「ワイバーンね。普遍的なモンスターで口から火を吐いたり空を飛んだり出来る」
別に聞いても無いけど姉さんが簡単な説明をしてくれた。
突然現れたワイバーンはお約束のように口から火を吐き、それをシャロさんが風を起こして左に逸らす。
その間に僕は右から回り込み、右手を銃の形にして指先から電撃を出す。
電撃はワイバーンの左脚に当たったが、鱗に受け流されただけだった。
しかしワイバーンにとっては予想外の攻撃だったようで、後ろに飛んで僕達から距離を取った。
「かなりの高電圧をかけて大電流を流したつもりなんだけど…ノーダメージか。この世界の生物タフすぎない?」
「いやぁ、それほどでも」
「褒めては無いよ。て言うか、姉さんも含まれているから」
「えっ!?」
シャロさんがなぜか驚いた声を上げているがそれは置いといて、どうやってこのワイバーンを倒そうか…。
―――霊術が効かないなら物理で殴ればいいじゃない、だって人間だもの―――
前世の姉さんが言っていた言葉を思い出した。今は吸血鬼だけど、問題ないだろう。
「一か八かで接近戦を仕掛けるから、後よろしく」
シャロさんにフォローを頼み僕は吸血鬼の脚力をフルに活かし地面を蹴り、魔法で地面ギリギリの高さを滑空する。
飛龍まであと5メートルになったところでもう一度地面を蹴ると同時に、地面に対して水平に働いている慣性を垂直に曲げる。
それだけで、と言うのもアレだけど、驚くことに50メートル以上も上昇してしまった。
ちょっと怖い。高い怖い。
自分が高所恐怖症と言うこと初めて自覚して、恐怖から涙目になりつつも腰からロングソードを抜き、ワイバーンの背中目指して自由落下。
50メートルから自由落下すると速度は秒速31メートル。桜の花びらの600倍のスピードでロングソードとその鞘をワイバーンの背中に突き立てた。
魔法で切れ味・強度共に強化されたロングソードと鞘は背中の硬い甲殻を貫通した。
ロングソードの柄と鞘を掴み、手に魔力を集中させる。そしてそれを電気に変える。
「バスタァァァコレダァァァッ!!」
ロングソードを電極にしてワイバーンの体内に電流を流す。
体内に直接電流を流されたら基本的に生物は死ぬ。動かなくなったのを確認してロングソードを引き抜いた。傷口からは血が溢れている。ワイバーンの血って紫色なんだ。
「さて、勝ったことだしケルトン目指して出発だよ」
背中から飛び降りて、未だに目を白黒させているシャロさんに声を掛ける。ちょっと喉が痛い。早く再生させるために喉に魔力を集中させる。
「え?あ、うん…」
「どうかした?」
「私、何も活躍して無いなぁって、危ないっ!」
急に走り出し驚くような速さで僕からロングソードを引ったくりそのまま僕の後ろへ向かう。
振り向くと倒したと思ったワイバーンが立ち上がり、火を吐こうとしていた。
それを見たシャロさんが、先程の行動をしたようだ。
シャロさんはロングソードの切っ先に魔力を集中させ、火炎を文字通り斬った。最初にやった風魔法の応用だろう。
「せいやぁぁああ!!」
炎を突破したら女の子らしからぬ声をあげロングソードを大きく振るい首を切り落とした。
「大丈夫!?怪我は無い!?」
「それはこっちの台詞だよ。僕は吸血鬼だから怪我なんてすぐに治るしね」
「私は大丈夫よ。剣返すね」
大体3分くらいか。やっぱり黒くなければ余裕だね。黒かったら危なかったけど。
それでは皆さん良いお年を。来年もよろしくお願いします。