俺がこの世界に帰ってきてから既に二週間経った。でもヴィノグラフの所在は掴めないままだ。
これまで倒した刺客は俺だけで十七人。三対一の戦いのときが一番辛かった。四対一はそうでもなかったけど。
渚も実は一人倒してたりもする。言葉だけで倒してた。口撃と言う奴だ。せめてコエカタマリンを飲めよ。
閑話休題。
そしてこの世界に帰ってきてから二週間と一日の今日。朝一で翔子さんから連絡が入った。
どうやらヴィノグラフが隠れている場所を特定したらしい。
俺は学校に俺と真琴が休む旨の連絡をし、渚に簡単に説明をしてからヤマトを目指して真琴を連れて家を飛び出した。
ヤマト出港にギリギリ間に合い与えられた自室に向かう。真琴と相部屋だ。
「良かったの暦、渚ちゃんを置いて来ちゃって」
何とこの声の主は真琴である。何か知らないけど現代文化の影響を受け過ぎてしまって、性格が柔らかくなってしまった。
「良いんだよ、むしろこっちに来るほうが危ないんだから。それに…」
「それに?」
「いやまだ話すときじゃないな」
時刻は九時二十五分。本来だったら一時間目の授業を受けている。
現在ヤマトは洋上航行中である。慣性制御が働いてるので揺れを感じることは無い。
慣性制御は俺が転生した世界では一般的な技術である。あと相転移機関と陽電子衝撃砲も。流石に波動エンジンは翔子さんが造ったけど。それでもあの世界の技術水準が高かったから出来たのだ。
そして目指す場所は本州から少し離れた無人島。そこまで離れてないので飛行はしない。エネルギーの無駄だ。
生態系への影響を考慮してヤマトでの島への攻撃はしないことになってる。最悪島が消える。
到着まであと五分程。そろそろ準備したほうが良さそうだ。
「勝てるだろうと思っていた時期が私にもありました」
残った左腕で片手腕立て伏せの要領で後ろへ飛びながらそう呟く。
はい。やられました。
いやいや天使ちゃんに変身していたからこそ、両足骨折、右腕切断、内臓破裂、右目がなくなってる程度で済んでるんだよ?他のキャラで挑んだら死んでるよ?
まあ天使に変身していたお陰で傷は回復した。
第二ラウンドだ。
あ、言っておくけどまだヴィノグラフにはダメージ与えてないから。どちらかと言うと斬っても斬っても何のダメージも無いと言うか。
「にゃおん」
さあ、第二ラウンドに選ばれたのはブラック羽川だ。
地面すれすれの立ち幅跳び(飛距離三百メートル)で一気に距離を詰める。
そして限りなく加速された俺のこぶしを叩きつける!
しかし触れた瞬間にヴィノグラフは消えてしまった。大量の体力とか精力とか精神力を吸収できたが肝心のヴィノグラフは消えてしまった。
恐らく実体を持つ幻影とかそんな物だろう。考えてみればここにヴィノグラフが居ること自体がおかしい。
今回の作戦はヴィノグラフが居るであろう島の中心部を目指し能力者を主とする上陸班が突入する物だ。勿論日本政府には許可を取っている。……どうやったのかは流石に分からないが。
まあそんな訳でヴィノグラフは島の中心部に居るはずなのだ。
取り合えず状況が落ち着いたので携帯で島の写真を撮る。中々良い景色だったので写メを渚に送った。『十四時には帰る』と添付して。
既に十時を過ぎている。後四時間経てば家に帰れるんだ。
それにしても下着姿は寒い、恥ずかしい。
今回変身した人
ブラック羽川(物語シリーズ)
優等生の裏の顔。それ以上はネタバレだにゃ。
「な」と言おうとすると「にゃ」となる。
例を挙げると
「斜め七十七度の並びで泣く泣くいななくナナハン七台難なく並べて長眺め」
が
「にゃにゃめにゃにゃじゅうにゃにゃどのにゃらびでにゃくにゃくいにゃにゃくにゃにゃはんにゃにゃだいにゃんにゃくにゃらべてにゃがにゃがめ」
となる。可愛い。
テスト週間なので次回の更新は遅くなります。
また現実世界編は十話での終了を予定しています。
次の世界は…ヤマト大活躍?