東方太陽録   作:仙儒

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孤独な妖怪は小さな夢を見る。


19話

優しく抱きしめられている感覚がした。

とても暖かい感覚がする。

今まで感じた事の無い感覚だ。

忘れていた遠い日の思いが蘇る。

遠い昔、私がまだ小さかった時の事だ。妖力の大きさから妖怪に狙われ、人にも狙われた。

植物だけが私の友達だった。

そんな毎日を送っている内に、人や妖怪を殺す事だけしかできなかった。

だから求めていた。自分と対等に渡り合え、私を非難したりしない存在を。

だが、その願いは叶わず、何時しか殺す事を趣味だと感覚が麻痺していた。遠い昔の話だ。

この温もりは誰だろうか?

開かない目を必死に開ける。必死な顔をしながら此方に何度も声をかけて来ていた。

「あと少しの辛抱です」や「がんばれ」等と言っている。

向日葵畑で殺そうとした男の顔だ。

剣を向けて迷いなく私を斬り捨てた人物とは思えない態度だった。

その必死な顔を見て、何故自分を殺そうとした人物だというのに何故こうも私に接しているのか理解できなかった。

しかし、それと同時に暖かい感覚が込み上げて来る。

 

・・・・・・・、ああ、わかった。これが遠い昔に欲しかった物なんだ。

 

  温もりと言う物なんだ・・・・。

 

自然と涙が溢れ出て来る。麻痺していた傷口に染みる感覚がした。だが、心地よい物だな。

この感じは・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

運んでいる時に必死に声をかけ続ける。

確か、倒れたり怪我をしている人には何度も大丈夫だとかがんばれとか声をかけ続けるのが良いと心理の授業で聞いた気がする。

しかも何か幽香が泣いているのだ。確かに斬られれば痛くて泣きたくはなるよな。

余計に心に来る物がある。必死だったとは言え、何の躊躇いも無く剣を幽香に振り下ろしたのだ。

恐らくは英霊に、ガウェインに成ったせいだろう。罪悪感がヒシヒシと込み上げて来る。

それになく事は一番のストレス発散法だとこれまた授業で聞いた気がする。

痛いと言うストレスを発散するために泣くのだ。ちびっ子がよく泣くのはそれが原因なのだが・・・・。

っと、そんな場合じゃ無かったな。良し、竹林が見えて来た。

それを見て更に幽香に声をかける。

門を飛び超え、庭に入り、

 

「急患です、誰か居ないか!!」

 

大声で問いかける。

永琳達が急いで出て来たので永琳に渡した。優曇華達は、幽香を連れてオペ室に入って行った。

崎さんにちゆりは大量の血を見たせいか青ざめた顔をしていた。

ジョワイユスを出し、真名解放して崎さん達の感覚を戻す。

序に私の罪悪感も晴らしてもらう。

そうでもしないとやってらんない。この幻想郷では余計にだ。

私はここにしか入れないが崎さん達は違う。今一度考えるように言って部屋に戻る。

しかし、部屋は如何にも修理中ですみたいな感じに成っていて全て無くなっていた。

爆弾でも使ったのか?どうするよこれから。

部屋は無くなるし、殺しあいはするし、蟹は食えなかったし、踏んだり蹴ったりで泣き顔に蜂だ。

血まみれな鎧を消し、スーツ姿に成って寺子屋に急ぐ。

完璧に遅刻だ。はぁ~、厄日だよ、全く。

雛を本気で探すしか無いか?

子供も気に成るが、霊夢曰く膨大な神気を帯びていると言っていたし、脅えて妖怪や何かに襲われる事は無いだろう。

そう言えば慧音は永遠亭に居るんだっけか?まぁ、一応里の状況も気に成るのでそのまま向かう事にする。

門の前で止まって門番に声をかけたら、門番は凄く驚いた顔をして里の中に入って行ってしまった。

何なんだ?一体・・・・・。

そう考えていたら慧音が鬼気迫る顔で私の所にかけて来て、体のあちこちを触りながら「大丈夫か?怪我はしてないか」等と言いながら暴走していて聞く耳持たん状態だったので「すいません」と一言言って慧音の首にチョップを入れて気絶させる。

里でも大混乱らしく、人々が集まってちょっとした騒ぎに成っていた。

そんな中、阿求と盾を持った先程の男の子が出て来た。

その子から盾を返してもらい、その場を収めてもらう。阿求に誘われて何故か阿求の家に行く事に成った。中々に広い武家屋敷って感じの家だった。まぁ、周りも似たような感じだが、こんなに広くは無い。

そこで改めて怪我は無いかとか色々聞かれた。出された紅茶を飲みながら話を聞く。

しかし、よくあったな、紅茶何て。・・・・・・・、スキマ妖怪ですね解ります。

そう言えば、阿求に渡す物があったんだった。すっかり忘れていた。

綺麗に包装された長方形の箱を阿求に渡す。万年筆だ。阿求も渋ったが受け取ってくれた。

一応使い方も教えておいた。阿求はそれを受け取ると胸に抱えるようにして「大切にします」と言ってくれた。これで良い。慧音の家の場所を聞いて、礼の物は部屋の隅にこっそり置いて行った。

ちゃんと書置きもしておいたので大丈夫だろう。

さて、慧音を送り届けないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セイバーさんが里に帰って来た。正直驚いている。

子供が膨大な神気を内包した盾を持って帰って来て、セイバーさんがフラワーマスターと闘っているとの事だった。頭の中が真っ白になる。

もしかしたらもう彼はこの世に居ないかもしれない。それほどに強力な妖怪なのだ。

故に特に怪我らしい怪我を負っていない彼の姿に驚きと安どの息が出た。

最初に話しかけるつもりが慧音さんに先を越されてしまった。

そんな慧音さんが暴走しているのを彼は慧音さんを気絶させることで収めた。

それから色々あり、勢いで私の家に来て下さいと言ってしまった。

家に着いてから急に緊張し始めた。相手が意中の殿方となれば余計にだ。

この間、スキマ妖怪が外の世界から紅茶の茶葉をくれたのでそれを出した所、嬉しそうに飲んでくれたので良かった。

そうしたらいきなり改まり、長細い包装された箱を私に差し出してきた。

戸惑ったが受け取る事にした。開けるように言われ、開けてみると棒のような物が入っていた。

万年筆と言うらしく、いちいち墨に付けなくても書く事が出来るらしい。

心が踊るような感覚がする。嬉しさが込み上げて来る。

それを胸に抱えながら

 

「大切にします」

 

と言った。正直、もったいなくて使いたくないが彼が私の事を考えてこれを送ってくれたのだ。

幻想郷縁起はこの万年筆で書こう。

そうしたら慧音さんの家の場所を聞いて来たので、場所を教えた。

送って行くのだろう。横抱きに(確かお姫様抱っこ成る物)し屋敷を去って行く彼の後姿を見届ける。

正直うらやましかった。

そんな気持ちで部屋に戻ると見慣れない箱や、みた事が無い程の上質な紙に色とりどり物等が置いてあった。書置きみたいのも置いてあったので読んでみる。

色鉛筆に絵の具成るものだそうだ。この間と、今回の衝動の助け舟の礼だと言う。

正直な所、此方の方がお礼をしなければならないのだが・・・・・、

まぁ、そこで幻想郷縁起なる物を書いていると聞き、絵が上手いと聞いたので持ってきたとの事だ。

申し訳ないと思いつつも喜んでいる私が居る。

しかし、残念ながらそれは私だけでは無いらしい。慧音さんは時計を貰ったらしい、しかも彼とお揃いの奴を、だ。それに寺子屋に通っている子供たちにも色々あげていたみたいだ。

ううう、ライバルはこれからも多くなりそうだし、此方の様子に気づく素振りさえしなかった彼だ。

積極的に関わらなければあい手にリードされてしまう。

私も寺子屋に通おうな~。




こんなんでどうですか?

まえがきの割に幽香が少ないと言う・・・・
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