目が覚める。
日が上がり障子を超えて光が部屋の中に伸びて来ている。
枕元に二日酔いに効く薬が置いてあった。
永琳には感謝しないといけないな。
昨日、というか今日は永琳も居たため二日酔いする程飲んでないので机の上にある小物入れに入れておく。
まぁ、永琳が居なくても二日酔いする程は飲まないのだが。あくまで日本酒の味になれる為な訳だしね。
「セイバー様、起きてますか?」
そう言ってノックをして入ってくる。
今日は起きられていたんですね、と返ってくる。
それに苦笑いしながら「おはようございます」と言う。
毎日起こしに来てくれるからな優曇華は。
「朝ごはんの準備が整ってますよ」
そう言って出て行く彼女の後を追う。
毎日欠かさずに起こしに来てくれる彼女に感謝している。
こっ恥ずかしいので声に出して言いはしないが。
リビングに着いたら私以外全員そろっていた。
毎回私が来るころにはもう皆そろってるんだよな。
少し急ぎ足で上座に座り「いただきます」とあいさつする。
それに続く皆の声。
因みに今回の左は永琳で右が魅魔だった。
味噌汁を啜りながら片目を閉じ食卓を囲む皆を見る。
今日も賑やかな食卓だ。
何て言うか、良いな。こう言うの。
生前の家族との食卓を思い出す。生前の食卓は此処まで賑やかでは無かったが。
それに何時も出て来る食事は当り前では無いんだよな。
私一人では碌に食事の用意はできないだろう。
ましてやこんなに美味しくは余計に出来ない。
改めて皆に感謝し残さないようにしないとな。
でもごめん、お餅だけは無理。後、こんにゃく。
刺身も駄目だな。生魚はあの食感がだめなんだよな。
幻想郷じゃ刺身何て出てこないので忘れて居たよ。
そうこうしてる内にご飯を食べ終わる。
周りを見渡すと全員食べ終わったらしい。
「ご馳走様でした」とあいさつする。
皆が各々の場所に散って行く。
さて、今日は寺子屋が休みだったな。どうしようかな?
家に居ても良いのだがそれでは味気無い。
慧音に日頃の感謝を籠めて彼女に何かしようと思ったが、折角の滅多にない寺子屋の休みなのだ。そんな日位寺子屋の事を忘れてゆっくりして欲しい。
私と一緒だとどうしても仕事の話になっちゃうからな。
さて、どうしたもんか。
紫は寝てるし、魅魔は魔法の森で魔理沙の魔法の特訓でもつきあって居るだろうしな。
此処最近幽香も忙しそうにしていたので御茶会もしてないな。
紅魔館に行っても良いのだが咲夜のナイフが怖いので却下。
前回アレだったからなあ。
もう何か月も前の事だけど。
それにプール作ったので来て下さいと言う招待状来たが忙しくて行けなかったからな。
余計に後ろめたい。
と言うか、吸血鬼がプールとか大丈夫なのかよ。
流水は駄目なんじゃ無かったけ?
プールは溜まった水だから大丈夫なのかね?
そんな言い訳見たいな理由で大丈夫に成るとか無いだろ。
まぁ、良いや。
そう言えばもうそろそろ外の世界に出ても大丈夫だろう。
月の民もそこまで暇では無いだろう。
そうと決まれば外の世界に出発だ。
能力で外の世界に転移する。行先は長野の信州だ。
上田城の千本桜はもう散ってしまっているだろうから諦める事にする。
そうこうしている内に目的地に着いた。
何かお寺の屋根の上だった。
近くの木を使い飛び降りて行く。
さて、上田電鉄別所線に乗ろうと思うのだがそれらしい駅が見つからない。
しょうがないので適当に人を捕まえて聞いて見た。
すると衝撃の事実が解った。
もう別所線はとうの昔に廃線となったらしい。
「あんたもしかして廃線巡りとかしてる人かい?」と聞かれたので苦笑いしながらそうだと答えた。
まさか知りませんでしたとか言う訳にはいかないしな。
駅跡にバスが出てると言い丁寧に案内までしてくれた。
バスが来るまで時間があるな・・・・・
それにしてもやっぱり東方の世界は生前の21世紀ではないんだな、と思い知らされた。
駅跡は苔が生えて草が茫々に成って居た。
思わず苦笑い。
そうして思いに浸って居るうちにバスが来た。
そのバスに乗り込み田舎道をゆっくりと走るバスの車窓から塩田平の景色を堪能する。
確か遠くに見える独鈷山の山並がお勧めと言っていたのを聞いたことがある。
何と言えば良いのか、田舎だな~。雰囲気が幻想郷に似て居る。
此処が信州の鎌倉と呼ばれた場所か。
もう少し賑わっているイメージがあったが外の世界では今日が平日な為か、はたまた時間の経過による物か解らないが人をあまり見かけなかった。
バスも乗って居るのは私一人だけだ。
田んぼに囲まれた道をバスは行く。
目的地は別所温泉。
確か信州で最も古い温泉で古くは七つの苦しみから解放してくれる温泉と言う意味で七久里の湯と呼ばれ、あいそめの湯、石湯、大湯、らいし湯と四つが存在する。
中でも石湯は戦国最強と言われた真田幸村公の隠し湯と呼ばれているらしい。
これは是非とも入らねばならないな。
1時間位で別所温泉に着く。
お金を払いバスから降りると温泉が有名なだけあって温泉の香りがした。
温泉と言えば温泉饅頭。どこの温泉に行ってもあるよね。
そう思いながら風情ある旅館に入る。
歳の近そうな女将さんが出て来て挨拶をして来た。
「どちらから御出でなさったのですか?」
その問いに京都からと答えると深く頭を下げ
「それはそれははるばる遠くからご苦労さまでございます」
と言った。
今日は泊まれるかと聞いた所、泊まれるとの事なので一泊する事にした。
それではお待ちかねの温泉タイムだ。
女将さんに部屋に案内された後、早速温泉の場所を聞き入りに行く。
温泉に入ると芯まで染み込むような感覚に心が自然と落ち着く。
温泉には誰も居なく貸切状態である。
これが戦国最強の隠し湯か。
気分はすっかり戦国最強気分。
円卓の騎士じゃ2番だったもんな。
そりゃ、気分位上がるってもんさね。
疲れ何て吹き飛ぶわな。
そうして暫く温泉を堪能した私。
そのまま温泉を出て珈琲牛乳を一気飲み。
プハーッ、この一杯がたまらない。
旅館に戻り今度は内湯に入る。
また違った味わいがある。
そうして気が付けば夕方。茜色に染まる黄昏時。私も夕陽を見ながら黄昏てみる。
うーん、そろそろ夕食時かな?
そう思い部屋に戻ったら夕食の用意が出来て居た。
やべぇ、そう言えば皆に夕食要らないと言うのを忘れてた。
急いで念話でルーミアに夕食と次の日の朝食は要らないと一方的に言って念話を切る。
念話の先で「え、ちょ」と聞こえた気がするが気にしない事にしよう。
夕食は郷土料理だった。
とても美味しかったと女将さんに伝えると笑顔で「ありがとうございます」と深く頭を下げて来た。
そこまでしなくてもいいと思うのだがな。
女将というのは大変だな。
と伝統を噛みしめた夏。
次の日の朝、時刻は5時を回ったところだった。
ちょっと早いが幻想郷に戻ろう。
フロントに行くと朝早いのにちゃんと人がいた。
そこで会計を済ませて外に出る。
朝早いせいか人っ子一人いなかった。
一応念には念を入れて路地裏から外の世界の自分の家に帰る。
自分の家に着いたのを確認して外にでてファーストフード店に入り朝飯をすませる。
時々食べたくなるんだよな。こういうの。
時間的には現在6時ちょい過ぎ。
京都駅に行けば時間が潰せるだろう。
前回行った時に速い時間に行った時も店は開いていたしな。
そう思い京都駅へと向かう。
京都駅につき駅ビルを眺める。本屋何かは24時間運営してるようだ。流石は2,3世紀先の世界だ。丁度ドリル等が切れそうだったのでそこら辺を中心に買う事にする。
その後何冊か参考書等も買い外に出た。
そのまま駅ビル内を歩いているとファンシーな店があった。
ジュエリーショップでもあるらしい。
そこを眺めながら移動する。
そう言えば永琳のリボン無かったな。
良し、リボンを買おう。
そう思い店員にリボンを何処に置いてあるのか聞いて見る。
店員は彼女にプレゼントですか? と言いながら案内してくれた。
うーむ、リボンだけでもかなりの数あるな。
それに永琳は元が美人なのでどれを買っても似合うだろう。
暫く悩んだ末に薄紅色のリボンを買った。
リボンなのに意外と良い値段するのな。なんて思いながら店を出る。
リボンは店の人がプレゼント用に綺麗にラッピングしてくれた。
問題はどう渡すかだな。
何か緊張してしまう。
そう思いながら時間を確認してみたらかなり良い時間だったので急いでトイレに行き能力を使い寺子屋の上空に転移する。
さて、子供達の相手でもしますか。
寺子屋に入ったら慧音は両手を組み怒って居ますポーズで待っていた。
何をそんなに怒って居るのか聞いて見た。そうしたら御飯が要らない時はもっと早く伝えて欲しいとの事だ。
「作る側の事も考えろ」との事だ。
確かにこれは私が全面的に悪いので謝っておく。
「帰ったら他の奴らにも謝っておけよ」と言われた。
「はぁー、全く・・・・」
その一言で今日一日が始まりを告げた。帰ったら全員に謝んないといけないのか。
自分の失態なのでしょうがないが家に帰りにくいな・・・・・