ファイナルファンタジーⅥ『鬼畜少女が斬る』 作:ロシアよ永遠に
魔導アーマーの圧倒的火力により、ナルシェの守りであるガードと、番犬であるシルバリオはぼっこぼこに、それも完膚なきまでにやられていた。幸いにして死人が出ていないのは、ひとえに帝国兵達がやられた奴らにヒールフォースを掛けているからに他ならない。件の少女はというと、相変わらず弾数無限の魔導ミサイルぶっぱで突き進んでいく。
「炭鉱の守りを固めろ!」
ガードは北の炭鉱の入り口付近。その防衛として、飼い慣らした原生生物であるメガロドルクを投入する。
「ふふふふふふ…選り取り見取り。」
「ヤバイ逃げろガードォォォ!!!」
何故か敵であるはずのガードの身を案じる帝国兵というのも変な物だが、少女の引き起こす惨劇を目の当たりにすれば、そう考えるようになったとしても何ら可笑しな所はないかも知れない。
「魔導ミサイル。」
後部のバックパックの装甲が展開して、その中から見るのも嫌になるような赤い弾頭が姿を現した。その数はゆうに40は下らない。
「ターゲット、マルチロック。」
何故か計器にロックオンレーダーが設置されており、敵対する生体反応に照準がつけられていく。しかし、ミサイルの数が余りにも多く、一体のターゲットに多重ロックが掛けられていく。
「爆発四散しなさい!」
ポチッとな。
発射スイッチを押し込んだ瞬間、魔導アーマーの背部から灰色の軌跡を残して数多のミサイルが周囲に拡散していく。10数メートル上空へと上昇した後、予めプログラミングされたターゲットに向かって軌道を修正、恐怖の色を隠せないガードとメガロドルクに降り注ぐ。
「あっはははははは!!見て!人がゴミの様ね!」
しかし、
1発のミサイルが軌道を逸れ、炭鉱入り口の方へと飛んでいく。
向かう先はしかし入り口ではなく
その上方にある
それは数メートルあろうかという洞窟であった。
その中にミサイルが吸い込まれていくように消えた直後。
爆撃。
「ウガァァァァッ!?!?!?アツイ!?アツイィィィィッ!?」
やたら大きな男のような悲鳴が聞こえてきた。
魔導ミサイルの爆撃による、朦々と立ちこめた煙が晴れると、死屍累々と言う言葉がぴったりはまるような、そんな光景が広がっていた。
地はえぐれ、
生み出したのは数多のクレーター。
そして地に伏すガードとメガロドルク。
彼らは犠牲になったのだ。
ガストラ帝国の魔導アーマー、その圧倒的な火力の前にな。
「さて、サクサク行きましょう。」
がっちょんがっちょんと、独特の駆動音をならしながら、少女の魔導アーマーは炭鉱の中へと消えていく。
「……とりあえず負傷者の手当てをしようか。」
「…だな。」
いつの間にか護衛と思っていたのにもかかわらず、まるで幼子のお守りにも似た役所になっていることに内心溜息をつきつつ、彼らは倒れふすガード達の治療を迅速に始めた。
「ゆけっ!ユミール!」
「魔導ミサイル。」
「ピギャァァァアアアッ!?!?」
「ユミールゥゥゥッ!?」
でっかいカタツムリをやはりミサイルで掃除し、三人はようやく炭鉱にある氷漬けの幻獣まで辿り着いた。帝国兵二人はやつれており、戦闘よりも負傷者の治療の方が多かったように思う。というか、戦闘自体してない。
「こ、これが幻獣…。」
「スゲぇな…。…俺は幻獣を見るのは初めてだが…、なんて言うか引き込まれそうな魅力が…。」
「…ぼぉっとしてないで、早いところ持ち帰りましょう。」
「お、おい!迂闊に近付くな!」
少女が魔導アーマーで幻獣に近付いた瞬間、幻獣が淡い光を放ち始める。
「な、何だこれは…!ハッ!?」
一人の帝国兵、その体が淡く光ったと思えば、魔導アーマーを残して跡形もなく消え去った。
「お、おい!一体何がっ!?」
言い終わるや否や、もう一人の帝国兵も消え去っていく。
「あ~、もしかして次の世界に行っちゃったんですかね。」
恐らく次は巨大企業に立ち向かうレジスタンスになっているのだろう。そういえば野営の際に言っていたが、前回の世界は一国の王子の護衛役をしていたとか何とか。
『ん?何?何なん自分。』
「喋れるんですか、驚きです。」
『自分、幻獣をなんやと思っとるん?そりゃワイみたいに喋れる奴もおるで?…まぁええわ。』
突如として脳内に響く幻獣の声。その語りかけに少女は驚きながらも、その事実を受け入れる。
『で?自分何の用なん?』
「どこかのジジイが、夏が暑いからとデカい氷を持ってこいと駄々をこねてたので、お持ち帰りしても良いかな、と。」
『シヴァは?』
「イケメン以外はお断りだそうで。」
『あぁ…、アイツは昔っから面食いやからな。』
長らく会っていない友人を懐かしみ、その声色に柔らかさを含ませる氷漬けの幻獣。これは好感触か?と、踏んだ少女は、思い切ってみることにした。
「そんなわけで、私と…」
『却下。』
「即答っ!?」
『正直、まだ眠たい。て言うか、まだ働きたくないねん。一年後くらいに本気出すから、それまで寝かせて。』
なんというニート宣言。というか、今の今まで永らく氷漬けで寝ていて、それであと一年?その時間が短いのか、それとも長いのか…。あと5分みたいな感覚で言われても困る。
「働いたら負け、そう言いたいのですね。ふふふふふふ…。」
スイッチが入った。入ってしまった。
「なら貴方を負け組にしてあげましょう!!」
かくして、魔導ミサイルとファイヤビームの応酬が炭鉱内で引き起こされたという。
発売当初、小学生だった自分は攻略法が分からず、ユミールの殻に攻撃してしまい、ばりばりと一万ボルトを経験したという苦い思い出が…。