油断していた、この一言に尽きる。
セイバーに呼ばれて近づいたら膨大な神気と霊力があふれ出て黄金の剣が出てくる。
そしてそこに更に膨大な神気と霊力が集まる。
その光に思わず目を瞑ってしまう。
しまったっ!
これではもう避けられない!!
せめてもの抵抗で両腕をクロスして来るべき衝撃にそなえる。
そして切られた。
思わず膝を地面についてしまう。
しかし、痛みが来ない。血も出ていないし服にも切られたような跡は無い。
何だったんだ?いったい・・・・
確かに切られた。なのに傷は無くそれどころか、何かに優しく包まれるような、心の隙間を埋められたような。今までに経験した事のないような感覚が襲い掛かってくる。
しかし、不愉快なものではない。
言葉にできないこの感覚、物心ついた時から感じた事のない感覚。
感じた事の無い安心感。このままずーっとこの感覚に浸ってさえいたいと思う自分。
頬に何かがつたうような感覚・・・・・、手で拭い取って見る。
涙?
何故私は泣いているのだろうか?
拭っても拭っても涙が止まらない。
不意に頭に温かい感覚がする。
大きくてごつごつしてるが優しくなでられる感覚。
前を向くと自分を切った人物が柔らかな笑みを浮かべて私を優しく、壊れ物を扱うように、しかし、しっかりと私の存在を証明するように私の頭を撫でている。
「”霊夢”、よく聞きなさい。これが人の温もりです」
まるで暗示のような言葉、麻薬のような言葉。
「今は誰も見ていません、思いっきり泣きなさい」
その言葉は聞きたくないのに聞きたいと言う矛盾した自分がいる。
そーと抱きしめられる、これも感じた事のない感覚だ。
「”霊夢”、”よく頑張りましたね”。偉かったですよ。だから、もういい、もういいのです。」
我慢できなかった。わからない感情が暴走し、ついには大声をだしてしまう
彼はただただ優しく抱きしめながら頭を撫でてくれる。
「今すぐじゃなくていい、ゆっくりでいい、甘えると言う強さを覚えなさい。ゆっくりでいい、頼ると言う事を覚えなさい」
まるで子供に言い聞かせるような優しく穏やかな声が告げる。
・・・・・そうか、これが温もり、愛情と言うものなんだ・・・。
物心ついた時から一人だった私が知りえない感情、あったのは博霊の使命だけ。
それを苦だと思った事は無かった。
妖怪退治してもみんなは博霊の巫女として当たり前と思い、礼など言わないし、言ったとしてもそれは博霊に言っているのであって霊夢に言っているのでは無い。それは私自身も当たり前だと思っていたので気にした事もなかった。
魔理沙は私を博霊ではなく霊夢として見てくれているが礼を言ったりはしてくれない。
・・・・・ああ、そうか私はこの言葉が聞きたかったのかもしれない。
博霊の巫女としてではなく、霊夢として、その行いを褒めて欲しかったのだ
この、温もりが欲しかったんだ・・・・・。
私の胸の中で子供のようにわんわん泣いている霊夢を優しく撫で続ける。
やはり温もりを感じた事がなかったんだ。
これからはちょくちょく霊夢の様子を見に来た方が良いかもしれない。
妹紅でいう慧音の様な存在が必要だったんだ。
流石に妹紅と慧音のような関係にはなれなくても、いないよりはましだろう。
これは私の自己満足であり偽善だ。しかし、やらない正義よりやる偽善。
ハッピーエンド以外認めない、つまらん私の意地だ。
これからも博霊の使命を背負い続けなければならない呪われた運命が待っている。
・・・・ならせめて、今この時だけはその使命を忘れられるように。
霊夢の気が済むまでこの胸を貸そう、そう心に決めた。
膨大な神気と霊力を感じた。
一瞬だが幻想郷が揺れた気がする。
急いで駆け付けたら膝をついてる霊夢とそれを心配そうに見つめているセイバーの姿があった。
霊夢は震えていた。
セイバーがその霊夢の頭を撫でている。
聞こえてくる声を聞き、後悔した。
何が友だ!自分は一番大事なことに気づいていなかったんだ!!
思わずに握りしめた拳は興奮して震え、一筋の赤い線が走り、滴り落ちている。
不意に肩に手が置かれそちらを見る。
こちらをしっかりと写し、無言で語りかけてくる魅魔様。
その瞳はどこか郷愁を思わせるものがあった。
何か思う事があるのだろう。
長い見つめあいの末に沈黙を破ったのは魅魔様だった。
「魔理沙、その手をだしな」
なんの事だろうか?
そう思い手を見てみると爪が食い込み赤い血が流れていた。
驚いたが素直に手を出す。
回復魔法で傷がみるみる内に塞がって行く。
「しかし、相変わらずふざけた力だね」
「それは私も同感だわ」
魅魔様の言葉に同意を唱えたのは銀髪三つ編みの赤と青の独特の服を着、私と霊夢を相手に追い詰めてた人物。八意永琳だ。
とわ言え今は敵ではないのだが。
手には薬箱と思われるものを持っている。
どうやら心配して治療に来てくれたみたいだ。まあ、魅魔様の魔法のおかげでその手当セットは要らないのだが・・・・・、
「しかし妬けちゃうわね」
「それは私も同感だ」
今度は魅魔様が同意した。
二人から黒い何かが出ているような気がするんだが、その事を本人たちに言えばどうなるかなんてわかりきっているので言わない。
決して二人の顔が笑っているのに目が笑っていないのが怖くて言えないわけじゃないんだぜ?
二人のおかげ?(せい)で少し落ち着く事は出来たがこうなるのならさっきのままの方が良かったかもしれない。
今度は二人が笑顔で挨拶をし握手を交わしているが目が笑って無いし、みしみし音を立ててる。二人の間に火花が散っているような錯覚がするのは残念なことに錯覚じゃないんだろう。
これが修羅場と言うものなのだろうか?
そう現実逃避の為に視線をずらすと大声で泣く霊夢を抱きしめながら撫でるセイバーの姿があった。
思わずに口にしてしまう。
「抱きついてる」
すると凄い勢いで二人がセイバーと霊夢をみて体から黒い何かとプレッシャーをさっきのが比じゃない位放つ。
しまった、言うんじゃなかった。
内心毒ずきながらも思う。
厄日だ・・・・・・・。
魅魔様はクフフフフッなんて言いながら呪文呟き始めるし、永琳はふふふっお師匠様ったら・・・何て言いながら弓を構え始めた。
怖い、怖すぎる。
だ、誰か助けて欲しいんだぜーーーーーーー!!!!!!!!
あれからしばらくして霊夢が泣きやみ、ド突くようにして離れた。
顔はトマトのように真っ赤である。
まあ、異性にあれだけ泣きつけば恥ずかしくもなるだろう。
私が逆の立場ならば恥ずかしくて思わずに死にたくなってしまうくらいに恥ずかしい。
大事なことは2回言う主義だ。
御約束と言う奴だ。
霊夢が後ろ向いて何かブツブツ言ってるが何を言ってるんだろうか?
まさか呪いじゃ無いよな?お兄さん少し・・・・いいや、かなり心配です。
しかし博霊神社はどこの神社がモデルに成っているのだろうか?
鳥居が真東でどんな神様が祭られているのかわからない、回りが森のようなもので囲まれている、階段が異常に長い、妖怪の山が近くにある。
これらのキーワードに引っかかる神社を私は知らないんだが・・・・・・・。
大体の神社は鳥居が北や西、南と言った物が多い気がするし・・・・確か風水的に良いんだっけか?
てゐがそんな事を言っていたような気がする。
妖怪の山が近いのと階段が長いのから考えて最初は諏訪にある北斗神社かとも思ったが、あれは北を向いてるし祭られている神様も知っているのでこれでは無いと判断。
しかし、妖怪の山のモデルが八ヶ岳だから諏訪周辺の場所だとは思うのだが
はて?どこだろう?
ゾクッ_________!
っ--------!!
_______返しの一撃________
反射的にガラティーンの鞘とガラティーンをぶん投げる。
「「グエッ」」
潰れた蛙のような音がした。
恐る恐る確認してみる。
ひっくり返っている魅魔と永琳。二人とも額から蒸気のようなものがでて目を回している。
・・・・・・これが世界最強の補正、ギャグ補正か!!
シリアスだけじゃ終わらせないぜ?
重すぎる使命、
温もりを感じた事がない悲しい少女
その少女は何を感じどう生きて来たのだろうか?