東方太陽録   作:仙儒

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62話

あれから一月、魔理沙はちょくちょく、とは言えないが週に一回位の頻度で霧雨亭に行くのを見かけた。

どうやら作戦は大成功だったらしい。

少々強引だったが成功して良かった。

取り敢えず終わり良ければ全て良しだ。

一週間紫から教えて貰って死ぬ気で練習したかいがあった。

今度紫にお礼をしなくちゃな。

そう思いながらゆっくりと歩きながら家路に向かう。

そう言えば明日は寺子屋が無かったな。

じゃあ、一杯飲みに行くかね~。

これが寺子屋が休みの前の日だけのちょっとした贅沢である。

そう考えている内に家についた。

そう言えばクレープ屋もやんないとな。

そう思っていたらルーミアが屋台の準備を終わらせスタンバッていた。

後は材料があればすぐに出せる段階だ。

でもまずは家に入って着替えてからだ。

急いで家に入り、浴衣のようなものを着てスタンバッていたルーミアに声をかける。

今日も屋台の始まりだ。

 

 

大体2時間位で屋台はおしまいにしている。

その後家に入り、ルーミアは晩御飯を作りに、私はリビングにあるテーブルに着く。

暇つぶしにテレビの電源を入れる。

最初のころは手伝おうか? と言っていたのだが何時も追い出されるのでこれが毎日の日課に成って居る。

チャンネルを回して何か面白い番組は無いかと探してる内に晩御飯が出来上がる。

それでそれぞれ席につく。

今回の私の左右は紫に永琳だ。

何故か毎食私の隣をめぐって争奪戦が起こるのだ。

基本早いもの勝ちなのだが。

最初のころは弾幕張り出したりと大変だったな~と感傷に浸る。

確か家が壊れて怒った私が全員を無視する事を一週間してったら全員が謝って来たのでそれで許す事になり、暴れるなら人に迷惑のかからない別の所でやるのが暗黙の了解となってる。

他の連中が悔しそうな顔をしている。

そんなに私の隣に座りたいのか? おかしな奴らだな。

そんな感じで何時も通り頂きますの挨拶にご馳走様の挨拶を終え、私は自分の部屋に入る。

やる事も無いので今のうちに軽く寝ておくことにする。

部屋の隅っこにもたれかかり目を瞑る。

今日も筆子達は元気いっぱいで大変だったな。

苦笑いが漏れる。

そうしている内に意識が遠のいて行く。

 

 

zzzzz

 

 

 

 

 

 

 

 

「お師匠様、居ますか?」

 

ノックをしながら問いかける。

しかし返事が返ってこない。おかしいな、確かに部屋に戻った筈だが。

そう思って障子を開けて覗いて見ると部屋の隅っこで寝息を立てて居た。

珍しい。お師匠様がこんな寝方をするのは。

疲れが溜まって居るのかも知れない。今度疲労回復に効く薬を作って渡した方がいいだろう。

そう思って風邪を引かないようにタオルケットをかける途中でハッとなる。

そしてお師匠様の部屋から外を見て誰も来ないのを確認して静かに障子を閉める。

そうしてお師匠様にもたれかかりにおいをかぐ。肺いっぱいにお師匠様のにおいが入ってくる。はー、幸せ。

そう思い私はそう思いながらタオルケットをかけ、安心感に身を包まれながら眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真夜中。

人知れず目を覚ます。

起きた時に自分にもたれかかって居る感覚がある。

そこに目をやると、銀色に輝く髪の毛があった。

永琳か。何でまた? と思ったが、かけられているタオルケットを見てかけてくれたのかと思い開いている腕で永琳の頭を撫でる。

撫でられた永琳は少しくすぐったそうにしてた。

まぁ良いや。永琳を起こさないようにそーっと立ち上がり布団を敷いてその上に永琳を寝かせる。そしてタオルケットをかけて静かに障子をあけ、外へと出る。

庭に出てから空を飛び、目的の場所を目指す。

確か今日は霧の湖の近くで店を開く日だと小町に聞いた。

 

お、いたいた。

 

「ミスティア」

 

呼びかけると屋台を止めて此方を見て来た。

 

「こんばんは」

 

「はい、こんばんは」

 

出された木の椅子に座り何時ものと頼む。

ふむ、今日は他の客は居ないのか。

何時もなら小町か時たま山田さんが居たりする。

ミスチーと出会ったのは今から十年前。

襲われた所を返り討ちにして以来の付き合いだ。

最初は鳥目にして私を襲おうとしたが生憎勇猛のスキルで鳥目に成らず普通に倒せた。

歌を聞かせて狂わせようともしたがそれも効かなかった。

それで腹が減って居て目の前に良い食材がいますね~と冗談で言った所、屋台で奢るから食べないでーと言って始まった。

最初の何回かは怖がられて駄目だったが通っている内に話をするように成り、以外に気があいここの常連に成って居る。

とは言っても寺子屋は外の世界と違い週に一回休みと言う訳では無いので来れる日はあいまいだが。

それでも何時ものでで通じる位には来ている。

酒が出されそれを口にする。

鰻の焼ける香ばしい香りが食欲を刺激する。

中々慣れない日本酒を此処で飲んで慣れるようにしてるのだがまだまだだ。

何時に成ったら普通に飲めるようになるんだろうか?

そう思いながらチビチビ酒を飲む。

それを見てミスチーは「まだ慣れないんだね」何て苦笑いで言う。

ワインとかならぐびぐび行けるんだけどな~。

「おまち」と言う声で出された鰻に箸を入れる。

この焼き加減が絶妙なんだよな~、病みつきになっちゃう。

本当は焼き鳥の方が良いが妹紅が何処で焼鳥屋をやってるか解らないので我慢する。

一応探しては居るんだけど見つかんないんだよな~。

 

「お師匠様」

 

第三者の声にびっくりして後ろに振り替えると永琳が立っていた。

どうやって見つけたんだ?

まぁ、いいや。隣の席を指して座る様に支持する。

素直に座る永琳。

 

「エイリン、どうしてここが?」

 

そう問いかけると目を泳がせていた。

まさか発信機何か付けてんじゃないだろうな。

そう思いつつ永琳にも酒をだす。

 

「ミスティア、彼女にも同じ物を」

 

そう頼んだ。

 

ミスチーは「はいよー」と言って鰻を焼きはじめた。

永琳から何故こんな所に居るのか問いただされる。

何か浮気がばれた男の気持ちがわかる気がする。

取り敢えず「ばれてしまいましたか」と言って事の経緯を全部話した。

下手に嘘をついても月の頭脳にはかなわないと思ったのもあるし、別にばれても大した問題じゃないと思ったからだ。

それからしばらく酒を飲みあいながら屋台の屋根の陰から覗く月を見上げていた。

そろそろ帰るか。

それでミスチーにお金を払って永琳と二人空を飛んで帰る。

帰り道、酒により熱を帯びた肌に心地よい風が当たる。

その事を言おうと振り返ると月下の元、何時もの三つ編みの髪の毛を解きロングのストレートに成った永琳の姿が映った。

月明かりで蒼銀に光る髪の毛が神々しく見えて見とれてしまう。

 

「お師匠様?」

 

声をかけられて我に返り家に向かおうと言う。

 

「おろした髪型も似合いますよ」

 

そう小さく告げた。

恐らく聞こえてはいないだろう。

そのまま二人でゆっくりと家に帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

体を持ち上げられる感覚に目を覚ます。

薄眼で見たらお師匠様が私を抱えて居た。

そのまま布団を敷き、その上に私を寝かせた。

もしかしてこれはあれじゃないか? ついにお師匠様とそんな関係に成れるんじゃないか。

 

っと期待してた時期もありました。

お師匠様は私にタオルケットをかけて出て行ってしまった。

 

「うう、期待してたのに・・・・・お師匠様のいけず」

 

そう呟いた声は誰にも聞かれること無く。静寂の中に消えていく。

そう言えば何処に行くのかな。

最初はトイレかとも思ったがそちらに行く気配が無く、影は庭へと向かって行った。

ばれないようにこっそりと後をつけて行く。

すると一件の屋台に入って行った。

何だ、飲み屋か。言ってくれれば酒とその肴位直ぐに用意させるのに。

遠目で見て居るので良く分からないが楽しそうである。

普段なら何ともないのだが、相手が見知らぬ女なのである。

それを思っていたら無意識にお師匠様に声をかけて居た。

お師匠様は少し驚いた顔をしたがすぐに隣に座る様に言った。

どうしてここが解ったのかと聞かれ、流石に付けて来ましたとは言えずに目を泳がせてしまう。

そうしたらお師匠様が私の分まで注文した。

出されたのは鰻だった。酒に鰻はと初めは思ったが意外とあう。

そう言えば何故黙って此処に来てたかが気に成った。もしかしたら此処で唐揚げを作る事に成るかもしれない。

そうしたらお師匠様は洗いざらい全部話してくれた。

今のところ話に矛盾する点は無かったし好意を持っているようにも見えなかった。

その後はチビチビと酒を飲むお師匠様を見て御酌をした。

何でも日本酒に成れる練習でもあるらしい。

ちょくちょく屋台から月を見て居たのが気に成った。

それから数十分。お師匠様は私の分の代金も払い店を後にした。

二人で夜の空をゆっくりと飛んで帰る。

火照った体に当たる風が心地よかった。そこで気づく。

髪を縛って居たリボンが破けて無くなってる事に。

恐らく戻っても見つからないだろう。

あきらめるしか無いか。

すると私を見たままぼーっとしてるお師匠様が見えた。

如何したのかと聞くと何でもないと答えた。

 

「おろした髪型も似合いますよ」

 

え?

とても小さな呟きだった。

しかしはっきりと聞いてしまった。

そうか、おろしていても似合うのか。

その言葉に嬉しく成る。

その後はどちらもしゃべらずにゆっくりと家に帰った。

その光景を大きな月だけが静かに見下ろしていた。

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