「で、狐さん。名前は何だ」
「何だその呼び方は?まあいいが。私は妖怪だったから名前は無い。そうだなお前様私に名前を着けろ」
無茶振りだなぁ。てか様付けなのに命令形なんだな。まあ良いけど。で、名前か。きつねだからえーと。
「沢渡真琴」
狐と言ったらこの子だろう?見た目は着物着てること以外は似てるし、これで良いだろう。藍しゃまでも良いんだけどねそれはちょっと露骨と言うか何と言うか…ね?
「沢渡真琴か。どこかで聞いたことのある名前だな」
見た目以外はあまり似てないな。主に性格とか。
「で、真琴はどんな力を持ってる神なんだ?」
「私の力は無限の力だ。体力だろうが霊力だろうが筋力だろうが再生力だろうが全てにおいて無限の力だ」
つまりRPG風に言うと全てのステータスがカンストしてるわけか。もうチートだろ。
「つまり俺の相棒ポジションに居る訳か。おいしい役回りだな」
「何言ってるの?」
「俺はこう見えても霊力の量は一般人よりも遥かに少ないと言うことだ」
「ああ、そう」
愛想無いなー。流石は二千年生きた狐と言うことか。
「二千年じゃない。二千五百年だ」
「だからなんで俺の回りに居る奴らは俺の心が読めるんだ!」
なぜだ。声に出てるのか?どこかの永遠行った主人公みたいに?
「いや、お前様の考えてることは分かりやすい」
「かなりショックだからな。それ」
現在俺たちは山を降りて川を目指している。目的はさっき山から投げ捨てられた例の男を回収することだ。
皆は山や川に人を捨てるなよ。お巡りさんにお世話になることになるからな。
「それにしても狐って感じがしないな。尻尾とか無いのか?」
「有るが邪魔だから出してない。必要なら出すがどうする?」
俺的には狐耳だけで十分だから良いけどね。
「無理して出さなくていい。俺は狐耳で満足だ」
「私としてはその発言に引くしかないんだが…」
しまった。まさかの失言だったか…。失敗したぜ。
所変わってヤマト第三艦橋だ。稲浜山駅から電車で十五分で停泊してる港の最寄り駅に着く。この街は過疎化が進んでいるのかあまり人には会わない。でもたまにすれ違う人からは変な目で見られた。
そりゃそうだ。俺は今女子でありさらにスーツ姿の男を背負っている。もう一つ言えば服は左肩から先が破かれ、所々赤くなっており、スーツ姿の男は全身が濡れている。後俺の隣には狐耳が生えた女子が居る訳だ。
どこの変人だよ。今頃2chで話題になってる。ハロウィンはまだまだ先のイベントだ。
閑話休題。
なぜ第3艦橋に来たかというと翔子さんにこの男を診て貰うためだ。ついでに記憶も見てもらう。
どちらかと言うと後者の方が強いけどね。
「翔子さん。連れて来ました」
「ああ、こよみんか。遅かったね。ところでそこの狐耳のお嬢さんは?」
「ああ、神様です」
「ふーん。そうなのね。神様にも色々居るのねー」
「まあ、そんなところです。で、この男が件の男です」
まだ気絶している男を床に降ろす。能力者じゃなかったら重くて運べなかっただろう。
「はいはーい、どれどれ」
言いながら男の頭に触れる。
「お待たせ。結論から言うとこの人はヴィノグラフに会っているよ」
「やっぱりあいつか」
「分かってたの?こよみん」
「ええ、まあ。こいつは俺の今の名前を知っていたから。そんな情報を知っているのはあいつくらいでしょう」
「ふーん。でもこの人は会っただけじゃないよ。ヴィノグラフから能力を貰っている。それと同時に記憶・精神操作を受けているよ」
「どんな能力なんです?」
「あれだね。レーラちゃんの物質創造能力の劣化版」
レーラさん、翔子さんからちゃん付けで呼ばれてるんだ。
「まあ、こよみんここでの問題は記憶・精神操作、簡単に言えば洗脳されていることだよ。この人もヴィノグラフに会うまでは有名企業の営業マンだよ」
営業マンって。何か地味に古い気がする。
「それで洗脳は解けるんですか?」
「当たり前じゃん。洗脳解いたついでに能力も消した。これでこの人はただの行方不明者だよ」
「能力を消すことまで出来るんですか!?」
「私やこよみんちゃんとした過程を踏まえて手に入れた能力は消せないけど、他人に無理矢理与えられた紛い物の能力なら消せるよ」
ちゃんとした過程…。俺と翔子さんはあの破壊神から貰った様な物だけど、この狐さんも人に能力を与えることとか出来るのだろうか。
「あ、そうそう。艦長がこよみん探してたよ。行ってあげてね」