番外編其一 渚過去編
あれは確か三十六万いや俺が幼稚園年長になったときだったから十年前だったかなまあいい。
当時の俺は五歳だったと思う。そのころは今では考えられないくらい社交的だったと思う。クラスの全員が友達で先生とも仲が良かった。
そのまま月日は流れ確か九月に入ってすぐだったと思う。朝の会で先生が暗い茶色の髪の毛のショートカットの女の子を連れて部屋に入ってきた。そしてその女の子を紹介した。
「はいみんなー!今日はね、新しくこのクラスで生活する子を紹介するよ!はい、お名前をどうぞ!」
「
この女の子が渚だ。当時の渚は俺の逆で今では考えられないくらい非社交的だった。どこで入れ替わったんだろうか?俺が友達付き合いが悪くなったのは確か小四だったけど。
閑話休題。
まあ、初めて見たときの感想はかわいいとか、ロリっ子最高!とかじゃなく(てか幼稚園児の時点ではロリなんて単語は知らない)暗いと思った。目が死んでた。
遊び時間はみんな外へ出るのに対し、渚はいつも絵本を読んでいた。道徳的な絵本からギャグ系の絵本まで読んでいた。ただ、何を読んでも笑ってなかったが。遊ぼうと誘っても無視していた。それで一回喧嘩になったこともあった。
それから一ヶ月経った10月のある日のこと。流石に1ヶ月経ったので渚はクラスに馴染んでいた。誘えば皆と遊ぶくらいにはなっていた。なぜかそのころから渚は俺に懐いていた。俺はさして気にしなかったが。
話を元に戻すと、その日渚は急な熱で体調を崩してしまった。幼稚園の対応は早いものですぐに早退することになった。だが、いつまで経っても渚の保護者に繋がらないらしい。家にも携帯にも繋がらない。結局渚の保護者が来たのは夕方のお迎えの時間だった。
そしてさらに二ヶ月経った12月。俺は衝撃の事実を知る。それはただの幼稚園児であれば友達に一回は訊くものを訊いたことが原因だった。
「なぎのおやってなにしてるひとなの?」
渚の当時のあだ名はなぎになった。理由はテレビでかんなぎが放送されたからだろう。
「……わたしのパパとママ、しんじゃったの」
「…ごめんなさい」
なぜ転入時暗かったのか、目が死んでいたのかこのとき理解した。
「いいよ、あやまらなくて」
「じゃあ、いまのかぞくはなにしてるの?」
俺はこれを訊くべきじゃなかった。
訊けたことを要約すると、渚の両親は交通事故で亡くなってしまった。渚は親戚の家に預けられることになった。しかしその親戚は渚を家族として見ず、食事や洗濯などの最低限のことしかしてないこと。
これだけでも訊くべきじゃない理由になるが、俺の場合はもう一つ理由があった。
俺の両親は霊力を扱える人達だ。そしてあの二人は相手の霊力を読み取って心を読むくらいは簡単なのだ。
渚の保護者について知ったこの二人はすぐにこのことを幼稚園と警察に伝えた。それからは早かった。渚の保護者は虐待の罪で五年間牢屋暮らし。その間、渚は俺の家で預かることになった。それからはどんどん明るい性格になって行った。どちらかと言うと戻って行ったの方が正しいけど。
しかし渚の保護者が釈放されてもその二人は迎えに来なかった。なので渚は高校に入学し寮生活をするまで俺の家で暮らして今に至るという訳だ。