東方太陽録   作:仙儒

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16話

一応転移事故が無いように上空をイメージしたのだが・・・・・。

これは無いだろう。

上空何千メートルだここは?現在進行形で、しかも凄い勢いで落ちてるし。

アーチャーが召喚された時もこのような感じだったのだろうか?

正直高所恐怖症に成りかねないぞ。てか、普通に死ねる。この高さは。

そのまま吸い寄せられるように大地に激突してミンチ、或いはトマトに・・・・・、なーんて事は無く普通に背中から着地。少し周りがクレーターみたいに成っているが私が無事だったので良しとしよう。

幸いここら辺に田畑は無い。いつの間にかスーツから鎧に成っているが気にしない事にする。

痛いとも思わない辺り、流石は英霊だな~、と関心しつつ、自分はもう人では無いのだな、とネガティブ思考に成る。

おっと、そんな事を考えてる暇は無いな。

急いで里の寺子屋にダッシュする。無論門番にはちゃんと挨拶をしてから、だが。

昨日よりは遅くなってしまっている筈だ。授業が始まってなければいいが・・・・・。

と言うか、仕事二日目から社長出勤とかマジでヤバいだろう。

人にぶつかると不味いので、家屋の屋根上を壊さないように力加減をしながら急いで寺子屋に向かう。

 

寺子屋に付くともう慧音は来ていた。これはヤバい。早速頭を下げて謝ると笑顔で気にするなと返して来てくれた。慧音の心の広さに感謝しつつ、時計を取り出し、慧音に渡す。

慧音は最初はかなり遠慮して受け取ってくれなかったが、それでは私の今後が困るので無理やり押し付ける形で渡した。

 

「これは・・・・、時計か?」

 

綺麗に包装された包みを取り、箱を開けて中身を確認する慧音。

これも最初は貰ったその場で確認するのは如何な物かと開けようとしなかった慧音に開けるように頼んだ結果だ。

それで、ちゃんと時間もあっている筈なので寺子屋がいつ頃始まるのかを聞く事にした。

この時計で10時位に始まるらしい。

序に光に出来るだけ当てるようにと、一応防水加工はされているが、出来るだけ水にはつけないようにと注意はしておいた。後は説明書も入っているので問題無いだろう。

そうすると慧音がこんな高価な物は頂けないと突き返して来たが、日程がズレたりした時に此方が困るのでと強引に押し付けた。

それでも納得いかないと言う彼女に、流石にそれは渡す側にも失礼ですよ。と告げた所、渋々受け取ってくれた。

これで時間の問題は解決した。明日からは少し余裕が出来るだろう。

時計を箱から出そうとしない慧音に苦笑いをし、時計を引っ手繰り、強引だが慧音の左腕に付けた。

流石は店の人がお勧めしただけはある。慧音の特徴しか話していないのに良く似合っている。

その事を笑顔で言うと慧音は顔を真っ赤にしながらそっぽを向いてしまった。

恐らく照れているのだろう。余り深く考えないようにしよう。

因みに教科書は無かったので本屋に人数分+α注文しといた。連絡は要らないとだけ告げ一週間後に取りに行くと言っておいた。

寺子屋の中の職員室に入り、授業内容を確認する。慧音はあれから顔を赤くしたまま黙り込んでいる。

流石にここまでずーと顔が赤いとなると熱でも有るのかもしれない。

慧音に近づき私の額と慧音の額をくっ付ける。うん、かなり熱いな。やっぱり熱があるのだろう。

そうしたら上の空だった慧音が奇声を上げて離れた。

あの慧音が「きゃーっ!」て声を上げたんだぞ?貴重な一面を見れた気がした。等と場違いな考えをしつつ、熱があるようだから素直に寝ていろと言った。

慧音が熱何て無いから大丈夫だと言いだしたので、しょうがないので多少強引ではあるが首後ろにチョップを入れ、気絶させた。

それから永遠亭の布団を能力を使って取り出し、慧音をそこに寝かせる。ちゃんと掛け布団もしっかり掛けて寝かし、これまた永遠亭から冷たい井戸水の入った桶を取り出し、持っていたハンカチをその水に浸してしっかりと絞り、慧音の額に乗せる。こう言う時は首や脇の下や股関節を冷やすのが良いのだが、男である私がそこを触るのは気がひけたのでこれで我慢してもらう事にする。

 

そんな事をしていたら子供が呼びにきた。もうそんな時間か・・・・。

しょうがないので今日は私だけで授業だ。その事を子供達に告げると子供たちは慧音の事を心配して様子を見に行こうみたいな感じになったので、風邪が移るといけないので行くなと言っておいた。

そうしたら皆「えーーー」なんて言い出したので話を変えるべく買って来た物を子供達に配る。

使い方や何かを教えながら参考書や何かには自分の名前をしっかり書き込み、無くさないようにと釘を刺しておく。思ったとおり、子供達は貰ったものに夢中に成り、興奮している。完全に慧音の事は頭から抜けただろう。

 

計画通り

内心でそんな腹黒い事を思いつつ、折角渡した物を使って授業をしようと思い、授業を始める。

とは言っても、慧音も居ない為、早速買って来たガーデニングの本やその他の農業関係の本から授業をしよう。

これは人里の子供達が覚えておいて損は無いだろう。子供が知れば、自然とその親にも伝わるだろう。

それに渡したノートに書かせておけば、ノートを無くさない限り大丈夫だろう。

まぁ、幻想郷の文化レベルを上げないように加減をしつつ、だが。

それから漢字や数学を少々やり、昨日よりは速いが子供たちを帰した。

さて、と。私は職員室に戻り慧音の額に乗っているハンカチを取り、桶の冷たい水に浸して冷やし、また慧音の額に乗せる。

しかし、数時間しても起きないとはやっぱり疲れが溜まっていたのだろう。

まだ赤い顔をしてる慧音の髪を優しく撫でる。心なしか顔の赤みが増したが気のせいだろう。

念のため永遠亭に連れて行って見て貰った方がいいかも知れない。

 

善は急げと言うし、早く運んだ方がいいだろう。風邪でも馬鹿に出来ないレベルなのだ。幻想郷は。

現実では薬を飲んで二、三日寝れば治るような風邪でもここでは死ぬなんて事はざらだろう。

流石に慧音は半獣なので死にはしないだろうが、他の人に移って集団感染とか洒落に成らないので、毛布を出し、慧音を毛布で寒くないように包み、急いで永遠亭に向かう。

半獣であるのである程度のGには耐えられるだろうと思い、崎さんの時よりも速く移動する。

無論お姫様抱っこでだ。背負ってもいいのだが、そうするとお慧音がボインボインが当たるのでやめておいた。服の上からでも十分にわかるボリュウムなのだ。私の精神的にヤバい。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あやや、これはスクープです!!」

この状態をとある烏天狗に写真に撮られて居るのを知らずに・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なにこれー・・・・・・・・。

 

今の心境はこの一言に限る。

永遠亭はちょっとした城位にはでかい。筈なのだが・・・・・。

ここからでも解る程には壊れている。

 

もう一度言おう、なにこれー。

 

何かが内部で爆発したかのような壊れ方をしている。

そして兎達がせっせと機材や何かを持ちながら忙しそうに行ったり来たりを繰り返している。

大変だなー、何て現実逃避をしているが、流石に何時までもこうしている訳にはいかない。

この位置だと私の居候している部屋の方なのだが大丈夫なのだろうか?

 

「セイバー様!」

 

おっと、ちょうどいい所で優曇華が声をかけて来た。

良いタイミングだ。

何故館が壊れているのかを聞きたいが、一応慧音(病人)がいるので慧音を渡して容態を伝える。

一応月の頭脳の弟子をしているのだ。これ位の事なら彼女だけでも大丈夫だろう。

少なくとも人里にいるかわからない医者よりは絶対にいい腕をしている筈だ。

それと一応、それとなくこうなった理由を優曇華に聞いて見る事にしようとしたけどやめた。

決して、目からハイライトが消えて死んだ魚のような目をしだして一人でブツブツ言っているからでは無い。

無いったら無い。

でも一応病人が困るので失礼だが頭を軽くチョップする。

そうすると、はっ!。となり、一応病室に連れていったので大丈夫だろう。

・・・・・・・、大丈夫だよね?うん、大丈夫だ。

さっきブツブツ言っていた時にメス牛とか言っていたような気がするが気のせいだろう。

そういう事にしておいた。

そうしたらてゐが出て来て事の始まりを説明してくれた。

 

しかし、どうやらてゐも含めて全員が今一原因がはっきりしないみたいだ。

 

「どうしてこうなったのでしょうか?」

 

知らず知らずに口にしてしまったらしい。

そうしたらちゆりが

 

「ガウェインは本当にわからないのか?」

 

何て言って来たので素直にそうだというと、ちゆりにてゐが頭を抱え始めた。

失礼だなお前ら・・・・・・。

それにしても以外だったのが永琳と崎さんが争った結果だった事だ。

てっきり輝夜と妹紅が殺し合いをしていて永遠亭は犠牲に成ったのだ!なんて事だとおもっていたから拍子ぬけである。

否、そもそも屋敷が壊れる事自体が異常なのだが、2Pカラーが幻想郷では常識に囚われてはいけないといっていたし、いいのだろう。

まぁ、正確には常識”が”通じないのだが・・・・・。まぁ、いいや。

深く考えるのはやめよう。SAN値がマッハで削れて行く。

しかし、何故に二人が争ったのだろうか?やっぱり天才過ぎる二人の譲れない物同士がぶつかったのだろう。違い無い。

しかし、こう見てて気が付いたのだが、永遠亭の外に被害が出て無いのを見る限り、やっぱりギャグ補正が最強の静止力だとシミジミ思う。

確かにコーrゲフン、炭酸が最初から劇場版まで生き抜いた無敵補正なだけある。

因みに、二人とも絶賛気絶中らしい。これもギャグ補正か。

凄いなギャグ補正。

私にもギャグ補正付かないだろか?

・・・・・・、無理だな。基本Fateキャラにギャグは似つかわしく無いし、ガウェインなら尚更付きそうに無い。

カーニバルムーンで青タイツとわかめがギャグにまわったが、私は確実にそちらに周る事は無いだろう。

いじられキャラには成りそうだが・・・・・・。

それは辻切りみょんだけで十分だ。

・・・・・・、まいったな~、こりゃー。

 

なーんて考えてたら不意に浮遊感に襲われる。

 

「おお?!」

 

そして、変な声を上げながら落ちて行く私自身。

周りにはたくさんの目が此方を見ている。

間違いなく、紫のスキマだ。やっぱり勉強の事がいけなかったのか?

一応、秋姉妹の信仰が無くならないように加減して教えていた筈なのだが・・・・・。

そうこう考えてる内に何かに座る形で着地した。

周りを確認すると、コンクリートで出来た建物の屋上と思われる場所にいた。

学校の屋上か?

まさか、幻想郷から追い出されたのか?まぁ、殺されたり、封印されるよりはズーーーーーーッとマシだが。

 

「御機嫌よう、セイバー様」

 

声の主の方を見る。言わずと知れた大妖怪で神隠しの主犯である妖怪の賢者事、八雲紫だ。

 

「手荒い歓迎ですね」

 

自然と口にした言葉。しかし、これ位の文句は言っても許されるだろう。

そうしたら、紫がバツの悪そうな顔をして謝罪してきた事に驚いた。

あの紫が、である。

何か裏があると疑った私は悪くないと思う。

しかし、今の紫からはそうした意図的な物を感じない。否、もしかしたら意図はあるのかも知れないが、私が知りえる事では無いだろう。

いつの間にか持っていた二本のアイスのうち、左手で持ったアイスを紫に渡して、目の前に広がる夕日を眺める事にする。

ガウェインに成ってからは、肝が据わっているような気がする。まぁ、それは外見だけで、中身はチキンなのだが・・・・。

シャリッ

 

静かな時の流れを感じながらアイスを食べる。少し、物足りないような、そんな黄昏時を前にして、語り合いは野暮と言う物だろう。

紫も私の隣に、私の肩に頭を預けるようにしてアイスを食べている。

良い香りがする・・・・・・・、それに、大きな西瓜が私の体に当たって・・・・・、ごめん、ちょっと豆腐の角に頭をぶつけて死んで来るわ。

マジで生前の(まぁ、今でも生きているが)好みの女性にドストライクなので惚れてまうやろー!!!

ドキドキが止まらない。

すでに碌に機能していない頭ではこれに何の意味があるのか考える事が出来ない。

紫が無言のまま私の左手に自分の右手を絡み付けるように、しかし、柔らかく包み込むように握り閉めて来る。所謂恋人繋ぎと言う奴だ。人眼が無くても恥ずかしいのに、人眼があったらどうなるんだろうか?っと、現実逃避してしまう。

今まで、女性の友達は多かったが、そう言った関係に成った事は無い、所謂灰色の青春のトップをアクセルベタ踏みで駆け抜けていた私にはこう言う時にどういう対応をすれば良いのかわからない。

数少ない同性の友人曰く、顔は整っているが積極性が無くてダメだと言われた。後、御洒落にもう少し気を使えとも・・・・。変な服は持って居ないのだがな~、と言ったら、駄目だこいつと言われた。

友は私の服装が地味だと指摘して来た。服なんて着れればそんなに大差無いだろうと言ったら、次の休みの日に女子友達と親友がそろって私を拉致って服屋で着せ替えファッションショーをやり始めたりと黒歴史があったりする。

っと、話がそれたな。つまり、どう対処すればいいかわからんのだよ。

まぁ、無難に相手からの声掛けを待つしか無いか。

 

「本当に好きなのね、このアイスを食べながら夕陽を眺めるのが・・・・・、ガウェイン・・・」

 

余りにも小さな声だったので何を言ったのかわからなかった。ただ、何かを呟いたのは確かだ。

それについて問うと「何でもありませんわ」とだけ言い返して来た。

これじゃあ聞けないんだろうな~と悟り、聞くのを諦めた。

 

アイスを食べ終えた。それは紫も同じみたいだった。

しかし、体制的に此方からでは紫の顔を窺えない。

心なしか震えているような気がする。

少し、服が湿り、肌に吸いつく。

・・・・・・・、泣いているのか。確かに寂しかったんだろう。甘えたかったのだろう。しかし、彼女の立場がそれを許さない。

幻想郷を束ねる者として、そんな弱気は認められない。彼女もまた、悲しい呪縛に縛られた者なのだと理解した。

そうだよな、人以上の知能を持つ者は得てして孤独なのがこの世の理なのだ。

ならばせめて、この者にも手を差し伸べても良いだろう。

・・・・・・ああ、わかっている。これは私のエゴであり、偽善だ。しかし、やらない善よりやる偽善。

紫を引っぺがし紫の両頬を両手で壊れ物を扱うように、しかし、しっかりと掴んで顔を見る。

やはり泣いていた。

 

場違いだが、その顔を見て美しいと思ってしまった。まるで美術館に飾られた絵の中から出て来たのでは無いかと思う程には。

彼女が女神です、と言われれば、そもまま認めてしまう程美しく、そして、愚かなまでの悲しさと刹那さ、寂しさが滲み出ている。

頬に当てている両手で頬を伝う涙を優しく親指で撫でるように、拭く。

スキマ妖怪では無く、幻想郷の管理者としてではなく、妖怪の賢者としてではなく、紫として接しよう。

孤独は■■■事、私だけで十分だ。■■■が何だか分からんが、取り敢えず、私の生前の名前だろう。

紫の顔が驚きと夕日のせいか赤く染まっている気がする。

 

「かわいいな、おい」

 

自然と口に出た。それが聞こえたのか更に赤く成ったような気がするが気のせいだろう。

今は構っている暇は無い。その瞳を覗き込む。

涙で潤んだ瞳の奥には深い闇と悲しさを感じた。目は口ほどに物を言うとは言うが、正にその通りだな。

悲しい人が多過ぎたのだ。この世界は。妖怪である彼女にジョワイユスを使う訳にもいかない。

出来るだけ優しい笑顔を作り、優しい口調で彼女に語りかける。

 

「幸い此処には私とそなたしかいない。無理する必要は無い。泣いて良いんですよ、(今だけは)ずっと側に居てあげます。それに、だから泣けるのでしょう?人も、妖怪も転任も神も」

 

紫が私の胸に飛びついてきた。

やはりか、さぞかし苦しかったのだろう。紫の背中を優しく撫で続ける。

子供のように、声を出して泣きじゃくるその姿は、賢者として人に恐れられたり、管理者としての姿は無く、見た目以上に幼く見える少女(紫)の姿だった。

夕日はとうに地平線の彼方に消え失せ、星がちらほら顔をのぞかせ始めてから速、幾時間。余程溜まっていたのだな。

誰にも言う事が出来ない、甘える事も出来ない部分が。

幽々子にでも吐き出せなかった思いなのだろう。この甘えん坊で強がりが・・・・・、

 

「許せ、メリー・・・・・・気づいてやれなくて」

 

泣き疲れ、眠ってしまった紫の髪を優しく撫でながら、聞こえるか聞こえないかの小さい小さい声で無意識につぶやく。

無意識に能力を使ったのだろう、紫の姿が消えた。私はその消えゆく紫の手に何処から出したのかわからない彼岸花を握らせた。序に出した薄紫色のブローチも持たせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼には悪いけど外の世界のとある学校の屋上に連れ出した。

彼は前みたいに警戒せずに、少し呆れた感じで声をかけて来た。

少し棘を含んだ言葉に素直に謝った。

すると、無言でアイスを差し出して来た。

私も無言でアイスを受取り、隣に腰掛ける。夕陽に照らされながら爽やかな顔をしてその夕陽を眺めながらアイスを食べる姿が妙に絵に成る。純粋に美しいと思った。

それと同時に懐かしさまで溢れて来る。思わずに呟いた言葉に彼が聞こえなかったと聞き返して来たのでそれを慌てて誤魔化す。幸いな事に彼も深く追求はして来なかった。

しかし、あふれ出て来るこの感情に歯止めが効かなくなってしまった。

涙が止まらない。私の涙でアイスが甘しょっぱい味がする。

そんなアイスを食べ終わったのを見計らったかの様に、強引に顔を彼の方へ向けられる。

抗おうとしたが彼の方が力が強いので顔を背ける事は叶わない。その癖、壊れ物を扱うように優しく私の顔を包むように覗き込んで来た。

ドキドキが止まらないが、こんな顔を見られたくは無かった。更にかわいいと言われて心臓の鼓動がより速く成るのがわかった。

まるで私の全てを見透かしているかの様な瞳だ。彼の真剣な瞳が語っている。

それから言われた言葉に我慢が出来なく成った。

泣いて良いんだと、ずっと側にいてくれると、今度こそ離れないと言ってくれたのだ。

 

等の本人は今だけはと言う意味で言ったのだが・・・・・・。

 

記憶が無いのにズル過ぎる。鈍感な癖に変な所で鋭い。

久しぶりに心の底から泣いた気がする。前回の挨拶をした時以上かもしれない。

これは幽々子にすら打ち明けていない、気付かれて居ない本当の自分をいとも簡単に見つけ出してしまう彼にずるいじゃ無いかっ!!と叫び続ける。

記憶が無い癖に、何にもわかんない癖に、何で、どうしてそんなに私を知っているんだ!!

涙が止まらなかった。泣いて泣いて泣き疲れて、途中何度も彼の胸を叩きながら泣きじゃくったのに、優しくしかし、しっかりと私を抱きしめて、撫で続けている彼に途轍もない安心感と愛おしさが溢れて来る。その安心感が心地よくて、とても幸せで、暖かくて意識が朦朧としてきた。

しかし、彼が誰にでも私と同じように触れ合うのを私は知っている。

しかし、それを私だけに向けて欲しいと思うのはきっと私だけじゃ無い。

朦朧とした意識が完全に闇に落ちそうになった瞬間に

 

  許せ、メリー・・・・・・気づいてやれなくて

 

「っ!!!」

 

一気に意識が覚醒する。

いつの間にかマヨヒガの私の部屋で寝ていた。

夢だったのだろうか?と一瞬考えたが現実だと気が付く。

そこには私達3人だけの紫色のブロウチに私の大っ嫌いな彼岸花、曼珠沙華を握り閉めている。

急いでスキマで彼を探そうとするが、彼に関する事だけ全てが干渉出来なく成っていた。

少し恨めしく思いながら、外に飛び出す。

式の藍が何かを言っているが構っている暇は無い。もしかしたら記憶が戻ったのかもしれない。

彼は結構ロマンチストで花言葉でやりとりする事も多々あった。

曼珠沙華の花言葉は良い部分だけを取るなら「想うはあなた一人」と「また会う日を楽しみに」と言う再開の言葉なのだ。ガウェインは基本的に良い意味の方でしか花言葉を使わないので余計にだ。

曼珠沙華は大っ嫌いだが、今日だけは、今回だけは嫌いでは無いかも知れない。

そう、花言葉通りに「想うはあなた一人」にしてみせる。絶対に。だから、待ってなさい、ガウェイン!絶対にあなたの一番に成って見せるんだから!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優曇華が一人の人物を連れて来た。

確か、妹紅の親友で、人里では寺子屋の教師をしていた筈だ。

一応大人げなかったと思い、弟子の夢見の手当ても済ませてある。とは言っても、服が少々ボロボロに成った程度でかすり傷が2,3個あっただけなのだが・・・・・。

優曇華から聞くにはお師匠様がまた絡んでいるらしい。

思わず頭を抱えて深ーい溜息を付く。あの女たらしがまた女を落としたのか、と。

 

「何時まで寝たふりしてるのかしら?そろそろ起きても良いんじゃ無くて?」

 

御師匠様とはやはり一度良く話合わねばならないようだ。

しかし、今は目の前に居るメス牛にイロイロ聞かなければならない事がたくさんあるのだ。

そう、イロイロとね・・・・・・・

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