ファイナルファンタジーⅥ『鬼畜少女が斬る』 作:ロシアよ永遠に
空しく、そして無情な戦いが終わり、女性下着を被った変態仮面はティナを連れて炭鉱の裏口へと辿り着いた。
彼は、少女が気を失っていることを改めて確認すると、壁に取り付けてあるスイッチを操作して、出口を解放する。爆発にも似た音と共に開け放たれた岩の扉。その音量は、気を失った少女の目を覚まさせるのには余りある物だった。
「う…ぅん……?」
「お?気づいたか?」
目を覚まして目の前には、女性下着を被った青年。てかてかと輝く肉体を見せつけるかのように、最低限の布地のみで構成された衣服。股間からVの字で肩に掛けられた細々としている布地が、逆に変態的だ。そして戦慄するのは言うまでもない。ましてや年頃の少女であれば、その精神的ショックは推して知るものだ。
「…さむくないの?」
しかし、ティナという少女。彼女は
「…大丈夫だ、問題ない。」
変態仮面…否、ロック・コールは少々動揺した。大抵初対面の女性にこの出で立ちを見られては悲鳴をあげられるのが通過儀礼ではあった。しかし、この少女はそれどころか、自分の格好に対しての心配してくるのだ。それはまぁ、この炭鉱都市はというと北方に位置する街であり、それだけにその気温も低く、更には降雪積雪もあるので、ロックの服は寒いだろうという見解はあながち間違いない。
「と、とりあえず、自己紹介。俺はロック。世界を股に掛けるトレジャーハンターだ。」
称号は本来のステータス画面には、『
「私は…ティナ。…それ以外は…思い出せないの。」
「記憶がないのか?」
ようやく本来の流れに戻ってきた。ロックの問いに、否定する要素がないために、ティナはコクリと頷く。
「そうか、だったら俺が守る!」
「……?」
「俺が守ってみせる!」
本来この作品の一つの節目となるシーンなのだろう。しかし、少女の方はともかく、青年の格好。それは余りにも場違いであり、それでいて異様でしかなかった。
二人はナルシェを後にして南下し、フィガロ砂漠のど真ん中に居を構えるフィガロ城を目指す。ロック曰く友人が治める国でもあり、恐らくこれからやってくるであろう帝国からの追っ手からも匿ってくれる算段だ。
砂漠をひた進む中でロックはそう説明してくれるが、ティナの頭の内には一つの疑惑が思い浮かぶ。
次はどんな変人がまちうけているのだろう、と。
ロックの友人だけに、その交友が持つ衣服の趣向がどれ程の物になるやら。砂漠だけにジリジリと焼け付く太陽。目の前を歩く青年。ほぼ裸であり、熱く焼けた砂の上を平然として素足で歩く。
そして更に思うのだ。
彼の日焼け跡が恐ろしい、と。
口周りから鼻筋、そして股間からのVラインは白く残り、それ以外が黒く焼けている身体。
うん、おぞましい以外何物でもないね。
さっきは意識の朦朧としたのもあって特に気にはならなかったが、改めてこうして見るとキツいものだ。
暑さもあって
ティナは吐き気を催してきた。
危うく年頃の少女として、そしてヒロイン(笑)として、何としても避けねばならない口からリバースを耐えに耐え、ようやく辿り着いた黒金の城『フィガロ城』。
「これはこれはロック殿。お久しぶりです。」
恐らく門番だろう兵士がにこやかに話し掛けてくる。国王と友人、と言うのは事実だろう、気さくに話し掛けてきた。
さわやかで、それでいてこの暑さと日の光の中、小麦色に焼けた肌が健康的だ。その顔は、来客にとっては門兵として好印象を与えるだろう。
しかし、
それは首から上の話。
彼の身に着けるもの。
それは、
ブーメランパンツ一丁に、手には槍を携えている。
ただそれだけだ。
やはりティナは思う。
予想通り変人ばかりだ、と。
「話は伺っております。その娘が?」
「あぁ、そうだ。『彼』の所まで行っても?」
「えぇ。構いませんよ。…それにしてもロック殿。相変わらず見事な肉体美だ。」
「世界を股に掛けていれば、自然とこうもなるさ。」
「世界に股を掛けている、と捉えても差し支えありませんな。」
「「ハッハッハッ!」」
意味が分からない。
暑さのお陰でぼやける頭。ティナは早く中に入りたそうにしながらも、目の前で行われる茶番に付き合うしかなかった。
「ようこそ、私がこの城を治めるエドガーだ。よろしくお願いするよ、レディ。」
ようやく通された王の間。そこにいたのは割と軟派なだけの王だった。恐らく遠からず来るであろう帝国の追っ手。自国は彼の国と同盟を結んでいるとあり、色々ごまかしが利くので匿うのも容易いだろう、と。
まぁ第一の理由として、
「キミの美しさが私の心を捉えたから。」
らしい。
特に行く当てもないので、なし崩しにフィガロ城に滞在することとなった2人。
しかし、この城の隠す混沌を、ティナはまだ知らない…。