せかいシリーズ   作:猫舌36@活動停止中

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第六話

「くそ、どうしてこうなった…!」

 

崩れていく拠点ビルを見ながら俺は叫んだ。

さっきまで皆と一緒に居たのに、その大半はもう生きてはいない。

神の一撃で皆が死に、その次にビルが崩れ、生き残った人も例外なく傷を負っただろう。

かく言う俺も左腕を骨折、右足の膝に鉄骨が刺さり体を動かすことも出来なくなった。腰に帯びてた妖刀深爪も根元から折れてしまい何も斬れなくなった。

右手で拳銃を抜き、さっきまでは壁だった天井を撃つ。炸裂した波動エネルギーが壁だか天井だかを破片1つ残さず破壊した。

そして見えてくるのは、十を超える数の神。

波動カートリッジ弾頭は残弾五。例え全て当たっても半分以上残る。

そしてこちらから見えると言うことはあちらからも見えると言うこと。俺に向かって沢山の光線とか電撃とか火炎とかが向かってくる。

右膝を折れた深爪の刃で切り落とし、その場から逃げる。

しかし、速さが足りない。左足首に電撃が当たりくるぶしから先が無くなる。歩行能力ゼロです。

唯一無事なのは右腕だけ。

 

「かかっ」

 

キスショットに変身して体の傷を癒す。しかし、治りが遅い。恐らく回復の妨害が出来る神が居るのだろう。三十分経ち強制的に変身が解除されるがそれでも傷は治りきってない。それでも両脚は再生した。

 

「ガードスキル、ハンドソニックバージョン2」

 

再び変身する。今度は天使だ。

天使による神への反攻。中二病患者が好きそうな感じだな。

ジャンプ力のみで神がいる地上二十メートルへ跳ぶ。

近くにいた神にハンドソニックを突き刺し、バージョン4にする。刺された場所を中心に肉が盛り上がり体が裂ける。これでまずは一柱倒した。そのまま下にいた神にハンドソニックバージョン4の質量をぶつける。そしてこの神を踏み台にしてさらに跳躍。

 

「ガードスキル、エンジェルスウィング」

 

背中に天使のような巨大な翼を生やし、その翼を振りAMBAC(アンバック)の要領で空中で回転する。その遠心力が乗った翼を神に叩きつけ、よろめかせる。

また光線が飛んで来る。避けられないと判断して骨折して動かない左腕で受ける。二の腕から先がなくなる。

反撃しようとしたところで体が重力を感じ始める。

幾ら天使でも重力には逆らえない。重力に引かれどんどん高度を落とす。着地の瞬間に翼で羽ばたき衝撃を和らげる。

あと十一柱の神々。同じ作戦は通用しないだろうから新しい一手を考えなければならない。

変身を解き、拳銃を取り出す。少なくともあと三柱はこれで倒したい。

しかしこの距離で撃っても当たるとは思えない。

だから走った。崩れたビルに向かって全力で走った。

そしてそのままの勢いで壁を蹴る。壁に足を突っ込み、固定し、抜いてまた壁に足を突っ込むと言う、壁ダッシュで上へ向かった。ふくらはぎまで壁に突っ込んでるから、足が血だらけになる。感染症が怖いぜ。

神との距離が近くなった所で拳銃の狙いをつける。三発、違う目標に撃つ。

しかし片腕で、走りながらの射撃は狙った場所には行かず、運の良かった一発が狙ったのとは違う神の体を崩壊させただけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私はこの状況で夢を見ているのかもかも知れない。

だって、暦さんが銀髪の少女になって神を一柱を二十秒で倒して、元の姿に戻って崩れたビルの壁を駆け上って銃でまた神を一柱倒したりしてるんだもの。

もしかしたら血を流し過ぎたのかも知れない。

私は両腕を失った。

右は肩から、左は肘から、それぞれ先が無い。

痛みを感じないくらいには痛いようだ。

暦さんは一人で頑張って戦っているようだ。両足は遠目から見ても分かるくらい真っ赤になって左腕だって無くなっている。それでも諦めずに戦っている。

あ、今度は金髪の少女になった。しかもどこから出したのか、とても長い刀を持っている。さらに左腕が生えてきて足の血もいつの間にか無くなり白い肌を見せていた。

そんな暦さんを見ていると、暦さんと目が合った。その瞬間刀を神に向かって槍投げの様に投げて私の方に跳んで来た。

 

「良かった、翔子ちゃんは生きていたか。両腕が無くなっている程度だな、それくらいなら何とかなる」

 

そう言って暦さんは自分の左腕を右手で千切り、腕から流れる血を私の傷にかけた。

すると私の腕が何事も無かったかのように生えてきた。

 

「暦さんこれって!?」

 

「説明はあとだ。一か八かの賭けだったから何が起こるか分からん。急に理性がなくなるかも知れない。翔子ちゃんは急いで他の人の救助をしておいてくれ。俺は時間を稼ぐ」

 

矢継ぎ早に指示を出す暦さん。それだけ言うとまた神達のほうへ駆け出す。

私は暦さんの言う通りに他の人の救助を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翔子ちゃんを救助して再び神と戦う。

今はキスショットではなく忍野忍十七歳に変身した。こればかりは本当に賭けだった。

しかし俺の能力は大体都合が良いようになっている。今回はキスショットと忍野忍は別人と判断したようだ。

同じ台詞で変身したのに不思議なものである。

前に試したことがあったけど、そのときは同一人物と判断されて変身できなかったのに。

恐らくこれが翔子さんが言っていた『不完全な能力が生み出した不完全な問題点』なのだろう。

 

「これで三柱だ!」

 

神の胸に心渡を貫通するまで突き刺し、そのまま下へ振り下ろす。

流石に疲れてきた。肉体的には吸血鬼の回復力で何とかなっているが、精神的にはもう疲れた。

それが隙になり、神の拳が頭に当たり、ブチブチと何かが切れる嫌な音が聞こえてくると同時に視界が暗くなる。

急に音が聞こえるようになり、目が見えるようになる。何秒経ったのかは分からないが、それは時間を感じる頭が無かったから当然である。

頭が再生したからか、頭が冷え冷静に思考することが出来るようになった。

その結果俺は違和感を感じる。

この世界の神は、それぞれが何か一つに特化している。

俺がこの世界で始めて倒した神や、今俺の頭を殴り飛ばしたのは近接特化型。光線や電撃など様々な物を飛ばしてくる遠距離特化型。他にも防御特化型や回復特化型が居る。

しかし今上げてない型がある。それは創造特化型だ。

ここにこれだけの神が来ているなら、これは総力戦という奴だろう。

だったら創造特化型を連れてくるはずだ。何せ創造特化型は妖魔を作り出すことが出来るからだ。そうすれば頭数が増え、数の暴力で俺を殺すくらいはできただろう。

しかし、連れてきていない。

仮説は二つ。

仮説一つ目、創造特化型の神はもう居ない。

しかし、これは間違っていた。俺は空を見て、二つ目が正しかったことを知る。

仮説二つ目、創造特化型の神が妖魔を作り出すには時間が掛かるOR無防備になる、だ。

空を埋め尽くすほど沢山の妖魔を見て、俺は二つ目の仮説が正しかったことを確かめた。

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