どうしてこうなったと叫びたい。
手元のティーカップには血ではなく紅茶が入っていて、液面には不安そうな僕の顔が映っている。
霊術で紫外線を弾くようにしたら鏡にも映るようになったし影もできるようになった。紫外線って不思議。
僕の新しい体は12歳ほどの少女の体、金髪のロングに碧く少し細めの目。全体のバランスは整っている方だろう。
髪は適当に頭の後ろで一つ結びにしている。セットが一番楽だからだ。
服はシャロさんが貸してくれた赤いドレスを着ている。
金髪、碧眼、赤いドレス、紅茶…僕は某薔薇乙女第5ドールか何かかな?僕っ娘は確か蒼い子なんだけど。
でも一番すきなのは雪華綺晶なんだけどね。薔薇眼帯っていいよね。
この世界には乳酸菌飲料とイチゴ大福はあるのだろうか?
「こちらがお父様のグラハム、こちらがお母様のリア、そして兄のエドワーズ、弟のアルフレッドよ」
そう、モンフォール家の皆様と顔合わせをしているのだ。
グラハムさんは黒髪の老練した雰囲気のある大人の男と言う感じの人で、リアさんは群青色の髪をした少し童顔の女性だ。
エドワーズさんは二十歳を過ぎた大柄な人で考古学者をやっているそうだ。
アルフレッド君は9歳くらいの今の僕より小さな男の子だ。二人とも髪は黒い。
「えーと、昨日シャーロットさんに拾われましたラミアです。吸血鬼で転生者です」
「転生者?」
僕の言葉にエドワーズさんが反応した。
「死んだ者が極稀に別世界に転生すると聞いたが本当にいたとは」
どうやらエドワーズさんは転生者について何か知っているらしい。
「そうですね必ずしも別の世界に転生する訳ではないですけど、その認識であってますよ」
どの世界に転生するかは自分で選べるから異世界に行かないという選択も出来る。
その場合は死ぬ前後の自分に転生することが多いらしい。死ぬ前なら死を回避、後なら奇跡の復活になる。
とりあえず吸血鬼とか転生者に理解がある世界でよかった。他の世界だったら吸血鬼だからって理由だけで殺されている。死なないけど。
「あ、お兄様、ラミアにこの世界について教えてあげてください」
あ、シャロさんが逃げた。説明と言う面倒くさいことから逃げた。
それにしてもシャロさんは丁寧な言葉遣いになると声が上擦っている気がする。
顔合わせが終わり、これからどうしようかと考えているとエドワーズさんに呼ばれた。説明の準備が出来たらしい。
招かれた部屋はエドワーズさんの研究室らしく、沢山の本や出土品と思われるものが置かれていた。
出土品は動物の化石が多いが、見覚えのある物も同じくらい多かった。
そしてエドワーズさんにこの世界についてある程度教えてもらった。
まずこの辺りの地理について今僕がいる国は西以外の3方を山に囲まれて、西は海に面しているフェランス王国と言う国で、北の山を越えたところにある国はインフィア国、東はカナリウム共和国、南がレンバッハ帝国。フェランス王国はレンバッハ帝国と対立関係になっている。
宗教は意外なことに信じられていない。だけどみんな神を想像している。けど結局は『お前がそう思うんならそうなんだろう お前ん中ではな』程度のものでしかない。日本人にとっては過ごしやすいです。
気候は多分温帯だと思う。
エドワーズさんの話で一番興味を引かれたのはこの世界は既に文明が何度も滅んでいると言うものだ。出土品に見覚えのあるものがあるのはその為らしい。
「もしかしたら過去の技術には別世界に行く物もあるかもしれない。それが見つかれば君も帰れるかもしれないね」
エドワーズさんはそう言ってくれたけど、僕はまだ元の世界に帰りたいとは思ってない。
自分がどうしたいのかしばらく考える必要がありそうだ。