新年早々マウスの調子が悪いですが、キーボードは使えますので執筆には問題ありません。
今年も一年よろしくお願いします。
ケルトンに着く頃には日はかなり傾いていた。
当然といえば当然だけど、レンバッハ帝国との貿易がほぼ止まっているため、街には活気が無い。
「すみません、宿を探してるんですけど」
取り合えず今日寝るところを確保するために通りがかったおじいさんに声を掛けた。シャロさんが。
「こんなところに旅人かい、かなり久しいのう。宿は今はあそこしかやっとらんよ」
そう言っておじいさんは歩き始め、お礼を言ったシャロさんも戻ってきた。
「あっちに1軒だけやっているってさ」
「聞こえてたよ。他の宿屋は閉店してるんだね」
吸血鬼は夜間視力は勿論、視力・動体視力・嗅覚・聴覚も優れている。
余談だけど、吸血鬼のモチーフであるコウモリの特性も引き継いでいて、それが結構便利だったりする。
「私が前来たときには5、6軒やってたんだけどね」
この街はレンバッハ帝国との貿易拠点であると同時に玄関でもある。この情勢ではフェランスからレンバッハ、もしくはその逆を行き来する旅人も居ない。旅人が来なければ宿屋を使う人はほとんど居ない。だから閉店しているのだろう。
「ま、取り合えず行ってみようか」
「ごめんくださーい」
「いらっしゃいませー!」
まだ10歳くらいの金髪の少女が元気な声で迎え入れてくれた。
キャラが…金髪キャラが被っている。
それ以外はRPGにでも出てきそうな普通の木造の宿だ。
「2人部屋、開いてる?」
「2人部屋ですね。201号室へどうぞ。こちらが鍵です」
この子明るいなぁと思いつつ、差し出された鍵を受け取る。
「食事は朝と夜はこちらで出すことも出来ますが?」
「お願いします」
「分かりました!それと何泊の予定ですか?」
「それは未定だけど…そうだね出発の前日には知らせるよ」
「そうですか。それではごゆっくり~!」
後ろで待機していたシャロさんを連れて、二階に上がる。
201号室はモンフォール家の個室と同じくらいの広さだが、そのときは1人部屋だったがこっちは2人部屋だ。
2、3日はこの街の観光で時間を潰そうと思っていたが、街の様子を見る限りそれは難しそうだ。
行方不明事件の解明?それは警察の仕事だ。この世界にも警察がいることはエドワーズさんから聞いている。
しかし、もうすぐ3桁に届きそうな数の犠牲者を出しても、大掛かりな捜索は行われていないらしい。
日本だったら、警察と自衛隊、さらには民間で合同の捜索隊を組織しているだろう。それも被害が1桁の内に。
「やっぱり、自分達でやるしかないかな」
「何か言った?」
「行方不明の原因究明でもしようかなって」
別に隠すようなことでも無いので正直に話した。
「そもそも予定では5日後に到着する筈だし、さらに2、3日はここで過ごすんだから、時間はたっぷりある。上手く言えば原因を突き止めて、報酬をもらえるかも知れないしね」
「確かにこの事件が解決すればレンバッハとの国交も回復するかもしれないし、そうすればこの街に活気を戻せるわね。問題は、解決したらレンバッハと戦争が始まる可能性があることと、私達まで被害者リストに載る可能性があることね」
その辺は不安材料だけど。やってみなくちゃ分からない。
「じゃあ、2日後に事件が起こるって言うケルトン山脈に行くってことでいいかな」
「ラミアちゃんに任せるわ。この旅の主役はラミアちゃんなんだから」