何を今更とか思っているとは思いますが、今まで更新できなかったので。
能登こわいよ能登。
「何?吸血鬼について知りたい?」
狐耳の生えた見た目の少女は僕の問いをオウム返しで聞き返した。
「吸血鬼か。血を吸う人型怪異の総称じゃが…聞きたいのはそんなことじゃないのじゃろう?それ以外の特徴と言えば霊力の扱いに長けた怪異と言うことじゃな。それに加え全身が霊力で構築されている、言うなれば霊力の塊じゃな。じゃから体を構築している霊力の形を作り変えることで再生や変身をすることが出来るのじゃ」
真琴さんは不思議な人で、どこかに定住している風でも無いし、何かを食べてる様子も無い。謎の多い獣人だ。分かっていることと言えばお酒が好きなこと、超強力な霊術使いと言うこと、それから知識の幅がものすごく広いと言うことくらいだ。
「ふむ、確かに吸血鬼になれば空の問題は大体解決するのぉ。しかし…」
最後の方は聞き取れなかったが、やっぱり僕のこの体をどうにかするには吸血鬼やそれを含めた怪異になるのが一番手っ取り早いのか。
それだけ分かれば十分だな。
懐かしい記憶だな。去年の春だったかな。あの頃が一番元気だったかもしれない。
しかし、今はそんなことどうでもいい。今の記憶にこの場を切り抜けるヒントがあった。
銀髪吸血鬼はシャロさんに何かしらの攻撃をしたようで、シャロさんはぐったりと倒れている。
位置関係は奴を挟む形で僕とシャロさんが居る。ちょっとでも狙いが狂えば、シャロさんにも被害が及ぶ。正確に狙わなければならない。
「|例外のほうが≪アンリミテッド≫――」
人差し指を銀髪吸血鬼に向ける。既に意識ははっきりとしている。
吸血鬼の体は霊力、この世界にあわせれば魔力で出来ている。ならば魔力を一箇所に過剰供給すれば。
「――|多い規則≪ルールブック≫」
僕の知る限り一番汎用性が高い必殺技を再現する。体の一部を習慣的に肥大化させる大技だ。
模倣霊術と言う技術が向こうにはあったから、こっちの言葉に言い換えて模倣魔法…語呂が悪いから再現魔法と言うことにしよう。
今の内に気絶しているシャロさんを回収する。
ここから南に10キロ、高度プラス500メートルの座標にワープする。
地中にワープアウトしたら助からないけど、空中ならどうにでもなる。とにかくここから離れることを優先した結果だ。
ワープアウト、普段は吐き気を感じるがアドレナリンのお陰かそれはなかった。
Gによるダメージより気圧差のダメージの方がでかい。
ひどい耳鳴りを我慢して変身能力を使って背中に翼を生やす。吸血鬼らしくコウモリのような翼だ。
翼を作ったはいいものの、動かし方が分からない。羽ばたくって何さ!?
試行錯誤の末ぎこちなくはあるが動かせるようになってきた。しかしその頃には地面まで目測で100メートルを切っていた。
「羽ばたく…必要…は、無いよ。地面すれすれをげふっ…滑空すれば、ごほっ!」
今にも死にそうなシャロさんがヒントをくれた。
翼を地面に対して垂直に近づける。落下速度が徐々に遅くなる。
足を振って体を起こす。翼の角度を変え、受けた風を後ろに向けるようにすると前進し始めた。
まだ自由に飛ぶとこは出来ないけど、空を飛ぶというのは予想以上に気持ちいい。
しかし今は楽しむわけにはいかない。シャロさんを治療するために安全な場所を目指す必要がある。
もうすぐ、国境の関所が見えてくるはずだ。その手前で降りて、レンバッハに入国しよう。
第1部のキャラは出さないといったな。あれは嘘だ。
それにしてもアンリミテッド・ルールブックって強すぎません?