逐艦とボロボロになり、轟沈寸前の矢矧だった。

「矢矧!すぐ連れて帰るから!耐えて!」引っ張りながら彼女は叫ぶ。首から魚雷が発射された。(艦首魚雷…!?)あの武器は初めて見た。いくら艦娘だろうが、彼女だろうが、敵は敵だった。彼女等は海域から撤退して行った。が、敵は気づいてしまう。本物の旗艦はまだいることを。「目標を変更、目標連合艦隊旗艦大和。主砲冷却中で使えません。」これで退却できる!

「大和さん、退却し…」姫の言葉は私の言葉を遮る。そのおかげで大和に声が届かない。

「対艦ミサイルを使用、セット完了。発射。」ミサイルは大和の元へ撃たれていく。

「大和さんっ!!」全速力で大和の元へ向かう。動けない大和は少し笑った気がした。その笑みは黒い笑みだった気がした。着弾直前に大和の前に出る。

「雪風さん!やめてください!退避してください!」やめない。これで終われるなら…守れるなら…私は……ミサイルが直撃する。

爆発。ミサイルの断片は私の装甲を打ち破り皿に爆散を続ける。私は水面に叩きつけられ、艤装が破片になり散っていた。私の意識は途絶えかけ、身体は沈んでいく。体は痛くなかった。これが…轟沈ってやつか…沈むことに後悔はなかった。体は沈み周りも暗くなっていく。水中からは海面の様子が見えず、大和がどうなったのかもわからない。何か声が聞こえて来る気がしたが、とても返事ができる元気はない。私は意識を放棄した。

 




本編もクライマックス…ということで新シリーズです。周りの小説書いてる人を見るんですが、どうもそれを超える小説がかける気がしません…それでも、話が終わるまでは書きたいです。ではでは。
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