はぁ…ついついため息が漏れる。まさか、横須賀を離れてここで暮らすことが増えてしまった。「矢矧ー?ご飯はー?」「いまつくるから。」キッチンで食材を調理する。その調理したものを皿に乗せあの机に向かった。「今行くから。」
こんな生活ができるとは思ってもいなかった。艦娘になってから自分は戦いだけがすべてだと思っていた。戦いで敵を沈めそして勝利を勝ち取る。が、それは違った。これは自分の意思で動いているのではなく、人間の指令に従っていたのだ。自分の意志で動く。自分の意志で動ける人間を学びたいと思った。私はいつか思っていた。そして、その日は来た。
ある日、深海棲艦が町に侵入。そして、その偵察任務に買って出た。そして、人間の世界に足を踏み出すことができた。人間はすごかった。ただ、言葉で表せないほどすごかった。高い建物がたくさん建っていて、食べ物があふれている。これも誰かが意志を表明し作り上げられたものだろうと。その生活をしようと、人間と同じ環境に住むことにした。
そこから、二か月がたった。私の元には人間の世界で言う、家族のようなものができた。無愛想で言葉の少ない駆逐艦、島風と呉鎮守府から飛び出してここに来た伊401。この二人とここで生活していると、なぜか鎮守府にいる時より私の気持ちは温かかった。
そんなことがあり今の私はいる。401はプラモデルを組み立てている。みそ汁をすすりあげご飯を片づけようとした。玄関のチャイムが鳴る。「どうぞ?」「矢矧ー?元気してた?」部屋に入ってきたのは能代だった。「なんであなたが…?」「まぁ、遠征帰りに。旗艦は許可もらったし。人間の生活はどう?」興味ありげに能代は聞いてくる。「まぁ…まぁかな。」そう、能代は私の姉。この関係も安心してしまう。「能代姉も元気してた?」「まぁ、そうね…あの日からは何とか立ち直ってる。」「…阿賀野姉」
あの日、私の姉阿賀野はトラック島輸送作戦で轟沈した。さらに駆け付けた那珂も轟沈してしまった。敵の牽制空爆で私たちの前から消えてしまった。けれど作戦は続行される。呉まで送られた輸送物はとても神々しかった。今まで見たことのないものだった。だけれどそんな物より阿賀野姉の轟沈が頭に残って輸送物などどうでもよかった。そして、しばらくして私たちの妹にあたる酒匂が誕生した。まだ、酒匂と会っていないけれど…胸が痛かった。
「矢矧…大丈夫?」能代が顔を覗き込んでくる。「まぁ、大丈夫…阿賀野姉のことは忘れたくないけど…今は二人の家族みたいな子がいるし…」「人間?」「いや、そこにいる伊401と島風。島風は今任務から帰投してるところらしいよ?」「島風…あのはちゃめちゃな子か…」能代からため息がでる。dぷやら、あの子の噂はだいぶ広まっているらしい。その時無線機から連絡が入る。『では、0000を持って日本に全ての艦娘を集めるようにする!連合艦隊の最高旗艦は…大和…だ…!』
「大和…ついに動き出すのね。」能代が驚く。大和…日本最高の戦艦…どんな姿をしているか気になった。「…能代、今から舞鶴に集合だそうよ?」私たちは出発する準備をした。「401、行くわよ?」「まだ、第8話までしか見てないからいやづ…」私のヘッドロックにより伊401は連行されることになった。
私たちはアパートを出た。そこで人間に声を掛けられてしまった。「あ、矢矧さんお出かけですか?」「あ、はいぃ…ちょっと遠くまで…失礼します。」ここで、離すと情報が漏れそうだ。心底走不安になった。ってその場から退避した。「あんたも大変ね…」苦笑いで能代が言う。この世界は難しい…複雑な気持ちを胸に舞鶴に向かった。