東方太陽録   作:仙儒

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間休

ありとあらゆる事の夢を見る。

 

知ってる事、知らない場所、色々あり過ぎて頭痛がする。

 

何なんだ、この夢と解る夢は。

感覚もある、痛みがある。どことも解らない白い空間で上下も解らないのに浮遊感がある。

体を動かそうにもピクリとも動かない。

動かす事が出来るのは目だけだ。これが金縛りと言う奴か。

本当にピクリとも動かね~。

 

しかし、何がしたいのだ。この夢は。

大量の映像が所狭しと出ては消えてを繰り返している。

 

正直目が疲れて来た。

何かSFで出て来る空間ディスプレイを幾つも見ている感じだ。

これは私にとってはテレビ大量に見せられてるのに等しい。

しかもその情報が頭の中に流れ込んでくる。

頭痛が増す。

 

本当に何の夢なんだよ。何を伝えたいんだ、この夢は。

 

そんな空間の中から興味を引く情報が出て来た。

 

こ、これは!

 

 

現実で生きていた時の情報だ。そうしたらその映像が目の前に現れる。

ありがたい。

 

内容を見てみたら、折れた電柱に血だまりが写っていた。

映像は加速する。

その事を通りがかった人が警察に通報。

警察が来て、現場に残ったどす黒い乾ききった血液を採取、DNA検査され、事件として捜査された。

そうしたら私の親友が私の持って居たハンカチを提出し、DNAが一致、私の家族に連絡が行く。

私の家族は当初は信じられず、警察に問い詰め、情報を欲して、ビラを作り、必死にそれを配っていた。それを親友も手伝ってくれていた。

本人が見つからないので見かけた方は居ないかとアナウンスでも問いかけられ、テレビでも大々的に放送されて居た。

壊れた電柱元から離れている謎、おびただしい血液の量から見て当人は死んだ者として話が進んでいた。そして、消えた死体。

この手の懐疑事件はさぞ珍しいだろう。目撃者も0。下校するのが最後と成っていた。

警察も半ば捜査を諦めている。

 

そんな中、私の家族と親友だけは私が生きていると信じて、必死に私の写真が載ったビラを配り続けていた。

正直、見てられなかった。もう良い、もう良いから・・・・・。

どうにかして伝える事は出来ないだろうか?

 

そう強く願っていたら、光の塊が私の元に降りて来た。

 

 

 

ピカッ!!!

 

 

その光の塊がいきなり強く発光し、思わずに目を瞑ってしまう。

 

光が弱く成って来た。先程の浮遊感が無く成り、地べたに立って居る感覚がある。

目を開けて周りを見回してみる。

夜の学校の屋上だった。

見覚えがある。嘗て私が通っていた大学だ。

帰ってこれたのか?手を見てみる。

ガウェインに比べて細い腕。長い髪、一応トイレの鏡で確認したら生前の私の姿だった。

夢かと思った。まさか本当に帰ってこれるとは・・・・・。

今までの事が夢では無いかと思うが、名前が思い出せない事、試しに鍵剣を出して見たら本当に出て来たので夢では無いのだと確信した。

 

と、成ると、これが最後の別れに成るのか・・・・・・。

 

自然と涙が頬を伝う。

おっと、こうしちゃいられない。タイムリミットが何時までだか解らない以上、速く行動して家族と友人に会わねば。

 

走って取り敢えずは私の一人暮らししていた家に急ぐ。

 

家の近くに付くと、窓から明かりが漏れていた。

こんな状況で電気が付いていると言う事は答えは一つしかない。

家族が来ている!!

これはラッキーだ。

 

急いで玄関の鍵を開け、中に入る。

そうしてリビングに急ぎ、扉を開ける。

そうするとビラを作っている家族と親友のがいた。

私の登場で皆がポカーンとしていた。

 

やがて正気に戻った母親が私に向かってかけて来る。そして抱きつこうとしたら空を切った。

どうやらそんなに時間が無いらしい。

私はもうこの世界では死んでいる事を告げる。死因は解らんが、さっきの映像見る限り撲殺されたのだろう。

電柱で撲殺って・・・・・、まぁ、良いや。

生きている間に言えなかった感謝の言葉をこれでもかって位に伝える。

そうして、親孝行出来ない事を謝罪する。

涙がまた出て来た。親不孝を許して欲しい。

そして、伝えなければ・・・・・・、

 

 

 

 

 

皆、大好き。皆と会えて幸せでした。

 

 

それを言った瞬間に私はこの世界から消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あいつが居なくなって早2週間、あいつの両親とともにビラ配りを手伝っていた。

あいつの両親はいいと言ってくれたが、手伝うと押し切った。

親友として出来る事はこれ位しか無いから・・・・・、あいつになら、俺の秘密を全て教えても良いと思っていた程の人物だ。

異性なら結婚を申し込んでいる。

そんなある時、玄関の鍵が開く音がした。

そして走ってくる音がし、俺らがいるリビングの扉が思いっきり開かれる。

 

そして驚いた。俺達が必死に探していた人物が息を切らせながらそこに居た。

華奢な体付きで、童顔で、長いストレートの髪が良く似合う女性にしか見えない親友が。

あいつの母親が抱きつこうとしたらあいつをすり抜けた。

まるで立体映像に手を通すように。

そして、もうこの世に居ない事を告げられた。

嘘だと思いたかったが、今の出来事で信じるしか無い。

どうして死んだのかを聞くとあいつは首を左右に振った。

 

「私が許されたのは、もう死んでいるのを告げる事だけ」

 

声変わりしているのに高い声が残酷な事を告げる。

そうしてあいつは両親に感謝の事を泣きながら伝え、謝っていた。

そうして此方に来て、

 

「そう言う訳だ、相棒。ありがとうな、こんな私と親友に成ってくれて」

 

違う、そんな言葉が聞きたかった訳じゃない!!

 

そうしたらあいつは少し距離を置き、

 

「皆、大好き。皆と会えて幸せでした。」

 

涙を流しながら笑い、告げられた。

不覚にもその姿を美しいと思ってしまった。

そうしてあいつは消えて行った。

 

あいつの立って居た場所に三枚の御札が置かれていた。

かなり強い力を感じるそれを取って見てみたら、

 

加護の札

 

ありとあらゆる災いを避け、守り、幸せを呼ぶ札

 

汝らの身に最高の幸あれ・・・・・、まぁ、何だ。今までありがとう。

 

と、書かれていた。間違い無い。あいつの字だ。

こんな、こんな物!!

 

「こんな物残す位なら戻ってきやがれ!この大バカ野郎ー!!!」

 

近所迷惑を考えずに思いっきり叫ぶ。

 

あいつの両親はその札を胸に抱えて泣いている。

 

その咆哮が妙に切なく木霊した。

 

 




両親と友人は大切にね
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