「っは!!」
飛び起きる。
あわてて周りを見渡す。
まず目に入ってきたのは机、そこには作りかけのプラモが置いてあり、残りのパーツが山積になっていて、お世辞にもきれいとはいいがたい状況であった。
次に自分の両腕を見る。
その両腕は汗ばんでいて掛け布団を強く握りしめている。
興奮してるのか少し震えてもいた。
この状況を確認してようやく安堵の息が出る。
______よかった自分の部屋だ。
そしてまたか___と深いため息をついた。
不思議な夢を見てた。
人生経験をするような夢だ。
夢と分かっているのに鮮明で、感覚があるという不思議な夢まるでそれが現実で起こった事のよう・・・・、やめようばかばかしい。
頭を振って思考を中断する。
そう言えば今日は学校だったと思いだし汗ばんだダルイ体に鞭をうって立ち上がり支度をする。
朝飯の用意をしようと思ったが夢見が悪かったせいか食べる気になれなかったのでそのまま家を出ていくことにした。
いつも通り、代り映えのない光景だなと授業を受けながら思う。
「・・・も・・・と」
「水本!!」
「は、はいっ!」
急に大声で呼ばれたので声が裏返り、反射的に立ってしまった。
それを見て?聞いて?この場合両方か・・・、教室中からクスクスと小さな笑い声が聞こえる。
どうやら教授から呼ばれたようだ、黒板には問題が書いてありこの答えを言えということか・・・。
正直授業が始まってからずっと聞いてなかったので答えなどわからないのだが。
キンコーンカンコーン。
チャイムがなった。
教授は軽く私を睨むと少し恨めしそうに教室を後にした。
どうやら助かったようだ。
「おい」
声をかけられた。
声の主の方をみる。
そこには私の数少ない親友の姿があった。
「何?」
改めて考えると寂しい人だなと思い積極的に友好を築こうとひそかに思ったのは秘密だ。
「お前大丈夫か?さっきからずーとぼーっとしてたぞ・・・・もしかしなくても
的確に突っ込んでくる親友に思わず顔をしかめる。
「当たりだな」
親友は真剣な顔になり問いかけてくる。
ばれたかと思いつつ正直に夢の事を話した。
その夢は不思議な夢だった。
雪のしんしんと降るどことも知れない森の中、私は空を飛ぶ不思議な盾にのりすさまじいスピードで森の中を走り抜ける。
体はやけに重く、漠然とではあるが死が近いことがわかった。
やがて開けた場所に大きく神秘的な湖にたどりついた。
私は湖の中心までいくと何を思ったのか盾から飛び降りた。
溺れる!
なんてことはなく水の上をまるで地面に立っているような感覚で立った。
すると今度はおもむろにさっきまで乗っていた盾とどこから出したのかわからない剣を湖に沈め、厳重に封印(なのか?)をし、それが終わると重い足取りで岸部まで歩いて行き、岸辺にある一番でかい木によりかかり終わりを迎えるという夢。
厨二病もいいところである。
しかし、雪の冷たさが、ダルイ体が、段々感覚がなくなってく感覚が、体中が悲鳴を上げている感覚が、そして死と言う逃れることのできないものが押し寄せてくる恐怖が今でも鮮明に思い出せ恐怖に陥りそうになる。
だが、夢の中の私はそれとはま逆の事を考えていた。
その事が非常に気になる。
死を前にして死よりも別の事を考えていた。
もう目が霞んで見えない中、騎士(なのだろうか?)に何かを必死に伝えようとしていた。
その伝えたいことが自分でもわからないのだ、その伝えたい事だけが・・・・、
という夢を見た」
今思い返せばどこぞの王の物語とだいぶかぶるような気がする。
厨二もいい所だがその時の感覚が思いが、体験が嘘だとは到底思えなかった。
夢の事を話終わるとやけに難しそうな顔をした親友の顔があった。
普通であればアニメの見過ぎ、厨二乙などと帰ってくるだろう事をちゃんと考えてくれる親友に最大の感謝と敬意を持つ。
本当に神に感謝する。
親友はそうか・・・・と言った後黙り込んでいる。
さてさて、どうなる事やら・・・・。
あいつの様子がおかしかった。
この状態がでるときは必ず夢を見た時だ。
たかが夢・・・・と言いたい所だがあいつの夢は対外当たるのだ、この間なんかはテストの問題で全てあいつが夢でみたと話した問題がそのまま出てきた・・・・おかげで100点を取ることができた、っとこれはどうでもいいな
それで聞いてみたら騎士がでてきて云々カンヌン・・・・若干アーサー王物語を思わせるものだった。
厨二乙と言いたかったがあいつの夢にはいつも何かしらの意味があったし、俺自身もそういうものや神や何かを信じてる口だ。
それにあいつがここまで気にする夢も珍しい。
それに最近なんだかあいつの様子がおかしい、元々不思議君ではあったがそれをなしにしたっておかしい・・・・言葉にしにくいがどこか世界から浮いてるように感じる。
行動的ではなかったあいつが積極的にパワースポットにいったり、神話や民話を凄い意気よいで勉強している。
まるでこの世界の秘密を探ろうとしているような、それでいて確信にいたってそうな感じだ。
だが、だからこそ心配になる。
この世界もただ存在しているわけではないのだ、そう世界は生きている。つまり意思があるのだ。
あいつの行為はこの世界の意思に間違いなく背いているのだ。
もし俺の思考が正しいなら少なくともあいつは今とても辛い状況にあるはずだ。
現実補正と真正面から対立してるのだから世界としても面白いものではない状況、世界があいつを排除の対象にしてもおかしくないのだ。
現に人が何人死のうが世界が死ぬわけではないのだ。
唯一無二の親友が危ない橋を渡ろうとしてるのだ、あいつの行動にどうこう言うつもりはないがせめて現実に残るようにせねばならない。
どうやら結論がでたらしい。
「夢は夢だ、夢の中で死のうがお前が死ぬわけじゃない、少し気にし過ぎじゃないか?」
中々にあいさつである。
まあ、確かに現実で死ぬわけではないから確かにそうなんだが気になるものは仕方が無い。
もしかしたら前世のことだったのかもしれない。
オカルトなどを信じてる私はそういうことにしておいた。
しかし、死を前にしているのにその事を置いといて伝えようとした思いとは何だったんだろうか?
答えの出ない思考の迷宮に迷い込んでしまったらしい。
気がつけば放課後だった。
やることがなかったのでそのまま家へと帰ることにした。
いつもと変わらないこの風景を眺めながらいつもとかわらない一日の終わりを・・・・・迎える筈だった。
霧が出てきた、普通じゃない黒い霧だ。
周りを見渡しても真っ暗で何も見えない。
続いて上下左右の感覚が無く成る。
一体、どう言う事だ?
ガツン!!!
凄い衝撃が頭を襲う。
何だと思う暇もない、ただ、終わりが来たのだと漠然と理解した。
ホントに?ここでオワリなのか?
いいや、認めない・・・・絶対に認めないまだまだ知りたい事がある。世界の秘密もわかってない。
何よりもあの時死を前に伝えようとした思いを伝えられていない。
だからだ、まだ終われない・・・このままでは終われない!!
何かに届いたような、何かに繋がったような感覚の後に意識が完全に途切れた・・・・。
プロローグは端折る物。
解る人には解る、わからない人は気にしないでね。