東方太陽録   作:仙儒

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18話

朝の日差しで目が覚める。

見てみると地平線の彼方から太陽が昇ってこようとしていた。

その光景はまさに黄金の夜明け。日の出国と呼ばれる事だけはある。

美しい・・・・・・・、心底そう思う。

正に幻想的だった。

 

動こうとしたら、私の上に重みを感じる。見てみると早苗が私の上で寝ていた。

寝ぼけてこっちに来たのか?

理由はわからんが、早苗の口から出た涎が私の浴衣を濡らし、肌に張り付いて気持ち悪い状態に成っている。

取り敢えず近くにあったティッシュで早苗の口を拭き、起こさないように慎重に布団に運び、掛け布団をかけて風呂に入りに行くことにした。

何時までも濡れた浴衣で居る訳にもいかないし。

 

そんでもって露天風呂である。朝早すぎる為か客は一人もいない貸切状態だった。

因みに現在4時半を回った所である。

一人なのを良い事に、自販機で買って来たフルーツ牛乳を露天風呂に持ち込んで、入りながら飲んでいる。この後、どうするか・・・・・・・、北海道の観光名所は全く持って分からないのだ。

しいて言えば、近くに五稜郭がある位だろう。後は知床か?しかし、知床まで行こうと思えば行けるかもしれないが、生憎、北海道は広すぎるので間違いなく迷っておしまいだろう。

土産ももう十分買ったし・・・・・・。そう言えば、まだお菓子は買って無いな。確かお菓子でも有名だった筈だ。後はメロンとラベンダーに毬藻しかわからん。

時間軸が1,2世紀先なのであるかはわからないが大丈夫だろう。なければ無いでしょうがないし。

そんな事を考えて体を見たら、くっきり赤い線が横切っており、その線の下は茹でダコのように真っ赤に成っていた。

脱衣場に出て時計を確認すると7時を少し過ぎた所だった。

英霊に成ってから考えすぎなような気がする。少しカウンセリングを受けた方がいいかもしれない。

今度永琳に頼むか?・・・・・・・、却下だ。優曇華の二の舞になるだけだろう。

となると外か。しかし、保険証が無いと診察出来ないのでこれも断念せざるおえない。

近未来なので偽造してもすぐにばれてしまうだろう。崎さんに頼んで偽造してもらうか?とも考えたが、見返りに何を要求されるかわかったもんじゃ無いので却下だ。

となると、優曇華に相談した方がいいだろう。優曇華なら悪戯何かしないだろうし、サディスティックなこともしないだろう。帰ったら精神安定剤と胃薬を貰おう、そうしよう。

そうこう考えている内に茹でダコの様に赤かったからだが本来の白い色に戻ったのでスーツに腕を通す。鏡を見ながら変な所は無いかチェックし、髪の毛も寝癖は見当たらないし完璧だ。

最後にきちんとネクタイを締めて終了。

因みに、風呂上りにちゃっかり苺ミルクを飲んで来た。風呂上りの飲み物は何故こんなにもうまいのだろうか?不思議である。

 

そんな事を考えながら自分の泊まっていた部屋の中に入ると、早苗が腕を組んで仁王立ちしていた。

一応ただいまと声をかけたがそっぽを向いて聞く耳持たん状態である。

苦笑いしながら早苗の頭を撫で始めてしばらくすると、ようやく早苗が口を開いた。

どうやら目が覚めて一人ぼっちだったのが相当心に来たらしい。

確かに子供にとって目が覚めて誰も居ないのはさびしく感じるだろう。

私の祖母も私が小さい頃の話を聞いた時に一人にすると泣いたと言っていた。

それでは流石に此方が悪いな。何とか機嫌を直して欲しいのだが・・・・・。

それで何でも言う事を聞くから許しては貰えないか?と言った所、早苗がピクリ、と反応した。

 

「何でも?」

 

「ええ、私に出来る事なら何でも」

 

一応釘を刺しておく。巨大ロボをくれ何て言われても無理がある。

まぁ、一応はまだロボオタには成って居ないだろうが・・・・・・。

暫く考えた後に早苗が、

 

「じゃあ、ケータイのメールアドレス教えて!」

 

そんなんで良いのか?少し拍子抜けだ。てっきり玩具などを要求されるとばかり思っていた。

しかし、まいったな。携帯何ぞ持ってないし、持っていたとしても幻想郷は県外だろう。

申し訳ないと思いつつもその事を告げると「嘘つき!」と言ってまたそっぽを向いた。

そっぽを向く時に涙目に成っていたのでいよいよまずいかもしれない。

他の事であれば聞くと言うと、ジト目で見ながら

 

「ホントにホント?」

 

と繰り返し聞いてくる。それに本当だとループで繰り返す。子供とは得てして細かい所にこだわる所があるため、繰り返しに怒ってはいけないのだ。

それで泣きだされたら困るからもある。大人は心を広くもとう。おにーさんとの約束だ。

それを何回繰り返したか分からないが早苗が考えるしぐさをし始めた。

心の中で変な要求をされませんようにと願う。

そうしたら、此方に良い笑顔で手を広げ、

 

「抱っこ!」

 

と言って来た。その程度ならいくらでもやってやるさ。

そんなんで良いのかと聞き返した所、嬉しそうに顔をすりすり擦りつけながら「うん!!」との事。

そんな事をやってる内に早苗の両親がやって来た。

そう言えば、朝食もこの部屋に届けるようにお願いしたのを話した事を素で忘れてた。

何処かやつれて見える父親に、妙につやつやして良い笑顔の母親。昨日はお楽しみでしたね、コン畜生が!!

パルパルパルパルパルパル。

 

全員がそろった所を見計らったかのように朝食が届いた。

早苗は相変わらずコアラ状態で昨日の夕食と同じように私が食べさせた。ちゃっかり私のデザートもちゃんと食われた。ちくせう・・・・。

その後は他愛もない話をして各自部屋に戻り荷物をまとめる事に成ったが、私はこの身一人だけで来たため、ロビーで待っている状態だ。

因みに、早苗もずーと私にすりすりしながら離れないのでしょうがなく抱っこしたままフロントにある椅子に腰掛け新聞を読んで時間を潰す。

相変わらずの世の中なようだ。少し早苗がじゃまだが、子供が出来た時にこれ位で怒っていたら埒が明かないので気にしない事にする。

まぁ、その前に結婚できるかどうかが心配だが・・・・・・。

そんな事を考えてたら後ろから呼ばれたので新聞を畳み立ちあがる。

受付で会計を済ませて外に出て、別れようとした所で、問題が起きた。

早苗が離れないのだ。それで駄々をこねて、しまいには泣き出した。

そんな事になっても寺子屋に行かねばならないので私も困るのだが、離れてくれない。

そうだ、子供なら興味を私から他の物に変えれば良いんだ。

確か、前回京都に行った時に、早苗が頭につけていたデフォルメ化された蛙にそっくりな髪留めがあったので、つい衝動買いをしてしまったのだ。

今の早苗は蛙の髪留めも、蛇みたいな髪飾りもつけていない。

これにするか、蛙の髪留めを出し、ルーン文字で私の有りっ丈の思いをこめて、防御を意味するユルにエオロー、強化のフェオ、保護のソーン、宗教のラド、幸運や喜びを示すウィン、そしていずれ訪れる悲しみと不運を乗り越える為のニード。

全てに万感の思いを乗せて刻み、早苗に渡す。予想通り早苗の興味はそちらに向いた。

そのすきに早苗を引き剥がす。

そう言えば、東風谷一族はこのご時世に成ってもケロちゃん達を守ろうと必死に信仰集めをしているんだっけか?

すげーよな~、私には真似出来そうに無い。その意味も込めてあのセリフを言ってみる事にする。

 

「忠道大義です、努、そのあり方を損なわぬよう」

 

そう言って能力を使い幻想郷に帰る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

せいばー様は私にかわいい蛙の髪留めをくれると何かを言って消えて行った。

まるで何事も無かったかのように消えた。

せいばー様の言っていた事の意味は解らないがこの蛙の髪留めから何か諏訪子様や神奈子様と同じ力を感じる。

ひっくり返して見てみたら不思議な文字が書かれていた。

この字が何を意味するのかは解らないけど、何と無く優しく包まれるような気がする。

パパにママは何故か泣いていて、慌ててどおしたのかを聞いて見たら、せいばー様の一言に感動した見たい。

 

そのまま家に帰り、その事を諏訪子様神奈子様に話した所、凄いうらやましがられた。

何でもるーん文字と言って、それぞれに強い願いが込められているらしい。

良く解らないが、これだけは言える。私の宝物が一つ増えた事だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

能力を使って戻って来たものの、ここが何処だかわからない。

やはり適当に幻想郷に帰る事だけを考えていたのが不味かったのか?

まぁ、良い。しかし、ここは何処だろうか?

周りを見渡しても森しか無い。取り敢えず進むとしよう。

そう言えば、慧音は大丈夫だろうか?

・・・・・・、まぁ大丈夫だろう。何せ見るのは他称天才の月の賢者なのだ。

恐らくは薬を飲んだ瞬間に治るだろう。

そうしているといつの間にか森が終わり、開けた場所に出た。

そこには辺り一面に咲き誇る向日葵の花々があった。

凄いな、思わずに関心してしまう。

そう言えば、今の季節が解らない。

多分だが、私の知る限りの知識だと、江戸時代末期から明治初期の状態のまま保存?されている為、真夏でも平均気温は25度前後だろう。どんなに暑いと言っても30度行くか行かないかの境目な筈だ。

それに、英霊に成ってから、熱い寒いの感覚が鈍いのだ。

流石は英霊、恐らく無駄な概念をはぎ取ってあるのだろう。味覚が残っていたのは正直ありがたかった。味のしないご飯何ぞ食いもんじゃねー。

恐らく肉体的な疲労と言う概念も無いだろう。精神的な疲労はあるが・・・・・・。

フム、この体も使いようだな。

そう言えば、何か大事な事を忘れている気がする。何かこう、命にかかわるような大事な事が・・・。

 

そう考えていたら、小さな男の子が向日葵の花を抜いていた。

 

ッ__________!!!

 

プライウェンを出し、男の子の前に割って入る。

直後、凄まじい衝撃が私を襲う。

よりにもよって一番危険地帯に入ってしまうとは、何故一番初めに思いだせなかった!!

ここは・・・・、

 

「あら、邪魔しないでもらえるかしら?私はかわいいかわいい向日葵を抜いたその子に罰を与えなければならないの」

 

U・S・c事、風見幽香の代名詞とも呼べる”太陽の畑”である事を。

子供に盾を持たせて里に速く帰る様に怒鳴りながら告げる。

すると子供は言った通りに盾を持って里に走りだした。

此方もガラティーンを構えながら相手の出方を窺う。

しかし、驚いた事に、幽香は子供を追おうとはしなかった。

 

「解せませんね、何故あれだけの攻撃をしておきながらあの子を追わない」

 

その疑問に彼女は薄らと笑みを浮かべると急に接近して傘で切りかかって来た。

私もガラティーンで受け止める。鍔迫り合いの向こうで彼女は

 

「貴方と闘った方が面白そうだもの、それに、あの子を追ってもあなたが間に入るでしょう?なら、ここで貴方を殺して、苗床にしてからあの子も同じ末路をたどって貰った方が効率が良いでしょう?」

 

良い笑顔でとんでもない事抜かすなこん畜生が!

少し力を入れると傘が綺麗に切れた。

幽香は驚いた顔をしながらバックステップで剣戟を逃れたが、浅く胸辺りに切り傷が走る。

流石は大妖怪と言った所か、瞬発力がパナい。

幽香は傘を再生させると又、剣戟を仕掛けてくる。

 

ガキン!ガキン!ガキン!

 

金属が当たり火花が散る。彼女も今度は注意深く私の剣の間あいから離れた場所から攻撃を仕掛けて来る。糞、外見何かはガウェイン補正で何とか成っているが、こう言った戦いに成ると、相手の方が一枚も二枚も上だ。

通り抜けて来た修羅場の差と言う奴か、中身が一般ピーポーな私にはこう言う時にどういう対処法を取れば良いのかわからない。

 

ガキンッ!!

 

強い衝撃と共に幽香の傘が飛ぶ。

彼女も近接線が無駄だと思ったのか、分身を出して一体が弾幕を打ち、もう一体が近接戦闘を仕掛けて来る。

クソッ!

これではリンチに成りかねない。埒が開かないので此方からも攻めに転じる。

成るべく弾幕の範囲に一体の幽香が入るように行動する。

少しはこれで弾幕の雨に隙間ができる筈だ。

幽香が右フックで来たのを左手に逆手で持ったガラティーンの剣の腹で受け止め、開いている右手でカウンターをかますが、入りが浅い。

伊達に格闘をやってるわけでは無いと言う事か。

そのまま後ろに下がった幽香が”右手”を見てグッパ、グッパしている。

何かあったのか?しかし、好都合だ。その一瞬で近寄り斬りかかる。さっきの行動で意識が此方に向いて無かった為か、今度は先程よりも深く右肩から左横っ腹まで綺麗に切れ、鮮血が私にかかる。

しかし、次の瞬間には蹴飛ばされ距離が一気に開いた。

幽香が傘を構え、その先端に膨大なエネルギーが貯まるのがわかった。

仕掛けて来る気か、此方も剣を高く構え魔力を送る。それにこたえるかの様に剣に炎が宿る。

もう一体の幽香も隣に並び、傷だらけの幽香を支えながら同じく傘を構え、エネルギーを貯める。

 

「「マスタースパーク!!!」」

 

忠義の(ガラ)・・・・・剣閃(ティーン)!!!」

 

スターライト・ブレイカー何か目じゃ無いくらいのごん太レーザーと炎の剣戟がぶつかり合い鍔迫り合いをしている。

剣戟で吹き飛びそうになる体に力を入れ、

 

「うおおおおぉぉぉぉぉぉぉおっぉおぉぉぉぉぉおぉぉぉぉぉ!!!」

 

雄たけびを上げながら剣を思いっきり振り下ろす。

炎の剣戟はマスタースパークを押し、マスタースパークを飲み込み、風見幽香に当たる事無く、分身のみを飲み込み消し去った。その内に走り、ガラティーンの柄で心臓部分を思いっきり突く。

そうすると彼女は血を吐いた後、ゆっくりと私に向かって倒れて来る。

それを受け止めると彼女を抱き、永遠亭にダッシュする。

 

 

 

 

 

 

「あややややや、またまたスクープですね」

 

また写真を撮られていたとも知らずに・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最初は何とも思って無かった。割って入って来て私の攻撃を受け止めた事と、出した神気で相手が神である事がわかった。

面白い、神とはあまり戦った事が無いので良い暇潰しには成るだろうと思った。

しかし、白兵戦を仕掛けて傘で切りかかったら傘が綺麗に切れた。

損所そこらの神器では折れる事が無いはずなのにそれを切ったのだ。

妖力を送って強化するもあの剣とぶつかる度に強化がきれた。

もしかしたらそう言った強化を無効にする力をあの剣が持って居ると思い、近づき手で殴った時に凄まじい激痛が右手を通して伝わる。

思わずに離れて右手を開いたり閉じたりする。その一瞬に近づかれ、剣で斬られた。

切り口から凄まじい激痛と鮮血が宙を舞う。力が持っていかれるような感覚がする。

朦朧とした意識の中、分身を呼び戻し、私を支えて貰いながら二人で最後の力を振り絞り、必殺の一撃を放つ。相手も炎の剣戟を発して来る。炎の剣戟とマスタースパークがぶつかり合う。有りっ丈の魔力に妖力を込めるが、押し返され、漠然と死んだと思った。

しかし、剣戟は大きく曲がり、私の分身体だけを飲み込み消えて行った。

その様子を眺めていたら衝撃が襲い、今度こそ意識が無くなった。




妖怪である幽香はありとあらゆる物を浄化する能力がある為、妖力で強化した傘は妖力故にそれを”浄化”されてしまい。唯の傘になりさがってしまった。
それに聖剣である為、妖怪には圧倒的に有利な判定が出る。
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