ファイナルファンタジーⅥ『鬼畜少女が斬る』   作:ロシアよ永遠に

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『化物ばかり』

ゆらりゆらめく遠くの景色(蜃気楼)と、クッソ暑いこの日差しが、3人の人間の体力を奪う。ただただその間に会話はなく、砂を踏みしめる音と、その軌跡を背後に残すのみ。

 

(あぢ)い…」

 

項垂れるのは一際目立つ格好の男だった。見るからに派手で、機能性などかなぐり捨てており、かと言ってファッション性があるかと問われれば口をつぐんでしまうだろう。

 

「…なんだってぼくちんが、辺境の、それも砂漠のど真ん中まで来なきゃならないんだよ。」

 

「心中お察しします。」

 

「ナルシェから帰ってこないあの小娘さがして三千里だか何だか知らないけど、『ア○ディオ』のかわりにむさ苦しい男兵士二人が護衛とは…。世も末だってばよ。」

 

「その台詞、そっくりそのままお返しします。」

 

一応、帝国の一兵卒である茶色の鎧を身に纏った彼等は、護衛対象である派手な男『ケフカ』の階級とは大きく離れている。人造魔導師、という立場上、将軍であるセリスやレオと並んで将軍階級の特権を与えられていたりするため、下手をすれば先の発言は咎められかねないのだが、このクソ暑い中でそこまで力と頭が回らないのが現状だ。

 

「もっと手軽で、そんで手早く移動できる方法とかないの?」

 

「…例えば?」

 

「…人間大砲、とか?」

 

「詳しく聞く前にどういうオチかが予想がつきますけど、一応詳しく説明を。」

 

「大砲の弾の代わりに人間を詰め込んで点火、それで目的地までひとっ飛び。画期的じゃないかな、とぼくちんは思うんだけど?」

 

「いろんなとこから抗議が来そうですんで却下です。」

 

「一繋ぎの財宝を求める世界の赤っ鼻とか。」

 

「なにそれ凄い親近感。」

 

「モヒカン蔓延る世紀末な世界に出てくる拳法とか。」

 

「なんと!!人間砲弾と申すか」

 

「世界樹の聖剣が登場する世界にも同じような移動方法が確立しているとか何とか。」

 

「やはりス○エニの…いや、元ス○ウェアの考えは、一味も二味も違う!そこにシビれる憧れるゥ!」

 

「と、話題は変わりますがケフカ様、その…」

 

「なんだよ?」

 

「いえ、何でも…ぷくく…!」

 

顔を伏せて、何やら必死に笑いを堪える帝国兵。もう一人の方も御同様で、後ろを向いてプルプルと震えている。

何やら二人にしか解らない話題で笑っていることにほんの少しの疎外感を味わいながら、蜃気楼ではなく実物として目の前に迫りつつある機械仕掛けの城フィガロへと進んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひっ!化け物!?」

 

門番の開口一番がこれである。

仮にも同盟を組んでいるとはいえど、いの一番に罵倒する門番とはこれいかに?フィガロの人事問題は深刻ではないのだろうか?そもそも、城の最前の護りである門番の露出がここまで(前話参照)多いというのもおかしいだろう。

 

「………。」

 

「おい門兵!口を開いて最初の言葉がそれか!?………事実だけど。」

 

「ケフカ様の御前だ、不敬であるぞ!………事実だけど。」

 

なにこの部下共。

フォローするならともかく、その事実を認めるとか、こいつら馬鹿なの?死ぬの?

 

「お、おやケフカ殿でしたか。これはご機嫌麗しゅう。」

 

「死んでまえ。」

 

暑くて噴き出す脂汗なのか何なのか解らないテカりを見せる門兵に、指先からファイアを放つ。

うん、よく燃える。

 

「ってぼくちんのバカ!余計に暑くなっちゃったじゃないか!」

 

「「ないわー」」

 

「…人の城で小火を起こすとか、何を考えているんだ?」

 

呆れた顔でエドガーが城内から姿を現す。腰に手を当て、ジト目で睨むという、テンプレにも似た様子で、だ。

 

「しかもお前…凄い顔になっているぞ?」

 

「顔…?おい兵士A。鏡だ。」

 

手渡された手鏡を見、写し出されたのは()()が上手く乗った、恐らく自分では『芸術』の域に達していると思い込んでいる顔だろう。

 

「な、なんじゃこりゃあ!?」

 

もはやキャラの原形を留めていないケフカは、ムンクの叫びのような表情に変貌する。

暑い砂漠を越えて、その気温により噴き出た汗が、顔の化粧を醜く流し落とし、文字通り化け物のような化粧崩れを起こしていたのだ。こればかりは厚化粧が祟ったとしか言えない。

 

「ぼ、ぼくちんの顔がぁ…!」

 

必死に兵士が笑いを抑えていたのはこれか!?ギロリと睨むケフカをよそに、兵士は話題を逸らすかの如くエドガーに踏み寄る。

 

「例の娘を匿ってるのは解ってんだ!大人しく出せ!」

 

もはや押し込み強盗のように帝国兵が迫った。

 

「さぁ…魔導の娘なんて星の数ほど居るけどなぁ?」

 

「お前の言うそれは魔性の娘だろうが。四の五の言わず、例の娘を出して貰おうか。」

 

「おう、あくしろよ。」

 

もはや聞いちゃいない。というか、彼等の背後で脂汗に引火した門兵の火が、恐ろしいほどに燃えている。にもかかわらず、白い歯を光らせて暑苦しい笑みを浮かべている。

 

「たまげたなぁ…」

 

「時間だ、答えを聞こう!」

 

「おい馬鹿やめろ。それ、フラグ…」

 

「そろそろか…。」

 

そう言うと、徐にエドガーは手近なバルコニーへと乗り出す。

もはやここからの行動は手に取るように解ってしまった。

耳に良く響く指笛を鳴らして、外へと背を向ける。

まるで十字架のように。

いや、翼を広げるように腕を真横に。

 

「大丈夫。」

 

「は?」

 

「私、飛べる「おい馬鹿やめろぉ!!名シーンを汚すなぁぁああ!!」Oh…。」

 

そのまま背を預けるように飛び降りた。その高さは10数メートル。下が砂漠の砂とは言え、この高さで、しかも頭から落ちればただで済まない。

しかし、そんなエドガーを黄色い影が拾う。

ダチョウのような骨格で黄色い羽毛が特徴の生物。この世界で陸の移動手段として愛される生物。

 

『…興味ナイネ。』

 

チョコボである。

身体はまさしく鳥のそれだが、何故か顔には嘴はなく、むしろ人間のそれだ。しかも無駄に整っており、寧ろ美形の部類に入る。青い目と、黄色のツンツンとした頭に違和感しかないのは誰もが通る道なれど、この生物が蔓延る世界なのだから誰も何も言わない。しかも鳴き声は…

 

『興味ナイネ』

 

『興味ナイネ』

 

『興味ナイネ』

 

人語を口にしているように聞こえる。もはや人面犬ならぬ人面鳥だ。

 

「ちょっ…!」

 

しかも三匹その面を並べよう物ならば不気味以外何物でもない。世に生きるチョコボ全てが、まるでドッペルゲンガーのようにそっくりな物だからなおのこと始末が悪い。

そんな第四の壁の向こう側の思想をおいといて、エドガーは別塔に向かう城壁に立つ友人と客人に合図を送り、背の空いているチョコボに飛び乗らせた。

 

「良いぞ!沈めろ!」

 

「フォォォォ!!」

 

ロックが謎の雄叫びを上げ、三人と三羽は城から離れる。

その瞬間、

地響きと共に、フィガロ城がその形を変えていく。

城壁は内部に収納され、最小限の表面積へ。

 

「フィガロの機械技術は世界一ィィィィ!!!」

 

などと大臣が屋上で叫んでいるのを最後に、フィガロ城は潜行モードへとシフト。その巨大な姿を広大な砂漠へと沈めていった。




なんかケフカだけが真人間に…
元がアレだけに、彼もキャラ崩壊してるなぁ…

解説

・一繋ぎの財宝を求める世界の赤っ鼻
『道化のバギー』

・モヒカン蔓延る世紀末な世界に出てくる拳法
『南斗人間砲弾』

・世界樹の聖剣が登場する世界
『聖剣伝説シリーズ』
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