ファイナルファンタジーⅥ『鬼畜少女が斬る』 作:ロシアよ永遠に
フィガロ城から脱出した3人は、追っ手の魔導アーマー2機のパイロットに、ロックによるヘッドロック(足Version)をかけ、肉体的にも精神的にも潰して逃れた。
そしてフィガロ城南東にあるサウスフィガロの洞窟を抜け、最寄りの街であるサウスフィガロへとたどり着く。エドガーが言うに、ここで装備を調え、霊峰コルツを越えて、その山奥にある反帝国組織であるリターナーへ身を寄せるという。ティナのこともあるし、リーダーであるバナンならば、彼女の身の振り方を考えてくれるだろう。
今後の方針が決まったところで、一旦腹拵えをしようという運びとなり、レストランを兼ねた酒場へと3人は足を運ぶ。
「ここは私が出そう。二人とも好きな物を頼みたまえ。」
「では私は…英国風フィッシュアンドチップス。」
「…私は、激辛チゲスープ~キャロライナ・リーパーとデスソースを共に~。」
二人が怖い物見たさではなく、おそらくは天然で注文した物に戦慄を覚えながら、エドガーは無難な物を注文して酒場内を見渡す。
その名の通り、フィガロから南に位置するこの街は、実質的に城下町とも言えるので、その賑わいは並大抵の街よりもある。この酒場も例外ではなく、昼間にも関わらず、ほぼ満席となっているのは流石と言うべきだろうか。
「ん?」
ふと一角にて、黒くてやたら長い……バンダナだろうか?布のような物が宙に浮かんでいる。何故か気になり、その大元を辿ると、カウンターテーブル席に黒い装束と、そしてそれと同色のメンポが目についた。
「あいつは…確か…」
傍らにはシェパードと思しき筋肉質の犬が、まるでその男の番犬のようにその身をかがめていた。
「ど、ドーモ……スシです。」
恐らくは店員ががたがた震えながら、色取り取りの東方の料理であるスシを差し出す。その直後、目の前の人物が持つ、独特の気にニューロンが当てられたのか、何らかのショック症状に陥って失禁していた。
「…ドーモ。」
彼はぼそりと呟くと、差し出された寿司を、メンポを外すことなく平らげていく。
面と向かった一人を覗いて、実際平和ではある。昼食を摂る、恐らくは周囲のサラリマンも直視はせずにチラリと見るだけなので、特にショック症状に陥ることもなく、ハシを用いてスシを口に運んでいた。
…しかし、
その平穏はいつも突然に消え去るものだ。
一人の男が、何の躊躇いもなく、平穏にランチを食べるサラリマン達を押し退けて、黒い装束を纏う彼に近付いていく。
「ザッケンナコラー!!」
当然押し退けられたサラリマンは激昂する。実際、押し退けられた勢いで、スシに添えられたショウユ・ソースが白いシャツに付着して、シツコイ・シミと化していたのだ。
「スッゾコラー!」
押し退けてきた彼の肩を掴む!
ブッダ!
先程まで平穏だった酒場が、サツバツとしたアトモスフィアに包まれている!
「イヤーッ!」
だが男が振り向くと共に、その左手を一閃!
サラリマンの首が吹き飛び、真っ赤な血が飛び散った!
「アバーッ!?」
自分の首が切り飛ばされたのを理解し切れぬまま、サラリマンの首と身体は地面へと倒れ伏した!
「やれやれ、おちおち飯も食えんな。」
黒装束の男は立ち上がり、スシの代金よりも多めのギル硬貨を机の上に置く。
「ドーモ。アウトサイダーです。」
男は両手の拳を合わせて、軽くオジギする。
「ドーモ。アウトサイダー=サン。アサシンスレイヤーです。」
返す黒装束の男も、両手の平を胸の前で合わせ、同じくオジギする。
「こんな所に居たとは、さしもの依頼主も気付かなかっただろうよ、アサシンスレイヤー=サン。」
「ふん、俺は今、飯を邪魔されてすこぶる機嫌が悪い。オヌシ…やはり刺客…アサシンか?」
「見て判るだろう?」
アウトサイダーと名乗った男の外装は、動きやすさを重視したのか、かなりの軽装だった。動きを阻害しないよう、黒を基調としたインナー。その上から急所である胸を覆う形で、ベルモーダー革のレザーアーマーを纏う。
「ならば俺の目的は一つ!アサシン、殺すべし!慈悲はない!」
アサシンスレイヤーの傍らに居た犬も、眉間にシワを寄せてうなり声をあげ、威嚇する。
2人の男と一匹が飛びだして、イクサの幕が開けた!
ナムアミダブツ!
平和なランチタイムは、サツバツとしたイクサバへと変貌を遂げたのだった。
「やはりアサシンスレイヤーか…ありとあらゆるアサシンが、同じくアサシンの男が、メンポの『暗』『殺』の二文字の基に潰し回っているというのを聞いたことがあったが…。」
「うまうま。」
「辛々。」
「何はともあれ、私達はともかく、サラリマン達のランチタイムは無茶苦茶だな。」
軽く溜息をついて、荒れに荒れていく店内を余所に苦笑しながら、エドガーは腹拵えを整えるのだった。
「サヨナラーッ!」
「インガオホーだ、アウトサイダー=サン。」
『キャロライナ・リーパー』
『デスソース』
スゴク・カライ香辛料とソース。実際、食べてみてどうなってもそれはインガオホーだ。
だが作者は食べたことはない。ニューロンがアブナイなことになりたくないので。
自分のニンジャヘッズ度合いでは、これが限界。