「いいのかよあんな戦艦を俺たちの拠点まで案内して」
杏平がそう言うが俺には問題に感じない。確かにあの艦の性能は人類は基より霧ですら超えている節がある。
「大丈夫だ。彼女らは俺たちの味方だ。少なくともあそこを爆破なんてしないさ」
形だけは水上艦なのに平然と飛行し、さらには潜水まで出来、その主砲はクラインフィールドを破れる力を持っている。下手をすればあれを巡って新たな戦争が起こりかねない。
ヤマトは今の戦闘で相転移エンジンに異状が生じ、主機補機ともに停止している。今は貯蓄しておいたタキオン粒子を放出して何とか潜水航行している状態だ。本当は抵抗が小さい水上航行のほうが良いけど見つかる敵に見つかると現状だと戦闘はおろか逃げることも出来ない。だから潜水航行している。
艤装の中でもエンジンを設計したのは私だけど(正確にはエンジン周りの設計を書き換えた。元のヤマトの設計図はこよみんが言う所の黒髪ロリ破壊神から貰った)こんなにトラブルが発生するとは思わなかったよ。
波動エンジン、正確には次元波動超弦跳躍機関は観測できないほど大きくなり宇宙全体に重なり合っている余剰次元を元の大きさに戻して、そこにはたらいていた重力を開放してマイクロブラックホールを作りそのホーキング輻射で放出される熱エネルギーを取り出すもの。
相転移エンジンは真空の空間のエネルギー準位も高い状態から低い状態へ相転移させてそのエネルギーの差分を取り出すエンジンだけど大気圏内だと出力が落ちるから他のエンジンが必要。
波動エンジンは冷却機が壊れてオーバーヒート。相転移エンジンはあと三十分以内に修理が終わる。
でも、どちらも止まっている居るからショックカノンは撃てないし、三式融合弾はそもそも射程が短い。パルスレーザーは水中だとすぐ減衰してしまう。簡単に言うとミサイルと魚雷しか使えない状態なんだ。この二つの違いは分からないけど。
「と言う訳だけど、こよみん質問ある?」
「一つだけあります。なぜ俺のあだ名は『こよみん』なんですか!」
むぅ、暦だからこよみんなんだけどなぁ。こんな簡単なことも分かんないのかな?
「で、前置きはその辺で良いですよね。えーと、エンジン改修用資材は硫黄島に着いてからお渡しします。後STM鋼材も同じタイミングで良いですよね」
「いーよー。エンジンはともかく、装甲は海の中じゃ修理出来ないからね」
「STM鋼材って何です?」
「この艦の装甲材に使われてる特殊合金だよ。正式名称はスーパーチタンモリブデン。どこかで聞いたことある人は相当マニアックだよ」
知ってる人居るのかな、空想科学大戦。
「翔子さん、俺はまだ仕事があるんでもう行きますね」
「そう…頑張ってねー」
こよみん、働き過ぎじゃない?
機関長と技術長掛け持ちしてる私が言うことじゃないけど。技術長は咲耶ちゃんに譲ろうかな。
艦内への食事の提供だけが主計科の仕事ではない。例えばさっきみたいに各科への物資補給をしたり、オムシスの点検などもある。
要するに忙しい。
特にオムシスがめんどい。誰だあんなの作った奴。
しかもここに来てイ401へ行くことが決まるなんて。俺以外にも暇な奴居るだろ。何で俺なんだよ。語り部だからか?いや、でも最近になって語り部交代制度が出来たしなぁ。あれ?だとするとこれは貴重な活躍タイムを貰えるのか…。いや、俺は騙されないぞ。これはジュラル星人の仕業に違いない!
「暦ちんはチャー研知ってるんだ」
「だからな、咲耶。暦ちんはやめてくれ。俺は翼人じゃないんだ」
「でも、翼人になることは」
「出来る」
一応ローゼンメイデンにはなれた。七女は実体が無いけど行けるかな?最終的には体を手に入れてたけど。
「そんなことより暦ちん、早く行くよ」
「分かってるって。もう少し待ってくれ。もうすぐこしあん団子が出来るから」
オムシスってすごいね。団子くらいすぐに作れるもん。
所でこしあんが乗ってる団子って正式名称は何だろう。こしあん団子だと中にこしあんが入ってる団子みたいだし、こしあん乗せ団子だと長いし。だから俺はこし
戯言だけどね。
「よし出来た。じゃあ行くか」
行き先はイ401。方法は咲耶の瞬間移動。写真はあちらから既に送られているらしい。
咲耶の手を握りながら瞬きするとそこはもうイ401発令所の中だった。
クリスマスはぼっちでした。