束の間の休息。
物語は加速する・・・・・
気が付くと夜の草原にいた。
街灯すら無いような草原だ。今時珍しい場所だ。
何と無く郷愁が漂うド田舎。
ふむ、どうして自分はこんな所に居るのだろうか?
様々な情報が頭に流れ込んでくる。
何だか分からないがここが幻想郷で無い事だけは分かった。
何で幻想郷の外に居るのかが分からんが・・・・。
取り敢えず行動する事にする。しかし本当に見事な草原だな。
周りが暗いせいか月光で蒼銀に淡くぼんやりだが輝く草原をゆっくり進んでいく。
ちょっと怖い気もするが気のせいと思っておこう。
何だか少し浮いている様な、少し境界線が曖昧に成っている気がする。
風が草原を駆け抜ける。波打つ草にぼくの夏休みを思い出す。
あれおもしろかったな・・・・・。
ん?境界がズレ始めたような気がする。
墓場が出て来る。ん?人影が二人いる。墓荒らしか?今時珍しいな。
そうすると、隙間が開いて飲み込まれていった。
え、ちょ、凄い風が隙間に向かって吸い込まれていく。踏ん張るが耐えきれずに私も吸い込まれた。
たくさんの目がある隙間を抜けるとそこには満開に開花した道が続く場所にいた。
・・・・・ここは、冥界か?
つー事は連台野だったのか?じゃああの二人は宇佐美蓮子とマエリベリー・ハーンか。
二人はどんどん奥に進んでいく。・・・・・・乗りかかった船だ、最後まで見届けるか。
後をゆっくりついてくと馬鹿出かい桜の木の前にでた。
あれが西行妖か・・・・、満開だがこれって咲いちゃ行けないんじゃ無かったっけか?
そう言えば死を呼ぶ桜で紫ですら封印でしかできない位強力な呪われた桜だった筈だ。
確か血を吸いすぎてその怨念で妖怪桜に成った筈だ。
だとすればジョワイユスが効くかもしれない。ジョワイユスをここから西行妖に向かってジョワイユスをぶん投げる。
ジョワイユスが刺さった瞬間眩い光が溢れ出す。目を開いていられない位の光だ。
また、凄い風が吹いて吸い込まれる。着地すると元の墓場にいた。
目の前にはメリーと蓮子の二人が気絶してる。
墓場に置き去りにするのは忍びないので二人を抱えて町が近いと思われる明かりが有る場所を見つけたのでその明りに向かって走る。
流石に騎士甲冑で町中に入る訳には行かないので入口辺りに二人を置く。
何と無くだが、何故か持っているアイス二本をそこに置いて行こうとしたら、後ろから声が掛けられる。
「ガウェイン!!」
後ろを振り向くと蓮子が目を覚まし私を呼んだようだ。
「何の用ですか?女性が真夜中に墓荒らしはいかがな物でしょうか?」
「あなた、やっぱり生きて!!」
やっぱり生きて?何言ってるんだこの子は。
すると口が勝手に動き出す
「もう此方に来るなと言った筈ですが・・・・・、これはどういうことですか?」
少し力んだ感じで問いかけする。
すると少し震えながら
「貴方を探しにいってたのよ!!あなたが居ないと意味がないのよ!!」
そんな事をいいだした。
私が神秘の塊だからか?
・・・・・まあ、相手の考えている事なんて本人以外には分からない事なので深く考えるのはよそう。
しかし、命の保証がない世界に足を踏み入れるのは正直進める事は出来ない。
「もう少し自分の命を大切にするべきです。私は貴方達に人間として幸せになって欲しい」
ん?体が段々消え始めてる。
「ガウェイン!!」
何かを言おうとした連子の口にさっきのアイスを突っ込む。
東の空が輝き始めた。
光が強く成ると私が完全に消滅した。
目覚めた世界が真実だとは限らない。
今見てる世界が本物とは限らない。
それを証明する物はこの世には存在しない。
目が覚めると永遠亭の病室で眠っていた。
外を見てみる。障子が閉まっていて分からないがおそらく夜だろう。
また可笑しな感覚がする。
最近こんな事が多すぎて困る。
まぁ、取り敢えず、無性にアイスが食べたく成ったので起き上がり外に出る。
大きな満月が私を見下ろしている。
そう言えば私が頼んだ事を永琳はしてくれてるだろうか?
東方のキャラは殆どが人間が死のうと興味すら無い人物達が殆どだ。
これが価値観の違いだろう。
一応人間側の思考に近い私にはどうしてもその価値観を受け入れる事が出来ないのだが・・・・・。
例えば妖怪が人間を食べる。
これは人間が鳥や魚の肉を食べるのと同じ感覚なのだと解っている。解ってはいるが、納得しきれない。
それが私の現状だ。まぁ、私が人間の時にテレビの向こう側で何人死んだとかを見ている時と同じ感覚なのだろう。
遠い異国の地でテロが起きた、「ふーん、そうなのか」という感覚なのだろう、本当に。
しかし、いざ自分がそこに立たされると一気に違いが出て来る。
無関心が関心に変わる。そうすると今までの自分を含めて狂気染みていると思う。
そして何より、今更だが永琳は月の民なのだ。確か月の民は地上の人間を見下す傾向がある。
少なくとも何億と月に居たのだ。永琳とてその傾向はあるだろう。
そうなると渡した二人は大丈夫だろうか?
・・・・永琳が医者としての事を重く見てると信じよう。確か二次創作とかでも医者として頼られたからには助ける傾向があった筈だ。それが見下してる人間だろうと関わらずに、だ。
だから二人は大丈夫だと思う事にする。でなきゃ心配事があり過ぎてうつ病に成りかねない。
そう言えばどれ位眠って居たのだろうか?確か崎さんと闘っていた時が昼間頃だった筈だ。
だとしたら少なくとも数時間は寝ていたのだろう。
ちゃんと魔力を探知し操れるようにしなければ死活問題だ。思い立ったが吉日とは言うが、流石にこの時間に聞きに行くのは気が引けるので明日にしよう。
ジャンプして永遠亭の屋根の上に乗る。
最近この大きな月に見慣れたせいか何と無くだが思う処がある。
そう思う辺り、私も幻想郷に染まって来てるのかもしれない。
私も何時か人を殺したりするのを何も感じなくなる日が来るのだろうか?
絶対と言うのは無いのだ。現にジョワイユスは生きた人間には効かないとは言え、何の躊躇いも無く振り下ろしてた辺りもう大分変り始めてるのかもしれない。
急に恐怖が私を襲う。身震いがする。いつか、何時しかこの感覚すら無くなるのだろう。
終りが来ないと言う事はこんなにまで、人を狂わせる物なのだろうか?
嫌、もしかしたら私は後50年位で死ぬかも知れないが。
英霊としてでは無く、英霊になる前のガウェインに憑依してたら、だが・・・・。
その前に世界の意思が来て殺されそうではあるが。
まぁ、殺されるのならばせめて、ひと思いに殺して欲しいのと、回りを巻き込まないようにして欲しい。
・・・・・・今考えてもしょうがないか。
もし、何も無く、時間からも解放されてるのならば、せめて、人を殺して笑ってる様な屑にだけは成りたくない。妖怪もだが。
ふむ、取り敢えずは・・・・・アイス食おう。
月見アイスだ。クヨクヨしててもしょうがない。
いつの間にか右手に持っているアイスに突っ込みを入れずにそのまま口に運ぶ。
一々突っ込んでてもしょうがないし、アイス食いたかったのでちょうどいいのもある。
やっぱりしんみりしたままなのは私が優柔不断だからかもしれない。
今一振り切れないのだ。人として生きてた時も決断力と根に持つのは変わらなかった。こここそ変わって欲しかったのだが・・・・・、まぁ、人生そんなに上手くは行かないか。
生きてる事を神様に感謝しないとな・・・・・、訂正。この世界の神様は正直あてに成らないので。
厄神様は別だ。私の厄を全て持って行ってほしい。
この世界に来てから何だか厄介事に巻き込まれ過ぎてる気がするので、今すぐにでも私の厄を回収してほしいのだが・・・・・。
今なら神気を好きなだけ上げるのでマジで頼む。
今なら漏れなく土下座付きでだ。プライド?何それ美味しいの?そんなプライドと命、天秤にかければどちらが重いか一目両全だろう。
っと、アイスが無くなった。まだまだ食いたいんだが・・・・・。なんて思ったら左手にアイスが。
あれ?何でだ?もしかして能力か?アイスを出す程度の能力なのか?確かに新しいが正直これは無いだろう。
こんな死亡フラグ満載の所でアイス出してどうしろと言うんだ?
精々人里で夏場のみ稼げるだけだろう。それでは食いぶち稼ぐことすらまま成らない。
それに能力は点と点を結ぶ?程度の能力じゃ無いのか?
・・・・・・まてよ、これってアイスがある地点とアイスが無い地点を結んだ結果出て来たのか?
それならば納得できる。何気なく能力を使っていたと言う事か。
しかし、どこまでこの能力が通じるかで私の今後が決まってくる。早急に全力で調べる必要がある。
試しに水の入ったコップを想像してみる。出てきた。この程度の事ならできるのか。
今の所能力による反動は無い。どんな力でもデメリットがあるのは間違いない。
現に紫は境界線を操る程度の能力は操る物にもよるが、膨大な妖力と訳の分からない難解な術式を組まなければ成らなかった筈だ。冬眠するのも幻想郷を維持する為に必要な妖力の消費を抑える事も含まれているのだろう。後、一日12時間寝るのもそのせいだろう。
魔力を使っているのかは知らないが何らかのデメリットを背負ってる筈だ。
そのデメリットと能力の限界を知らなくちゃならない。
今日は寝ずにこれを試す必要がありそうだ。
・・・・はぁ、仕方がない事だとは言えどうしたものか。
御先真っ暗ってこう言う事を言うんだろうな~。
お師匠様に言われた通りに二人を検査した所、何の異常も無かった。
膨大な神気を感じて優曇華と飛び出たのだが正解だったようだ。
しかし、この女二人に対してはお師匠様に色々と聞かなければならない。
そう、色々とね・・・・・・。
まあ、大丈夫だとわかったので放射能測定器を作り調べてみた所、こちらも異常は無かった。
しかし、お師匠様があれ程の神気を使わなくては成らない程の事でもあったのだろうか?
確かにこの二人、特に赤い髪の方はかなり膨大な霊力を内包しているが、此れしきならあれだけの神気を使うような事態に成るとは考えにくい。
それにこの二人の体を調べている時に転送装置と思われるものと量子を操る装置と思われる物や拳銃など近代的な武器が沢山出てきた。少なくともこの幻想郷の科学レベルでは到底作る事の出来ない代物だ。と言う事はこの二人は間違いなく外から、それなりの準備をして幻想郷に故意で入ってきた可能性がある。
最悪、月の使者である可能性も視野に入れてこの後の事を考えなければならないかもしれない。
一応発信機や連絡を取り合う装置と思われるものは壊しておいた。
この二人を殺してしまえば速くて楽なのだが、お師匠様が頼んできたので仕方が無く様子を窺う事にしておいたのだ。
まったく、こちらの事を分かっているのだろうか?
しかし、確かにお師匠様は宴に私達が参加するのを戸惑った様子を見せたのだ。
もしかすると、記憶が戻りつつあるのかも知れない。
少なくとも何かしらに私達が追われているのを知っている素振りを見せたのだ。
それも視野に入れての今回の判断だ。
確か、優曇華が月から逃げて来た時に地上から人間が攻めて来たと言っていた。
地上の人間も月に迫る科学レベルまで近づいて居るのかもしれない。
まあ、念のために優曇華や兎達に見張らせておいてお師匠様の様子を見に行く事にした。
そうしたらお師匠様が外に出て行くのを見て追いかけようとしたが、どうやら遠くに行く気では無いようだ。
外に出てみたら月を眺めながらアイスを食べていた。
・・・・・何か思う事があるのだろう。
今はそっとしておいた方がいいだろう。話を聞くのは明日でいい。幸い時間は幾らでもある。
お師匠様も急に居なくなったりはしないだろう。
だから・・・・・今はこれでいい。
スピーディー過ぎて作者が追い付けなく成って来た。