車とは、輪の形をしており回転する物のこと。特に荷物や人を運べるようにした道具を指す。
平安時代の日本でも車と言えば牛車のとこだった。
まぁ、流石にその程度の技術力は現段階のこの世界にもあるんだろうと思う。馬車とかは一般的だったし。
だから、リースさんが言った車って言うのも、ラクダ車的なものだと思っていたんだ。
しかし、リースさんが言った車というのは、現代の日本で言う車だった。
要するに自動車だった。しかも右ハンドル。英国面の残滓を感じる。まぁ、この世界と僕が居た世界が相似な世界だとは限らないんだけど。
「これが車かぁ、初めて見る形ね。フェランスは未だに馬車だから」
初めて見る車を興味深そうに見つめるシャロさん。そこはかとなくジープっぽい見た目に、僕は若干この世界の技術レベルが分からなくなってきた。
「レンバッハは古代文明のサルベージ技術が他国より優れていますからね。この程度のものならある程度は量産されていますよ」
ごく少数ですが。と言ってリースさんは運転席に乗り込みエンジンをかけた。
中も極めて質素なもので、椅子も硬めだ。一応エアコンの吹き出し口はあるけど、実際に動くかどうか怪しいし。
とは言っても、これが現時点では一番良い移動手段であることは確かだ。流石に何百キロもの距離を何回もワープしたら、体の維持すら難しいしね。
空間魔力を燃料に動くらしいこの車は、砂漠においてその実力を発揮している。給油や充電の必要がないからこんな砂しかないところでもずっと走り続けることはできる。
一応魔科学世界には昔同じような動力があったそうだけど、今では完全に廃れてしまっている。
それがなぜなのかずっと疑問だったが、今こうして実際に乗ることで分かった。
「時速60キロが精一杯…そりゃ廃れるか」
「何か言いました?」
ぼそっと呟いたつもりだけど、どうやらリースさんには聞こえていたらしい。取り合えずエルフの2人には前世があるなんてことは一応隠しているから、適当に誤魔化す。
でも、そもそもこんな低性能の動力をなぜ古代文明は使っていたのだろうか。他の出土品にはもっと高度な技術の品もあるらしいのに。
もしかしたら、これが使われていたときの古代文明だと今の2倍は出ていたかもしれない。
うん、サルベージ技術が比較的優れているとは言え、当時の性能を完全に再現できてないんだろう。きっとそうに違いない。
そう思い込もう。
…2倍出せたとしても、大したことないなぁ。