第一話
今日も朝が来た。来なくてもいい朝が来た。
正直言って面倒くさい。なので俺は二度寝することにした。
「賢悟!起きろー!今日テストでしょ!」
現実からは逃げられなかった。この学校もうやだ。この幼馴染も、もうやだ。
何でこの学校は寮に住む場合三人部屋でしかも男女共用だ。間取りとしては3LDK風呂トイレ付き。寮と言うより併設のマンションと言った感じだ。て言うかマンションだ。
そんなことより三人部屋は分かるが何故男女共用なんだよ!分けろよ!頭おかしいだろ!
さらに三人部屋だからと言って三人で住まないといけないと言う決まりも無い。何が言いたいかと言うと現在俺は幼馴染の女の子と二人で寮の一室に住んでいる…。
「賢悟?生きてる?生きてるならすぐに部屋から出て、死んでるなら返事して」
「どっちにしろ死んでたら出来ないな!」
とりあえず、ツッコんでみた。
「返事があった。死んでるのか…」
死んだことにされた…。俺は悲しいよ。
これ以上悲しい想いをしないために寝室から出る。
「うわっ、死んでる筈なのに出て来た。ということは…どう言うこと?」
「お前はアホか」
頭に軽くチョップしてやる。こいつの方が成績良い筈なのに。
「…朝飯は?」
「昨日の残りのカレー」
「それと同じことを昨日も聞いた気がする」
「いいじゃん二食連続カレーでも」
「お前はそうかも知れんが俺はこれで五食連続でカレーなんだよ」
誰だよ夜・朝・昼・夜とカレーを進んで食べた奴は。…俺か。
「いいじゃんそれ位。中学のときの理科の先生は一週間三食カレー食べたって言ってたよ」
「いや、あの先生は言ってること全部嘘だぞ」
授業の内容位しか正しいことを言ってない。
「まあまあ、そんなことより賢悟君」
無理矢理話題を変える。
うわぁ、こいつが俺を君付けで呼ぶときは大抵俺を弄ろうとしてくるときだ。
「今日のテストはどんな点数を取ってくるのかな?」
「そ、そそ、そんなことより朝飯食べようぜ」
「え、ああ、うん」
何か不満そうな顔をしているが、特に気にしない。むしろ気にしてはいけない。
むしろあっちが先に無理矢理話題を変えたんだ。文句を言われる筋合いは無い。
そうかテストか。嫌だなあ。科学と地理しか自信ねぇ。それ以外は捨てる。
「科学と地理以外捨てたら今晩も賢悟だけはカレーにするから」
「あ、あはは…マジで」
ここでの選択肢は
1今日は帰って来ない。
2カレーアレルギーを発症する。
3全ての教科をちゃんとやる。
まず1。これは現実的だがそのあとどうするかだ。野宿の心得はあるけど少し遠出しないと野宿できそうな所は無い。
そして2。これは非現実的だ、まずありえない。そもそもカレーアレルギーって何だよ。
最後の3。一番現実的でなおかつ後が楽だ。
「分かりました…。全教科ちゃんとやります」
「ちょっとー、そっちには誰も居ないぞー。後なんでそんな死にそうな声で喋ってるの」
はっ、いかんいかん。カレーの神様に導かれる所だった。
それにしても、こいつカレーだけは美味いな。これ以外は…駄目だ、思い出しただけで吐き気が…。
「?何でいきなり顔色悪く成ってるのよ」
「いや、何でも無い。ただ宿題をやってないことを思い出しただけだ。大丈夫だ、問題ない」
「それ死亡フラグ…」
そう言うことを言うから死亡フラグに成るんだろう。
「ご馳走様。さて学校行くかぁうわぁぁあああ!」
「いきなり叫ばないでよ、お隣さんに迷惑でしょ」
「学校に行きたくないばかりについ叫んでしまった」
てかお隣さん居ないだろ。隣どころか上下左右に住んでいる人は居ないだろ。
この学校で寮生活を送る奴なんてそうそう居無いぞ。俺は一々家と学校を往復したくないから寮生活を選んだけど。
そう言えば何でこいつも寮生活を選んだんだ?考えられなくも無いけど。
まあ、カレー作るときと掃除洗濯は楽が出来るし。
「ああ、お隣さんは居なかったか」
こいつホントに俺より成績上なの?記憶容量少なくないか?
「失礼な、私は記憶容量多いよ。ただ探すのに時間が掛かるだけだよ!」
「はいはい、ポルナレフポルナレフ」
「何で今その人が出てくるの!?関係ないよ!」
頭どうかしてないよとか何とか騒いでいる。てかこいつさっき普通に心読んできたよな。まあ良いけど。
「おい、騒いでないで学校行くぞ」
「むぅ。それが不登校の言うことか」
戸締りを確認してガスをちゃんと止めたか確認する。私物のパソコンが壊れるのだけはやめて欲しい。特にデータが。
寮から学校に行くまでは横断歩道を二つ渡らなければ成らない。
その二つ目の横断歩道を渡るとき。
「渚!危ない!!」
俺は幼馴染を信号無視してきたバイクから守るために渚を突き飛ばし、身代わりに成った。
そして薄れ行く意識の中、渚を見る。飛ばされたのが原因か気絶してるが無事だ。擦り傷は有るけどあれ位なら傷は残らない。
久しぶりにあいつのことを名前で呼んだのにこれって無いな。とか、朝の会話は伏線だったのか。とか、これだから信号無視だけはしないと誓ってたのに。とか場違いなことを思いながら俺は意識を失った。